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カイロプラクティック院の予約台帳を紙からやめる|移し替える順番と、残す情報

2026年9月15日・Rizaflow編集部

カイロプラクティック院の予約台帳を紙からやめようとすると、まず整理しなければならないことがあります。台帳と施術録を、どこで切り分けるかです。紙の台帳の余白に、前回どこを触ったか、次は何回目か、回数券があと何回かが書き込まれている院は多く、この状態のまま移そうとすると手が止まります。この記事では、移すもの、移さないもの、移す順番を、カイロプラクティック院の実情に合わせて書いていきます。

紙の台帳が回らなくなるのは、先の予約を押さえ始めたとき

紙の台帳で困り始める時点は、予約が増えたときではありません。次回予約を先まで押さえ始めたときです。

カイロプラクティック院は通院計画に沿って進めるため、施術が終わった直後に次の予約を取ります。週1回8回の計画なら、2か月先までが視野に入ります。間隔を空ける段階に入れば3か月先の予約も出てきます。

紙の台帳は1日1ページか見開き1週間で作られています。3か月先のページをめくって空きを探し、書き込み、また今日のページに戻る。この動作を、施術が終わって相手が着替えている数十秒のあいだにやることになります。

ここでめくり間違えると、隣の週に書き込みます。書き込んだ本人しか気づかず、当日になって初めて分かります。紙の台帳の限界は、量ではなくこの「先の日付を扱う」構造にあります。

予約台帳と施術録は、別のものとして扱う

移し替えの前に、いちばん大事な整理がこれです。

予約台帳は、いつ誰が来るかの表です。施術録は、その人の身体に何をしたかの記録です。紙で運用していると、この2つが同じノートの上で混ざっています。台帳の名前の横に「腰椎3番」「前回より可動域良」といった書き込みがある状態です。

移すのは予約台帳だけです。施術録は別の話として進めてください。理由は3つあります。

・施術録には人体図への手書きの書き込みが含まれ、そのまま文字にできない ・施術録は保存の年限を決めて長く持つ必要があるが、予約の記録はそこまで持たない ・施術録は要配慮個人情報の塊であり、扱いの要件が予約の記録より重い

この2つを同時に移そうとして頓挫する院が多く見られます。予約だけ先に移して動くようにし、施術録は紙のまま、あるいは別の方法で後から考える。この順番が現実的です。

症状や既往歴は、要配慮個人情報にあたる

紙のときには意識しなくて済んでいたことが、電子にすると明確になります。個人情報保護法には次の定めがあります。

個人情報取扱事業者は、次に掲げる場合を除くほか、あらかじめ本人の同意を得ないで、要配慮個人情報を取得してはならない。 出典: laws.e-gov.go.jp

病歴はこの要配慮個人情報に含まれます。カイロプラクティック院の問診票に書かれている内容は、ほぼそのままここにあたります。

紙の問診票を受け取っていた時点でも扱いは同じなのですが、電子にすると誰がどこからアクセスできるのかを決めなければならなくなります。移し替えを機に、次の点を整理してください。

・何の目的で取得するのかを、問診票と申し込みの画面に書いているか ・同意を取る欄があるか ・誰が見られるのか(施術者だけか、受付の人も見るのか) ・どれくらいの期間保管するのか ・院を閉めるときにどうするか

これらを決めるのは負担に見えますが、一度決めてしまえば終わります。そして決めておくと、家族から本人の情報を聞かれたときや、他の施設へ情報を渡してほしいと言われたときに迷わなくて済みます。

具体的な要件は、所管の窓口の資料や専門家に確認してください。院の規模や取り扱う情報の範囲で、必要な対応が変わります。

移す前に、いまの台帳の中身を棚卸しする

紙の台帳に何が書かれているかを、項目として書き出します。カイロプラクティック院の台帳には、おおむね次のものが載っています。

・氏名と連絡先 ・予約の日時 ・初回か再来かの区別 ・メニューと所要時間 ・担当する施術者 ・回数券の残り回数 ・前回の来院日と、そこからの間隔 ・通院計画の何回目か ・当日の支払い方法 ・その人だけの申し送り(駐車場を使う、着替えが必要、耳が遠い等)

