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動物病院で電話予約を減らす|施術中に鳴らさないための組み方

2026年9月16日・Rizaflow編集部

動物病院の予約を電話で受けていると、手術室の外で呼び出し音が鳴り、保定をしていた看護の担当が手を離せずに受付の人が走る、という場面が1日に何度も起きます。病院名で検索して電話をかけてくる飼い主にとっては1本の電話でも、院の中では誰かの作業を止める1回です。この記事では、電話を全部なくすのではなく、残す電話と外す電話を分けて、施術中に鳴らさない組み方を決めていきます。

動物病院の電話は、鳴った瞬間に誰かの手を止めている

美容室や整体院でも、施術中の電話は困りものです。ただ、動物病院の場合は止まる作業の性質が違います。

採血をしている最中の看護の担当は、動物を保定している腕を離せません。猫の爪切りでようやく落ち着いたところで手を離せば、最初からやり直しになります。麻酔をかけた子のモニターを見ている人は、その場を離れること自体ができません。受付に1人しかいない時間帯なら、会計の途中で電話を取り、目の前の飼い主を待たせることになります。

もう1つ、動物病院に固有の事情があります。呼び出し音そのものが、診察室の動物を驚かせることです。特に猫や小型の草食動物は音に敏感で、診察台の上で固まっていた子が、電話の音をきっかけに暴れ出すことがあります。受話器を取るまでの数回の呼び出し音でも、診察の段取りは崩れます。

このため、動物病院で電話を減らす目的は、受付の人の負担を軽くすることだけではありません。処置の安全と、動物の緊張を増やさないことに直接つながっています。目的をこう置くと、「何本減らすか」より「どの時間帯に鳴らさないか」のほうが大事だと分かります。午前の診療で30本鳴っていた電話が25本に減っても、それが全部手術の時間に集中していれば、状況はよくなっていません。

鳴らしてはいけない時間帯を、院の1日の中に書き出す

最初にやるのは、院の1日を時間の帯に区切り、電話が鳴ると困る帯に印を付けることです。

多くの動物病院は、午前の診療、昼の手術と処置の時間、午後の診療という3つの帯で動いています。この中で電話が最も邪魔になるのは、昼の手術の時間です。受付を閉めていても、院内には麻酔の管理と術後の看護で手がふさがったスタッフしか残っていないことが多く、電話を取れる人がいません。

ただし、帯ごとに一律に考えるのは粗すぎます。午前の診療の中にも、鳴ると困る時間があります。

・診療開始の直後。予約の来院と、朝一番の急患が重なり、受付が最も混む ・入院している子の朝の処置と、預かりのお迎えが重なる時間 ・診療終了の直前。会計が集中し、翌日の手術の最終確認の電話も院からかける

書き出す作業は、受付の人と看護の担当に10分ずつ聞けば済みます。「電話が鳴って一番困るのは何時ごろか」と聞くと、答えは人によって違います。受付の人は会計の混む時間を挙げ、看護の担当は処置の時間を挙げます。その両方を1枚の時間割に重ねたものが、電話を鳴らしたくない時間の地図になります。

この地図ができると、後の手順で「この帯は留守番電話にする」「この帯はネットの受付に誘導する」という判断が、時間帯ごとに下せるようになります。

手を止めた記録を、1週間とる

電話を減らす工夫を始める前に、いま鳴っている電話が何を止めているかを記録します。電話の用件を数えるやり方はよく知られていますが、動物病院では「取った人が何を中断したか」も一緒に書くと、優先して外すべき電話がはっきりします。

記録の用紙は、受付の電話の横に置く1枚で足ります。書く欄は4つです。

・時刻 ・用件の区分。予約、予約の変更、薬やフードの受け取り、検査結果、料金、ホテルやトリミング、症状の相談、急変、営業、その他 ・取った人 ・中断した作業。会計、保定、処置の補助、手術の補助、なし

