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カイロプラクティック院の回数券とチケットを管理する|残数の数え方と、期限の決め方

2026年9月15日・Rizaflow編集部

カイロプラクティック院で回数券を出そうとすると、たいてい2つの場所で手が止まります。1回をどう数えるのか、そして期限をいつに置くのか。この2つは「なんとなく10回で半年」と決めてしまうことが多いのですが、後から効いてくるのは、その決め方そのものです。残数が数えられなくなる院と、月末に残数の一覧を1枚で見られる院の差は、券を刷った日の設計で八割が決まります。ここでは、公開されている条文と、院の業態に固有の事情だけを材料にして、決める順番を組み立てます。

回数券は割引の道具ではなく、通院計画を先に買ってもらう仕組み

まず位置づけを間違えないでください。美容室のカット券や飲食店のコーヒーチケットは、同じ商品を繰り返し買う人に対する割引です。回数を先にまとめて買ってもらう代わりに、1回あたりを安くする。それだけの構造です。

カイロプラクティック院の回数券は、ここが違います。売っているのは「同じ施術の複数回分」ではなく、「これから数か月かけて通う計画」です。初回に体の状態を見て、この状態なら週2回を4週、そのあと週1回を4週、落ち着いたら2週に1回、という組み立てを説明する。その組み立てに必要な回数を、先にまとめて預かる。これが実態です。

この違いは、券の設計に直接効いてきます。割引の券なら、何回分でも何年でも構いません。使う人が使いたいときに使うだけです。通院計画の券は、計画の期間を超えて残っていると意味を失います。腰が痛かった3か月前の計画で買った券が、1年後に5回残っている。この状態は、券を売った側から見ても、持っている側から見ても、何の役にも立っていません。

だから回数券の設計は、値引き率から入ってはいけません。通院計画の形から入ります。順番はこうです。自分の院で一番よく出る通院の型を1つ選ぶ。その型が何回で終わるかを数える。その回数を券の枚数にする。期間を数えて、それに余裕を足したものを期限にする。最後に、まとめて預かることの見返りとして値引きを乗せる。値引きはいちばん最後です。

よく聞くのは、先に「10回で1回分無料」と決めてしまい、あとから「うちの通院は8回で終わるのに10回券を売っている」と気づく話です。こうなると、2回分が必ず余ります。余った2回は、必要のない来院として消化されるか、期限切れになるかのどちらかです。前者は施術の時間を無駄に使い、後者は苦情の種になります。どちらも、券の枚数を通院の回数に合わせていれば起きません。

値引きの幅にも、業態固有の考え方があります。1回6,000円の施術を10回券で54,000円にすると、1回あたり5,400円で、値引き率は10%です。ここで考えるべきは、その10%が何の対価かということです。まとめ買いの割引ではなく、通院を最後まで続けてもらうための対価だと考えると、幅の決め方が変わります。途中で来なくなる人が多い院ほど、券の効果は大きく、値引きを厚くする理由があります。逆に、券がなくても通い切る人ばかりの院では、値引きは単に売上を減らすだけです。自分の院がどちらかを、券を作る前に数えてください。

「1回」が何を指すのかを、時間で決めるか、施術の中身で決めるか

券に印字する「1回」が何を指すのか。ここを曖昧にしたまま売ると、残数は必ず数えられなくなります。

カイロプラクティック院のメニューは、時間で分かれていることが多い業態です。30分の調整、45分のコース、60分の全身。この3つが並んでいる院で「10回券」を出すと、その日のうちに質問が来ます。60分のコースにも使えるのか、と。

決め方は2つしかありません。時間で縛るか、金額で持つかです。

時間で縛る場合は、券の種類をメニューごとに分けます。30分券、45分券、60分券。それぞれ別の券として売る。残数は券ごとに数えるので、混ざりません。運用は明快ですが、券の種類が増えるぶん、売る側の説明が増えます。3種類の券を店頭に並べると、初めての人は選べません。

