guide

エステサロンの回数券とチケットを管理する|残数の数え方と、期限の決め方

2026年9月11日・Rizaflow編集部

エステサロンの回数券は、美容室のカット10回券とは性格がまるで違います。金額が大きく、通う期間が長く、途中で効果が出なかったと言われる余地があります。そのため、ある線を越えた回数券は、法律の上では「券」ではなく「継続的な役務の契約」として扱われます。ここでは、その線がどこにあるのかを確かめたうえで、残数をどの時点で減らすか、期限をいつに置くか、途中解約を申し出られたときにいくらまで請求できるかを、順に決めていきます。数え方を決めずに券を売り始めると、揉めるのは半年後です。

エステの回数券は、法律の上では回数券という名前ではない

まず、呼び名を一度切り替えてください。店側が「10回券」と呼んでいるものは、特定商取引に関する法律では「特定継続的役務提供契約」という名前で扱われます。対象になる役務は政令で列挙されていて、その一番目に挙がっているのがエステティックです。条文では「人の皮膚を清潔にし若しくは美化し、体型を整え、又は体重を減ずるための施術を行うこと」と書かれています。フェイシャル、痩身、光脱毛、リンパの施術は、この文言の中に入ります。

なぜこの区別が実務に効くのかというと、この契約に該当した瞬間、店側に4つの義務が発生するからです。契約前に概要書面を渡すこと、契約後に契約書面を渡すこと、8日間のクーリングオフに応じること、そして中途解約を受け付けたうえで法定の上限を超える請求をしないこと。この4つは、回数券の券面をどう作ろうと、店の規約に何と書こうと、外せません。4つのうち1つでも欠けていると、後から契約が最初からなかったのと同じ扱いになる場面が出ます。

逆に言えば、この線を越えていない小さな券は、ここまで重い扱いを受けません。だから最初にやることは、自分の店が売っている券が線の内側なのか外側なのかを、金額と期間の2つで判定することです。

5万円と1か月の線を、自分の券がまたいでいるか確かめる

線は2本あります。政令で、期間は1か月、金額は5万円と定められています。この期間を超える期間にわたって提供し、かつこの金額を超える金銭を受け取る契約が、対象になります。両方を超えたときだけ対象で、片方だけなら対象外です。

具体的に当てはめてみます。

・フェイシャル10回券、税込8万円、有効期限6か月。金額も期間も超えるので該当します ・体験後の3回券、税込1万5千円、期限2か月。金額が超えないので該当しません ・痩身コース6回、税込12万円、期限3週間の集中プラン。期間が超えないので、この形のままなら該当しません。ただし現実には延長を認めることになりがちで、認めた時点で判定が変わり得ます

判定で最も間違えやすいのは、追加購入の扱いです。3万円の券を売った客に、消化の途中で4万円の券を追加で売った場合、それが実質的に1つの継続契約として組まれているなら、合わせて判断されることになります。「1回あたりを5万円未満に割って売れば逃げられる」という発想は成り立ちません。契約書を分けたかどうかではなく、勧誘の実態と提供の実態で見られます。

判定は、券の種類ごとに1回だけやれば済みます。紙に「券の名前・税込総額・提供期間・該当するか」の4列の表を作って、扱っている券を全部書き出してください。この表が、以降のすべての判断の土台になります。

概要書面と契約書面の2枚を、いつ渡すか

該当する券を売るときは、書面が2枚必要になります。1枚目は概要書面で、契約を締結するまでに渡します。2枚目は契約書面で、契約したら遅滞なく渡します。法律の条文はこの2枚を明確に分けていて、契約後に1枚だけ渡す運用は要件を満たしません。

カウンセリングの流れに置き直すと、こうなります。カウンセリングで内容と金額が固まった時点でまず概要書面を渡し、客がそれを読み、そのうえで申込書に署名してもらい、決済して、契約書面を渡す。よくある崩れ方は、カウンセリングの熱が残っているうちに署名まで一気に進めて、書面をまとめて1枚にしてしまう形です。この形だと、後述するクーリングオフの起算日が動かないまま残ります。

契約書面に何を書くかも、条文が列挙しています。役務の内容、対価その他支払わなければならない金銭の額、支払の時期と方法、役務の提供期間、クーリングオフに関する事項、中途解約に関する事項。この6つは必ず入ります。テンプレートを一度作れば済む話なので、券を売り始める前に作っておいてください。

なお、書面は電磁的方法で提供することもできます。ただしこれは客から書面等で承諾を得た場合に限られ、承諾の取り方まで政令と省令で細かく決められています。「メールで送ったからよい」という単純な話ではないので、紙で渡すほうが実務としては早いことが多いです。

