他社との比較
サロンボードから乗り換える|移す前に決めておくこと
2026年9月5日・Rizaflow編集部

予約システムの乗り換えは、費用よりも手間のほうが高くつきます。しかもサロンボードの場合、手間の中身が他のサービスと少し違います。管理画面を入れ替えるだけの話に見えて、実際には集客のチャネルを見直す話が同時に付いてくるからです。ここを分けて考えられるかどうかで、移行の難易度が変わります。
サロンボード(SALON BOARD)は株式会社リクルートが提供する美容サロン向けの管理画面です。予約、顧客管理、レジ、メッセージ配信、掲載内容の編集までを1画面で扱えます。全機能が無料で、電話サポートも無料。条件だけ見れば強いサービスです。それでも乗り換えを検討する人がいるのは、掲載費が重い、自社サイトを主戦場にしたい、掲載の枠に入らない業態を始めた、といった理由が積み上がるからです。
この記事では、2026年9月2日時点で salonboard.com、beauty.hotpepper.jp、www.recruit.co.jp の公式ページから確認できる事実だけを使って、移す前に決めておくことを整理します。確認できなかった項目は「公開資料では確認できませんでした」とそのまま書きます。記載が無いことは、その機能や条件が存在しないことを意味しません。
乗り換えが重くなる構造を、先に理解する
手順の話に入る前に、なぜ普通の乗り換えより判断が複雑になるのかを押さえます。
掲載が利用の前提になっている
公式FAQに、利用条件が明記されています。
SALON BOARDをご利用いただくには、HOT PEPPER Beautyへの掲載が必要です 出典: salonboard.com
サロンボードは、掲載しているサロンが使う管理画面です。したがって「掲載は続けるが管理画面だけ別のものに替える」という乗り換え方は、そのままでは成り立ちません。掲載を続ける限りサロンボードは付いてきますし、掲載をやめればサロンボードは使えなくなります。
集客の判断と台帳の判断が同時に来る
この構造のせいで、乗り換えの検討は必ず2つの論点を同時に抱えます。掲載にかけている費用が、そこから入る新規客に見合っているかという集客の判断。そして、店の予約と顧客の情報をどこに置くかという台帳の判断です。
本来この2つは別の話です。集客のチャネルは費用対効果で足したり引いたりするもので、台帳は長く安定して持ち続けるものだからです。集客の掲載契約と、店の予約台帳を切り離して持てるようにしている形であれば、掲載は毎年見直せて、その判断が引っ越しを伴いません。乗り換えの目的の1つは、この分離を取り戻すことだと考えると、判断がしやすくなります。
取り得る形は3つある
乗り換えというと全部を入れ替える話に聞こえますが、実際には3つの型があります。
1つ目は、掲載を完全にやめて、自社サイト側の予約に一本化する型。掲載費がまるごと浮きますが、ポータル経由の新規は無くなります。2つ目は、掲載を続けたまま、自社サイト側にも予約の受け口を作って二本立てにする型。費用は増えますが、新規の入り方を落とさずに台帳を自分の側へ寄せられます。3つ目は、掲載のプランを下げつつ、自社サイト側を育てる型。段階的に依存度を下げる形です。
いきなり1つ目を選ぶ必要はありません。多くの店にとって現実的なのは、2つ目で始めて数字を見ながら3つ目へ移り、必要なら1つ目に着地する流れです。
移す前に決める5つのこと
ここが本題です。順番に決めていくと、移行先の条件が自動的に絞られます。
1つ目、新規客をどこから連れてくるか
いちばん先に決めるのはここです。道具の話ではなく事業の話なので、後回しにすると全部がぶれます。
判断の材料は単純です。直近12か月の新規客のうち、掲載経由が何割か。その新規客のうち、2回目以降も来ている割合はどれくらいか。そして、掲載費を掲載経由の新規客が生んだ粗利で割ったとき、割に合っているか。この3つを数字で出してください。サロンボードでは会計時に施術担当者をメニューごとに入力でき、スタイリスト別やメニュー別の売上を確認・集計できます。予約データの出力もできるので、材料は手元にあります。
割に合っているなら、掲載はやめない前提で組み立てます。割に合っていないなら、掲載を減らす前提で組み立てます。ここが決まらないまま移行先を探すと、比較の軸が定まりません。
2つ目、顧客名簿をどう持ち出すか
乗り換えで唯一、失うと取り返しがつかないのが顧客名簿です。
