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サロンの顧客管理をスプレッドシートで|壊れない作り方と限界
2026年9月8日・Rizaflow編集部
サロン 顧客管理 スプレッドシートで調べる人は、費用をかけずに、自分の店に合った形で管理したいと考えています。実際、表計算は小さな店にとって強力な道具です。問題は作り方で、最初の設計を間違えると、半年で誰も開かなくなります。ここでは、壊れにくい表の作り方を順番に示し、よくある壊れ方を4つ挙げ、最後に、表計算では追いつかなくなる合図を書きます。作る前に読んでおくと、作り直しが1回減ります。
表計算が強いところと、弱いところ
最初に、道具としての性格を押さえておきます。ここを理解して使えば、かなり長く戦えます。
強いのは、自分の店の形に合わせられることです。扱っているメニューも、記録したい項目も、店ごとに違います。既製の仕組みは、その店だけの事情に合わせられません。表計算なら、必要な列を足して、要らない列を消せます。開業したばかりで何を記録すべきか決まっていない時期には、この自由さが効きます。
もう1つ強いのは、集計です。月ごとの来店数、メニュー別の件数、スタッフ別の売上。並べ替えと絞り込みと合計で、たいていの数字は出ます。これらを出すために追加の費用はかかりません。
弱いのは3つです。1つ目は、自動で動かないこと。誰かが入力しなければ、表は1行も増えません。2つ目は、外とつながらないこと。予約が入っても表には反映されず、表に書いても連絡は飛びません。3つ目は、同時に触ると壊れやすいこと。スタッフが3人で同じ表を触り始めると、上書きと削除が起きます。
もう1つ、見落とされやすい弱点があります。誰が何を書いたかが残りにくいことです。変更の履歴をたどれば分かりますが、日常の画面には出ません。金額の入力を間違えていた、来店日が1日ずれている、といったときに、原因を追う手段が実質ありません。人数が増えるほど、この弱点が効いてきます。
この強弱を踏まえると、向いているのは次の状況です。1人か2人でやっていて、予約の受け方は電話や個別のやり取りが中心で、月の来店が数十件から百件程度の店。ここから外れてくると、弱いところが目立ち始めます。
表は1枚ではなく、2枚に分ける
作り方の話に入ります。ここが最も重要です。多くの人が1枚の表で作ろうとして、3か月で行き詰まります。
分けるのは、顧客の台帳と、来店の記録です。台帳は1人1行で、名前と連絡先といった変わらない情報を持ちます。来店の記録は1回の来店で1行で、日付とメニューと担当者と金額を持ちます。
なぜ分けるのか。1枚にすると、来店のたびに列を右へ足していくことになるからです。3回目の来店で列が3組になり、10回目には表が横に伸びて画面に収まりません。しかも、その形では「今月の来店数」も「メニュー別の集計」も出せません。集計ができない表は、記録の意味が半分になります。
2枚に分けると、来店のたびに下へ1行足すだけになります。行が増えても表の形は変わりません。日付で並べ替えれば日報になり、名前で並べ替えれば個人の履歴になり、メニューで絞れば人気の順が出ます。同じ1行が、3通りの使い方に耐えます。
2枚をつなぐために、台帳の各行に番号を振ってください。1番、2番と順に振るだけで構いません。来店の記録には、名前ではなくこの番号を書きます。名前で結ぶと、表記のゆれで結び付かなくなります。番号なら間違えようがありません。
・台帳。1人1行。番号、名前、連絡先、初回の来店日、備考 ・来店の記録。1回1行。日付、番号、メニュー、担当者、金額、メモ
この2枚だけで、顧客管理としては十分に機能します。3枚目を作りたくなったら、本当に必要かを一度疑ってください。枚数が増えるほど、更新されない表が生まれます。
列は少なく、入力の形式は固定する
列を決めるときの原則は2つです。読み返さない列は作らないこと。そして、書き方を人に委ねないことです。
日付の列は、必ず日付として入力してください。文字として「9月4日」と書くと、並べ替えも引き算もできません。日付として入っていれば、経過した日数が計算できます。ここが後の作業の土台になります。
メニューの列は、自由入力にしないでください。カットとカット(税込)とcutが混ざると、集計で3種類に分かれます。あらかじめメニュー名の一覧を作り、そこから選ぶ形にしてください。表計算には入力の候補を出す仕組みがあるので、それを使います。スタッフの名前も同じです。
金額の列は、数字だけを入れます。円という文字を一緒に入れると、合計が出せません。表示の設定で円を付けることはできるので、中身は数字にしておきます。