このうち、予約の仕組みに移すべきものと、施術録側に残すものを分けます。上から9つ目までは予約側です。最後の申し送りは、内容によって分かれます。駐車場や着替えのような運用上の情報は予約側、身体の状態に関することは施術録側です。

書き出す作業は30分もあれば終わります。この30分を省くと、移し替えの途中で「これはどこに入れるのか」が毎回出てきて止まります。

枠の長さが3種類ある、という前提で組む

カイロプラクティック院の予約を電子にするときに、最初につまずくのがここです。

紙の台帳は1行1枠です。初回だろうと再来だろうと1行に書きます。長さの違いは、院長の頭の中で調整されています。

電子にすると、長さを明示しなければなりません。初回90分、再来30分、メンテナンス20分。これを最初に設計せずに移すと、初回の予約が入らない、あるいは再来の枠に初回が入って後ろが全部ずれる、という事故が起きます。

設計するときに決めるのは3つです。

・メニューごとの所要時間 ・施術と施術のあいだに置く余白(片付けと記録のために5分から10分) ・1日の最初と最後に置く準備と片付けの時間

2つ目を省くと、紙のときより窮屈になります。紙では院長が感覚で調整していた余白が、電子では明示しない限り生まれないからです。

先に入っている予約から入れて、過去には戻らない

作業の順番です。過去の記録から順に入れていくやり方は、まず終わりません。

進め方は次のとおりです。

1つ目に、すでに入っている先の予約を全部入れます。3か月先まで押さえている院なら、その分を入れます。ここが終われば、明日から新しい仕組みで動けます。

2つ目に、通院中の人の情報を入れます。氏名、連絡先、回数券の残数、通院計画の何回目か。全員を一度に入れる必要はなく、来院した人から順に入れる形で構いません。1か月あれば、通っている人のほとんどが一巡します。

3つ目に、過去の来院履歴を入れるかどうかを判断します。多くの院で、これは入れなくて済みます。必要なのは「前回いつ来たか」だけで、それは2つ目の作業で入ります。3年分の来院日を全部入力しても、使う場面はほとんどありません。

4つ目に、しばらく来ていない人を入れるかどうかです。1年以上来ていない人まで入れると作業量が跳ね上がります。ただし、連絡を取りたい相手がいるなら、その人たちだけ選んで入れる価値はあります。

回数券の残数を、どこに持つか

カイロプラクティック院で、紙の台帳のいちばん使われている欄がここです。名前の横に正の字や数字で残数が書かれています。

電子に移すときは、この残数を予約の記録と同じところに持てるかどうかを確かめてください。別の表で管理すると、予約を受けたときに残数が見えず、会計のときに探すことになります。紙より不便になります。

移すときの注意点が1つあります。移し替えの時点で、全員の残数を本人と突き合わせてください。紙の運用が長い院ほど、院の記録と本人の認識がずれていることがあります。ずれたまま電子に移すと、正しい記録として固定されてしまい、後から直しにくくなります。

来院のたびに「残り3回です」と口頭で伝えている院なら、そのタイミングで確認できます。伝えていない院は、移し替えの前に一度全員に確認する機会を作ってください。

連絡先を、電話番号だけで始めない

紙の台帳には電話番号しか書かれていないことが多く、そのまま移すと連絡の手段が電話だけになります。

カイロプラクティック院では、連絡先について2つの事情があります。1つは、高齢の来院者が多く、携帯電話を持っていない人がいること。もう1つは、家族が代わりに予約を取っている場合があり、台帳の番号が本人のものとは限らないことです。

