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カウンセリングルームのキャンセル料をどう決めるか|いつから、いくら、誰を例外にするか
2026年9月16日・Rizaflow編集部

カウンセリングルームのキャンセル料を決めようとすると、ほかの業態の規定をそのまま借りてもうまくいきません。美容室やエステなら「前日50%、当日100%」と書けば済む話が、カウンセリングでは、来られなかった理由そのものが相談の中身と重なっていることがあるからです。この記事では、いつからキャンセル料が発生するか、いくらにするか、誰を例外にするかの3つを順番に決め、カウンセリングルーム特有の迷いどころに答えを置いていきます。規定の文面をどこにどう書くかという伝え方の話は別の記事に分け、ここでは中身を決めることに集中します。
空いた50分は、ほかの相談者に回せない
キャンセル料を考える前提として、カウンセリングルームで枠が空いたときに何が起きるかを確かめておきます。
50分の面接が前日の夜に取り消されたとします。美容室であれば、翌日の空き枠をネットに出せば、当日の午前中に埋まることもあります。カウンセリングではそうはいきません。初めて相談する人は、申し込んでから面接の日まで数日の間を置いて気持ちを整えることが多く、「明日空きが出ました」という連絡に応じられる人はほとんどいません。継続中の相談者も、それぞれ決まった曜日と時刻で通っているので、前日に枠を動かすことは基本的にしません。
つまり、前日以降に取り消された枠は、ほぼ確実にそのまま空きます。1人で運営している相談室で、1日に5枠を持っているなら、1件の取り消しはその日の売上の20%が消えることを意味します。
一方で、キャンセル料を取れば解決する話でもありません。カウンセリングの相談者は、心身の調子が揺れている状態で通っていることが多く、規定が厳しすぎると「休むとお金がかかるから、無理をしてでも行かなければ」と追い詰めてしまいます。規定を決めることは、空いた枠の損失と、相談者にかける負担のあいだで線を引く作業です。
心理療法では、料金と時間の取り決めを面接の枠組みとして扱う
カウンセリングのキャンセル料には、ほかの業態にはない側面があります。心理療法の考え方には、面接の時間、場所、頻度、料金、休むときの扱いといった取り決めを、面接を安全に進めるための枠組みとして扱う立場があります。取り決めが安定していることで、相談者は面接の中で安心して話せる、という考え方です。
この立場から見ると、キャンセル料の規定は、単に売上を守るためのものではなくなります。「この時間はあなたのために確保されている」ということを、料金の形で示すものになります。規定があいまいで、ある回は取り、ある回は取らない、ということが続くと、相談者にとって枠そのものが揺らいで見えます。
もうひとつ、取り消しそのものが面接で扱う話題になることがあります。前の回に重い話をした翌週に休む、終わりが近づくと休みが増える、といったことは珍しくありません。こうした取り消しにキャンセル料をどう当てはめるかは、カウンセラーの臨床的な判断と切り離せません。
だからこそ、規定は事前にはっきり決めておき、個別の事情は規定の中で扱う形にしておくのが扱いやすくなります。その場の気持ちで例外を作り始めると、規定は数か月で形だけのものになります。
起算点は、面接の曜日と時刻から逆算して決める
キャンセル料がいつから発生するかという起算点には、主に次の選択肢があります。
・前日の営業終了時刻まで ・面接の24時間前まで ・面接の48時間前まで ・面接の前々日の営業終了時刻まで
カウンセリングルームで考えたいのは、夜の枠の扱いです。仕事帰りの相談者のために平日19時の枠を設けている場合、「24時間前まで」だと前日の19時が締め切りになります。相談者は前日の仕事中に判断しなければならず、その日の夕方になって体調が崩れたときには、もう無料では取り消せません。