連絡先の列は、電話番号の頭の0が消える問題に注意してください。数字として扱われると先頭の0が落ちます。文字として扱う設定にするか、あらかじめ列の書式を文字に変えておきます。ここは作った直後に必ず確かめてください。
備考の列は1つだけにします。アレルギーの申告、会話のメモ、次に提案したいこと。分けたくなりますが、分けるほど空欄が増えます。1つにまとめて、書ける人が書ける範囲で書く形が続きます。
そろそろ来る頃の人を、自動で出す
表計算を使う最大の利点が、この計算です。手で数えていたことを、式に任せられます。
考え方は単純です。その人の最後の来店日と、今日の日付の差を取ります。表計算には今日の日付を返す仕組みがあるので、それを使って引き算をすると、経過した日数が出ます。次に、その人のいつもの来店の間隔を出します。来店の記録が2回以上あるなら、初回から最新までの日数を、来店回数から1を引いた数で割れば平均の間隔になります。
この2つが並ぶと、判断ができます。経過した日数が、いつもの間隔を超えている人。この人たちが、声をかける相手です。超えた日数の大きい順に並べ替えれば、優先順位まで出ます。
来店が1回しかない人は、平均が出せません。この場合は、店の標準的な間隔を当てはめてください。カットが中心なら1か月から2か月、カラーを含むなら1か月半前後、ネイルなら3週間から4週間が目安です。自分の店の実際の数字は、記録が貯まってから計算し直せます。
一覧を出すときは、別のシートに「今週声をかける人」という表を作って、そこに条件で抜き出した結果を表示させると使いやすくなります。毎回、元の表を並べ替える必要がなくなるからです。元の表を並べ替えると、次に書いた人が「順番が変わっている」と混乱します。元の表は日付順のまま触らないほうが安全です。
・経過した日数。今日の日付から最後の来店日を引く ・いつもの間隔。初回から最新までの日数を、来店回数から1を引いた数で割る ・声をかける相手。経過日数が、いつもの間隔を超えている人 ・優先順位。超えた日数が大きい順
毎月見る数字は、3つに決める
記録を貯めるだけで終わる店と、売上が動く店の差は、貯めた数字を見るかどうかです。ただし、見る項目を増やすと見なくなります。3つに決めてください。
1つ目は、新規と既存の割合です。今月の来店のうち、初めて来た人が何人か。この割合が下がり続けているなら、新しい出会いが細っています。上がり続けているなら、来た人が戻ってきていません。どちらも早めに気付けば手が打てます。来店の記録の表で、その人の番号が過去に出ているかどうかを見れば分かります。
2つ目は、来店の間隔の平均です。全体の平均が先月より伸びているなら、戻りが遅くなっています。伸びた原因は、季節、値上げ、担当者の異動など、いろいろあり得ます。原因の特定より、まず伸びていることに気付くのが大事です。
3つ目は、メニュー別の件数と金額です。どのメニューが件数を稼いでいて、どれが金額を稼いでいるか。件数は多いのに金額が小さいメニューは、忙しさの割に残りません。ここが分かると、次に押すメニューが決まります。
見る日も決めてください。月初の1日か、締めをした翌日。15分だけ表を開いて、この3つを紙に書き写します。書き写すのは、前の月と比べるためです。画面で見るだけだと、先月の数字を覚えていません。
・新規と既存の割合 ・来店の間隔の平均 ・メニュー別の件数と金額
この3つが、表計算でいちばん価値を発揮する部分です。予約を受ける仕組みにはこうした集計が最初から付いていることが多いのですが、自分で式を組んだ経験があると、出てきた数字の意味が読めます。
備考の欄に何を書くかで、記録の価値が変わる
列の設計で1つだけ触れておきたいのが、備考の欄です。ここに何を書くかで、記録が資産になるか、ただの履歴で終わるかが分かれます。
書いて役に立つのは、次に会ったときに使える一言です。仕上がりの好みが強めか控えめか。前回の施術で気になると言っていたところ。旅行や式など、次の来店の理由になりそうな予定。担当者を替えたときの反応。この種の一言は、次の接客をそのまま変えます。
逆に、書いても使われないものもあります。その日の天気、こちらの反省、感想。読み返しても行動が変わらない情報は、書く時間の分だけ損です。
書き方も決めておくと後で読みやすくなります。日付を頭に付けて、1行で書く。長く書かない。読むのは忙しい日の30秒なので、長い文章は読まれません。「9月4日 前回より明るめ希望。次回は根元だけ」くらいの粒度で十分です。