1週間分をまとめると、傾向が見えてきます。よく出てくるのは、薬やフードの受け取りの電話が思った以上に多く、しかもそれが処置の補助を止めているという結果です。予約の電話は件数としては多くても、受付の人が取っていて、処置は止めていないということもあります。

こうして、件数が多い電話と、止めている作業が重い電話を分けて並べます。外す順番は、止めている作業が重いものから決めます。件数だけを見て予約の電話から手を付けると、受付の負担は減っても、手術の時間の呼び出し音は減らないままになります。

記録は、なるべく普段の週に取ります。狂犬病の予防注射が集中する時期や、年末のホテルの時期に取ると、その時期だけの電話が混ざり、1年を通した手の打ち方を誤ります。

急変の電話だけは、減らす対象から外す

電話を減らす話をすると、「全部ネットの受付にすればよい」という意見が出ます。動物病院では、この考え方に乗ってはいけない理由があります。獣医師法は、診療を業とする獣医師について次のように定めています。

診療を業務とする獣医師は、診療を求められたときは、正当な理由がなければ、これを拒んではならない。 出典: laws.e-gov.go.jp

どのような場合に正当な理由があるといえるかの解釈は、ここでは立ち入りません。判断に迷うときは所管の窓口や専門家に確かめてください。ただ、少なくとも、飼い主が診療を求めて連絡してくる手段を院の側からすべて塞いでしまう運用は、この条文の趣旨と合いにくいといえます。

実務の上でも、急変の連絡は電話が最も早く届きます。誤食、けいれん、出血、呼吸が苦しそう、急にぐったりした。こうした連絡をネットの受付やメッセージで受けると、院の誰かが画面を見るまで気づかれません。

そこで、電話を減らす設計は「急変の電話がつながりやすくなる」ことを目標の1つに入れます。予約や受け取りの電話が回線を埋めているせいで、急変の電話が話し中になる。この状態をなくすことが、ほかの電話を外す理由にもなります。

回線が1本しかない院では、話し中の時間を減らすだけで、急変の電話がつながる確率が上がります。回線が2本ある院では、1本を急変と診療中の問い合わせ専用にし、もう1本を予約や一般の問い合わせ用に分ける方法もあります。番号を分ける場合は、急変用の番号を診察券の裏と院のサイトの一番上に載せます。

受付が電話口で判断しないための、聞き取りの型

急変の電話を残すと、次に困るのが、受付の人が電話口で「すぐ来てもらうべきか」を判断しなければならない場面です。受付の人は獣医師ではありません。電話で様子を聞いて「たぶん大丈夫です」と答えてしまうと、後で悪化したときに院として責任を問われかねません。

また、獣医師法は、獣医師が自ら診察しないで診断書を出したり、特定の医薬品を処方したりすることを禁じています。電話で症状を聞いて「この薬を飲ませてください」と伝えるのは、獣医師であっても慎重さが求められる行為で、受付の人が行うことではありません。

このため、電話口では判断をせず、聞き取りの型に沿って情報を集め、決まった行き先に振り分けるだけにします。

・呼吸が苦しそう、意識がない、出血が止まらない、けいれんしている、明らかに異物を飲み込んだ。この5つのどれかに当たれば、すぐ来院してもらい、獣医師に来院を伝える ・当たらない場合は、動物の名前、診察券の番号、いつからどんな様子か、食事と排泄の状態を聞き取り、獣医師に紙で渡す ・獣医師が確認した上で、来院の要否を院から折り返して伝える

この型を紙1枚にまとめて電話の横に貼っておくと、経験の浅いスタッフでも同じ対応ができます。電話1本にかかる時間も、飼い主の話を順に聞いていくより短くなり、平均で3分ほどかかっていた相談の電話が1分台で終わる形に近づきます。

手術の時間帯は、留守番電話の文言で受ける

昼の手術と処置の時間は、電話を取れる人がいないという前提で組みます。取れない電話を鳴らし続けるより、留守番電話に切り替えて、その文言で飼い主を行き先に振り分けるほうが、院にとっても飼い主にとってもよい結果になります。

