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カウンセリングルームの予約台帳を紙からやめる|移し替える順番と、残す情報
2026年9月16日・Rizaflow編集部

カウンセリングルームの予約台帳を紙からやめようと考えたとき、多くの人が手を止めるのは、台帳に書かれているものが予約だけではないからです。日付の欄の余白には、電話で聞いた相談の概要、連絡してよい時間帯、前回の面接で気になったことが、長年の習慣で書き込まれています。そのまま画面に移すと、守秘の点で持ち出してはいけないものまで一緒に動かしてしまいます。この記事では、紙の台帳に混ざっている情報を仕分け、移すものと移さないものを決め、どの順番で切り替えるかを整理します。
紙の台帳には、予約以外のものが混ざっている
長く使ってきた紙の予約台帳を開くと、書かれている情報は大きく4つに分かれます。
・予約の情報 日付、時刻、名前、初回か継続か、面接室 ・連絡の情報 電話番号、連絡してよい時間帯、留守番電話に吹き込んでよいか ・面接に関わるメモ 電話で聞いた主訴、紹介元、前回の様子、次回に確かめたいこと ・お金の情報 受け取った料金、未払い、キャンセル料
予約台帳として作られたはずのものに、3つ目と4つ目が入り込んでいる状態は、カウンセリングルームではごく普通に見られます。面接と面接の間に10分しかなく、そのたびに記録用のファイルを開く余裕がないので、目の前にある台帳の余白に書いてしまうのです。
この混ざり方こそが、紙の台帳の弱点でもあります。台帳を受付の机に開いて置いていれば、次の相談者が待合から覗き込めば、前の相談者の名前と主訴の走り書きが目に入ります。台帳をかばんに入れて持ち帰れば、落としたときに失われるのは予約の情報だけではありません。
紙をやめる作業は、この4つを分け直す作業から始まります。画面に移すのは原則として1つ目と2つ目で、3つ目は面接の記録として別に扱い、4つ目は会計の帳簿に分けます。この仕分けをせずに台帳をそのまま画面に写すと、紙の弱点をそのまま新しい道具に持ち込むことになります。
予約があるという事実そのものが、守るべき秘密になる
カウンセリングルームの予約台帳が、ほかの業態の予約台帳と決定的に違うのは、そこに名前があること自体が秘密にあたるという点です。美容室の予約台帳に名前が載っていても、困る人はあまりいません。カウンセリングルームの台帳に名前が載っていることは、その人がカウンセリングを受けているという事実を示します。
公認心理師の資格を持つカウンセラーには、法律で秘密を守る義務が定められています。
公認心理師は、正当な理由がなく、その業務に関して知り得た人の秘密を漏らしてはならない。公認心理師でなくなった後においても、同様とする。 出典: laws.e-gov.go.jp
カウンセリングルームを運営している人のすべてが公認心理師というわけではありません。臨床心理士や、ほかの民間資格で活動している人、資格を持たずに相談を受けている人もいます。ただ、どの立場であっても、所属する団体の倫理綱領や相談者との約束の中で、秘密を守ることは面接を成り立たせる前提になっています。
予約台帳を紙から移すときは、この前提に照らして、誰がどこからその情報を見られるようになるのかを一つずつ確かめる必要があります。紙の台帳は、机の上にある限り、見られる人は部屋にいる人に限られていました。画面に移すと、端末、アカウント、通知、共有の設定によって、見られる範囲が広がることも狭まることもあります。
紙をやめる理由を、先に言葉にしておく
仕分けに入る前に、なぜ紙をやめるのかを書き出しておきます。理由がはっきりしていないと、移行の途中で面倒になったときに、「やはり紙のままでよかったのでは」と引き返したくなるからです。
カウンセリングルームで紙をやめる理由として、よく挙がるのは次のようなものです。