移し替えのときに、次の3つを分けて持てるようにしてください。

・本人の連絡先 ・代理で連絡を受ける人の連絡先と、その続柄 ・文字での連絡を受けられるかどうか

3つ目が、前日の連絡や御礼の連絡を出せるかどうかを決めます。全員に文字で送れるわけではないので、送れる人と送れない人を分けておく必要があります。分けていないと、届かない相手に送り続けることになります。

集める作業は、来院したときに1人ずつ聞くのが確実です。「前日にご連絡を差し上げたいのですが、お電話と文字のどちらがよろしいですか」と聞けば、自然に取れます。

紙と電子を両方つける期間を、2週間で切る

移し替えの期間中、多くの院が紙と電子の両方に書きます。これは一時的には必要ですが、長く続けると必ずどちらかが古くなります。

区切りは2週間です。この期間だけ両方に書き、以降は電子だけにする。2週間あれば、通っている人が一巡し、操作にも慣れます。

期間を決めずに始めると、不安が消えないので紙をやめられません。紙をやめない限り、電子にした意味がありません。予約を2か所で管理している状態は、1か所で管理しているより確実に危険です。

切り替える日を先に決めて、カレンダーに書いてください。その日から紙の台帳には書かない。書きたくなったら、電子の画面を開いて確認する。この習慣が付けば、紙は自然に使わなくなります。

通信が使えない日に、どう動くか

手技の施術は、電気が止まっても続けられます。ところが予約表が見られないと、誰が来るのか分かりません。

台風や地震で通信が止まる可能性を考えると、その日の予約表を紙で持っておく運用が要ります。方法は簡単で、前日の閉院時に翌日分を印刷しておくだけです。1日1枚で足ります。

この紙には、名前と時刻とメニューだけを載せてください。連絡先や症状まで印刷すると、持ち歩く紙に個人情報が乗ります。院の外に出さない、その日のうちに処分する、という扱いも合わせて決めておきます。

もう1つ、電話が使えない状況で連絡を取る手段も決めておくと安心です。文字での連絡は、通信が細くても届くことがあります。全員分の連絡先が1か所に集まっていれば、一斉に状況を伝えられます。

長く通っている人に、切り替えをどう伝えるか

紙から移すときにいちばん気を遣うのが、常連の人への伝え方です。

カイロプラクティック院の常連は、何年も通っている人が珍しくありません。院長との関係も長い。その人たちにとって、予約の取り方が変わることは、院との関係が変わることのように感じられます。

伝え方には型があります。

・電話は今までどおり受けること(これを最初に言う) ・ネットからも取れるようになること ・前日に連絡が届くようになること ・変更や取り消しが、電話をかけずにできるようになること

1つ目を最初に言うかどうかで、反応がまったく変わります。「ネットになりました」と言われると、自分は締め出されたと感じる人がいます。「電話も今までどおりです」が先にあれば、単に選択肢が増えただけだと分かります。

伝える時期は、切り替えの2週間前から、来院のたびに1人ずつです。紙を配るより、口頭で一言のほうが伝わります。

紙の台帳は、すぐに捨てない

移し替えが終わっても、紙の台帳は残してください。

理由は、後から確認が必要になる場面があるからです。いつから通っているか、どの時期に間隔が空いたか、といった問い合わせが来ることがあります。また、施術に関する話が後日出てきたときに、来院の記録が必要になる場合もあります。

保存の期間については、施術者の資格によって法令上の扱いが異なります。国家資格に基づく施術録には保存の年限が定められているものがありますが、カイロプラクティックにはそれがありません。だからこそ、院として自分で年限を決める必要があります。

決めるときは、この分野に詳しい専門家に確認してください。そのうえで、鍵のかかる場所に保管し、年限が来たら確実に処分する、という手順を文章にしておきます。紙のまま棚に積んでおくのは、保管ではありません。どこに何年分あるのかを一覧にして、処分する年を書き添えておいてください。院を継いだり閉じたりする場面で、この一覧が効いてきます。