そして、書いた内容を来店前に読む習慣を作ってください。読まないなら書く意味がありません。翌日の予約を確認するときに、その人の備考も一緒に見る。この2つを同じ動作にしておくと、続きます。
なお、健康に関する申告は備考に混ぜないでください。扱いが重く、共有の範囲を分けたい情報だからです。混ぜてしまうと、備考の欄ごと共有範囲を絞ることになり、日常の使い勝手が落ちます。
入力が続く形にしないと、表は3か月で止まる
作り方より難しいのが、続けることです。止まる理由はいつも同じで、入力の場所と時刻が決まっていないからです。
決めることは3つです。いつ入れるか。誰が入れるか。どこから入れるか。
いつ入れるかは、会計のタイミングに寄せるのが最も続きます。会計は必ずやる作業なので、そこにくっつけると忘れません。営業後にまとめて入れる形は、疲れている日に飛ばされます。飛ばした日の記録は、翌日にはもう思い出せません。
誰が入れるかは、必ず1人に決めてください。「気付いた人が入れる」は、誰も入れないのと同じです。2人以上いる店では、日ごとの当番にするか、受付の役割の人に固定してください。
どこから入れるかも重要です。バックヤードのパソコンを開かないと入れられない形だと、忙しい日に入りません。スマートフォンから入れられるようにしておくと、施術の合間の30秒で済みます。ただ、表を横にスクロールしながら入力するのはつらいので、入力用の簡単な入力欄を別に用意して、そこから表に流し込む形にすると楽になります。表計算のサービスには、そうした入力の仕組みが付いています。
入力の速さも設計です。開いてから終わるまで30秒を超えると、忙しい日に飛ばされます。よく使うメニューは選ぶだけにする、担当者は初期値を入れておく、日付は自動で今日が入るようにする。この3つで、たいてい30秒を切ります。
共有の設定を間違えると、事故は一瞬で起きる
ここは慎重に扱ってください。表計算は共有が簡単な分、範囲を広げすぎる事故が起きます。
個人情報保護委員会は、漏えい等の報告が義務付けられる場合の例として、次の場合を挙げています。
システムの設定ミス等によりインターネット上で個人データの閲覧が可能な状態となり、当該個人データに係る本人の数が1,000人を超える場合 出典: www.ppc.go.jp
同じページには、会員に案内を送るときに、本来は宛先を伏せて送るべきところを全員に見える欄に入れて一括で送った場合も、例として挙げられています。どちらも、悪意ではなく設定と操作の間違いで起きる形です。法律の解釈にわたる判断は所管の窓口や専門家に確認してください。ここで書けるのは、こういう事故が現に想定されているという事実です。
やることは4つです。共有はスタッフ個人のアカウントを指定して行い、リンクを知っている人なら誰でも見られる設定にはしないこと。編集できる人と、見るだけの人を分けること。辞めたスタッフの共有をその日のうちに外すこと。端末に画面のロックをかけること。
もう1つ、健康に関する記載を表に入れるかどうかも決めてください。エステや整体で問診を取っている店では、持病や服薬の申告が入ります。この種の情報は扱いが特に重く、同じページでは要配慮個人情報として、病歴や検査の結果などが挙げられています。共有の範囲を絞り切れないなら、その欄は表に置かず、別の管理に分けるほうが安全です。
よくある壊れ方は、この4つ
実際に運用していると、次の4つのどれかで壊れます。先に知っておけば防げます。
1つ目は、行の並べ替えで数式がずれることです。計算の式が入った列を含めて並べ替えると、参照先が意図とずれます。防ぐには、元の表は並べ替えず、集計は別のシートで行ってください。どうしても並べ替えたいときは、必ず表全体を選んでから行います。
2つ目は、コピーによる重複です。同じ人を2回登録する、来店の行を複製して日付だけ直し忘れる。月に一度、番号や連絡先の重複を確かめてください。重複を放置すると、来店回数が実際の半分に見えて、判断が全部ずれます。
3つ目は、同時編集です。2人が同じセルを同時に触ると、後から書いたほうが残ります。片方の入力が消えたことに、誰も気付きません。入力する人を1人に決めるのは、この事故を防ぐためでもあります。
4つ目は、誤って削除することです。行を消した、シートを消した、範囲を選んで削除した。表計算のサービスには変更の履歴が残る仕組みがあるので、消したことに気付いた時点で戻せます。ただし気付くのが1か月後では、その間の入力も一緒に巻き戻すことになります。
・並べ替えは表全体で。集計は別のシートに置く ・月に一度、重複を確かめる ・入力する人を1人に決める ・履歴から戻せることを、平時に一度試しておく