・外出先や自宅から、次の日の予約を確かめられない ・台帳を持ち歩くと、紛失したときに取り返しがつかない ・複数のカウンセラーで部屋を分け合っていて、台帳の取り合いになる ・電話で予約を受けたとき、台帳が手元にないと空きを答えられない ・前日の連絡を、台帳を見ながら1件ずつ手で送っている
自分の相談室にとってどれが最も大きいかを1つ決めておくと、移行の手順の中で何を優先するかが決まります。外出先から確かめたいのが一番の理由なら、スマートフォンで見られることと、そのときの画面ロックの設定が最優先になります。前日の連絡の手間が一番なら、連絡先の情報を正確に移すことが最優先になります。
逆に、紙のほうが優れている点も書き出しておきます。停電や通信障害でも見られる、書き込みが速い、画面を見続けなくてよい、といった点です。これらをどう補うかも、移行の計画に含めておきます。
移し替えの順番1 これから先の予約だけを先に移す
紙の台帳から画面への移し替えは、一度にすべてを移そうとすると失敗します。面接の合間に作業を進めることになるので、途中で手が止まり、紙と画面のどちらが最新なのか分からない期間が長引くからです。
最初に移すのは、切り替えの日から先の予約だけです。移す範囲は、2か月先までを目安にします。それより先の予約は、継続の相談者の固定枠を除けば、ほとんど入っていないはずです。
この段階で移すのは、日付、時刻、面接室、名前、初回か継続か、の5つだけにとどめます。連絡先や相談者の詳しい情報は、次の段階で移します。先の予約だけを先に移しておけば、切り替えの日から新しい予約を画面で受けられるようになり、紙の台帳には過去の記録だけが残る状態になります。
移し終えたら、紙の台帳の切り替えの日以降のページに、斜線を引くか、「以降は画面で管理」と書いた紙を貼ります。紙の台帳に先の予約を書き込める余地を残しておくと、電話を受けたときに慌てて紙に書いてしまい、二重に予約が入る原因になります。
1日に5枠、週に5日面接をしている相談室なら、2か月分の予約は多くても200件程度です。継続の固定枠は繰り返しの設定でまとめて入れられるので、実際に1件ずつ入力するのは、その一部で済みます。
移し替えの順番2 継続中の相談者の連絡情報を移す
先の予約を移したら、次に継続中の相談者の連絡情報を移します。ここで大切なのは、連絡先の番号やアドレスだけでなく、連絡の仕方についての約束を一緒に移すことです。
紙の台帳の余白や、別の手帳には、相談者ごとに次のような約束が書かれていることがあります。
・電話は携帯にだけ。自宅にはかけない ・留守番電話には、相談室の名前を吹き込まない ・連絡は平日の日中のみ。夜は家族がいる ・メールの件名に相談室の名前を入れない ・ショートメッセージは使わない
これらは、相談者が家族や職場にカウンセリングを受けていることを知られないための、とても大切な約束です。紙の台帳では、余白の走り書きを見て思い出していたかもしれません。画面に移すときには、これを自由記述のメモ欄に書くのではなく、「連絡してよい手段」「連絡してよい時間帯」「相談室名を出してよいか」といった項目として登録します。
項目として持っておくと、前日の連絡を自動で送る設定にしたときに、相談室名を出さない相談者にだけ別の文面を送る、ショートメッセージを使わない相談者には送らない、といった扱いができます。自由記述のメモのままだと、自動の連絡はその約束を読めず、約束を破る連絡が届いてしまいます。
移し替えの順番3 休止中の相談者は、再開のときに移す
継続中の相談者を移したあとで迷うのが、しばらく面接を休んでいる相談者の扱いです。数か月前から来ていないけれど、終結の話はしていない、という人です。
休止中の相談者は、この段階では移さず、再開の連絡が来たときに移す、という扱いが扱いやすくなります。理由は2つあります。
1つは、休止中の相談者の連絡先や連絡の約束は、再開のときに変わっていることが多いからです。引っ越し、転職、家族の状況の変化で、連絡してよい手段や時間帯が変わっている可能性があります。古い情報を移しておくと、再開の連絡を受けたときに確かめ直すことを忘れ、古い約束のまま連絡を送ってしまうことがあります。