台帳に育った独自の記号を、言葉に直す

紙の台帳を長く使っている院ほど、独自の記号が育っています。名前の頭に丸を付ける、赤ペンで囲む、時刻の横に星を書く。これらは全部、意味を持っています。

問題は、その意味が院長の頭の中にしかないことです。移し替えのときに、記号の意味を言葉にする作業が要ります。

・丸は初回、二重丸は紹介 ・赤は要注意(過去に無断があった、遅刻が多い) ・星は回数券を持っている人 ・線を引いた行は取り消し

こうして書き出してみると、記号の多くは仕組み側の項目として持てることが分かります。初回かどうか、紹介かどうか、回数券の有無は項目になります。

一方で、項目にしにくいものもあります。「この人は話が長いので後ろに余裕を」といった、運用上の感覚です。これはメモ欄に文章で残すしかありません。ただし、身体の状態や人物評にあたる内容をメモ欄に書くときは、誰が見られるのかを踏まえて言葉を選んでください。記号のままなら他人に読まれなかったものが、文章にすると読めてしまいます。

移し替えの作業を、いつやるか

1人で院を回している場合、移し替えの時間をどこから捻出するかが実務上の最大の障害になります。

現実的なのは、休診日に2時間2回です。1回目で枠の設計と先の予約の入力、2回目で通院中の人の情報です。営業日の閉院後にやろうとすると、疲れているうえに時間が読めず、途中で止まります。

作業を分けるときのコツは、1回目で「明日から動く状態」まで持っていくことです。枠の設計と先の予約さえ入っていれば、翌営業日から新しい仕組みで受けられます。人の情報は来院のたびに埋めればよいので、まとめてやる必要はありません。

スタッフがいる院では、入力を分担できます。ただし、枠の設計だけは院長が決めてください。所要時間と余白の取り方は、施術の中身を知らないと決められません。ここを任せると、後で全部やり直しになります。

通院の間隔を、台帳側で持つかどうか

カイロプラクティック院の予約表には、他の業態には無い項目を持てます。前回からどれくらい空いているか、という情報です。

紙の台帳では、これを知るために前のページを遡ります。電子にすれば、前回の来院日が自動で出ます。

さらに一歩進めて、通院計画の段階を持つかどうかを検討してください。急性期で週2回の段階なのか、安定して2週1回になった段階なのか。これが予約表の上で分かると、間隔が空きすぎている人に気づけます。

持ち方には注意が要ります。段階そのものは身体の状態に関わる情報なので、細かく書き込むと施術録に近づきます。予約側に持つなら「週2」「隔週」「月1」といった頻度の区分にとどめ、その理由は施術録側に書く。この線引きをしておくと、両方が肥大しません。

移した直後に起きる、二重予約の型

切り替えの最初の1か月に、ほぼ確実に起きる事故があります。

電話で受けた予約を、紙のメモに書いた。入力しようと思っているうちに次の施術が始まった。そのあいだにネットから同じ枠に予約が入る。当日、2人が同じ時間に来ます。

紙の台帳のときは、電話を受けながらその場で書いていました。書く場所が目の前にあったからです。電子にすると、画面を開いて操作する必要があり、その一手間でメモに逃げます。

防ぐ方法は2つです。1つは、受付の場所に常に画面を開いておくこと。閉じていると開く手間が生まれます。もう1つは、電話で受けた予約を入れるまで、受話器を置かないと決めることです。相手が電話口にいるうちに入れてしまえば、忘れようがありません。

この事故は、起きた相手をほぼ確実に失います。最初の1か月だけは、意識して守ってください。

分院がある場合に、台帳を分けるか1つにするか

院を2つ以上持っている場合、台帳をどう持つかで運用が変わります。

分けて持つと、それぞれの院で完結します。ただし、同じ人が両方に来ることがあると、回数券の残数や通院の履歴が2か所に分かれます。片方で買った回数券をもう片方で使えるのかという問題も出ます。