金額で持つ場合は、券を回数ではなくチャージした金額として扱います。54,000円を預かり、来院のたびにその日のメニューの金額を引く。60分を受けた日は多く引かれ、30分の日は少なく引かれる。使う側にとっては分かりやすいのですが、これは券というより前払いの残高です。帳簿上の扱いも、後で説明する法令上の扱いも、回数券とは少し変わります。

どちらを選ぶかは、院のメニューが何本あるかで決めてください。メニューが実質1本で、時間の違いが例外的にしか出ない院は、時間で縛るほうが簡単です。メニューが3本以上あり、その日の体の状態で受ける内容が変わる院は、金額で持つほうが破綻しません。

やってはいけないのは、中間です。「10回券は30分コース用ですが、60分のときは2回分で使えます」という運用をよく見かけます。これは一見合理的ですが、残数の数え方が来院ごとに変わるので、券の裏に書いた「残り7回」が何を意味するのか誰にも分からなくなります。受付に別のスタッフが立った日に、必ず食い違います。

物販を券に含めるかどうかも、先に決めてください。インソール、サポーター、枕。院で扱っている物販に券を使えるようにすると、残数の意味がさらに崩れます。券は施術だけ、物販は別会計。この線は最初に引いて、券の券面に書いておいてください。

期限を6か月に置くかどうかで、法令上の扱いが変わる

ここは回数券の設計でいちばん見落とされる部分です。回数券は、法律の上では前払式支払手段として扱われる場合があります。資金決済に関する法律の第3条が定めているもので、商品券やプリペイドカードと同じ枠組みです。院が先にお金を受け取り、あとで施術という役務を提供する。この形は、その定義に当てはまります。

ただし、この法律には適用除外の条文があります。第4条の第2号が、発行の日から政令で定める一定の期間内に限り使用できるものを、この章の規定の対象から外しています。その「一定の期間」が何か月かは、施行令が定めています。

法第四条第二号に規定する政令で定める一定の期間は、六月とする。 出典: laws.e-gov.go.jp

つまり、発行の日から6か月以内に限って使える券は、この章の枠の外に置かれます。期限を6か月にするか、1年にするかは、値引きの話ではなく、この線をまたぐかどうかの話でもあるということです。

この線を知らずに「お客様に親切だから」と期限を1年や無期限にしている院は、実務としてはかなりあります。それ自体が直ちに問題になるわけではありませんが、次の節で説明する残高の管理が必要になる可能性が出てきます。自分の院がどちらの側にいるのかは、把握しておいてください。判断に迷う場合は、所管の窓口や専門家に確認するのが確実です。条文の解釈を院の側で断定するのは避けてください。

実務としての期限の決め方も、あわせて置いておきます。通院計画が3か月で終わる院なら、期限は6か月で十分な余裕があります。計画の期間の2倍を目安にすると、仕事の都合で2週間空いた、出張が入った、といった現実のずれを吸収できます。逆に、計画が6か月かかる慢性期向けの券を6か月の期限で売ると、ほぼ確実に残ります。券の種類ごとに期限を変えることは、まったく問題ありません。

期限をいつから数えるかも、券面に書いてください。購入した日からなのか、最初に使った日からなのか。この2つは1か月以上ずれることがあります。買ったその日に1回受ける人がほとんどなら差は出ませんが、まとめて買って翌週から始める人がいると、必ず揉めます。

未使用の残高が1,000万円を超えると、届出と供託が要る

期限を6か月より長く置いた場合、次に見るのは残高の総額です。同じ法律の第5条が、自家型前払式支払手段だけを発行する者について、基準日の未使用残高が初めて基準額を超えたときに届出を求めています。自家型というのは、自分の店でしか使えないもののことです。院の回数券はこれに当たります。

基準日は法律の第3条第2項が定めていて、毎年331日と930日の年2回です。基準額は施行令の第6条が1,000万円と定めています。さらに法律の第14条第1項は、基準日の未使用残高が基準額を超えるときに、その残高の2分の1以上に相当する額を、最寄りの供託所に供託しなければならないとしています。

