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接客型の飲食店の予約台帳を紙からやめる|移し替える順番と、残す情報
2026年9月20日・Rizaflow編集部

接客型の飲食店の予約台帳は、レジの横や厨房の入口に置かれた1冊のノートであることがまだ多くあります。鉛筆で書き、消しゴムで消し、余白に「奥様 えび×」「誕生日 プレート」と書き足していく。この台帳は予約表であると同時に、その夜の卓の配置図であり、常連の好みの記録でもあります。この記事では、紙の台帳をやめるときに何から移し、何を移さず、どの順番で切り替えるかを、飲食店ならではの事情に沿って整理します。
紙の台帳が、店の中でいくつもの役割を背負っている
紙の台帳をやめる前に、いまの台帳が何に使われているかを書き出してください。接客型の飲食店の台帳は、1冊で次の役割を兼ねています。
・その日の予約の一覧。何時に何名が来るか ・卓の割り当て。どの予約をカウンターの何番と何番に座らせるか ・仕込みの量の目安。コースの予約が何名分あるか ・常連の記録。前回何を飲んだか、苦手な食材は何か ・当日の変更の記録。人数が減った、時間が遅れる、という書き込み ・飛び込みの客の記録。空いた席に誰を何時に案内したか
画面の台帳に移すとき、この6つを全部同じ道具で置き換えようとすると、たいてい途中で行き詰まります。予約の一覧と変更の記録は画面に向いていますが、卓の割り当てを紙の図で見ているほうが早い店もあります。仕込みの量は、朝に厨房で見る紙が1枚あれば足りることもあります。
役割ごとに、画面に移すか、紙に残すか、やめるかを決めてから始めます。全部を一度に移そうとしないことが、途中で紙に戻らないための最初の条件です。
とくに見落とされがちなのが、台帳の余白に書かれている情報です。予約の欄の外に、鉛筆で小さく書かれた「前回 日本酒 冷や」「窓際希望」「接待 先方3名」。これらは接客の質を支えている記録ですが、どの欄にも属していないので、移し替えのときに真っ先に抜け落ちます。1か月分の台帳をめくり、余白に書かれている内容を種類ごとに数えておくと、画面にどんな欄を作ればよいかが見えてきます。
紙のままで起きる詰まりは、予約が入る経路の数で決まる
紙の台帳で困っている店に話を聞くと、困りごとの中身は店の大きさより、予約が入ってくる経路の数で決まっていることが分かります。
電話だけで予約を受けている店なら、電話を取った人が台帳に書けば済みます。詰まるのは、電話に出た人と台帳の場所が離れているときくらいです。厨房で電話を取り、手が濡れたまま台帳のあるレジまで行く、という動きが1日に何度も発生します。
経路が2つ以上になると、話が変わります。
・電話の予約 ・グルメサイトなど外部のサイトから入るネット予約 ・店のホームページやSNSからの問い合わせ ・常連が店主の携帯に直接送ってくるメッセージ ・会計のときに口頭で受ける次回の予約
外部のサイトから入った予約は、店の管理画面かメールで届きます。これを紙の台帳に書き写すまでの間、台帳の上ではその席は空いています。その間に電話で同じ時間の予約が入れば、二重に受けてしまいます。営業中は書き写す暇がないので、空白の時間はたいてい開店から閉店までの数時間に及びます。
会計のときに受ける次回の予約も、抜けやすい経路です。「来月の17日、また2人で」と言われて、会計を済ませてから台帳に書こうとしているうちに、次の客の案内で忘れてしまう。翌月の17日に常連が来て、台帳に名前がないという事態は、多くの店で起きています。
紙をやめる目的を、字をきれいにすることではなく、経路ごとの書き写しをなくすことだと決めておくと、どの道具を選ぶか、どこから移すかの判断がぶれません。
移す情報、移さない情報、捨てる情報に分ける
台帳の中身を画面に移すとき、すべてを移す必要はありません。むしろ移さないほうがよい情報があります。3つに分けて考えてください。