「前日の営業終了時刻まで」とすると、夜の枠の相談者は前日の夜まで判断できます。ただし相談室の側は、翌日の枠が空くことを前日の夜に知ることになり、埋め直す手立てはほとんどありません。どちらにしても埋め直せないのであれば、相談者にとって分かりやすい方を選ぶという考え方が成り立ちます。
週に1回通う継続の相談者にとって、「48時間前まで」は前回の面接から5日目にあたります。調子の波がある人には、判断が早すぎると感じられることがあります。起算点は、枠を埋め直せるかどうかではなく、相談者が無理なく判断できる時点に置くのが、カウンセリングでは実態に合います。
金額は、全額か半額か、段階に分けるかを決める
金額の決め方は、大きく3つです。
・起算点を過ぎたら、面接料の全額 ・起算点を過ぎたら、面接料の半額 ・前日は半額、当日と無断は全額のように、段階に分ける
仮に面接料が1万円だとすると、全額なら取り消し1回で1万円、半額なら5,000円です。
キャンセル料の金額には、法律上の考え方があります。消費者と事業者の契約で、解除に伴う違約金を定める条項について、消費者契約法は次のように定めています。
当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、当該条項において設定された解除の事由、時期等の区分に応じ、当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるもの 出典: laws.e-gov.go.jp
この条項に当たる部分は無効とされています。取り消しの時期によって、相談室に生じる損害がどのくらいかを説明できる金額にしておくことが大切です。前日以降の枠がほぼ埋まらないという事情は、その説明の材料になりえます。ただし、自分の規定がこの考え方に照らして妥当かどうかの判断は、個別の事情によって変わります。金額を決めたら、消費生活の相談窓口や弁護士に確認しておくと安心です。
初回の面接には、キャンセル料を当てはめない相談室が多い
初回の面接をキャンセル料の対象にするかどうかは、多くのカウンセリングルームが迷うところです。
初回の前の段階では、相談者はまだ相談室の説明を直接受けていません。申し込みのときにキャンセル料の規定に同意していたとしても、切迫した気持ちで申し込み画面を進んでいた人が、規定をどこまで読んでいたかは分かりません。初回を取り消した人に後から請求の連絡を送ると、相談しようとした気持ちそのものを折ることになりかねません。
また、初回の直前の取り消しは、相談に向き合う怖さから起きることがよくあります。そこで請求の連絡が届けば、その人が別の機会に相談しようと思ったときにも、この相談室には戻ってこないでしょう。
こうした理由から、初回はキャンセル料の対象外とし、代わりに次のような扱いを決めておく相談室があります。
・初回を無断で欠席した場合は、次の申し込みは電話で受け、日程を相談して決める ・初回を2回続けて取り消した場合は、しばらく間を置いてから申し込んでもらう
初回をキャンセル料の対象にしないなら、その分、初回の枠を無理に詰め込みすぎない運営が必要です。初回の枠は週に何枠までと上限を決めておくと、取り消しがあっても1週間の収入が大きく崩れずに済みます。
固定枠の継続相談者は、枠を保つ条件も一緒に決める
継続の相談者の多くは、「毎週火曜の19時」のような固定枠で通っています。この固定枠は、相談者にとっても相談室にとっても価値のあるものです。相談者は生活の中に面接の時間を組み込めますし、相談室は先の予定を読みやすくなります。
固定枠の相談者がキャンセルした場合に考えるべきなのは、キャンセル料だけではありません。取り消しが続いたとき、その枠を保ち続けるのか、手放してもらうのかも決めておく必要があります。
固定枠を持っているということは、ほかの人をその時間に入れられないということです。取り消しが月に何度も続けば、相談室はその枠に新しい相談者を入れる機会を失い続けます。一方で、調子が崩れて休みが続いている時期に枠を失うと、相談者は戻る場所をなくします。
扱いの一例として、次のような決め方があります。