サロンボードの顧客管理は充実しています。氏名、住所、電話番号、誕生日、職業などの基本情報、過去の予約履歴、配信したメールの履歴を一括で管理でき、条件を指定した検索やDMの配信先の絞り込みに使えます。導入前から持っていた顧客情報の一括登録にも対応しています。
一方で、出す側の情報は限られています。機能一覧に明記されているのは「予約データ出力」で、予約情報をデータとして出力できます。顧客データのCSV出力については、機能一覧に記載がなく、公開資料では確認できませんでした。さらに、掲載経由で獲得した顧客の個人情報をサロンが店の外でどこまで使えるのかを定めた条項も、掲載サロン側の契約約款が公開されていないため確認できません。公開されている「HOT PEPPER Beauty ヘア/HOT PEPPER Beauty キレイ利用規約」は、予約する一般の利用者向けの規約です。
だから、ここは推測で進めないでください。担当者に、顧客情報を書き出す機能があるか、あるならどの項目まで出るか、無いなら依頼で出してもらえるか、掲載終了後にその名簿を店が使い続けてよいか、を文字が残る形で確認します。回答を得る前に解約日を決めないことです。
3つ目、予約枠とメニューをどう再現するか
移行の作業量がいちばん増えるのがここです。
サロンボードは5分、10分、15分単位での予約管理に対応しています。ホットペッパービューティー側の予約受付は10分または15分単位です。移行先が同じ刻みを持っていない場合、メニューの所要時間を丸める必要が出て、1日の回転数が変わります。先に確認すべき条件です。
やることは決まっています。メニュー名、所要時間、料金、オプションの組み合わせ、クーポンの条件と適用期間を、画面ごと保存して一覧の表にすること。この表が移行先での設定作業の設計図になります。長い時間をかけて調整してきた数字なので、記憶で作り直すと必ずずれます。
4つ目、決済をどうするか
「スマート支払い」という機能があり、顧客がクレジットカード情報を登録して予約すると来店時にオンラインで決済でき、現地での会計が不要になります。この機能を使っている場合、移行のときに客側の登録が引き継げないので、案内が必要になります。なお、この機能の決済手数料は公開資料では確認できませんでした。
移行先を選ぶときは、決済の思想の違いを見てください。運営会社が代金をいったん預かって後から店へ送金する方式と、店舗が自分で加盟店契約を結んで代金が店に直接入る方式があります。後者では返金の判断も手続きも店が持ち、運営は代金を預かりません。入金までの日数と、返金を誰が実行するかは、資金繰りと客対応の両方に効きます。どの決済代行に対応しているかもサービスごとに違うので、いま使っているカードの取り扱いがそのまま続くとは限りません。
なお、レジについて1つ補足します。公式FAQに「SALON BOARDレジ機能はAirレジの技術協力を受けていますが、機能連携はしておりません」と記載されています。同じリクルートのサービスなので繋がっていると思い込みやすい部分ですが、もともと連携していないため、Airレジ側に同じ数字が残っているという前提は置かないでください。
5つ目、自社サイトをどこまで使うか
サロンダイレクトという機能があり、自社ホームページにネット予約機能を設置するためのURLを発行できます。すでにこれを使っているなら、乗り換えの主戦場は自社サイトになります。
確認すべき点は、提供形態です。サロンダイレクトはURLの発行であり、自社サイトのページ内にカレンダーを埋め込む形(iframeやAPIによる組み込み)ができるかどうかは、公開資料では確認できませんでした。API提供の記載も見当たりません。移行先で、自社ドメインのまま予約ページを持てるか、来訪から予約完了までを1つの解析ツールで追えるかは、広告を出す店にとって費用対効果の測定に直結します。ここを条件表に入れてください。
移行先を選ぶときに確認する項目
上の5つが決まると、確認すべき条件が絞れます。実務で効く順に並べます。
1つ目、予約枠の刻みが施術時間に合うか。2つ目、スタッフの指名とシフトの管理が標準で入っているか、それとも上位のプランからか。3つ目、自社ドメインで予約ページを持てるか。4つ目、リマインドと再来店の促しを自動で送れるか、その条件をどこまで細かく指定できるか。5つ目、顧客と予約のデータを自分でいつでも書き出せるか。6つ目、決済の代金が誰の口座に入るか。7つ目、月に受けられる予約の件数とスタッフの人数に上限があるか、超えたときの費用はどうなるか。