移す情報は、次の予約と、次の来店に使うものです。
・今日以降に入っている予約。日時、人数、名前、連絡先、コースか席だけか ・常連の好みと、食べられないもの ・次の来店のときに接客で使う記録。祝いごとの有無、飲み物の傾向、座りたい席
移さない情報は、過去の予約そのものです。3年前の何月何日に誰が何名で来たか、という記録を1件ずつ打ち込む作業は、時間がかかるわりに使う場面がほとんどありません。紙の台帳は、年ごとに箱に入れて保管しておき、必要なときにめくれば足ります。
捨てる情報は、もう使わないうえに、持っていること自体が負担になるものです。何年も来ていない客の電話番号、一度だけ来た接待の相手先の名前、クレームを受けたときのメモなどがこれに当たります。個人情報は、使う目的がなくなったら消すのが原則です。移し替えは、手元の情報を棚卸しするよい機会になります。
常連の記録は、紙の台帳の中に分散していることが多いので、移す前に1人ずつ集約します。同じ客の名前が台帳の何か所にも出てくるので、名前ごとに付箋を貼っていき、好みの記録を1枚にまとめてから打ち込みます。最初に移すのは、月に1回以上来る常連からで十分です。年に1度しか来ない客の記録は、次に予約が入ったときに移せば間に合います。
食べられないものの記録は、厨房まで届く形で残す
接客型の飲食店の台帳で、他の業態と決定的に違うのが、食物アレルギーや苦手な食材の記録です。予約の段階で「甲殻類がだめ」「生の玉ねぎが苦手」と聞いていても、それが当日の厨房に届かなければ意味がありません。
紙の台帳では、この情報が予約の欄の横に小さく書かれ、ホールの人は知っているが、厨房で手を動かしている人は知らない、ということが起こります。コースの2品目を出す直前に、ホールから「3番の方、えびだめでした」と声がかかり、厨房が作り直す。この事態は、紙から画面に移しても、情報の置き場所を変えなければ同じように起きます。
消費者庁は、外食での食物アレルギーの情報提供について、事業者と消費者の双方に向けた教材を用意しています。
外食・中食における食物アレルギーに関する情報提供がより一層推進されることを目指し、事業者及び消費者向けに、動画で学べる教材を作成しました。 出典: caa.go.jp
台帳を画面に移すときは、次の3点を決めておきます。
・食べられないものは、自由に書く備考欄に混ぜず、専用の欄を作る。予約の一覧で目に入る位置に置く ・アレルギーなのか、好みで苦手なのかを分けて書く。アレルギーは微量の混入でも問題になるため、厨房の対応が変わる ・当日の朝、その日の予約のうち食べられないものがある予約だけを抜き出し、厨房の人が見る紙か画面に出す
3つ目は、画面に移したあとも紙を使ってかまいません。厨房は手が濡れていて、画面を触れる環境ではないことが多いからです。大事なのは、紙に書き写す作業を人の記憶に頼らず、画面の台帳から抜き出して印刷するなど、決まった手順にしておくことです。
アレルギーの情報は、健康に関わる情報として慎重に扱うべきものです。聞いた目的、つまり料理の提供のため以外には使わないことを、予約のときに一言添えておくと、客も申告しやすくなります。
移し替える順番は、席の図から始める
画面に予約を打ち込み始める前に、まず自店の席の図を固めます。接客型の飲食店では、予約は「何時に何名」だけでは決まらず、「どの席に座らせるか」で受けられるかどうかが変わるからです。
カウンター8席と4人掛けの卓が2つある店を考えます。19時に2名の予約が3組入っているとき、カウンターに並べるのか、卓を使うのかで、20時に来る4名の予約を受けられるかが変わります。紙の台帳では、店主が頭の中で席を並べ替えながら予約を受けていますが、画面の台帳ではこの判断を何らかの形で表す必要があります。
順番は次のとおりです。