・キャンセル料は、ほかの相談者と同じ規定を当てはめる ・1か月に3回以上取り消しが続いた場合は、面接の中で頻度を見直す話をする ・4週続けて来られなかった場合は、固定枠をいったん解き、再開のときに改めて枠を相談する
枠を解くことを罰として伝えるのではなく、今の状態に合った通い方を一緒に探す話として扱います。
体調不良の免除を、どこまでの範囲にするか
キャンセル料の規定で最も揉めやすいのが、体調不良による取り消しの扱いです。カウンセリングでは、この線引きが特に難しくなります。
発熱や感染症であれば、判断はそれほど難しくありません。人にうつす可能性があるので、来ないでもらう方が相談室にとってもありがたく、免除にする相談室が多いでしょう。
難しいのは、気分の落ち込みで起き上がれない、外に出るのがつらい、という理由での取り消しです。相談者にとっては紛れもない体調不良です。一方で、カウンセリングに通う人の相当数がこうした状態を抱えているので、これを一律に免除すると、規定はほとんど機能しなくなります。
扱い方としては、次のような考え方があります。
・免除する体調不良を、発熱や感染症など、来室することで他の人に影響があるものに限る ・理由を問わず、1か月に1回までは当日の取り消しでもキャンセル料を取らない ・来室はできないが話すことはできる場合は、オンラインや電話の面接に切り替えられるようにする
2つ目の「月1回まで」という形は、理由を相談者に説明させずに済むという利点があります。気分の落ち込みを説明すること自体が負担になる人にとって、理由を聞かれない免除枠は大きな助けになります。
入院や家族の急変、災害は、規定の外で扱う
体調不良の線引きとは別に、キャンセル料を当てはめないことを最初から決めておくべき事情があります。
・相談者本人の入院や、医療機関での緊急の受診 ・家族の急な病気、事故、死去 ・地震や台風などの災害、それに伴う交通機関の運休 ・相談室の側からの中止や、カウンセラーの急な体調不良
入院については、特に配慮が必要です。相談者が危機的な状態にあって入院に至った場合、その取り消しに請求の連絡を送ることは、相談室として取るべき対応ではありません。医療機関と連携して相談を受けている場合は、医療機関からの連絡で状況を知ることもあります。
交通機関の運休については、どこまでを免除にするかを具体的に決めておきます。「電車が遅れた」は免除にならないが「運休で来られない」は免除にする、というように線を引いておくと、判断に迷いません。台風の接近が前日から分かっている場合は、相談室の側から前日のうちに面接をオンラインに切り替えるか延期するかを提案する、という運用も考えられます。
これらの免除を規定に書いておくことで、相談者は「こういう場合は払わなくてよい」と分かり、安心して通えます。
企業や紹介元が費用を払う相談は、請求先を先に確かめる
カウンセリングルームには、相談者本人が料金を払う相談のほかに、企業が社員のために費用を負担する相談や、医療機関や学校などの紹介元と契約して受ける相談があります。こうした相談では、キャンセル料の扱いがさらに複雑になります。
まず確かめるべきなのは、キャンセル料を誰に請求するかです。企業との契約で「実施した面接の回数に応じて請求する」となっているなら、取り消された面接は請求の対象になりません。「予約された枠に応じて請求する」となっていれば、企業に請求することになります。いずれにしても、相談者本人に請求するのは契約の趣旨と違うことが多いでしょう。
企業に取り消しの分を請求する場合、請求書の明細に取り消しの記録が載ることになります。企業の担当者に、誰がいつ面接を休んだかが伝わる形は、相談者の秘密に関わります。明細には件数だけを載せる、個人が特定できる情報を出さない、といった形を契約の時点で決めておきます。
紹介元がある場合も同じで、紹介元との取り決めを先に確認し、相談者本人とのキャンセル料の規定がそれと食い違わないようにしておきます。
子どもの相談と、夫婦や家族の面接で起きること
子どもや思春期の相談では、予約を取るのも料金を払うのも保護者であることがほとんどです。キャンセル料の規定への同意も、請求の相手も保護者になります。