壊れたときに慌てないために、表の作り方をどこかに書き残しておくのも効きます。どのシートが何のためにあるか、どの列に式が入っているか、集計はどこを参照しているか。この3行をシートの隅か、別のメモに書いておいてください。作った本人が忘れますし、引き継ぐときにも要ります。式の意味が分からない表は、誰も触れなくなり、間違いに気付いても直せません。
保存の控えも作ってください。月に一度、表をファイルとして書き出して、別の場所に保管します。アカウントが使えなくなる、誤って共有を全部外す、といった事態のときに、これがあれば戻れます。
スマートフォンから使うための工夫
店の中でパソコンを開ける時間は、思っているより短いです。表計算をスマートフォンから使えるようにしておくと、続く確率が上がります。
まず、そのまま開くと使いにくいことを前提にしてください。列が多い表は横にスクロールし続けることになり、目的のセルに指が届きません。だから、スマートフォン用の入り口を別に用意します。
入力については、簡単な入力欄を作って、そこから表に流し込む形が最も速いです。名前を選び、メニューを選び、金額を打つ。この3つだけの画面なら、片手で終わります。表計算のサービスには、こうした入力の仕組みが付いています。
閲覧については、自分だけに見える絞り込みの表示を作っておくと便利です。全員が同じ絞り込みをかけると、他の人の画面まで変わってしまいますが、自分だけに効く形の絞り込みなら、他の人の作業を邪魔しません。「今週声をかける人」と「今日の来店」の2つを用意しておけば、日常はこれで足ります。
印刷にも触れておきます。翌日の予約と、来る人の備考をまとめて1枚に印刷しておくと、通信が止まった日でも営業が回ります。月に一度、印刷が崩れていないかを確かめてください。列を足したときに、印刷の範囲からはみ出していることがあります。
予約表と顧客の表を、同じシートに混ぜない
もう1つ、よくある作り方の失敗を書いておきます。予約表と顧客の表を1つにしてしまう形です。
予約表は、これから起きることを書く表です。日付と時間と枠が主役で、埋まっているかどうかを見ます。顧客の表は、すでに起きたことを書く表です。誰が来て何をしたかが主役です。役割が違うので、並べ方も見る場面も違います。
混ぜると、両方が使いにくくなります。予約表として見るには過去の行が邪魔になり、顧客の記録として見るには未確定の予定が混ざります。集計するときには、来ていない予定まで数えてしまい、売上が実際より多く見えます。
分けたうえで、来店が終わったら予約の行を顧客の記録へ移す、という運用にしてください。移すときにキャンセルと来店を区別できるので、キャンセルの割合も後から計算できます。この数字は、当日の受付をどこで締めるかを決めるときに効きます。
なお、予約表を表計算で運用する場合、当日の変更に弱いという弱点は残ります。お客様から変更の連絡が来たら、店の誰かが表を直すことになります。直すまでの間に別の予約が入れば、同じ時間に2人が並びます。予約の受付そのものを仕組みに任せられるなら、そちらのほうが安全です。
転記が残っている限り、時間は返ってこない
ここまでで、表の作り方と守り方を書きました。それでも残る問題が1つあります。転記です。
厚生労働省が公開している生活衛生関係営業向けの手引きには、理容業の事例として、予約の受け方の課題がこう記されています。
予約の電話を受けた際、一旦メモ帳に記入し、更に日ごとの予約表に転記しているため、ミスが発生する可能性がある 出典: www.mhlw.go.jp
同じ資料の別の事例には、アナログの作業による転記のミスの危険に対する心理的な負担がある、という記述もあります。
表計算で顧客管理をしている店の多くは、この転記が2回か3回残っています。予約の電話を受けてメモに書く。メモから予約表に書く。来店したら顧客の表に書く。書く場所が3つあれば、間違いが入り込む場所も3つです。
ここが、表計算の限界そのものです。表計算は、書き写した先を整理するのは得意ですが、書き写すこと自体は減らせません。減らすには、お客様が自分で予約する経路を作って、店の入力を最初からなくすしかありません。予約が入った時点で名前と連絡先とメニューが記録に入っていれば、来店後に書き写す作業は発生しません。
つまり、表計算を頑張って改良しても、減るのは3回目の手間だけです。1回目と2回目は残ります。時間が返ってこないと感じているなら、原因は表の作りではなく、予約の受け方のほうにあります。
既存の紙の顧客カードから移すときの割り切り
これまで紙のカードで管理してきた店が表計算に移すとき、全部を入力しようとして止まります。ここは割り切ってください。