1つにまとめると、人の情報は共有できます。代わりに、どちらの院の予約なのかを毎回区別する必要が出ます。

判断の基準は、来院者が行き来するかどうかです。行き来しないなら分けたほうが単純です。駅の近くと住宅街に1つずつ持っていて、同じ人が都合で使い分けているなら、まとめたほうが実情に合います。

まとめる場合は、施術者ごとの枠と院ごとの枠を両方扱える必要があります。この要件は仕組みによって対応が分かれるので、移し替えを始める前に確かめてください。後から分けたりまとめたりするのは、最初に決めるより手間がかかります。

切り替えた翌月に、抜けが出ていないかを見る

切り替えが終わったら、次の点を確認します。

・先に入れた予約が、日付と時刻どおりに入っているか ・初回の枠に、再来の予約が入っていないか ・回数券の残数が、本人の認識と合っているか ・前日の連絡が、届いていない人がいないか ・電話で受けた予約が、漏れなく入っているか

5つ目がいちばん起きます。ネットからの予約は自動で入りますが、電話で受けた予約は手で入れます。忙しいときにメモだけ取って後で入れようとすると、そのまま忘れます。電話を受けたその場で入れる、という運用を最初に固めてください。

2つ目も、枠の設計が甘いと起きます。メニューを選ばずに時間だけで予約を入れられる設定にしていると、30分の場所に初回が入ります。当日になって気づいても、後ろの予約は動かせません。1週間ほど、入っている予約の枠の長さを毎朝確認してください。設定の誤りは、この期間にほぼ全部出てきます。

4つ目も見落とされます。前日の連絡は、届く人と届かない人が混ざります。電話番号しか登録されていない人には文字が届きません。連絡が届いていない人の一覧を1度出して、その人たちだけ来院時に確認する。これをやらないと、届いていないことに誰も気づかないまま数か月が過ぎます。

3つ目については、ずれが見つかったときの扱いを先に決めておいてください。本人の言う残数と院の記録が違ったとき、どちらを採るのか。多くの院が本人の言い分を採る形を取っています。金額としては6,000円程度の話であり、そこで揉めて通院が止まるほうが損失は大きいからです。

台帳が数えられるものになると、何が引き出せるか

移し替えが終わると、紙のときには見えなかったものが見えるようになります。

・誰が何回目まで来て、どこで止まったか ・前回の来院からどれくらい空いている人がいるか ・曜日と時間帯ごとの埋まり方 ・回数券を持っているのに来ていない人

4つ目は、声をかける価値のある相手です。前払いしているのに来ていない人は、忘れているか、通う理由を見失っているかのどちらかです。連絡すれば戻ってくることがあります。

2つ目も同じです。3か月来ていない人の一覧を出せると、そこに向けて連絡が出せます。紙の台帳では、この一覧を作ること自体が何時間もかかります。

そして3つ目が、枠の組み方を変える材料になります。埋まらない曜日が分かれば、その日を休診にして別の日に集中させる、という判断ができます。1人で回している院にとって、休みを取れる日を作れることは小さな話ではありません。

仕組みを選ぶ段階で、院の事情に照らして見る7点

仕組みを選ぶ段階で、カイロプラクティック院では次の点を先に見ておいてください。

・メニューごとに枠の長さを変えられるか ・施術と施術のあいだの余白を、自動で確保できるか ・ベッドや施術者ごとに、枠を分けて管理できるか ・回数券の残数を、予約と同じところで持てるか ・連絡先を、本人と代理の人で分けて持てるか ・その日の予約表を、紙で出せるか ・予約を受けた後の連絡まで、同じところから出せるか

最後の項目が、道具が増えるか減るかの分かれ目です。予約だけを電子にして、前日の連絡は別の道具、御礼の連絡はまた別の道具、という形にすると、管理する場所が3つに増えます。紙1冊のほうが楽だった、という結論になりかねません。