・席に番号を振る。カウンターは左から1番、卓はA、B。この番号を店の全員で共有する ・1回の予約で席を使う時間を決める。コースなら2時間半、席だけなら2時間、など ・何名の予約をどの席に案内するかの基本の組み合わせを決める ・この条件で、来週以降の予約を画面に入れる ・最後に、今週の予約を入れる
今週の予約を最後にするのは、今週分は紙の台帳でまだ回っているからです。混乱の起きやすい直近の予約を、慣れない画面で扱い始めると事故が起きます。来週以降の予約を画面に入れながら使い方に慣れ、今週の営業が終わった時点で、画面のほうに一本化します。
席の割り当てまで画面で行うかどうかは、使う道具によって変わります。卓の図を画面に表示して割り当てられる台帳もあれば、時間と人数で予約を受け、席の配置は店が別に決める作りの道具もあります。後者を選ぶなら、当日の朝に予約の一覧を見て、紙の席の図に書き込む手順を残してもかまいません。
画面の台帳を、店のどこに置くかを先に決める
紙の台帳が長く使われてきた理由の1つは、置き場所を選ばないことです。レジの横でも、厨房の入口の棚でも、鉛筆1本あれば書けます。画面の台帳に移すときは、この「どこで書くか」を先に決めておかないと、結局は紙のメモに書いて、あとで画面に打ち直す二度手間が生まれます。
接客型の飲食店で予約の電話が鳴るのは、たいてい営業の準備中か、営業のさなかです。店主が揚げ場に立っているときに電話を取り、油の付いた手で画面を触ることはできません。ホールの人が料理を運ぶ途中で電話に出ても、両手がふさがっています。紙なら「17日 19時 2名 タナカ」と走り書きして済ませられた場面です。
置き場所を決めるときは、次の点を確かめます。
・電話機の横に、画面の台帳を開いた端末を常に置けるか。充電の線が届くか ・厨房から電話を取った場合に、誰が画面に入力するかを決めてあるか ・端末の置き場所が、水や油のはねる位置、客席から画面が見える位置になっていないか ・営業中に入力できなかった予約を、閉店後に誰が画面へ移すかを決めてあるか
最後の点は、切り替えの初期にとくに大事です。忙しい時間帯だけは紙の小さなメモに書くことを許し、閉店後に店主がそのメモをすべて画面に移してから捨てる、という手順を決めておくと、メモが翌日まで残って予約が消える事故を防げます。画面に移し終えたメモは、その日のうちに処分します。個人の名前と電話番号が書かれた紙が、レジの引き出しに何週間もたまっていく状態を作らないためです。
飛び込みの客を、台帳に書くかどうか決めておく
予約の台帳を画面に移すと、飛び込みで来た客をどう扱うかという問題が出てきます。紙の台帳なら、空いている欄に「19:20 2名 飛込」と書くだけでした。画面では、予約として入力するのか、何も入れないのかを決めておかないと、席の空き状況が実態と合わなくなります。
飛び込みの客を台帳に入れない店では、次のようなことが起きます。19時に2名の飛び込みをカウンターに案内したのに、画面の上ではその席が空いたままになり、ネット予約で19時半に2名の予約が入る。店に着いた予約の客を、座らせる席がありません。
外部のサイトから予約を受けている店では、とくに注意が必要です。画面の台帳と外部サイトの空席が連動している場合、飛び込みの客を入力しなければ、外部サイトでは席が空いていることになります。
決め方は2つあります。
・飛び込みの客も、案内した時点で台帳に入れる。名前は「飛込」、人数と席と時刻だけ入れる ・営業中はネット予約の受付を止め、当日の席は店頭と電話だけで回す
前者は正確ですが、忙しい時間に入力する手間がかかります。後者は手間がかかりませんが、当日のネット予約を取りこぼします。どちらを選ぶかは、飛び込みの客の割合で決めます。1か月の間に飛び込みの客が何組来たかを紙の台帳で数え、1日平均で1組以下なら後者、それより多ければ前者を選ぶ、という線の引き方が考えやすい形です。