移すのは、直近1年に来店した人だけで十分です。2年以上来ていない人の情報は、移しても使いません。紙は箱に入れて保管しておいて、もしその人が再来店したら、そのときに1件だけ入力すれば済みます。
入力の順番も決めておくと進みます。まず、名前と連絡先だけを全員分入れる。次に、最後の来店日を入れる。この2段階に分けると、途中で止まっても使える状態になります。逆に、1人ずつ全項目を埋めていく形だと、途中で止まったときに半分の人しか登録されていない表ができます。
作業の時間も決めてください。営業後に30分だけ、と決めて、それ以上はやらない。まとめて休日にやろうとすると、1日つぶれたうえに終わりません。1日30分で、100人なら1週間ほどで終わります。
入力しながら、要らない情報も見えてきます。何年も前の記録、いまは扱っていないメニュー、連絡先が変わっている人。この掃除ができるのが、移すときの隠れた利点です。移し終わったときには、生きている顧客が何人いるのかが初めて分かります。多くの店で、思っていたより少ない数字が出ます。その数字が、次の打ち手を決める出発点になります。
表計算を卒業する合図と、そのときの移し方
最後に、いつまで表計算で戦えるかを書きます。合図は3つあります。
1つ目は、顧客が300人を超えたあたりです。並べ替えと絞り込みで探すこと自体はできますが、毎回それをやるのが面倒になります。面倒になると、やらなくなります。
2つ目は、スタッフが3人を超えたときです。同時編集の事故が増え、入力の当番も回りにくくなります。誰がいつ何を書いたかを追う手段がないので、間違いの原因も特定できません。
3つ目は、連絡を送り分けたくなったときです。前回のメニューや来店の間隔で相手を絞って、それぞれ違う内容を送りたい。表計算で相手のリストは作れますが、送る作業は別の場所でやることになります。この行き来が毎回発生します。
移すときは、順番を守ってください。まず今の表をそのまま保存する。次に重複を掃除する。3番目に列の名前を移す先の形式に合わせる。4番目に10件だけ試して文字化けや日付の崩れを確かめる。最後に全件を入れて、2週間だけ古い表と並行させる。この順番なら、やり直しが起きません。
移した先で効いてくるのは、入力が予約の流れに組み込まれているかどうかです。決済が必須でない業態に合わせて、予約の受付から次の来店までを一続きにしている仕組みなら、予約を受けた時点で記録が始まり、来店後の御礼も次回の案内も同じ場所から出せます。表計算で毎月使っていた突き合わせの時間が、そのまま消えるということです。
何がどこまで標準で使えるのかはできることを、費用は料金を見て1件あたりに直して比べてください。自分の業種でどの記録が前に出るのかは業種ごとの使い方が参考になり、入力の速さはデモを見るで実際に触ると分かります。いま表計算でやっていることと条件を並べたいときは他社との比較を、移行のときの細かい扱いはよくある質問を確かめてください。
表計算で始めること自体は、まったく間違いではありません。むしろ、何を記録すべきかを自分の手で決めた店ほど、次の道具を選ぶときに迷いません。5列を決めて、入力を続けて、貯まった記録を眺める。この経験が、そのまま判断の材料になります。
Q1. スプレッドシートは1枚で作ってもいいですか?
2枚に分けてください。顧客の台帳は1人1行、来店の記録は1回1行です。1枚にすると来店のたびに列が右へ増えて、集計ができなくなります。2枚をつなぐには、台帳の各行に番号を振り、来店の記録には名前ではなくその番号を書きます。
Q2. そろそろ来る頃の人は、どうやって出しますか?
今日の日付から最後の来店日を引いて経過日数を出し、その人のいつもの来店間隔と比べます。間隔は、初回から最新までの日数を、来店回数から1を引いた数で割れば出ます。経過日数が間隔を超えた人を、超えた日数の大きい順に並べれば、声をかける順番になります。
Q3. スタッフと共有するときに気をつけることは?
リンクを知っている人なら誰でも見られる設定は使わず、スタッフ個人のアカウントを指定して共有してください。編集できる人と見るだけの人を分け、辞めたスタッフの共有はその日のうちに外します。端末には画面ロックをかけてください。
Q4. 何人くらいまでスプレッドシートで管理できますか?
人数だけでは決まりませんが、顧客が300人を超えたあたり、スタッフが3人を超えたあたりから、探す手間と同時編集の事故が増えます。連絡を相手ごとに送り分けたくなったときも、表計算だけでは行き来が発生します。この3つのどれかが出たら移す時期です。