留守番電話の文言に入れるのは、次の順番です。

・いまは手術と処置の時間で、電話に出られないこと。午後の受付が何時に始まるか ・急を要する症状の場合の連絡方法。院内で対応できる体制なら、急変用の番号。できないなら、近隣の夜間や休日の救急を受ける病院の案内 ・予約や変更は、ネットの受付からできること ・薬やフードの受け取りの注文も、ネットから入れられること

文言は40秒以内に収めます。長くなると、飼い主は最後まで聞かずに切ってかけ直し、同じ案内を何度も聞くことになります。急を要する場合の案内は、必ず2番目までに入れます。最後に置くと、焦っている飼い主には届きません。

留守番電話に伝言を残してもらう形にする場合は、誰がいつ聞くかを決めておきます。午後の受付の開始前に、受付の人が伝言を全部聞き、用件ごとに振り分けてから電話を受け始める。この15分を午後の段取りに組み込んでおかないと、伝言は聞かれないまま夕方まで残ります。

薬とフードの受け取りを、電話から外す

記録を取ってみて、処置を止めている電話の上位に来やすいのが、薬と療法食の受け取りの連絡です。「いつもの薬を取りに行きたい」「フードの在庫はありますか」という電話で、慢性の病気の子を持つ飼い主から定期的にかかってきます。

この電話は、受けた後の手間も大きいのが特徴です。受付の人がカルテを開いて前回の処方を確かめ、獣医師に処方の継続を確認し、薬を用意し、飼い主に準備ができたことを連絡する。電話を取った時点で、少なくとも3人の手が順に動きます。

電話から外すには、注文を受ける入口を別に作ります。

・動物の名前、診察券の番号、ほしい薬やフードの名前、受け取りに来る希望日を入れてもらう ・受け取りの日は、注文の翌日以降から選べるようにする。当日の受け取りを認めると、結局電話で急かされる ・獣医師の確認が要る薬は、確認が済んだ時点で院から準備完了を知らせる

療法食は、在庫の数を院のほうで持っていることが多いので、注文を受けた時点で取り寄せが要るかどうかが分かります。取り寄せになる場合の目安の日数を、注文の入口に書いておくと、「いつ届きますか」の電話が減ります。

慢性の病気の子の飼い主は、院に対して最も長く通う相手です。電話で済ませていた用件を別の入口に移すときは、会計のときに1枚の案内を渡し、次回の受け取りから試してもらう形にします。一斉に切り替えを告知するより、1人ずつ手渡しで伝えるほうが定着します。

検査結果の問い合わせは、院のほうから時間を指定する

血液検査を外部の検査機関に出している院では、結果が出るまでに数日かかります。この間に、「結果はまだですか」という電話が入ります。結果が届いていても、獣医師が目を通していなければ伝えられないので、受付の人は「確認して折り返します」と答えるしかありません。1件の検査に対して、問い合わせと折り返しで電話が2往復することもあります。

この電話は、結果が出る日と、説明を受ける方法を、検査をした日に決めてしまえば大部分がなくなります。

・検査をした日の会計のときに、結果が届く予定日を紙に書いて渡す ・結果の説明は、来院して聞くか、院から電話で伝えるかを選んでもらう ・電話で伝える場合は、院から電話をかける時間の帯を決めておく。たとえば午後の診療開始前の30分

院から電話をかける時間を決めておくと、飼い主はその時間に電話に出られるように準備できます。院の側も、結果の説明の電話をまとめてかけられるので、診療の合間に1本ずつかける必要がなくなります。

結果に異常があり、すぐに来院してもらう必要がある場合は、この時間帯を待たずに獣医師の判断で連絡します。決めた時間帯はあくまで通常の説明のためのものだと、院のスタッフの間で共有しておきます。

料金の問い合わせは、幅を先に見せておく

「ワクチンはいくらですか」「去勢手術はいくらかかりますか」という電話も、件数としては少なくありません。この電話は、初めて来る飼い主からかかってくることが多く、院を選ぶ材料として聞かれています。

