guide
まつげエクステサロンの回数券とチケットを管理する|残数の数え方と、期限の決め方
2026年9月12日・Rizaflow編集部
回数券を作りたい。あるいは、すでに売っているけれど残数の管理が追いつかない。まつげエクステのサロンでこの相談が多い理由は、この業態の回数券が「1回いくら」で単純に割り切れないからです。同じお客様でも、来店のたびに施術の内容と作業量が変わります。リペアで来た日と付け替えで来た日を同じ1回と数えてよいのか。他店オフが入った日はどうするのか。ここを曖昧にしたまま売ると、必ず後で揉めます。この記事では、単位の決め方から期限、残数の管理、前受金の扱いまでを順に整理します。
回数券の単位を「回」で数えると、必ずずれる
回数券の設計で最初に決めるのは、何を1単位とするかです。多くの店は「1回」で数えますが、まつげエクステでこの数え方をすると、早い段階で問題が起きます。
原因は、来店1回あたりの作業量が大きく変わることです。3週間後に来た人のリペアは、足す本数が40本程度で済むかもしれません。6週間後に来た人は、残りが少なく100本近く足すことになるかもしれません。同じ1回として券を消費させると、後者のお客様は得をして、店は損をします。
さらに、これが行動を歪めます。回数券を持っているお客様が、券の価値を最大にしようとして、来店の間隔をわざと空けるようになるのです。3週間で来ていた人が6週間で来るようになれば、年間の来店回数は17回から8回に減ります。リピートを増やすために作った回数券が、来店の間隔を伸ばす仕掛けとして働いてしまいます。
この業態で機能する数え方は、2つあります。
1つ目は、メニューを固定した回数券にすることです。「100本付け替え6回券」のように、1回分の内容をあらかじめ決めておきます。リペアには使えず、付け替えのみ。この形なら作業量が揃うので、ずれません。
2つ目は、本数で数えることです。「600本分のチケット」を売り、来店のたびに実際に付けた本数を引いていく。3週間ごとに50本ずつ足す人なら12回使えますし、間隔を空けて100本ずつ足す人なら6回で終わります。どちらも受け取る施術の量は同じなので、公平です。
どちらを選ぶかは、店のメニュー構成で決まります。付け替えを中心に回している店なら1つ目で足りますし、リペアと付け替えが混ざる店なら2つ目のほうが実態に合います。
本数で数える方式は管理が細かくなりますが、この業態には合っています。ただし、残数を記録する仕組みが必要になります。紙の券に手書きで引いていくと、店とお客様で認識がずれます。
何を含めて、何を含めないかを先に書く
単位を決めたら、次は範囲です。回数券で受けられるものと、別料金になるものを線引きします。ここを書いておかないと、来店のたびに説明することになります。
線引きが必要になるのは、次の項目です。
・オフの料金。自店で付けたものを外す場合と、他店で付けたものを外す場合で分けるか ・本数を増やす場合の差額。100本の券で120本を希望されたときの扱い ・デザインの変更。カールや太さを変えることに追加料金を取るか ・まつ毛パーマとの併用。券が使えるのか、別会計か ・指名料。担当者を指名する場合の扱い ・キャンセル料。券の1回分を消費させるのか、現金で受け取るのか
このうち、最も揉めるのは最後のキャンセル料です。無断キャンセルが起きたとき、回数券の1回分を消費させる扱いにしている店があります。これは分かりやすい方法ですが、事前に書いていなければ実行できません。券を売る時点で条件として示していないルールを、後から適用することはできないと考えてください。
もう1つ、有効期限の途中で料金を改定した場合の扱いも決めておく必要があります。6回券を買った人が、3回使った時点で店が値上げをした。残り3回は旧料金のまま使えるのか、差額を求めるのか。前者にするのが一般的ですが、決めていなければ現場で判断することになります。
オフの扱いについては、もう少し細かく決めておく価値があります。自店で付けたものを外す場合、付け替えの工程に含まれるので追加料金を取らない店が多いはずです。他店で付けたものを外す場合は、グルーの種類が分からないぶん時間がかかるため、別料金にしている店が一般的です。回数券を持っている人が他店で付けてきた場合、券の範囲外として別に受け取るのか、券の消費を増やすのか。ここを書いていないと、その場で説明することになります。
デザインの変更についても同様です。券を買った時点でCカールの100本を想定していた人が、途中でボリュームタイプに変えたいと言い出すことがあります。ボリュームタイプは1本の地まつ毛に複数の毛を付けるので、施術の時間も材料も変わります。券の1回分で受けられる範囲を、本数だけでなく種類でも定義しておいてください。