子どもの相談で起きやすいのは、当日になって子どもが家を出られない、という取り消しです。登校しぶりを抱えている子どもであれば、相談室に来ることも同じように難しい日があります。この場合、保護者だけが来室して面接を行う、という形に切り替えられるようにしておくと、枠を無駄にせず、保護者の相談にも応じられます。
夫婦や家族の面接では、片方だけが来た場合の扱いを決めておく必要があります。
・来た人だけで面接を行い、通常の料金を受け取る ・合同面接の性質上、片方だけでは実施せず、キャンセルとして扱う ・来た人と短い時間だけ話し、料金は半分にする
どれが適切かは、面接の方針によって変わります。合同の面接では、片方とだけ話すことが、もう片方との関係に影響を与えることがあります。このため、片方だけでは実施しないと決めている相談室もあります。どちらを選ぶにしても、最初の面接の時点で2人に説明し、同意を得ておくことが欠かせません。
遅刻は面接を延ばさず、残りの時間で行うと決めておく
キャンセル料の規定を決めるとき、あわせて決めておきたいのが遅刻の扱いです。カウンセリングの面接は、終わる時刻が決まっていることに意味があります。50分の面接に20分遅れて来た相談者に、そのまま50分の面接を行うと、次の相談者の開始が遅れ、その日の残りの面接がすべて押していきます。
多くの相談室が採っているのは、遅刻しても終了時刻は変えず、残りの時間で面接を行い、料金は通常どおり受け取る、という扱いです。これは、枠がその相談者のために確保されていたことを示す点で、キャンセル料と同じ考え方に立っています。
迷うのは、遅刻がどこまで長くなったら面接を行わないか、という線です。残り時間が15分を切ると、話を始めて深まる前に終わりの時刻が来てしまい、相談者にとってかえってつらい時間になることがあります。このため、開始から一定の時間を過ぎて連絡もない場合は、その回は実施せず、無断のキャンセルとして扱う、と決めている相談室もあります。
遅刻を繰り返す相談者に対しては、キャンセルと同じく、それ自体を面接の中で扱う話題として取り上げることがあります。受付の規定としては、遅刻の扱いを淡々と当てはめ、その意味を考えるのは面接の中に任せる、という役割の分け方をしておくと、規定と臨床の判断がぶつかりません。
相談室の側から休むときの扱いを、規定の中に書いておく
キャンセル料の規定は、相談者の側の取り消しだけを定めたものになりがちです。しかし、カウンセラーの急な体調不良、家族の事情、研修や学会への参加など、相談室の側から面接を休むことも起きます。この場合の扱いを書いていないと、相談者から見て規定が片方にだけ厳しいものに見えます。
書いておきたいのは、次のような点です。
・相談室の側から休む場合は、キャンセル料に相当するものは発生しない ・研修や学会など事前に分かっている休みは、1か月前までに伝える ・急な休みの場合は、代わりの日時をこちらから提案する ・長期の休みになる場合は、ほかの相談機関の情報を伝える
最後の点は、カウンセリングルームならではの配慮です。1人で運営している相談室で、カウンセラーが入院などで数週間休む場合、継続の相談者は相談先を失います。危機的な状態にある相談者がいる場合、その間に頼れる先を知らせておくことは、相談室としての責任に関わります。
相談室の側からの休みを規定に書いておくことで、相談者は「お互いに時間を守る取り決めなのだ」と受け取りやすくなります。キャンセル料の規定への納得も、この一文があるかどうかで変わります。
オンライン面接への切り替えを、キャンセル料の手前に置く
来室できないけれど話すことはできる、という状況は、カウンセリングでは頻繁に起きます。雨で外に出る気力がない、子どもが熱を出して家を離れられない、遠方に出張している、といった場合です。
こうした場合に、キャンセル料を取るか免除するかの二択にせず、オンラインや電話での面接に切り替える選択肢を用意しておくと、相談者も相談室も損をしません。
ただし、切り替えにはいくつか決めておくことがあります。