飛び込みの客の記録を残しておくと、どの曜日のどの時間に店頭の客が来ているかが分かり、ネット予約の受付時間を決める材料にもなります。
コースの人数は、仕入れの締め切りに合わせて確定させる
コースを出している飲食店の台帳は、仕入れの帳面も兼ねています。毎朝、台帳を開いて今日と明日のコースの人数を数え、魚や肉をどれだけ発注するかを決める。紙の台帳では、この合計を店主が指で数えていました。
画面に移すと、日付ごとのコースの人数は一覧から数えやすくなります。ただし、数えやすくなっても、人数が当日まで動き続けるなら発注の量は決まりません。仕入れのある店が台帳を移すときは、予約の中身と一緒に、人数を確定させる締め切りも決め直してください。
考え方は、仕入れの日から逆算することです。
・市場や業者への発注が前日の午前中なら、コースの人数の確定は前々日の営業終了まで ・食材を数日かけて仕込むコースなら、その仕込みを始める日より前 ・人数の減る連絡が締め切りを過ぎた場合に、どう扱うかを予約の時点で伝える
締め切りを決めたら、予約の確定の連絡に書き、前々日の念押しの連絡でも同じ締め切りを繰り返します。紙の台帳のころは、店主が前日に電話で「明日4名様で変わりありませんか」と1件ずつ聞いていた店も多いはずです。この確認を画面の台帳からの連絡に置き換えると、夕方の仕込みの時間に電話をかける作業が減ります。
画面の台帳で、コースの予約と席だけの予約を別の項目にしておくことも忘れないでください。同じ「2名」でも、コースなら仕入れに関わり、席だけなら関わりません。項目を分けておけば、朝に見る一覧をコースの予約だけに絞れます。
宴会と貸切は、1件の予約に関わるやり取りが多い
接客型の飲食店には、ふだんの予約とは性質の違う予約があります。会社の歓送迎会や忘年会、親族の集まりなどの宴会と、店全体を使う貸切です。紙の台帳を使っている店の多くは、これを台帳とは別の「宴会ノート」に書いています。
宴会の予約は、1回の電話では決まりません。最初の問い合わせで日付と概算の人数を押さえ、その後に幹事から何度も連絡が入ります。人数が18名から22名に増えた、飲み放題を付けたい、1名が乳製品を食べられない、領収書の宛名は会社名で、といった具合です。紙のノートでは、この変更が書き足しと二重線で埋まり、最新の人数がどれか分からなくなります。
画面の台帳に移すとき、宴会と貸切は次のように扱います。
・幹事の名前と連絡先に加えて、会社名や団体名を別の欄に残す。翌年の同じ時期に同じ団体から問い合わせが来たとき、前回の人数と予算を探せる ・人数と予算とコースの内容は、変更のたびに書き換え、変更の履歴はメモ欄に日付つきで残す ・食べられないものは、宴会でも1人ずつ専用の欄に分けて書く。「1名 乳製品」とまとめて書くと、当日にどの席の人か分からない ・貸切の日は、その時間帯の通常の予約とネット予約を受けないよう、枠を先に止めておく
最後の点は、画面に移した直後に起きやすい事故です。紙の宴会ノートに貸切を書いただけで、画面の台帳の枠を止め忘れると、その日の19時にネット予約の2名が入ってしまいます。貸切の問い合わせを受けた時点で、日付が仮でも枠を止める習慣にしておくと防げます。
台帳に書いている個人情報を、誰が見られる場所に置くか
紙の台帳は、置き場所によっては客の目に触れます。レジの横に開いたまま置いてあれば、会計を待っている客から、他の客の名前と電話番号が見えます。「◯◯様 接待 △△社3名」と書かれていれば、どの会社の誰がこの店を使っているかまで分かってしまいます。
個人情報保護委員会は、個人情報を扱う事業者向けに、法令やガイドライン、よくある質問をまとめて公開しています。個人の店でも、客の名前と連絡先を台帳で管理していれば、個人情報を取り扱う事業者に当たります。
紙から画面に移すときは、見られる範囲を決めることが、そのまま安全管理の中身になります。