これらの条件は、券に印刷するか、購入時に渡す紙に書くか、予約管理の画面から見られる形にしてください。口頭で説明しただけでは、数か月後には双方の記憶が食い違います。
期限は、毛周期から逆算して決める
有効期限の長さは、店側の都合ではなく、施術の周期から逆算して決めるべきです。ここを短く設定しすぎると、使い切れない券が出て、不満だけが残ります。
まつげエクステでは、装着した毛が地まつ毛と一緒に抜けていくため、一般に3週間から4週間でリペアや付け替えの時期が来ます。仮に4週間ごとに来店するとして、6回券を使い切るには24週間、およそ6か月かかります。
ここで期限を6か月に設定すると、余裕がまったくありません。仕事が忙しい時期、体調を崩した週、旅行に行った月。1回でも予定がずれれば、最後の1回が期限をまたぎます。
現実的な設定は、理論上の消化期間に1.5倍程度の余裕を持たせることです。6回券なら9か月から1年。10回券なら1年半。この長さなら、多少の予定変更があっても使い切れます。
期限を長くすることに抵抗を感じる店主もいますが、期限が短いことによる利益は見た目ほど大きくありません。期限切れで消えた券は、その場では店の利益に見えます。しかしその人はもう来ません。1回分の未消化と引き換えに、その後の来店をすべて失う計算になります。
期限の起算点も決めておいてください。購入した日から数えるのか、最初に使った日から数えるのか。購入日から数えるのが一般的ですが、購入した日にそのまま1回目を使う人が多い業態なので、実務上の差は小さいはずです。差が出るのは、贈答用として買った場合です。誕生日の贈り物として券を渡すケースでは、購入から使い始めるまでに数週間空くことがあります。この場合に購入日から数えると、実質的に使える期間が短くなります。
期限が近づいたときに知らせる仕組みも用意してください。残り1回で期限まで1か月を切ったお客様に連絡を入れれば、その1回は消化されます。この抽出を手作業でやると、実際には誰もやりません。予約と顧客の記録が繋がっていれば、条件で絞り込むだけで対象者が出ます。
残数を減らすのは誰か、いつか
回数券の管理でずれが生じる最大の原因は、残数を減らす手順が決まっていないことです。
決めるべきことは3つあります。誰が減らすのか、いつ減らすのか、どこに記録するのかです。
誰が減らすのかについては、施術者本人にするのが確実です。受付が別にいる店では受付が処理する形もありますが、本数で数える方式の場合、実際に何本付けたかを知っているのは施術者だけです。
いつ減らすのかは、施術が終わって会計をする時点です。予約が入った時点で減らす設計にすると、キャンセルされたときに戻す処理が必要になり、戻し忘れが発生します。
どこに記録するのかが、最も重要です。ここで多いのが、紙の券とカルテの両方に書く運用です。二重に書けば安心だと考えがちですが、実際には片方だけ書かれる日が出て、どちらが正しいのか分からなくなります。
記録は1か所に絞ってください。そして、その1か所は予約を受ける画面と同じ場所であるべきです。理由は、予約を受ける瞬間に残数が見えている必要があるからです。「次のご予約は」と聞かれた時点で、残りが1回なのか3回なのかが分かれば、その場で追加の券を提案できます。棚のファイルを開かないと分からない状態では、この会話が成立しません。
キャンセルが発生したときの扱いも、手順として決めておいてください。当日のキャンセルで券を消費させる方針にしているなら、その処理を誰がいつ行うのかが必要になります。施術が行われていないので、通常の会計の流れには乗りません。処理を忘れると、方針を決めた意味がなくなります。
スタッフが複数いる店では、さらに注意が要ります。担当が変わったときに残数の認識がずれると、お客様の目の前で確認することになります。この場面は、店の管理が雑だという印象を強く残します。全員が同じ画面を見ている状態を作ってください。
割引の幅を、どこまで付けるか
回数券を作るときに必ず決めることになるのが、割引の幅です。ここを感覚で決めると、売れるほど苦しくなる券ができあがります。
判断の材料になるのは、1回あたりの原価と、施術に使う時間です。まつげエクステの原価は、材料そのものより時間の比重が大きい業態です。エクステの毛やグルー、テープの費用は1回あたりで見ればわずかですが、施術者が拘束される90分は取り返しがつきません。1人サロンなら、その日に受けられる人数の上限がそのまま売上の上限になります。
つまり、割引によって1回あたりの単価を下げるということは、限られた施術枠を安く売ることを意味します。7,000円の施術を6回券で10%引きにすれば、4,200円の減収です。この減収に見合う効果が得られるかを考えてください。