・切り替えを受け付ける締め切りは、面接の何時間前までか ・オンライン面接の料金は来室と同じか ・相談者が話しやすい場所を確保できているか ・通信が途切れた場合に、残りの時間をどう扱うか
特に3つ目は大切です。家族のいる自宅から話す場合、話の内容を家族に聞かれる心配があると、面接として成り立ちません。切り替えの連絡を受けたときに、一人で話せる場所があるかを確認し、ない場合は延期を選ぶ、という手順にしておきます。
オンラインへの切り替えを受けるには、来室の枠とオンラインの枠を同じ予約表の中で扱い、面接の形式だけを変えられるようにしておくと、手間が増えません。
何回分かを先に払っている相談者の扱い
5回分や10回分の面接料をまとめて前払いしてもらう形をとっている相談室では、キャンセル料をどう当てはめるかを別に決めておく必要があります。
扱い方は大きく2つです。1つは、起算点を過ぎた取り消しを「1回分を消化した」として回数から引く形です。もう1つは、回数には手を付けず、キャンセル料だけを別に受け取る形です。
回数から引く形は、お金のやり取りが発生しないので、請求の連絡を送らずに済みます。一方で、半額のキャンセル料を定めている場合、回数を半分だけ引くことはできないので、規定と実際の扱いがずれます。前払いの相談者だけ当日の取り消しで1回分がまるごと消えるとすると、都度払いの相談者より重い扱いになります。
こうしたずれを避けるには、前払いの相談者向けに、「前日18時以降の取り消しは1回分を消化、ただし月1回までは消化しない」のように、回数を単位にした規定を別に書いておくのが分かりやすい形です。
前払いの回数に有効期限を設けている場合は、取り消しが続いて期限内に使い切れなくなる相談者も出てきます。期限の延長を認めるかどうかも、体調による取り消しの扱いとあわせて決めておきます。
請求の方法と、終結した人への扱い
キャンセル料を決めても、実際に受け取る方法が決まっていなければ、請求は後回しになり、やがて取らないのと同じになります。
カウンセリングルームでよく使われる受け取り方は、次のようなものです。
・次の面接のときに、面接料と一緒に受け取る ・振込先を案内して、期限までに振り込んでもらう ・事前に登録してもらったカードから引き落とす
継続の相談者であれば、次の面接のときに一緒に受け取るのが最も自然です。わざわざ請求の連絡を送らずに済み、面接の場で規定について話すこともできます。
問題になるのは、取り消しのあとに面接が終わってしまう場合です。取り消しを最後に連絡が途絶えた人、取り消しと同時に「これで終わりにします」と伝えてきた人に、キャンセル料を請求するかどうかを決めておきます。
終結の意思を伝えてきた人に対しては、最後の取り消しについては請求しない、と決めている相談室もあります。規定の上では請求できる場合でも、関係の終わり方を大切にするための判断です。どちらを選ぶにしても、ばらばらに判断せず、方針として決めておくことが大切です。
キャンセル料を取らないと決めるなら、条件を決めておく
ここまで読んで、自分の相談室ではキャンセル料を取らないと決める人もいるでしょう。規模の小さい相談室や、公的な色合いの強い相談機関では、取らない方針も十分に成り立ちます。
ただし、取らないと決める場合にも、次のことは決めておく必要があります。
・取り消しの連絡は、面接の何時間前までにもらいたいか ・無断で欠席した場合、次の予約をどう扱うか ・取り消しが続いた場合に、面接の頻度を見直す話をするか
キャンセル料がないと、取り消しの連絡をする理由が相談者の側から薄れます。「お金がかからないから、連絡しなくても同じ」と感じる人も出てきます。取らない方針をとるなら、その分、取り消しの連絡をしやすい手段を用意し、「連絡をもらえると、その時間を別の方に使えます」と理由を伝えることで、連絡の習慣を支えます。
取らない方針を決めたあとで、取り消しが目立って増えた場合は、規定を導入する判断をすることになります。そのときのために、取らない期間中も取り消しの件数は記録しておきます。
規定を決めた後、1年に1回数字で見直す
キャンセル料の規定は、一度決めたら終わりではありません。1年に1回、次の数字を確かめて見直します。