1,000万円という数字を見て、うちには関係ないと思った院が多いはずです。実際、1人で回している院で、未使用の券がこの額に届くことはまずありません。1回6,000円の施術で計算すると、未使用の回数が1,600回分たまって初めて超える計算になります。

ただし、これを他人事にできない院もあります。施術者が5人以上いて複数の店舗を持っている、高額な長期プランを主力にしている、期限を設けずに売り続けてきた期間が長い。この3つが重なると、届く可能性が出てきます。特に3つ目が効きます。期限がない券は、売った分がそのまま積み上がり続けるからです。

ここで大事なのは、金額そのものより、残高を把握できているかどうかです。基準日に自分の院の未使用残高がいくらなのかを、その日のうちに出せますか。紙の券だけで運用していると、これは出せません。誰が何枚残しているかを、院の側では数えていないからです。残高が分からないということは、法律の線を越えているかどうかも分からないということです。

だから期限の設計と残高の把握は、セットで考えてください。期限を6か月に絞れば、そもそも残高は積み上がりません。期限を長く取るなら、残高を数えられる形で持つ必要があります。

「骨盤矯正で体型を整える」と書いて売ると、別の法律の枠に入ることがある

もう1つ、カイロプラクティック院に固有の論点があります。特定商取引に関する法律が定める特定継続的役務提供です。

この制度の対象は、政令の別表第四に列挙された役務に限られています。1つ目が、人の皮膚を清潔にし若しくは美化し、体型を整え、又は体重を減ずるための施術を行うこと。いわゆるエステティックです。ほかに美容医療、語学の教授、家庭教師、学習塾、電子計算機またはワードプロセッサーの操作に関する知識または技術の教授、結婚を希望する者への異性の紹介が並びます。合計で7つです。

整体やカイロプラクティックという名称は、この7つの中に出てきません。だから関係ない、と結論を急がないでください。問題は名称ではなく、1つ目の役務の書かれ方です。「体型を整えるための施術を行うこと」という文言が入っています。

院の広告やメニュー表に「骨盤矯正で体型を整えます」「産後の体型を戻します」「痩身コース」と書いて、そのコースを回数券で売っている院は珍しくありません。この場合、提供している役務が1つ目の定義に当てはまる可能性が出てきます。当てはまると、政令が定める期間と金額の要件が関わってきます。同じ別表の第二欄で、この役務の期間は1か月と定められており、金額の要件は施行令の第24条第2項で5万円とされています。期間と金額の両方を超える契約は、この制度の枠に入ります。

枠に入ると何が変わるか。書面の交付義務、中途解約に応じる義務、解約時に請求できる額の上限といった、法律で定められた手当てが必要になります。10回券を売って、3回使ったところで「やめたい」と言われたときに、残り7回分をどう扱うかの結論が、院の規約ではなく法律で決まるということです。

ここで断定は避けます。実際に当てはまるかどうかは、メニューの表現、提供している施術の内容、契約の形によって変わり、個別の判断になります。院の側で「うちは大丈夫」と決めてしまうのは危険です。決済が必須でない業態に合わせて、予約の受付から次の来店までを一続きにしている予約システムを使うかどうかとは別に、体型や痩身を打ち出した長期の券を売っている院は、所管の窓口か専門家に一度確認しておくことを勧めます。

逆に言えば、メニューの表現を「腰の状態に合わせた調整」に寄せ、体型や痩身を前面に出さない院では、この論点は遠くなります。何を売っているかを、券面とメニュー表で正確に書く。それが最初の備えです。

家族への譲渡を断る理由が、この業態にはある

「主人の券が余っているのですが、家族でも使えますか」。この質問は必ず来ます。

美容室のカット券なら、断る理由を探すほうが難しい業態です。誰が来ても、やることはカットです。カイロプラクティック院では事情が違います。施術は、その人の体の状態に合わせて組み立てられているからです。初回に問診を取り、可動域を見て、どこをどう動かすかを決める。その計画に対して売った券を、問診を取っていない別の人が使うことはできません。