見合う効果とは、来店の回数が増えることです。券がなければ年8回だった人が、券を持つことで年12回来るようになるなら、割引をしても総額は増えます。逆に、もともと毎月来ていた常連に券を売ると、来店回数は変わらないまま単価だけが下がります。
だから、券を勧める相手を選ぶ必要があります。すでに安定して通っている人に割引の券を売るのは、自分の売上を削る行為です。間隔が空きがちな人、まだ通うかどうか決めかねている人に向けて設計するほうが、効果があります。
割引以外の付加価値を付ける方法もあります。券を持っている人だけ予約枠を先に開放する、指名料を無料にする、コーティング剤を毎回付ける。金額を下げずに価値を上げられるなら、そのほうが健全です。
前受金は、まだ売上ではない
回数券を売ると、その日に現金が入ります。ここに落とし穴があります。
回数券の代金は、施術を提供する前に受け取ったお金です。会計上は前受金として扱い、実際に施術を提供した時点で売上に振り替えていくのが基本の考え方になります。国税庁は、商品券などの物品切手等について次のように示しています。
商品券など物品切手等を用いる取引では、物品切手等の購入は非課税とされ、後日、物品切手等を使って実際に商品を購入したり、サービスの提供を受けた時が課税の時期となります。 出典: 国税庁
自店で発行する回数券がこの扱いに当たるかどうかは、券の性質によって判断が分かれる場合があります。処理の方法は顧問の税理士に確認してください。ここで押さえておきたいのは、税務上の細かい扱いよりも、経営上の意味のほうです。
回数券の代金は、これから提供する施術に対する預かり金です。6回券を10人に売れば、まとまった額が一度に入ります。この現金を、その月の売上として使ってしまうと、翌月以降の施術は無報酬で行うことになります。1人サロンでは、この感覚のずれが資金繰りを狂わせます。
現実的な対策は、回数券の売上を別に把握することです。月の売上を見るときに、施術で得た分と、券の販売で得た分を分けて表示する。これができていれば、実際にどれだけ稼いだのかを見誤りません。
また、未消化の残数を合計した金額も、定期的に把握してください。これは店が負っている「これから提供する義務」の総量です。仮に未消化が30万円分あるなら、その分の施術時間が将来の予定として押さえられていることになります。新しい券を売る前に、この総量を見る習慣を付けてください。
なお、前払いで受け取った金額が一定の規模を超えると、資金決済に関する法律に基づく届出などの手続きが関わってくる場合があります。個人サロンの規模で直ちに該当することは考えにくいものの、券の販売を大きく広げるつもりがあるなら、事前に専門家へ確認してください。
期限切れと返金の扱いを、先に書いておく
期限が来た券をどう扱うかは、必ず問い合わせが来る部分です。方針を書いていないと、来るたびに個別に判断することになります。
考えられる扱いは3つあります。期限を過ぎたら失効とする、一定期間だけ延長を認める、残数分を返金する。
失効とする場合でも、実務としては期限が切れる前の連絡が前提になります。何の連絡もないまま失効させると、不満が残ります。期限の1か月前と1週間前に案内を出す運用にしておけば、大半の人は使い切ります。
返金については、消費者契約法などが関わる場面があり、条項の書き方によっては効力が制限される可能性があります。「いかなる理由でも返金しない」という一文を置けば必ず守られる、というものではありません。返金の条件を設ける場合は、その内容が合理的なものかを確認したうえで書いてください。判断に迷う場合は、消費者庁の窓口や専門家に確認するのが確実です。
現実的に多いのは、店都合の事由と客都合の事由を分ける形です。店が閉店する、引っ越しする、担当者が退職して施術を続けられないといった場合は、残数分を返金する。客側の事情で使い切れなかった場合は、期限内であれば譲渡や延長で対応する。この線引きを、券を売る時点の説明に含めてください。
休止、譲渡、家族での利用をどうするか
回数券には、期限とは別に決めておくべき運用のルールがあります。まつげエクステの場合、次の3つがよく出ます。
1つ目は、妊娠や出産による休止です。この業態は20代から40代のお客様が中心なので、妊娠を理由にしばらく来られなくなる人が一定数います。体調によっては施術を控えることもあります。この期間を期限から除外する扱いにするかどうかを決めてください。休止の申し出があった時点で期限を止め、再開の連絡があったら再び動かす。この運用は手作業でも管理できますが、記録は必ず残してください。