クーリングオフの起算日は、契約した日ではない

エステの継続契約には8日間のクーリングオフがあります。ここで押さえるべきなのは、8日を数え始める日が「契約した日」ではなく「契約書面を受け取った日」だという点です。書面を渡していなければ、起算そのものが始まりません。半年前の契約について、いまクーリングオフを申し出られる状態が続くことになります。

もう1つ、書面に不備がある場合も同じ結果になります。記載すべき事項が抜けている書面は、渡していないのと同じ扱いになり得ます。だから書面のテンプレートを作るときは、格好よく作ることより、条文が挙げた項目を全部埋めることを優先してください。

現場での運用として決めておくべきことは3つあります。書面を渡した日を店側の記録に残すこと。券を渡す前に、いつまでがクーリングオフの期間かを口頭でも伝えること。そして、期間内の申し出があったときに誰が対応するかを先に決めておくことです。オーナーが不在のときにスタッフが「解約はできません」と答えてしまうと、それ自体が別の問題を生みます。

途中でやめると言われたときの清算額には、上限がある

回数券の運用で最も揉めるのが、ここです。10回のうち4回を使ったところで「もう来られなくなったので残りを返してほしい」と言われる場面は、必ず来ます。

このとき店側が請求できる金額には、法律で上限が定められています。提供開始後の解除であれば、提供された役務の対価に相当する額に、政令で定める額を加算した額が上限です。エステの場合、その政令で定める額は次のように書かれています。

二万円又は当該特定継続的役務提供契約に係る特定継続的役務の対価の総額から提供された特定継続的役務の対価に相当する額を控除した額(以下この表において「契約残額」という。)の百分の十に相当する額のいずれか低い額 出典: laws.e-gov.go.jp

読み下すと、提供済みの分の代金に加えて請求できるのは、2万円か、残っている契約金額の10%か、いずれか低いほうまでです。まだ1回も施術していない段階での解除なら、請求できるのは2万円までになります。

数字を入れてみます。総額10万円の10回契約で、4回提供した後に解除を申し出られたとします。提供済みの対価が4万円だとすると、契約残額は6万円。その10%は6千円で、2万円より低いので、上限は6千円です。店が受け取ってよいのは合計4万6千円まで。すでに10万円を受け取っているなら、5万4千円を返すことになります。

そして、これに反する特約で客に不利なものは無効になります。「回数券は理由のいかんを問わず返金いたしません」と書いた紙に署名をもらっていても、その一文は効きません。ここを誤解したまま運用している店が現実にあるので、規約を一度読み直してください。

提供済みの対価を、どの単価で出すかを先に決めておく

上限の計算には「提供された役務の対価に相当する額」が出てきます。実務が詰まるのはこの1点です。10回10万円の券は、1回あたり1万円です。しかし単発の同じ施術は1回1万5千円で売っている。4回消化した分を4万円と数えるのか、6万円と数えるのかで、返す額が2万円変わります。

この争いを防ぐ方法は1つしかありません。契約書面に、券の1回あたりの単価をはっきり書いておくことです。「10回券 総額10万円(1回あたり1万円)」と明記してあれば、計算の根拠が動きません。書いていなければ、店が有利なほうの単価を後から持ち出したように見えます。

もう1つ決めておくべきなのが、無料で付けた回のカウントです。「10回分の代金で12回」という売り方をしている場合、途中解約時に消化済みを何回と数えるのかが問題になります。券面と契約書面の両方に、総額が何回に対する対価なのかを書き切ってください。おまけの2回は対価の対象外だと明記するか、あるいは12回に対する対価だと割り切って単価を下げるか、どちらかに寄せます。曖昧なまま売り続けると、解約のたびに交渉が発生します。

化粧品や下着を一緒に売っているときは、そちらも一緒に解除される

エステでは、コース契約と同時にホームケアの化粧品や補正下着、美顔器を売ることがあります。これらは法律上「関連商品」として扱われ、コース契約が解除されたときに一緒に解除できる仕組みになっています。政令で品目が列挙されていて、健康食品、化粧品、下着類などが並びます。

つまり、コースを解約されると、同時に売った化粧品の代金も戻すことになり得ます。ここで店側が請求できる額にも上限があり、商品が返還された場合は通常の使用料に相当する額まで、返還されない場合は販売価格に相当する額まで、と定められています。

実務としては3つ決めておいてください。関連商品を売ったら契約書面にその商品名を書くこと。開封済みの扱いを「通常の使用料」としてどう見積もるかを先に決めておくこと。そして、コースと商品の代金を1本の総額にまとめず、明細を分けて記載することです。総額しか書いていない領収書は、解約時にほどけません。