動物病院の料金は、動物の種類、体重、検査の有無によって変わるので、電話で一言では答えにくい性質を持っています。答えにくい質問に電話で答えようとすると、1本の時間が長くなり、「結局いくらなのか分からなかった」という印象も残ります。

院のサイトに、よく聞かれる料金を幅で載せておくと、この電話の多くは起きなくなります。

・混合ワクチンは種類ごとに、税込の目安の幅で書く ・去勢と避妊の手術は、犬と猫に分け、体重の区分ごとの目安の幅で書く。術前の検査と入院の有無で変わることを添える ・初診料と再診料

幅で書くことに抵抗を感じる院もありますが、幅を示すことは料金を約束することではありません。「体重と検査の内容によって変わります」と書き添え、正確な金額は診察の上で伝える形にします。載せる金額は、改定したときに更新する担当を決め、いつ時点の料金かを必ず書いておきます。

電話で料金を聞かれたときも、「サイトの料金のページに目安を載せています」と伝えられるようになり、受付の人が1件ずつ計算する手間が減ります。

予約の変更を電話以外で受ける入口を、会計の時点で渡す

予約の変更と取り消しの電話は、件数が多いわりに、1本ごとの中身は単純です。日時をずらしたい、行けなくなった。この電話を減らすには、変更の入口を飼い主の手元に置いておくことです。

入口を渡すのに最もよい時点は、次回の予約を取った会計のときです。予約の控えを渡すときに、「変更はここからできます」と一言添え、控えに変更の入口を載せておきます。予約をしたその瞬間に入口を知っているかどうかで、変更のときに電話を選ぶか画面を選ぶかが変わります。

動物病院で注意したいのは、画面から変更できる予約の種類を限ることです。

・ワクチン、再診、健康診断は、画面から変更と取り消しができる ・手術と麻酔を伴う処置は、画面からは取り消しの申し出だけを受け、日程の再調整は院から連絡する ・前日の夜から絶食を指示している予約は、前日の何時以降は電話で連絡してもらうと決めておく

手術の予約を画面だけで動かせるようにすると、術前検査の予定や手術室の割り当てとの整合が崩れます。ここは電話を残すというより、院の側から連絡を取りに行く形にしておくほうが、結果として飼い主が電話をかける必要がなくなります。

春の予防の時期は、「予約は要りますか」の電話を先に止める

動物病院の電話は、1年の中で春に大きく膨らみます。犬の狂犬病の予防注射と、フィラリア症の予防薬を始める時期が重なるからです。この時期に増える電話の中身は、ほぼ決まっています。

・狂犬病の注射だけ受けたいが、予約は必要か ・フィラリアの血液検査は、いつ行けばよいか。朝ごはんを食べてから行ってもよいか ・市区町村から届いたはがきを持って行けば、手続きもしてもらえるか ・去年と同じ予防薬を、検査なしで受け取れるか

どれも答えが院の中で決まっている質問です。それなのに、毎年この時期になると同じ質問が1日に何本も入り、午前の診療の受付を止めます。記録を普段の週に取るよう先に書いたのは、この春の電話が混ざると、1年を通した手の打ち方を誤るからでした。逆にいえば、春の電話は春の電話として、別に手を打つ価値があります。

手を打つのは、電話が増え始める前です。

・予防の時期の案内を、院のサイトの一番上と、待合室の掲示に同じ文面で出す。予約の要否、受付の時間、持ち物、検査の前に食事をどうするかを1つの案内にまとめる ・市区町村の登録や注射済票の手続きを院で扱うかどうかを、案内の中で言い切る。扱いは自治体によって違うため、自院の地域での扱いを確かめてから書く ・予防の注射と検査だけの来院は、通常の診療と分けた枠にし、その枠の予約をネットから入れられるようにする ・前年に予防薬を受け取った飼い主には、会計の時点か前年の記録から、今年の案内を先に届ける