もう1つは、画面の中に登録されている相談者の数を、実際に通っている人に近づけておくためです。登録されている人数が多いほど、端末が見られたときに外に出る情報も多くなります。
休止中の相談者の一覧は、紙の台帳から名前だけを書き出して、鍵のかかる場所に保管しておきます。再開の連絡があったら、その一覧で以前に来ていた人であることを確かめ、連絡の約束を相談者本人に確かめ直してから画面に登録します。
終結した相談者の情報は、画面に移さない
面接が終結した相談者の情報は、画面に移しません。紙の台帳に残したまま、紙として保管します。
終結した相談者の情報を画面に移すと、便利に見える場面があります。以前に来ていた人から再び連絡があったとき、すぐに以前の来室の履歴を確かめられるからです。しかし、その便利さのために、何年も前に終結した人の名前と連絡先を、日常的に持ち歩く端末の中に置き続けることになります。
終結した人の情報は、再び連絡が来たときに紙の保管場所から確かめれば足ります。数年に1回あるかどうかの確認のために、情報を常に持ち歩く危険を負う理由はありません。
保管の期間については、法律で一律に定められているわけではありません。医療機関の中で行う相談であれば、医療の記録の保存に関する決まりが関わってくることがあります。民間の相談室であれば、所属する団体の倫理綱領や、相談者との契約の中で決めた期間に従うことになります。自分の相談室の保管期間が決まっていない場合は、移行を機に期間を決め、それを過ぎたものを廃棄する手順も一緒に定めておきます。期間の妥当性に迷う場合は、所属団体や専門家に確認してください。
面接に関わるメモは、予約の画面に書かない
紙の台帳の余白に書かれていた面接に関わるメモは、予約の画面には移しません。電話で聞いた主訴、前回の様子、次回に確かめたいことといった情報は、面接の記録として、予約とは別の場所で管理します。
予約の画面は、面接の合間に何度も開くものです。受付のスタッフがいる相談室であれば、スタッフも見ます。前日の連絡を送るために、連絡先の情報と一緒に表示されます。この画面に主訴や面接の様子が書かれていると、見る必要のない人の目に、見る必要のない情報が触れる機会が増えます。
予約の画面に書いてよいのは、予約を扱うために必要な情報に限ります。
・初回か継続か ・面接の形式 来室、オンライン、電話 ・紹介元がある場合は、その区分 企業、医療機関、学校など ・面接室の希望や、配慮の必要 車いすでの来室、待合で他の人と顔を合わせたくない、など
最後の「配慮の必要」は、予約を受ける段階で知っておかないと困る情報です。待合で他の人と顔を合わせたくない相談者であれば、前後の枠との間隔を広く取るなど、予約の組み方で配慮できます。こうした情報は予約の側に置き、なぜその配慮が要るのかという背景は面接の記録の側に置く、と分けておきます。
名前をどう登録するかを、最初に決めておく
画面に相談者を登録するとき、名前をどう書くかを最初に決めておきます。紙の台帳では、フルネームで書く人、名字だけの人、イニシャルで書く人、と書き方がばらばらだったかもしれません。
登録の仕方には、次のような選択肢があります。
・フルネームで登録する ・名字とイニシャルで登録する ・相談室の中だけで通じる番号で登録し、名前は別に管理する
フルネームは、電話を受けたときに照合しやすく、同じ名字の相談者を取り違える心配もありません。一方で、画面が見られたときに、その人がカウンセリングを受けていることが直接分かります。番号で登録する形は、画面が見られても誰なのか分かりませんが、電話を受けたときに番号と名前を照らし合わせる手間が増えます。
もうひとつ、事情のある相談者の扱いも決めておきます。配偶者からの暴力を避けて暮らしている人、職場の関係者に知られることを強く恐れている人の中には、本名とは違う呼び名で予約したいと希望する人がいます。こうした希望を受けるかどうか、受ける場合に本名をどこで管理するかを、方針として決めておくと、希望があったときに迷わずに済みます。