2つ目は、譲渡です。友人や家族に譲れるかという質問は必ず来ます。譲渡を認めると、初めて来る人に施術することになるので、その場でカウンセリングと同意の確認が必要になります。禁止するなら、その旨を先に書いておいてください。
3つ目は、家族での利用です。母と娘で1つの券を使いたいという相談は、この業態では珍しくありません。認める場合は、施術の記録を誰の名前で残すかを決めておく必要があります。目のアレルギーや疾患の記録は、人ごとに分かれていなければ意味がありません。券は共有できても、カルテは共有できないと考えてください。
回数券と、月額の定額制は別のものとして考える
回数券の話をすると、月額の定額制と混同されることがあります。仕組みも、効果も、管理の手間も違うので、分けて考えてください。
回数券は、まとまった回数を前払いで買ってもらう仕組みです。1回あたりの単価を下げる代わりに、来店を先に確保します。お金が先に入るので資金繰りには有利ですが、その分だけ将来の施術義務を負います。
月額の定額制は、毎月一定額を払ってもらい、その範囲で施術を受けてもらう仕組みです。来店の間隔が読める業態なので、まつげエクステとは相性がよいと言えます。ただし、来店しない月があっても課金され続けるため、使わなかった月が続くと解約されます。解約の管理と、支払い方法の管理が必要になり、回数券より運用が重くなります。
どちらを選ぶかは、店の客層で決まります。来店の間隔が安定している常連が多い店なら定額制が回りやすく、間隔にばらつきがある店なら回数券のほうが無理がありません。
いずれにしても、予約の管理と残数や契約の管理が別々の場所にあると、運用が破綻します。予約を受ける画面で残りが見えて、施術が終われば消費が記録される。この一続きの流れがあるかどうかが判断の分かれ目です。決済が必須でない業態に合わせて、予約の受付から次の来店までを一続きにしているという設計が意味を持つのは、こうした場面です。どこまでが1つの流れとして扱えるかはできることで確認できます。
スタッフが辞めたときに、券がどうなるか
指名制を取っている店では、券を売る前に決めておくべきことがもう1つあります。担当のスタッフが辞めたとき、その人を指名して買った券をどう扱うかです。
まつげエクステは、担当者との相性が来店の理由になりやすい業態です。仕上がりのデザインは施術者の手癖が出ますし、目元という繊細な場所を任せる相手を変えることに抵抗を感じる人もいます。「この人にやってもらいたいから6回分を先に買った」というお客様は、担当が辞めた時点で、買った理由を失います。
この場合の扱いは、店として先に決めておいてください。残数分を返金する、別のスタッフで継続してもらう、有効期限を延長して様子を見てもらう。どれを選ぶにしても、その場で判断すると、対応がお客様ごとにばらつきます。
そして、この事態は珍しくありません。美容の業界は人の入れ替わりがあり、独立して自分の店を持つ人も多い分野です。券の販売を始める前に、この条件を含めた説明の文面を作ってください。
もう1つ、辞めたスタッフが担当していたお客様の記録が引き継げるかどうかも確認しておくべきです。デザインの記録、使ったグルー、アレルギーの有無。これらが担当者の頭の中や個人の手帳にしかない状態だと、引き継ぎができません。記録が店の側に残る形になっていれば、担当が変わっても施術の質を保てます。券を売るということは、将来の施術を約束することです。約束を果たせる体制になっているかを、先に確かめてください。
売る場面を、どこに置くか
回数券を作っても、売れなければ意味がありません。売る場面をどこに置くかで、成約の率が大きく変わります。
初回の来店で売ろうとするのは、無理があります。技術も接客もまだ分からない相手に、6回分の前払いを求めることになります。断られるだけでなく、押しの強い店だという印象が残ります。
現実的なのは、2回目か3回目の来店です。この段階なら、仕上がりも持ちも確認済みで、通い続ける前提ができています。ここで「回数券を使うと1回あたりが安くなります」と伝えれば、自然な提案になります。
伝える場面は、施術が終わって次の予約を決めるときが最も適しています。次にいつ来るかを考えている瞬間なので、券の話が噛み合います。施術中に切り出すと、目を閉じている状態で金額の判断を迫ることになり、落ち着いて考えられません。
そして、何回目の来店かを把握していなければ、この判断ができません。予約の画面に来店回数が出ていれば、施術に入る前に今日が提案の日かどうかが分かります。記録を見なければ分からない状態では、提案の機会を逃し続けます。
紙の券をやめるかどうかの判断
回数券を紙で発行している店は多く、それ自体が悪いわけではありません。ただし、紙には固有の問題があります。