このうち7つ目は、料金の形そのものです。予約の件数とスタッフ数で段階を分ける形が一般的で、月50件程度までを無料の範囲とし、そこから月300件、月1,000件と段階が上がるにつれてスタッフの人数と使える機能が増える、という刻み方になります。いまの月間の予約件数を数えれば、自分がどの段階に入るかは事前に分かります。実際の刻みと金額は料金で確かめられます。標準でどこまで入っているかはできることの範囲で確認でき、条件を横に並べたいなら他社との比較が出発点になります。
移す順番を間違えない
乗り換えでいちばん多い失敗は、順番の誤りです。正しい順序は、移す先を決める、データを出す、新しい受付を動かす、それから掲載を見直す、です。
並行して動かす期間を必ず作る
いきなり切り替えないでください。掲載を続けたまま、自社サイト側の予約を先に立ち上げ、1か月から2か月ほど並行して動かします。この期間にやることは3つです。既存客に新しい予約先を案内すること。リマインドの文面と送る時機を整えること。実際の施術時間に合わせて枠を調整すること。
並行期間の費用は二重になりますが、ここを惜しむと予約の取りこぼしで簡単に元を失います。移行先に無料で試せる範囲や、初期の割引の期間があるかは、この並行運用のしやすさに直結します。
既存客への案内は早めに、複数回
来店の周期が2か月から3か月の店なら、案内を出してから3か月でほとんどの常連に伝わります。案内から切り替えまでが2週間しかないと、次の来店で初めて変更を知る客が大量に出ます。移行後に予約が一時的に落ちるのは、多くの場合この伝達の遅れが原因です。
サロンボードのメッセージ配信は、一斉配信と自動配信の両方に対応しており、来店日の前日、来店日から30日後、誕生日といった条件で組めます。配信先はメールだけでなくホットペッパービューティーのマイページにも送れます。掲載を続けている間に、この機能を使って新しい予約先を案内できます。ただし、掲載をやめた後にこの経路は使えなくなるので、案内は掲載の解約前に済ませてください。
繁忙期を外す
年末、卒業と入学の時期、連休の前は予約が詰まります。この時期に受付の仕組みを入れ替えると、枠の設定ミスがそのまま機会損失になります。予約データを月別に並べれば、自分の店の谷がどこにあるかがはっきり出ます。データを出す目的の1つは、切り替えの時期を決めることでもあります。
作業量を先に見積もっておく
移行を止めてしまう原因の多くは、判断ではなく作業量の読み違いです。何にどれくらいかかるかを、先に分解しておきます。
いちばん重いのは、メニューとクーポンの設定です。メニュー数が30を超える店だと、名前、所要時間、料金、オプションの組み合わせを1つずつ登録する作業になります。表を先に作っておけば入力だけの作業になりますが、表が無いと画面を行き来しながら思い出す作業になり、時間が数倍に膨らみます。ここは事前準備が効きます。
次に重いのが、既存の顧客情報の登録です。件数が多いほど、形式を揃える作業が発生します。氏名の姓と名が分かれているか、電話番号にハイフンが入っているか、誕生日の書き方が揃っているか。この整形を先に済ませておくと、移行先での取り込みが1回で通ります。整形せずに取り込むと、エラーの行を1つずつ直すことになります。
3つ目が、スタッフの登録とシフトの設定です。人数が増えるほど、勤務のパターンを再現する作業が増えます。指名の受け方、対応できるメニューの範囲、休憩の入れ方まで含めると、1人あたり15分から30分は見ておく必要があります。
4つ目が、自動配信の文面です。リマインド、御礼、再来店の案内。それぞれ文面を作り、送る時機を決めます。旧環境で使っていた文面を残しておけば、書き写す作業で済みます。
最後に、動作の確認です。自分で予約を1件入れて、客側に届くメールの文面と時刻、店側の画面への反映、変更とキャンセルの動きまでを通しで確認してください。ここを飛ばして本番に出すと、客からの問い合わせで不具合に気づくことになります。
合計すると、メニュー数が30前後で、スタッフが数名の店なら、実作業で10時間から20時間ほどが目安になります。閉店後に少しずつ進めるなら2週間から3週間です。この見積もりを持っていると、切り替えの日から逆算して準備を始められます。
移行中に起きやすい事故
実際につまずきやすい点を挙げます。先に知っていれば避けられます。
1つ目、二重予約です。並行期間は予約の入口が2つになります。同じ枠を両方から取られないように、どちらか一方を主にして、もう一方は枠を絞る運用にしてください。サロンボード側は、電話などで入った予約を入力すると空いている枠だけがネット予約に連携される仕組みなので、新しい側で入った予約を都度サロンボードに入力すれば、掲載側の枠は自動的に塞がります。