決済が必須でない業態に合わせて、予約の受付から次の来店までを一続きにしている形であれば、台帳の置き換えと同時に連絡の仕組みが手に入ります。自費の施術を来院時に受け取る運用を変える必要もありません。

扱える範囲はできることのページに出ています。業態ごとの組み方は業種ごとの使い方に、費用は料金にまとまっています。他の仕組みとの違いを並べたい場合は他社との比較が参考になります。実際の画面を見てから決めたいときはデモを見るから、残る疑問はよくある質問から確かめられます。

紙をやめた院で、何が変わるか

紙の台帳をやめることの効果は、書く手間が減ることではありません。手で入力する場面は残ります。

変わるのは、探す時間が消えることです。3か月先の空きを探すためにページをめくる時間、回数券の残数を確認するために前のページを遡る時間、連絡先を探すために名簿を開く時間。これらが全部消えます。1件あたり1分としても、1日8件8分、月に3時間を超えます。

もう1つ変わるのが、院の外から予約を受けられるようになることです。紙の台帳は、院にいる人しか見られません。院にいない時間、つまり閉院後と休診日に、予約を受ける手段がありませんでした。電子にすると、その時間帯にも予約が入ります。夜に痛みが出て探し始める人は多く、ここは実際に効きます。

そして、記録が数えられるようになります。感覚で「最近少ない気がする」と思っていたものが、数字で確かめられる。減っているのが新規なのか、通っていた人の離脱なのかが分かれば、打つ手が変わります。新規が細っているなら入口の話、離脱が増えているなら通院計画や説明の話です。この2つはまったく別の問題なのに、紙の台帳では区別がつきません。

4つ目に変わるのが、院を続けられる年数です。紙の台帳で回せる規模には上限があり、その上限は院長1人の記憶力と手の速さで決まります。年齢とともに、この上限は下がります。記録が外に出ていれば、上限は仕組みの側に移ります。人を雇う、休みを増やす、いずれ誰かに引き継ぐ、といった選択が現実の選択肢になります。

紙の台帳を移す作業は、院の状態を数えられる形に変える作業であり、同時に、院を院長1人の頭から切り離す作業でもあります。移し替えそのものは4時間ほどの作業です。先の予約を入れるところから始めてください。

Q1. 予約台帳と施術録は、両方まとめて電子にすべきですか?

予約台帳だけを先に移してください。施術録には人体図への手書きが含まれ、そのまま文字にできません。保存の年限も要件も予約の記録とは違います。両方を同時に移そうとして頓挫する院が多く見られます。予約が動くようにしてから、施術録は別の話として進めるのが現実的です。

Q2. 過去の来院履歴は、どこまで移せばよいですか?

ほとんどの院で、移さなくて済みます。実務で必要なのは「前回いつ来たか」だけで、それは通院中の人の情報を入れる作業で揃います。3年分の来院日を入力しても使う場面は限られます。ただし、連絡を取りたい相手がいるなら、その人たちだけ選んで入れる価値はあります。

Q3. 症状を電子で扱うと、個人情報の要件は変わりますか?

扱う情報そのものは紙のときと同じで、病歴は要配慮個人情報にあたります。変わるのは、誰がどこから見られるのかを決めなければならなくなる点です。取得の目的、同意の取り方、閲覧できる範囲、保管の期間を移し替えの機会に整理してください。具体的な要件は所管や専門家に確認するのが確実です。

Q4. 紙と電子を両方つける期間は、どのくらいがよいですか?

2週間で切ってください。この期間があれば通っている人が一巡し、操作にも慣れます。期間を決めずに始めると不安が消えず、紙をやめられません。予約を2か所で管理している状態は、1か所より確実に危険です。切り替える日を先に決めて、その日から紙には書かないと決めるのが確実です。

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