・起算点を過ぎてからの取り消しの件数 ・そのうち、キャンセル料を受け取った件数 ・免除にした件数と、その理由の内訳 ・規定について相談者から質問や不満が出た件数
免除にした件数が、受け取った件数を大きく上回っているなら、免除の範囲が広すぎるか、規定が実態に合っていない可能性があります。反対に、規定への不満が何件も出ているなら、起算点が早すぎるか、金額が重すぎるのかもしれません。
見るときは、件数そのものより、前の年との差に注目します。1人で運営している相談室なら、面接は月に60件から80件程度という規模も多く、取り消しの件数は月ごとに大きく揺れるので、1年分をまとめて比べます。起算点を過ぎた取り消しが前の年より目立って増えている場合は、キャンセル料を重くするより先に、予約の受け方や前日の連絡の送り方を見直すほうが効果が出ることもあります。
こうした数字を集めるには、取り消しの時刻と理由、免除したかどうかを、予約ごとに記録しておく必要があります。
決めた規定を、予約の受付の流れに組み込む
規定の中身が決まったら、それを予約の受付の流れの中に置きます。起算点を過ぎたかどうかを毎回手で確かめる運用は、面接の合間に行うには負担が大きく、判断のばらつきも出ます。
予約の受付ツールの中には、取り消しの時刻を自動で記録し、起算点を過ぎた取り消しかどうかを一目で分かるようにできるものがあります。前日の連絡の中で、取り消しの締め切りを相談者に知らせることもできます。支払いを予約の時点で受ける形をとらない相談室であれば、決済が必須でない業態に合わせて、予約の受付から次の来店までを一続きにしている予約システムのほうが、面接の場で料金を受け取る運用と噛み合います。
どういう機能で取り消しの記録や前日の連絡を扱っているかは、できることにまとまっています。カウンセリングルームを含む業種ごとの使い方は業種ごとの使い方で、実際の予約画面の動きはデモを見るで確かめられます。いまの道具と並べて比べたい場合は他社との比較、費用の目安は料金、導入前によく出る疑問はよくある質問を参照してください。
規定は、相談者が安心して通うための枠組みです。決めた中身を、予約を受けるたびに同じ形で当てはめられる状態にしておくことが、枠組みを守ることにつながります。
Q1. カウンセリングルームのキャンセル料は、面接料の何割にするのが一般的ですか?
前日は半額、当日と無断は全額のように段階を分ける形や、起算点以降は一律で全額とする形がよく見られます。消費者契約法では、解除の時期に応じた平均的な損害を超える部分は無効とされているため、枠が埋め直せない事情など、金額の根拠を説明できるようにしておくことが大切です。個別の妥当性は専門家に確認してください。
Q2. 気分の落ち込みで来られなかった場合も、キャンセル料を取るべきですか?
一律に免除すると規定が機能しにくくなる一方、厳しすぎると相談者を追い詰めます。理由を問わず月1回までは当日の取り消しも免除する、来室が難しくても話せる場合はオンラインに切り替えられるようにする、といった形にすると、理由の説明を求めずに負担を和らげられます。方針を事前に決め、例外を場当たりで作らないことが大切です。
Q3. 初回の面接をキャンセルした人にも請求してよいですか?
規定上は可能でも、初回は対象外とする相談室が多くあります。初回前は説明を直接受けておらず、直前の取り消しは相談への怖さから起きることもあるためです。対象外にする代わりに、無断欠席のあとは電話で日程を相談する、2回続けて取り消した場合は間を置いてもらうなど、別の扱いを決めておくと運営が崩れません。
Q4. 企業が費用を負担するカウンセリングで、キャンセルが出たら誰に請求しますか?
企業との契約内容によります。実施回数に応じた請求なら取り消し分は対象外、予約枠に応じた請求なら企業に請求するのが一般的で、相談者本人に請求するのは契約の趣旨と合わないことが多いです。請求書に誰がいつ休んだかが載ると秘密に関わるため、明細には件数だけを載せるなど、契約の時点で扱いを決めておいてください。