クーリングオフの期間中に、1回目の施術を入れてよいか

契約したその日に1回目を受けたい、という客は珍しくありません。カウンセリングの流れでそのまま施術に入るのは、店側にとっても効率がよく、断る理由がないように見えます。ただし、この1回をどう扱うかは先に決めておいてください。

期間内に解除を申し出られた場合、提供した施術の対価を客に請求することはできません。つまり、1回目を無償で提供したのと同じ結果になり得ます。これを避けようとして「初回を受けた時点で解除できない」という条件を付けても、その条件のほうが効きません。

現実的な選択肢は2つです。1つは、そのまま受け入れる形。8日以内に解除される割合は高くないので、体験の延長として割り切る考え方です。もう1つは、1回目の予約を9日以降に置く形。契約の日は書面を渡して終え、次回の来店を8日を過ぎた日に取ります。

どちらを選ぶかは、契約の総額で分けるのが分かりやすいやり方です。20万円を超えるような長いコースは後者にし、それ以下は前者にする。線を1本引いておけば、カウンセリングの場でスタッフが迷いません。予約を取る画面の側でも、契約の日から何日空けるかを枠の条件として持たせておくと、取り違えが起きなくなります。

残数の1回を、施術のどの時点で減らすか

ここから先は法令の話を離れて、日々の数え方の設計に入ります。まず決めるのは、残数を減らす時点です。候補は3つあります。

・来店して受付を済ませた時点 ・施術が完了した時点 ・会計が終わった時点

エステで問題が起きやすいのは、施術を途中で中断した場合です。痩身の機械を当てている途中で気分が悪くなった、フェイシャルの最中に肌が赤くなって中止した、という場面は実際に起きます。完了時に減らす形にしておけば、中断した回は残数が減りません。受付時に減らす形にしていると、その場でスタッフが手作業で戻すことになり、戻し忘れが必ず出ます。

決めたら、それを紙に書いて施術室ではなくレジの横に貼ってください。数える人が複数いる店では、判断が揺れることが最大の敵になります。「今日はサービスで消化しないでおく」という善意の判断が1回入ると、以降その客の残数は誰にも説明できなくなります。

もう1つ、来店したが施術しなかった日の扱いも決めておきます。カウンセリングだけの日、機械の調整で予定より短くなった日、遅刻で工程を1つ飛ばした日。これらを消化とするかどうかを、券の種類ごとに決めて書面に載せます。

部位とメニューが混ざると、残数は数えられなくなる

美容室の券と決定的に違うのがここです。エステの券は、フェイシャル、ボディ、部分痩身、光脱毛の部位別など、中身が複数に枝分かれします。「10回券」と言いながら、実際には客ごとに何を何回受けるかが違う。この状態で「残り6回」とだけ管理すると、何の6回なのかが分からなくなります。

対処は2つに分かれます。

1つは、券をメニュー単位に固定する方法です。フェイシャル券、痩身券、脱毛の部位別券と分け、混ぜて使えないようにします。数え方は最も単純になりますが、客からは融通が利かないと言われます。

もう1つは、点で持たせる方法です。総額を点数に換算しておき、施術ごとに消費する点数を決めます。フェイシャル1回で10点、痩身1回で15点、追加のパックで3点、というように。残りが何点かだけを見ればよくなるので、混ぜて使える券が作れます。ただし、点の単価を書面に書いておかないと、途中解約時の「提供済みの対価」が計算できなくなります。点数制にするなら、1点あたりの金額を必ず明記してください。

どちらを選ぶかは、扱うメニューの数で決まります。メニューが5種類以下なら券を分けるほうが早く、それ以上なら点数に寄せたほうが後で楽になります。

前受金は、まだ売上ではない

回数券を売った日に入ってくるお金は、預かっているお金です。施術を提供した分だけが、その月の売上になります。ここを混ぜて見ていると、現金は潤沢なのに実際の稼働は落ちている、という状態に気づけません。

月末に見るべき数字は2つです。1つは、その月に新しく売った券の金額。もう1つは、まだ提供していない役務の総額、つまり未消化の残高です。後者が積み上がり続けている店は、将来の労働を先に売っている状態です。3か月続けて未消化残高が増えているなら、券の販売を絞るか、消化の促進に人手を回すかの判断が要ります。

この数字は、経理のためというより、閉店や長期休業のリスクを測るために見ます。未消化残高は、店を畳むときにそのまま返金の債務になります。券を売った時点でその額が確定するので、把握していない状態は経営として危ういです。手元に現金があるうちに、預かり分がいくらかを毎月書き出す習慣をつけてください。