最後の手が効くのは、この時期に電話をかけてくる飼い主の多くが、前年にも来ている人だからです。院から先に「今年の検査はこの期間に、この枠でお受けします」と届いていれば、飼い主は電話で聞く前に予約を入れられます。

多頭飼いの予約は、1頭ずつの記録にしてから受ける

動物病院の予約の電話で、話が長くなりやすいのが多頭飼いの飼い主からの電話です。「うちの3匹、まとめてワクチンをお願いしたい」「犬は再診で、猫は爪切りだけ」。1本の電話の中で、動物ごとに用件と診察券の番号を聞き取る必要があり、受付の人は途中で何度もカルテを開き直します。

画面の受付に移すときに、この予約を「飼い主1人の予約」として受けると、あとで困ります。3匹で必要な時間は1匹の3倍近くになることがあり、枠の長さが合いません。1匹だけ体調が悪くなって来られなくなったときに、どの子の予約を取り消すのかも分からなくなります。

受け方は、動物ごとの記録を先に持ち、予約は動物を選んで入れてもらう形です。

・飼い主の下に、動物ごとの名前、種類、診察券の番号を登録しておく ・予約の画面で、連れて来る子を選び、それぞれの用件を選んでもらう ・連れて来る頭数に応じて、必要な枠の長さを院が決めておく。3頭以上は電話で相談、と線を引いてもよい

この形にすると、受付の人が電話口で聞き取っていた情報が、予約の時点でそろった状態で届きます。

トリミングとホテルの問い合わせを、診療の回線から離す

トリミングやペットホテルを併設している院では、診療とは別の問い合わせが同じ電話に入ってきます。「来週の土曜にトリミングは空いていますか」「お盆に3泊預けたい」。この電話は、診療中の獣医師や看護の担当が答えられる内容ではなく、トリマーやホテルの担当が不在だと折り返しになります。

ホテルの問い合わせは、連休の前に集中します。年末年始やお盆の1か月ほど前から、空きを確かめる電話が増え、診療の電話とぶつかります。

離し方は、院の規模によって変えます。

・トリミングとホテルの空きを画面で見られるようにし、予約もそこから入れてもらう ・連休の預かりは、受付を始める日を決めて院のサイトとお知らせで告知する。始める日より前の問い合わせには、始める日を案内するだけにする ・トリマーが専任でいる院なら、トリミングの問い合わせ用の番号を分ける

ホテルの空きを画面で見せるときは、ワクチンの接種証明が必要なこと、持病のある子は事前の相談が要ることを、予約の入口に書いておきます。これを書いていないと、画面から予約した後に確認の電話が必要になり、減らしたはずの電話が別の形で戻ってきます。

「連れて行くべきか」の相談は、なくならない前提で置く

ここまでの手を打っても、最後まで残るのが「様子がおかしいけれど、連れて行ったほうがいいですか」という相談の電話です。これは減らす対象ではなく、なくならない前提で受け方を整える対象です。

この電話をかけてくる飼い主の多くは、来院するかどうか迷っています。特に猫の飼い主は、キャリーに入れて連れて行くこと自体が猫の負担になると知っているので、行くべきかを先に確かめたいと考えます。ネットの受付に誘導しても、この迷いは解消されません。

受け方としては、先に挙げた聞き取りの型に乗せます。その上で、相談の電話が多い時間帯を記録から見つけ、その時間帯に受付の人が電話を取れる状態にしておきます。多いのは、朝の診療開始の前後と、夕方の仕事が終わる時間です。飼い主が動物の様子に気づくのは、朝起きたときと、帰宅したときだからです。

この時間帯に予約の電話や受け取りの電話が混ざっていなければ、相談の電話は落ち着いて受けられます。つまり、ほかの電話を外す作業は、この相談の電話を丁寧に受けるための準備でもあります。電話を減らす取り組みが、飼い主から見て「電話がつながりにくくなった」ではなく「電話がつながりやすくなった」と感じられるなら、組み方は正しい方向に進んでいます。