だから譲渡は、原則として断ってよい業態です。ただし、断り方には準備が要ります。その場で「できません」とだけ言うと、角が立ちます。券面と規約の両方に、あらかじめ書いておいてください。書き方は難しくありません。この券はお1人の体の状態に合わせた施術に対して発行しているため、他の方はご利用いただけません。この1文で足ります。

例外を作るかどうかも、先に決めてください。同居のご家族に限り、初回の問診を受けたうえで名義を変更できる。こういう運用にしている院もあります。柔軟ですが、名義変更の記録を残す手間が発生します。1人で回している院では、例外を作らないほうが運用は軽くなります。

返金を求められたときの備えも、同じ場所に書いておきます。転居、妊娠、別の医療機関にかかることになった。理由はいくつも出てきます。全額を返さない方針にするなら、その根拠を規約に書いてください。使用済みの回数分を通常価格で計算し、残額から差し引いて返金する。この計算式を先に書いておくと、その場で電卓を叩けます。

なお、消費者契約法には、解除に伴う損害賠償の額を定める条項について、事業者に生ずべき平均的な損害の額を超える部分を無効とする定めがあります。「返金は一切できません」とだけ書いた条項が、そのまま通るとは限らないということです。ここも解釈が絡むので、規約の文面を固めるときは専門家に見てもらってください。

保険が使える施術と、自費の回数券を同じ台帳に混ぜない

柔道整復師や、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師の資格を持つ施術者が併設している院では、もう1つ前提が増えます。同じ建物の中に、保険が使える施術と、使えない自費の施術が並ぶことです。

カイロプラクティックそのものは、保険の対象ではありません。自費です。一方で、柔道整復の施術やはり・きゅうの施術には、条件を満たせば保険が関わる場面があります。この2つが同じ受付、同じ台帳、同じ券の上で混ざると、あとから区別できなくなります。

回数券は自費の施術に対してだけ発行してください。そのうえで、台帳の上でも別の列に置きます。券を使った来院と、保険が関わる来院を、1つの予約の一覧の中で見分けられるようにしておく。この区別は、月末の集計と、万一の照会のときに効いてきます。

受付の手順も揃えてください。券を持っている人が来たとき、その日の施術が自費なのか保険が関わるのかを、施術の前に確認する。ここを施術後の会計まで持ち越すと、券を切るかどうかの判断が、お金を受け取る場面に来てしまいます。混雑した時間帯に、この判断をその場でやることになると、必ずどこかで間違えます。

残数を数える場所を、院の中で1つに決める

ここからは運用の話です。残数がずれる院には、共通した原因が1つあります。数えている場所が2つ以上あることです。

紙の券に押すスタンプ。院内のノートに書いた正の字。予約システムの中の記録。この3つのうち2つ以上を使っている院は、必ずずれます。ずれる理由は単純で、どれか1つを更新し忘れる日が来るからです。忙しい土曜日に、押すのを忘れる。ノートに書き忘れる。そして翌週、持っている人が「まだ5回あるはず」と言い、院のノートには4回と書いてある。

正しいのは1つに決めることです。そのうえで、残りは「写し」として扱います。券に押すスタンプを正として使うなら、システムの記録はあくまで参考にする。システムを正として使うなら、券面のスタンプは本人が確認するための控えにする。どちらが正なのかを、受付に立つ全員が同じように答えられる状態にしてください。

どちらを正にすべきか。券を紛失する人がいる以上、院の側に記録が残る形を正にするほうが安全です。紙の券を落とした人に「残数は分かりません」と言うのは、院の信用を削ります。院の側で残数を持っていれば、本人確認さえできれば再発行できます。