・予約の一覧を見られる人。ホールと厨房の全員 ・客の連絡先を見られる人。予約の変更や当日の連絡をする人だけ ・常連の記録と、食べられないものの記録を見られる人。接客と調理に関わる人 ・過去の予約の履歴を書き出したり消したりできる人。店主だけ
アルバイトのスタッフが自分のスマートフォンで台帳を見られるようにする場合は、辞めたときにその人のログインを止める手順も決めておきます。紙の台帳なら、辞めた人が持ち出さない限り見られなくなりますが、画面の台帳はどこからでも見られます。
店のタブレットで台帳を開く場合は、営業中にカウンターの上に置きっぱなしにしないこと、画面が一定時間で暗くなる設定にしておくことも、紙の台帳を開いたまま置かないのと同じ意味を持ちます。具体的な扱い方に迷うときは、個人情報保護委員会の相談窓口に問い合わせてください。
紙と画面を並べて使う期間を、先に決める
紙の台帳をやめるとき、いきなり紙を捨てる店はほとんどありません。しばらくは両方に書きます。問題は、この並べて使う期間が終わらないことです。どちらにも書くことが習慣になり、手間が倍になったまま半年が過ぎる、という話はよく聞きます。
並べて使う期間は、始める前に日付で決めてください。目安は2週間です。
・1週目は、来週以降の予約を画面に入れる。今週の予約は紙で回す ・2週目は、すべての予約を画面に入れ、紙には同じ内容を書き写す。紙はあくまで予備 ・2週目の最終日の営業が終わったら、紙への書き写しをやめる
2週目に紙へ書き写すのは、画面の操作に慣れないうちに入力を忘れた予約を拾うためです。紙と画面を毎晩閉店後に突き合わせ、ずれがあれば原因を書き留めます。ずれの原因は、たいてい決まった経路から出ます。会計時の口頭の予約、店主の携帯に届くメッセージ、外部サイトからの予約のどれかです。
3週目以降に紙を残すなら、役割を絞ります。当日の朝に印刷する、その日の予約の一覧と、食べられないものの抜き出しだけです。これは台帳ではなく、その日限りの作業用の紙として扱い、営業が終わったら処分します。
ランチと夜の営業の間に中休みを取っている店は、その時間の電話の扱いも決めておきます。紙の台帳のころは、中休みに鳴った電話を店主が取り、仕込みの手を止めて台帳に書いていました。画面に移したあとは、中休みの時間は電話に出ず、留守番電話で「ネットでのご予約はこちらから」と案内する、あるいは中休みの最後の15分だけ折り返しの電話をかけてまとめて入力する、といった形に変えられます。どちらにするかを決めておかないと、仕込みの最中に鳴った電話の予約だけが紙のメモに残ります。
年末の宴会シーズンの直前や、店の周年などの繁忙期に切り替えを始めるのは避けてください。予約の数が多い時期に慣れない画面を使うと、ミスが起きたときの影響が大きくなります。予約の少ない月の、定休日明けから始めるのが安全です。
常連の「前回と同じもの」を、次の予約で使えるようにする
接客型の飲食店にとって、紙の台帳の一番の価値は、常連の記録でした。前回座った席、飲んだ酒、苦手な食材、前回出したコースの中身。とくにおまかせのコースを出している店では、2か月ぶりに来た常連に前回と同じ献立を出さないよう、台帳をさかのぼって確認しているはずです。
画面の台帳に移すと、この確認が早くなります。紙では名前で探すしかなく、何冊もの台帳をめくることになりますが、画面なら名前やふりがなで検索すれば、その客の過去の来店の日付と記録が並びます。
移すときに意識したいのは、次の予約を受けたときに、その客の記録が自然に目に入る作りにすることです。
・予約を受けたら、その客の過去の記録を開く習慣にする ・来店の翌日に、その日出したコースの中身と、会話で出た話題を短く書き足す ・祝いごとの日付は、次の年の同じ時期に声をかけられるよう、日付として残す
最後の1つは、紙の台帳ではほぼできなかったことです。去年の10月に結婚記念日で来た夫婦に、今年の9月に案内を送る。紙の台帳を1年分さかのぼって拾い出すのは現実的ではありませんが、画面の台帳なら日付で探せます。