減った本数ではなく、止まった手の回数で測る

取り組みを始めて1か月ほどたったら、最初と同じ用紙で、もう1週間記録を取ります。比べるのは電話の総数ではなく、次の3つです。

・手術と処置の時間帯に鳴った電話の本数 ・電話を取るために、保定や処置の補助を中断した回数 ・急変の電話が話し中でつながらなかったという声の有無

総数は、季節や曜日で簡単に動きます。フィラリアの時期に入れば予約の電話は増えますし、雨の日は来院が減って電話も減ります。総数だけで見ると、打った手が効いたのか、季節のせいなのかが分かりません。止まった手の回数なら、院が守りたかったものが守れているかを直接確かめられます。

もう1つ、ネットの受付に移った件数も数えておきます。薬の注文や予約の変更が画面から何件入ったかを見れば、電話から移った用件の量が分かります。電話が減っていないのに画面の件数が増えているなら、新しく入口ができたことで用件そのものが増えている可能性があります。その場合は、画面の件数を受付の人がいつ処理するかの時間を、1日の段取りに加えます。

電話を減らしたあとの受付を、どこに振り向けるか

電話から外した用件は、消えたわけではありません。薬の注文、予約の変更、ホテルの予約は、画面に形を変えて届きます。違うのは、院の都合のよい時間にまとめて処理できることです。

受付の人が電話に取られていた時間が空くと、会計の待ち時間を短くしたり、待合室で不安そうな飼い主に声をかけたりする余裕が生まれます。動物病院の受付は、院の印象を決める場所なので、ここに時間を振り向けられる意味は小さくありません。

予約の入口をネットに用意するときは、動物ごとに予約を持てるか、薬や預かりのように診察とは別の用件を受けられるか、画面から変更できる予約の種類を限れるかを確かめます。どのような用件を画面で受けられるかはできることに、月々の費用の区分は料金にまとめられています。電話中心の受付から切り替えた業態の例は業種ごとの使い方で読めます。

他の予約の仕組みと並べて検討したいときは、他社との比較が材料になります。決済が必須でない業態に合わせて、予約の受付から次の来店までを一続きにしているので、窓口で会計をする動物病院でも、事前の支払いを飼い主に求めずに始められます。実際の画面はデモを見るから確かめられ、導入前によく出る疑問はよくある質問にまとまっています。

Q1. 動物病院の電話受付を、すべてネット予約に切り替えてもよいですか?

すべてを切り替えるのは避けてください。誤食やけいれんのような急変の連絡は電話が最も早く届き、獣医師法には診療を求められたときの応召の定めもあります。予約の変更や薬の受け取りのように電話でなくても済む用件を外し、急変の電話がつながりやすくなる形を目指すのが現実的です。

Q2. 手術中の電話は、どう扱えばよいですか?

取れる人がいない前提で、留守番電話に切り替えます。文言は40秒以内に収め、いまは手術の時間で出られないこと、急を要する場合の連絡先、予約や薬の注文はネットからできることの順に伝えます。伝言を残してもらうなら、午後の受付開始前に誰がいつ聞くかを決めておいてください。

Q3. 受付のスタッフが症状の相談の電話を受けたら、何を伝えればよいですか?

受付では判断をせず、聞き取りの型に沿って情報を集めます。呼吸が苦しそう、意識がない、出血が止まらない、けいれん、明らかな誤食のどれかに当たればすぐ来院を促し、獣医師に伝えます。当たらない場合は名前と様子を聞き取って獣医師に渡し、来院の要否は院から折り返します。

Q4. 電話を減らす取り組みが効いたかは、どう確かめればよいですか?

電話の総数ではなく、手術と処置の時間帯に鳴った本数と、電話を取るために保定や処置を中断した回数を比べます。取り組みの前と1か月後に、同じ用紙で1週間ずつ記録を取ると差が分かります。総数は季節や天気で大きく動くので、効果を見る指標には向きません。

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