2つ目、所要時間のずれです。移行先の刻みが違うと、同じメニューでも枠の長さが変わります。切り替えた初週は、実際の施術時間を計り直して微調整する時間を確保してください。
3つ目、リマインドの空白です。旧環境の自動配信を止めた日と、新環境の自動配信を動かした日がずれると、その間の予約にリマインドが飛びません。当日の連絡なしのキャンセルが増えるのはこの期間です。
4つ目、店舗ごとの契約の見落としです。公式FAQに「店舗ごとにご契約が必要です」と記載されています。複数店舗を運営している場合、掲載も契約も店舗ごとなので、解約や見直しの手続きも店舗の数だけ発生します。逆に言えば、1店舗だけ先に切り替えて3か月試す、という進め方が取れます。失敗しても被害が1店舗で止まるので、多店舗ならこの順序が安全です。
5つ目、求人の導線が同時に消えることです。美容サロン向けの求人サービス「ホットペッパービューティーワーク」は、2026年2月26日に月額のサービス利用料を廃止し完全成果報酬型へ移行していますが、利用にはホットペッパービューティーへの掲載が必要です。掲載をやめると、この経路も使えなくなります。採用を進めている最中なら、募集の別経路を先に立ち上げてください。なお、サロンボードの自社求人ページ作成機能については、別途費用が掛かるという記載が公式FAQに残っています。両者が同一の課金対象かどうかは、公開資料では確認できませんでした。
業態が変わったときの乗り換え
理由が費用ではなく、事業の中身の変化であるケースもあります。こちらは判断が早く済みます。
掲載できる業種は、掲載案内ページに列挙されています。理容院・美容院、ネイル、まつげ、リラクゼーション、エステティック業、あん摩・指圧・鍼灸・接骨・整骨・柔道整復などです。美容とリラクゼーションに軸足を置いたサービスなので、この枠から外れる業態は対象外になります。
実際に起きるのは、既存の店に別の受け方を足す場面です。サロンの一角で教室を始めた、オンラインでの相談を受けるようになった、レンタルスペースとして部屋を貸し出した。こうした受け方は、掲載の枠にそのままは載りません。結果として、載る部分は掲載で受け、載らない部分は別の仕組みで受ける、という二重管理が発生します。
二重管理は、枠の衝突を生みます。同じ時間に、掲載側の施術予約と、別経路の教室の申し込みが入る。これを防ぐには、片方の予約が入ったらもう片方の枠を手で塞ぐ運用が要ります。件数が増えるほど事故が起きます。複数の受け方を1つの台帳にまとめられるかどうかは、こういう場面で効いてきます。オンラインでの面談用のURLを予約と一緒に発行できるか、部屋や設備の単位で枠を作れるかは、移行先を選ぶときの条件表に入れてください。
乗り換えないほうがよい場合
判断を歪めないために、そのまま続けたほうがよい条件も書いておきます。当てはまるなら、移行の労力は他に回したほうが得です。
新規客の獲得をポータル経由に頼っていて、その費用対効果が合っている店。この場合、掲載は続く前提なので、管理画面は追加費用なしで付いてきます。予約の一元管理、5分から15分単位の枠、自動配信、スタイリスト別の売上集計まで揃った環境を、わざわざ費用をかけて置き換える理由がありません。
サポートの厚みも実務では大きい差です。操作方法の電話サポートが無料で、年中無休の10時から21時まで受け付けています。閉店後に電話で解決できる体制は、スタッフの入れ替わりがある店ほど価値が出ます。移行先を選ぶときは、この水準のサポートが同じ条件で得られるかを比べてください。得られないなら、その差は運用の負担として自分に返ってきます。
関連サービスの動きもあります。2026年5月13日、リクルートは「売上早期現金化サービス for SALON BOARD」の提供を開始しました。サロンボード上の予約と売上のデータをもとに将来の売上を買い取る招待制の資金調達で、資金提供額は5万円から100万円です。予約と売上のデータが1か所に集まっていることが、別の使い道に繋がりはじめています。データを分散させることには、こうした機会を手放す面もあります。
掲載費の見直しという中間の選択肢
やめるか続けるかの二択で考える前に、条件を変えられないかを確かめてください。掲載案内ページには、プランについて次のように書かれています。
お店に合わせた幅広い価格・内容のプランがあり、幅広い価格・内容のプランからお店に最適なプランをシミュレーション・ご提案 出典: beauty.hotpepper.jp