ただし、記録を細かく書けば書くほど、書く手間が増えて続かなくなります。書く項目は3つまでに絞り、閉店後に5分で書ける量にとどめてください。書かれなくなった記録欄は、紙の台帳の余白よりも役に立ちません。
移し替えのあとに残る作業を、道具で減らせるか
紙の台帳を画面に移すと、書き写しの手間は減りますが、それだけでは予約のあとに発生する作業は変わりません。確認の連絡、前日の念押し、取り消しの受付、来店後の御礼は、紙のころと同じように店主が電話やメッセージで行うことになります。
予約の受付ツールを選ぶときは、台帳の置き換えだけでなく、次の点も確かめてください。
・いまの顧客の一覧を、表計算ソフトなどから取り込めるか ・客の来店履歴とメモを残し、名前やふりがなで探せるか ・予約の確定、前日の念押し、来店後の御礼の連絡を自動で送れるか ・客が自分で取り消しや変更をできるか ・スタッフごとに、見られる範囲を分けられるか
たとえば、顧客の一覧をCSVで取り込み、来店履歴とメモとカナ検索で客を探せる道具があります。何ができるかはできることに一覧があり、予約完了や前日の念押し、御礼の連絡の自動送信もそこに含まれています。こうした道具は決済が必須でない業態に合わせて、予約の受付から次の来店までを一続きにしているので、店頭の支払いで完結している飲食店でも、台帳と連絡をまとめて移せます。取り込みの手順や、並べて使う期間の考え方はよくある質問にも回答があります。
一方で、公開されている機能の一覧には、卓の図を画面に表示して席を割り当てる機能の記載は見当たりません。席の割り当てを画面で完結させたい店は、飲食店向けに作られた予約台帳と比べたうえで選ぶのが確実です。時間とメニューで予約を受け、席は店が決める形で足りるかどうかは、業種ごとの使い方で近い使い方を探し、デモを見るから予約ページと管理画面を触って確かめられます。
月額や予約件数の上限、スタッフを何名まで登録できるかは料金に載っています。すでに別の予約サービスを使っていて移し替えを考えている場合は、公開情報で料金と機能を並べた他社との比較も判断の材料になります。
Q1. 紙の予約台帳の過去の記録は、全部画面に移したほうがよいですか?
過去の記録まで打ち込む必要はありません。移すのは今日以降の予約と、常連の好みや食べられないものなど、次の来店で使う記録だけで十分です。過去の予約を1件ずつ打ち込む作業は時間がかかるわりに使う場面が少ないため、紙の台帳は年ごとに保管し、必要なときにめくる形にします。何年も来ていない客の連絡先は、この機会に処分を検討してください。
Q2. 食物アレルギーの申告は、どこに記録すればよいですか?
自由に書く備考欄に混ぜず、専用の欄を作って予約の一覧で目に入る位置に置いてください。アレルギーなのか好みで苦手なのかも分けて書きます。そのうえで、当日の朝にその日の該当する予約だけを抜き出し、厨房の人が見る紙か画面に出す手順を決めておくと、ホールだけが知っている状態を防げます。
Q3. 紙と画面を並べて使う期間は、どれくらいが適切ですか?
目安は2週間です。1週目は来週以降の予約を画面に入れ、2週目はすべてを画面に入れて紙に書き写し、毎晩閉店後に突き合わせます。2週目の最終日で紙への書き写しをやめると、始める前に日付で決めておいてください。期間を決めずに始めると、両方に書く状態が何か月も続き、手間が倍になります。
Q4. 飛び込みの客も、画面の台帳に入力する必要がありますか?
ネット予約を受けている店では、入力しないと席が空いているように見え、同じ時間に予約が入る恐れがあります。飛び込みが多い店は案内した時点で人数と席と時刻だけ入れ、少ない店は営業中のネット予約を止めて店頭と電話で回す、という分け方が考えやすい形です。1か月分の台帳で飛び込みの組数を数えてから決めてください。