紙をやめるかどうかは、お客様の年齢層で決めてください。紙の券を財布に入れて持ち歩くことに価値を感じる層は確実にいます。その場合は紙を残し、記録は院の側にも二重に持つ。紙を配らず記録だけで運用する場合は、来院時に残数を口頭で伝える手順を必ず入れてください。残りが見えないまま通うのは、持っている側にとって不安です。

予約と残数がつながっていないと、何が起きるか

残数の記録を予約の一覧と別の場所に持っていると、次の3つが起きます。

・券が残っているのに予約が入っていない人を、見つけられない。期限が近づいていることを伝えられないまま、期限を迎える ・予約が入った時点で、その人が券を持っているかどうかが分からない。当日の受付で初めて分かるので、会計の直前まで金額が確定しない ・期限切れが近い人への連絡を、手作業で名簿から探して送ることになる。忙しい月ほど、この作業が後回しになる

3つ目が実務ではいちばん重いはずです。期限切れの苦情は、期限そのものではなく「何も言われなかった」ことに対して出ます。期限の1か月前に一報を入れておけば、大半は起きません。ただしその一報は、残数と期限と予約の有無が同じ場所にないと出せません。

この3つを1つの場所で持てるかどうかが、予約システムを選ぶときの実質的な分かれ目になります。予約を受けるところまでは、どの道具でもできます。受けたあと、次の来院までをどう扱うかで差が出ます。具体的に何ができる道具なのかはできることに整理されているので、券の管理を移す前に見比べてください。院の業態ごとの使い方の違いは業種ごとの使い方にまとまっています。

売る場面を、初回の会計に置かないほうがよい理由

券をいつ勧めるかも、この業態では独特の考え方をします。

初回の会計で回数券を勧めている院は多いはずです。その場で買ってもらえれば、次の来院がほぼ確実になるからです。ただし初回の来院者は、まだ施術を1回しか受けていません。体が楽になったかどうかを判断するには早すぎます。その段階でまとまった金額を提示されると、通う意思があった人でさえ身構えます。強く勧めた結果、2回目に来なくなるという逆の結果も起きます。

現場でよく取られているのは、2回目か3回目の来院で勧める形です。この時期なら、施術を受けた後の体の変化を本人が体感しています。そのうえで、ここから何回くらい通うと落ち着くかという見通しを説明し、その回数に合う券を出す。売り込みではなく計画の提示になるので、断られても関係が崩れません。

言う場面も決めてください。施術台の上ではなく、会計のときです。施術中は体を預けている状態なので、その場で金額の話をされると断りにくくなります。断りにくい場面で売った券は、途中で来なくなる確率が上がります。

スタッフがいる院では、誰が勧めるかも決めておいてください。施術者本人が勧めるのが自然ですが、歩合を付けている院では、券の売上をどう計上するかを先に整理しておく必要があります。券を売った月に全額を計上すると、実際に施術する月とずれます。施術のたびに按分する形にしておくほうが、後から揉めません。

券をやめる、あるいは中身を変えるとき

券は、始めるときより、やめるときのほうが難しい仕組みです。

値上げをするとき、すでに売った券をどう扱うか。原則は、売ったときの条件でそのまま使えるようにすることです。値上げのタイミングで既存の券の価値を下げると、信用を失います。その代わり、いつから新しい価格になるのかを、券を売っている段階から掲示しておいてください。

券そのものをやめるときは、在庫のある券が全部使い切られるまでの期間が必要です。期限を6か月にしている院なら、新規の販売を止めてから6か月待てば、理論上は残りません。期限がない券を売ってきた院は、この出口がありません。やめると決めた日から、何年も残り続けます。これも、期限を設けるべき理由の1つです。

やめる連絡は、残数を持っている人全員に個別に出してください。院内の掲示だけでは届きません。掲示を見るのは、来院した人だけです。来ていない人こそ、残数を持ったまま止まっている人です。