複数のカウンセラーで使うなら、部屋と人の2つで予約を見る
複数のカウンセラーで相談室を運営している場合、紙の台帳では、面接室ごとにページを分けたり、カウンセラーごとに色を分けたりしていたはずです。画面に移すときには、この2つの軸を両方持てるかどうかを確かめます。
カウンセリングルームの予約は、カウンセラーが空いていても面接室が空いていなければ入れられず、面接室が空いていてもカウンセラーが空いていなければ入れられません。遊戯療法の部屋や、家族面接用の広い部屋など、特定の面接にしか使えない部屋がある場合はなおさらです。
画面に移すときは、次の3つが1つの予約の中で結びついている状態を作ります。
・担当するカウンセラー ・使う面接室 ・面接の形式
あわせて、誰がどの予約を見られるかを決めます。カウンセラーは自分が担当する相談者の予約だけを見られればよいのか、相談室全体の予約を見られるようにするのか。紙の台帳では、同じ冊子を全員が見ていたので、全員が全員の相談者の名前を知っていたかもしれません。画面に移すのを機に、見られる範囲を担当する相談者に絞ることもできます。
受付のスタッフが見てよい範囲を、画面の設定で分ける
受付のスタッフを置いている相談室では、スタッフが予約の画面で何を見られるようにするかを決めておきます。
受付のスタッフは、電話で予約を受け、変更の連絡に対応し、来室した相談者を案内します。そのために必要なのは、予約の日時、名前、連絡先、連絡の約束、配慮の必要です。面接の記録や、紹介元から届いた書類の中身は、受付の仕事には必要ありません。
紙の台帳では、スタッフが台帳を開けば、余白に書かれた主訴のメモも目に入っていました。画面に移すときには、先に仕分けた面接に関わるメモが予約の画面に入っていないことを確かめたうえで、スタッフのアカウントで見られる範囲を設定します。
もうひとつ気をつけたいのが、スタッフが辞めたときの扱いです。紙の台帳であれば、辞めたスタッフが台帳を持ち出さない限り、情報は相談室に残りました。画面で管理する場合、辞めたスタッフのアカウントを止めなければ、自宅から予約の画面を見られる状態が続きます。スタッフが辞める日にアカウントを止める手順を、移行の時点で決めておきます。
端末の扱いを決めないと、紙より危うくなる
紙の台帳をやめて画面で管理するようになると、予約の情報はスマートフォンやパソコンの中に入ります。便利になる一方で、端末の扱いを決めておかないと、紙の台帳を持ち歩いていたときより危うい状態になることがあります。
決めておきたいのは次のような点です。
・スマートフォンには画面ロックをかけ、ロック画面に予約の通知の中身を表示しない ・相談室のパソコンを家族と共有しない ・面接室のパソコンで予約の画面を開いたままにしない ・予約の画面にログインしたまま、パソコンの前を離れない ・端末をなくしたときに、どこに連絡してアカウントを止めるかを書いておく
特に1つ目は見落とされがちです。スマートフォンのロック画面に「明日10時 〇〇様 初回」と通知が出る設定のままだと、机の上に置いたスマートフォンを家族や来客に見られただけで、相談者の名前が伝わります。予約の通知は、ロック画面では「新しい予約があります」程度にとどめる設定にしておきます。
面接室にパソコンを置いている場合、相談者が入室したときに画面に次の相談者の名前が表示されていた、ということも起きえます。面接の前に画面を閉じることを、面接を始めるときの手順に入れておきます。
オンライン面接の予約を紙とは別に持っていたなら、1つの画面に寄せる
来室の面接は紙の台帳に書き、オンラインの面接は通話の道具の予定表や、自分のカレンダーに入れていた、という相談室は少なくありません。オンラインの面接を後から始めた相談室ほど、この二本立てになっています。
二本立ての状態では、同じ時刻に来室とオンラインの予約が入ってしまう危険が常にあります。紙の台帳を見て空いていると判断し、来室の予約を受けたら、その時刻にはカレンダーの側でオンラインの面接が入っていた、ということが起きます。