まず、忘れられます。財布に入れたまま持ってこない人が一定数います。そのたびに「今回は残数を控えておきますね」という処理が発生し、次回に持ってきたときに突き合わせることになります。この突き合わせが、ずれの発生源です。
次に、なくされます。半年から1年使う券なので、途中で紛失する人が出ます。残数が店側にも記録されていれば再発行できますが、券にしか書いていなければ、お客様の記憶と店の記憶を突き合わせることになります。
3つ目に、偽造や書き換えの余地があります。手書きで線を引いていく方式だと、消して書き直すことが物理的に可能です。実際に起きるかどうかより、その余地がある運用を続けること自体が管理として弱いという話です。
一方で、紙には利点もあります。手元に残るので、券を持っていることを忘れにくい。買った実感がある。この点は無視できません。
現実的な折衷案は、紙の券を渡しつつ、正としての記録は店側に持つことです。券は「持っていることを思い出すための道具」と位置づけ、残数の正しい値は店の記録を見る。券を忘れた人にも、その場で施術を提供できます。
この形にするには、店側の記録が予約の画面から見られる必要があります。パソコンを開かないと分からない状態では、受付の場面で確認できません。施術の合間に手元の端末で見られることが条件になります。
導入したあとに見る数字
回数券を始めたら、次の3つを見てください。
1つ目は、券を持っている人の来店間隔です。券を持っていない人と比べて、間隔が短くなっているか。伸びているなら、単位の設計が「間隔を空けたほうが得」になっている可能性があります。設計を見直す合図です。
2つ目は、消化率です。売った券のうち、どれだけが使い切られているか。8割を下回るなら、期限が短すぎるか、案内が届いていません。
3つ目は、券を使い切ったあとの再購入です。6回を使い切った人が、次の券を買っているか。ここが低いなら、券の価格に対して満足度が見合っていないか、使い切ったタイミングで声をかけていません。
4つ目として、券を持っている人の1回あたりの単価も見ておいてください。本数で数える方式にしている店では、券を持つと1回に足す本数が減る人が出ます。残りを大事に使おうとする心理です。この場合、来店回数は増えても1回の作業量が減るので、総額は思ったほど伸びません。設計としては悪くありませんが、想定していた効果とは違う動き方をします。
数字を見る周期は、3か月ごとで十分です。券は半年から1年かけて消化されるものなので、月単位で見ても動きが読めません。売り始めてから6か月経った時点で、最初に買った人たちがどうなったかを見る。ここが最初の判断の場になります。
数字を見るには、券の発行日、残数、消化日、使い切った日が記録として残っている必要があります。紙の券だけで運用していると、この集計はできません。導入の前に、記録の置き場所を決めておいてください。
費用の考え方は料金に整理されています。他の業態でどう組んでいるかは業種ごとの使い方が参考になり、他のサービスとの違いは他社との比較で確認できます。実際の画面はデモを見るから動かせますし、導入前に出やすい疑問はよくある質問にまとまっています。
Q1. まつげエクステの回数券は、回で数えても問題ありませんか?
回で数えると、来店の間隔によって作業量が変わるため、間隔を空けたほうが得になる設計になってしまいます。メニューを固定した券にするか、本数で数える方式にしてください。本数で数える方式は管理が細かくなりますが、施術量が公平になり、来店の間隔を伸ばす動機が生まれません。
Q2. 回数券の有効期限は、どのくらいに設定すべきですか?
理論上の消化期間に1.5倍程度の余裕を持たせてください。4週間ごとの来店で6回券なら約6か月で使い切れる計算ですが、実際には予定がずれるため、9か月から1年が現実的です。期限切れで消えた券は一時的な利益に見えますが、そのお客様の以後の来店をすべて失う可能性があります。
Q3. 回数券の代金を、その月の売上として扱ってよいですか?
会計上は前受金として扱い、施術を提供した時点で売上に振り替えるのが基本の考え方です。処理の方法は顧問の税理士に確認してください。経営上重要なのは、券の販売で得た額と施術で得た額を分けて把握することです。分けていないと、将来無報酬で行う施術の分まで稼いだと錯覚します。
Q4. 残数の管理は、紙の券とカルテのどちらに書くべきですか?
1か所に絞り、その場所は予約を受ける画面と同じにしてください。二重に記録すると片方だけ書かれる日が出て、どちらが正しいか分からなくなります。予約を受ける瞬間に残数が見えていれば、次回の予約を決める場面で追加の券を提案でき、期限が近い人への案内も抽出できます。