期限を何か月に置くか、来店の周期から逆算する

有効期限は、来店の周期から逆算して決めます。エステの来店間隔は施術によって幅がありますが、フェイシャルなら2週間から4週間、痩身の集中期なら週1回から2回、維持期なら月1回といった形が一般的です。

10回券で、周期が2週間の客なら、理屈のうえでは5か月で使い切ります。ここに、生理や出張や体調不良で飛ぶ回数を見込みます。実際には3回から4回は飛ぶので、期限は8か月から12か月あたりが現実的な線になります。

短くしすぎると、期限切れの交渉が毎月発生します。長くしすぎると、未消化残高が積み上がり、施術の内容や価格を変えたいときに古い契約が足枷になります。判断の基準は、期限内に使い切れる人の割合です。いま売っている券について、期限内に完走した人の割合を数えてみてください。7割を下回っているなら期限が短すぎます。

券に有効期限を設けること自体は、期間を提供期間として書面に明記していれば運用できます。ただし、期限を極端に短くして実質的に使い切れない設計にすると、消費者契約法の観点から不当と評価される余地が出ます。期限は罰ではなく、店側が提供体制を約束できる期間として決めるものだと考えてください。

期限が切れた券を、どう扱うかを先に決めておく

期限が切れた券を持って客が来たとき、その場で判断してはいけません。判断が人によって違うと、「あの人は延長してもらえたのに」という話が必ず出ます。

決めておくことは3つです。

・延長を認める条件(診断書のある入院、妊娠、転居など、客の側で避けられない事情に限るのか、事情を問わず1回だけ認めるのか) ・延長する場合の期間(一律で3か月なのか、残数に応じるのか) ・延長の手数料を取るかどうか、取るならいくらか

この3つを決めて紙に書き、スタッフ全員が同じ答えを返せる状態にしてください。そのうえで、期限の1か月前に案内を出す仕組みを作ります。期限切れの相談の大半は、客が期限を忘れていたことが原因です。事前に知らせておけば、そもそも相談自体が起きません。予約の受付ツールに残数と期限を持たせておくと、この案内は自動で出せます。手で管理している店は、月初に期限が近い券の一覧を出す作業を、月次の決まりごとに入れてください。

譲渡と家族での利用を、認めるかどうか

「使い切れないので友人に譲りたい」「娘に残りを使わせたい」という相談は、エステでは頻繁に出ます。美容室のカット券と違って金額が大きいので、客側の動機も強くなります。

認めない場合の理由は、施術記録と問診が個人に紐づいているからです。エステの施術は、既往症、服薬、アレルギー、妊娠の有無で受けられるかどうかが変わります。契約者本人以外の身体に施術する以上、問診と同意を取り直すことになり、それは実質的に新しい契約です。この理由は客にも通じるので、断るときは「規約で禁止しています」ではなく、この理由をそのまま伝えてください。

認める場合は、条件を絞ります。譲渡先の人にカウンセリングと問診を受けてもらうこと、名義の変更手続きを取ること、変更後は元の契約者に返金の請求権がないことを書面で確認すること。この3つを踏めば、運用として成り立ちます。どちらを選ぶにせよ、券面に一行書いておけば、店頭でのやり取りが短くなります。

残数を客が自分で見られるかどうかで、電話の本数が変わる

回数券を売っている店に共通して起きるのが、残数の問い合わせです。「あと何回残っていましたか」という電話は、施術中に鳴ります。手が塞がっている時間帯に鳴るので、そのまま取り逃がします。

この問い合わせは、客が自分で残数を見られるようにするだけで消えます。予約の画面にログインしたときに残り回数と期限が出ていれば、聞く理由がなくなります。あわせて、予約を取るときに残数が足りているかを画面側で判定できると、「残り1回なのに2回分の予約が入っていた」という食い違いも起きなくなります。

紙の券で運用している店は、その券を客が失くすところまで想定しておく必要があります。券を失くしたと言われたときに、店の台帳だけで残数を証明できるか。台帳が手書きのノートで、書いた人しか読めない状態だと、この場面で必ず揉めます。券は客の控えとして持たせてよいのですが、正の記録は店側のデータに置いてください。

施術者ごとの歩合と、券の消化をどう結ぶか

スタッフがいる店では、もう1つ決めることがあります。券を売ったときの歩合と、券を消化したときの歩合をどう配分するかです。

売った時点で全額を歩合の対象にすると、売ることに偏ります。売った人と施術する人が違う場合、施術側に何も残りません。逆に消化時にだけ配分すると、券を売る動機が弱くなります。現実的なのは、売上計上の考え方と揃えて、消化のたびに配分する形です。前受金が売上ではないのと同じ理屈で、歩合も提供したときに立てる。この形にしておくと、途中解約で返金が発生したときの精算も単純になります。