紙の台帳をやめるのを機に、来室とオンラインの予約を1つの画面にまとめます。まとめるときは、面接の形式を予約の項目として持たせ、来室なら面接室、オンラインなら通話のリンク、電話なら相談者の番号、というように、形式ごとに必要な情報が結びつくようにします。
通話のリンクの扱いにも気を配ります。継続の相談者に毎回同じリンクを使っている場合、そのリンクをカレンダーの予定の説明欄に書いたままにしていると、カレンダーを共有している相手や、カレンダーの通知から第三者に見える可能性があります。リンクは予約の画面の中だけで扱い、相談者には確認の連絡の中で届ける形にします。
相談者には、予約の方法が変わることだけを伝える
紙の台帳をやめることを、相談者にどこまで伝えるかも決めておきます。
台帳を紙から画面に移すことそのものは、相談室の内側の事務の変更です。相談者に一人ずつ説明する必要はありません。ただし、変更によって相談者の側の手順が変わる場合は、事前に伝えます。たとえば次のような場合です。
・電話だけで受けていた予約を、ネットでも受けるようになる ・予約の確認や前日の連絡が、メールで届くようになる ・変更や取り消しを、自分で画面から行えるようになる
2つ目は特に大切です。これまで連絡を受け取っていなかった相談者に、ある日突然メールが届くと、家族が先に目にするかもしれません。継続の相談者には、面接の中で「次回から、予約の確認をメールでお送りしようと思いますが、差し支えありませんか」と確かめ、差し支えがある人には送らない設定にします。
連絡先を画面に登録すること自体についても、どういう目的で使うかを説明できるようにしておきます。予約の管理と連絡のために使い、それ以外には使わない、と伝えられれば十分です。
移行の期間は、紙と画面の両方に書かない
移し替えの期間中、念のために紙と画面の両方に予約を書いておきたくなります。しかし、両方に書く期間を設けると、どちらかへの書き漏れが必ず起き、どちらが正しいのか分からない予約が出てきます。
カウンセリングルームで二重に予約が入ると、同じ時刻に2人の相談者が待合に来ることになります。初回の相談者と継続の相談者が顔を合わせ、しかもどちらかを帰さなければならない、という事態は、相談者にとって深い傷になります。
両方に書く期間を設けない代わりに、次のように切り替えます。
・切り替えの日を決め、その日から先の予約はすべて画面にだけ書く ・切り替えの前日までに、先の予約を画面に移し終える ・切り替えの日に、紙の台帳の先のページに斜線を引く ・切り替えから1週間は、毎朝その日の予約を画面で確かめ、紙の台帳の過去のページと照らして漏れがないかを見る
通信の障害や停電に備えたい場合は、紙と画面に同時に書くのではなく、翌日の予約を前日の終業時に紙に書き出しておく、という形にします。これは予備の控えであって、予約を受ける台帳ではありません。翌日が終われば廃棄します。
紙の台帳は、鍵をかけて保管し、期間を過ぎたら溶かして捨てる
画面への移し替えが終わっても、紙の台帳はすぐには捨てません。過去の予約の記録として、決めた保管期間のあいだは残しておきます。
保管する場所は、鍵のかかる引き出しや書庫にします。受付の棚や、面接室の本棚に並べておくことは避けます。複数の年の台帳がある場合は、表紙に年だけを書き、相談室の名前は書かないでおくと、万一持ち出されたときにも中身が何なのかがすぐには分かりません。
保管期間を過ぎた台帳は、廃棄します。家庭用のシュレッダーで細断することもできますが、何年分もの台帳を細断するのは時間がかかり、途中で面倒になって一部を普通のごみに出してしまう危険があります。量が多い場合は、書類を溶かして処理する業者に依頼し、処理の証明書を受け取っておくと、廃棄した記録が残ります。
移行をきっかけに、紙の台帳以外にも、相談者の名前が書かれた紙が相談室の中に散らばっていないかを見回します。電話のそばのメモ帳、面接室の机の引き出し、かばんのポケットに残った付箋などです。