月に1回、残数の一覧を1枚で見る

最後に、月次の作業を1つだけ足してください。残数の棚卸しです。

見るのは4つの数字だけで足ります。

・いま未使用で残っている回数の合計 ・その回数を金額に直した額 ・期限が翌月末までに切れる人の数 ・券を持っているのに60日以上来院がない人の数

1つ目と2つ目は、前の節で説明した法令上の線を自分がまたいでいないかの確認です。3つ目は、今月中に連絡すべき相手の一覧です。4つ目が、実は院の状態をいちばん正確に映します。券を買ったということは、通う意思があったということです。それが60日止まっているなら、通えなくなった理由が何かあります。体調が変わったのか、仕事が変わったのか、それとも施術に納得がいかなかったのか。

この4つの数字を出すのに30分かかるなら、記録の持ち方に無理があります。1人で回している院で、月末に30分の集計作業を足すと、2か月でやらなくなります。券の残数を予約の記録と同じ場所に持っていれば、この4つは画面を開くだけで出ます。

予約の受付から次の来院までを、同じところで持つかどうか

ここまで見てきた論点を並べ直すと、回数券の運用で必要なものは3つに絞られます。残数を院の側で正確に持つこと。期限と予約の有無を同じ画面で見られること。期限が近い人へ自動で連絡が出ること。

この3つのうち、多くの予約の道具が持っているのは2つ目までです。3つ目まで含めて一続きで扱えるかどうかで、月末の作業量が変わります。ほかのサービスとの違いをどこで見るかは他社との比較に整理されています。料金の考え方は料金にあり、券の管理を紙から移すときの費用の見当を付けられます。

導入を決める前に、実際の画面で残数の見え方を確かめることも勧めます。デモを見るから、受付に立ったときにどう見えるかを触って確認できます。手順や条件について細かい疑問が残る場合はよくある質問に目を通してから、必要なところだけ問い合わせるほうが早いはずです。

券の設計で決めるべきことは、この記事で挙げた順に並べれば5つです。通院計画の型を1つ選ぶ。その回数を券の枚数にする。1回が何を指すかを時間か金額で決める。期限を6か月にするかどうかを、法令の線を意識して決める。譲渡と返金の扱いを券面と規約に書く。この5つを紙に書き出してから、値引きの幅を決めてください。順番を逆にすると、あとから直せなくなります。

Q1. カイロプラクティック院の回数券は、何回券にするのが適切ですか?

値引き率から決めず、自院で一番よく出る通院の型が何回で終わるかを数えて、その回数に合わせてください。8回で終わる通院に10回券を売ると、2回が必ず余ります。余った分は不要な来院として消化されるか期限切れになり、どちらも苦情の元になります。券の枚数は通院計画の長さから逆算するのが原則です。

Q2. 回数券の有効期限は6か月と1年のどちらがよいですか?

資金決済に関する法律の施行令は、適用除外となる期間を6月と定めています。6か月以内に限って使える券はこの枠の外に置かれるため、残高の管理義務を負う可能性が下がります。実務としても、通院計画の期間の2倍を目安にすると現実のずれを吸収できます。判断に迷う場合は所管の窓口や専門家に確認してください。

Q3. 家族が余った回数券を使いたいと言ってきた場合、断ってよいのですか?

カイロプラクティックの施術は問診と可動域の確認をもとに個人の体に合わせて組み立てるため、問診を取っていない別の人が使うことはできません。断る根拠はありますが、その場で口頭で断ると角が立ちます。券面と規約の両方に、お1人の体の状態に合わせて発行しているため他の方は利用できない旨を先に書いておいてください。

Q4. 残数が受付とお客様の間でずれてしまいます。どう直せばよいですか?

数えている場所が2つ以上あることが原因です。紙のスタンプ、院内のノート、システムの記録のうちどれを正とするかを1つに決め、残りは控えとして扱ってください。券を紛失する人がいる以上、院の側に記録が残る形を正にするほうが安全です。受付に立つ全員が同じ答えを言える状態にしておくことが前提になります。

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