決めたら、スタッフに理由まで説明してください。「売っても即座に歩合にならない」という制度は、理由を説明せずに導入すると不満だけが残ります。返金の可能性がある売上だから、という説明で通じます。

券をやめる、あるいは内容を変えるときの、既存契約の扱い

券の設計を変える日は必ず来ます。価格を上げる、回数を変える、メニューを入れ替える、あるいは券そのものをやめる。このとき、すでに売った券は元の条件のまま生き続けます。

やることは2つです。1つは、旧券の消化が終わる予定日を出しておくこと。有効期限が最長のものを見れば、いつまで旧条件を維持する必要があるかが分かります。もう1つは、旧券と新券を同じ台帳で区別できるようにしておくことです。券の名前を変えずに中身だけ変えると、半年後に「この人の券はどちらの条件か」が分からなくなります。名前に年を入れるか、券の種別を分けてください。

メニューそのものを終了する場合は、その施術を受けられなくなる客が出ます。代替メニューへの振替を用意するか、残数分を返金するかを決めて、期限より前に案内します。この案内を出さずに終了すると、中途解約の申し出が一斉に来ます。

月に一度だけ見る、3つの数字

券の管理は、日々細かく見るものではありません。月に一度、この3つだけを見れば足ります。

・未消化残高の合計。前月より増えているか減っているか ・期限まで2か月を切っていて、残数が半分以上残っている契約の件数 ・その月に発生した中途解約の件数と、返金した総額

1つめは、将来引き受けた労働の量です。2つめは、来月から再来月にかけて起きる相談の件数の予告です。3つめは、券の設計が客の通える現実と合っているかの答えです。3つめが増え続けているなら、券が長すぎるか高すぎます。

この3つを出すには、券の残数と期限が予約の記録と同じ場所にある必要があります。予約は予約ツール、券はエクセル、顧客のカルテは紙、という分かれ方をしていると、数字を出すこと自体が月末の重い作業になります。予約を受けた後、次の来店までを同じ場所で扱える形かどうかは、道具を選ぶときの分かれ目になります。何がどこまでできるかはできることに整理されていて、他社の仕組みとの違いを条件ごとに並べたものが他社との比較にあります。

段ごとの費用は料金に並んでいます。実際に残数と期限がどう見えるのかはデモを見るで画面のまま確かめられます。エステ以外の業態で何が必要になるかを比べたい場合は業種ごとの使い方を、運用に入ってからの細かい疑問はよくある質問を見てください。決済が必須でない業態に合わせて、予約の受付から次の来店までを一続きにしている形であれば、残数の案内や期限の通知は、設定した時点で手を離れます。

券の管理でつまずく店は、道具が足りないのではなく、数え方を決めていません。線の内側かどうかを判定し、単価を書面に書き、減らす時点を1つに決め、期限と延長の条件を紙にする。この4つを終えてから道具を選べば、選ぶ基準も自然に決まります。

Q1. 回数券に「返金不可」と書いておけば、途中解約を断れますか?

断れません。特定継続的役務提供に該当する契約では、中途解約の権利と請求額の上限が法律で定められていて、これに反する特約で客に不利なものは無効になります。エステの場合、提供済みの対価に加えて請求できるのは2万円か契約残額の10%のいずれか低い額までです。

Q2. 5万円を超えない小さな回数券なら、書面は要りませんか?

金額と期間の両方を超えなければ特定継続的役務提供には該当しないので、法定の書面義務はかかりません。ただし残数と期限の争いは金額に関係なく起きます。総額、1回あたりの単価、有効期限、消化の時点の4つは、券面か控えに必ず書いておいてください。

Q3. 有効期限は何か月に設定するのが妥当ですか?

来店の周期から逆算して決めます。2週間おきに通う10回の券なら理論上は5か月ですが、体調や予定で3回から4回は飛ぶため、8か月から12か月が現実的です。判断の基準は、期限内に使い切れた人の割合が7割を超えているかどうかです。

Q4. 券と一緒に売った化粧品も、解約時に返金することになりますか?

なり得ます。コース契約と併せて売られた化粧品や健康食品、下着類は関連商品として扱われ、コースの解除に伴って一緒に解除できます。請求できる額は、返還された場合は通常の使用料相当まで、返還されない場合は販売価格相当までです。コースと商品の代金は明細を分けて記載してください。

ガイド一覧へ