移行の後1か月は、3つのことを点検する
画面での管理に切り替えてから1か月のあいだは、週に1回、次の3つを点検します。
・二重に予約が入った枠がなかったか ・連絡の約束と違う手段や時間帯で、連絡が届いてしまった相談者がいなかったか ・紙に何かを書き込んでしまった場面がなかったか
2つ目は、相談者から指摘されない限り気づきにくい点です。前日の連絡を自動で送る設定にした場合は、送られた連絡の履歴を見て、相談室名を出さない約束の相談者に別の文面が送られているかを確かめます。
3つ目は、紙に戻りたくなる場面を見つけるための点検です。電話を受けたときに画面を開くのが間に合わず、手元の紙に書いてしまった、ということがあれば、電話を受ける位置に端末を置く、電話の間だけ使う簡単な画面を用意する、といった手を打ちます。
1か月の点検で問題が出なくなったら、点検は月に1回に減らします。紙の台帳に戻らずに3か月が過ぎれば、移行は落ち着いたと見てよいでしょう。
予約の画面に何を持たせるかで、道具を選ぶ
ここまでの手順を踏まえると、カウンセリングルームが予約の道具に求めるものが見えてきます。予約と面接の記録を分けて持てること、連絡の約束を項目として持ち、自動の連絡に反映できること、カウンセラーと面接室の2つの軸で予約を扱えること、見られる範囲を人ごとに分けられること、です。
また、カウンセリングルームの多くは、料金を面接の場で受け取り、予約の時点では支払いを求めません。予約の受付ツールの中には、支払いの手続きを予約の流れに組み込むことを前提にしているものもあります。決済が必須でない業態に合わせて、予約の受付から次の来店までを一続きにしている予約システムであれば、相談者に余計な手続きを求めずに済みます。
どういう機能で予約や連絡を扱えるかはできることに一覧があり、カウンセリングを含む業種ごとの使い方は業種ごとの使い方で確かめられます。実際の予約画面の動きはデモを見るから触れられます。いま検討している道具と並べて比べたい場合は他社との比較、費用の目安は料金、導入前によく出る疑問はよくある質問にまとまっています。
道具を比べる前に、自分の紙の台帳を開いて、4つの情報がどう混ざっているかを確かめてみてください。仕分けが済めば、画面に移すべきものの量は、思っていたより少ないはずです。
Q1. 紙の予約台帳から移すとき、過去の予約もすべて入力すべきですか?
すべてを移す必要はありません。切り替えの日から2か月先までの予約を先に移し、次に継続中の相談者の連絡情報を移します。休止中の相談者は再開の連絡が来たときに、終結した相談者の情報は移さず紙のまま保管するのが扱いやすい形です。持ち歩く端末に置く情報を、実際に通っている人に絞ることにもつながります。
Q2. 台帳の余白に書いていた主訴のメモはどうすればよいですか?
予約の画面には移さず、面接の記録として別の場所で管理します。予約の画面は受付のスタッフが見たり、連絡を送る際に表示されたりするため、見る必要のない人の目に触れる機会が増えます。待合で他の人と顔を合わせたくないといった、予約の組み方に関わる配慮だけを予約の側に置き、その背景は記録の側に分けます。
Q3. 紙の台帳はいつまで保管すればよいですか?
保管期間は法律で一律に決まっているわけではなく、医療機関内の相談か民間の相談室かによっても関わる決まりが変わります。所属団体の倫理綱領や相談者との契約に沿って期間を決め、鍵のかかる場所で保管し、期間を過ぎたら溶解処理などで廃棄してください。期間の妥当性に迷う場合は、所属団体や専門家に確認するのが確実です。
Q4. 移行の期間中、念のため紙と画面の両方に書いてもよいですか?
両方に書く期間を設けると、どちらかへの書き漏れが起き、二重予約の原因になります。切り替えの日を決めてその日以降は画面にだけ書き、紙の台帳の先のページには斜線を引いてください。停電などに備えたい場合は、翌日の予約を前日に紙へ書き出す予備の控えにとどめ、予約を受ける台帳としては使わないようにします。