プラン名も価格帯も公開されていませんが、幅がある前提で組まれていることは公式に書かれています。掲載費はエリアとプランによって異なり、金額も税の扱いも初期費用の有無も公開されていません。ネット予約1件ごとの成果課金があるかどうかについても、記載も否定も見当たりませんでした。
だから、聞き方を具体的にします。いま月に何件のネット予約が入っていて、そのうち新規が何件か。プランを1段階下げた場合、その内訳がどう変わる見込みか。この形で数字を出してもらえば、乗り換えと比較できる材料になります。プランを下げて浮いた分で自社サイト側の受付を立ち上げる、という組み立てが取れる場合もあります。
移行先の担当者に、書面で聞くこと
比較の最後は、条件を文字にして揃える作業です。次の項目を、候補ごとに同じ形式で埋めてください。
料金については、月額と年額のそれぞれの金額、税込か税抜かの別、初期費用の有無、月に受けられる予約の件数とスタッフ数の上限、上限を超えたときの追加費用、そして割引の期間があるか。データについては、予約と顧客のデータを自分で書き出せるか、形式は何か、解約後にデータがいつ削除されるか。決済については、対応している決済代行、加盟店契約を誰が結ぶか、代金が入る先、入金までの日数、返金の手続きを誰が行うか。機能については、予約枠の刻み、スタッフ指名とシフト管理がどのプランから使えるか、自社ドメインを割り当てられるか、解析ツールを繋げるか、リマインドと再来店の促しをどこまで自動化できるか。
この一覧を埋めていくと、候補が2つか3つに絞られます。そこまで来たら、実際の画面で自分のメニューを1つ登録してみてください。所要時間の設定、オプションの付け方、予約完了までの客側の画面。ここで違和感が出るなら、日々の運用でも同じところで詰まります。
移した後に、何が変わるか
最後に、乗り換えの前後で運用がどう変わるかを整理します。
掲載を減らすと、ポータルを見ている新規客の流入は確実に減ります。ここを埋めるのは、自社サイト、SNS、紹介、そして既存客の再来店です。特に効くのは再来店の設計です。来店の周期を施術ごとに把握して、その周期を過ぎた客に案内を送る。これを自動で回せるかどうかで、掲載を減らした分の穴が埋まるかどうかが決まります。予約を受けるだけの道具に替えると、この仕事が手作業で残ります。
一方で得るものもあります。台帳が自分の側にあると、掲載の見直しが運用の停止を伴わなくなります。掲載費が重いと感じた年に減らし、集客を強めたい年に増やす。この上げ下げが、店の仕組みを壊さずにできるようになります。顧客名簿を自分で書き出せる状態にしておくことは、次にまた別の道具へ移るときの自由度でもあります。
自分の業態でどういう受け方が定着しているかは業種ごとの使い方が手がかりになります。実際の画面で予約から確認までの流れを見たいならデモを見るを一度たどって、いまのメニュー構成がそのまま載るかを確かめてください。契約や運用で残っている疑問はよくある質問にも目を通しておくと、問い合わせのときに聞き漏らしが減ります。
Q1. 掲載は続けたまま、管理画面だけ乗り換えられますか?
そのままでは成り立ちません。公式FAQに「SALON BOARDをご利用いただくには、HOT PEPPER Beautyへの掲載が必要です」と明記されており、掲載を続ける限りサロンボードは付いてきます。ただし、掲載を続けたまま自社サイト側に別の予約の受け口を作り、そちらを主に育てる二本立ての形は取れます。多くの店にとって現実的なのは、この形から始めて依存度を下げていく進め方です。
Q2. 乗り換えの前に、必ず持ち出すべきものは何ですか?
過去2年分の予約データ、月別とスタッフ別とメニュー別の売上、メニューとクーポンの設定一覧、写真とブログの原本です。予約情報はデータとして出力できます。顧客データのCSV出力については機能一覧に記載がなく、公開資料では確認できませんでした。担当者に書き出しの可否と、掲載終了後に名簿を使い続けてよいかを、文字が残る形で確認してください。
Q3. 移行はどれくらいの期間を見ておけばよいですか?
全体で3か月から4か月です。新しい予約の受付を開いて自社サイトとSNSに載せ、次の月から来店客に新しい予約先を案内し、その次の月に掲載側を減らすかプランを下げる、という順序です。来店の周期が2か月から3か月の店なら、案内から3か月でほとんどの常連に伝わります。繁忙期を外し、予約が落ち着く月を切り替えの時期に選んでください。
Q4. 移行先を選ぶとき、いちばん見落としやすい条件は何ですか?
予約枠の刻みです。サロンボードは5分、10分、15分単位の予約管理に対応しています。移行先が同じ刻みを持っていないと、メニューの所要時間を丸めることになり、1日の回転数が変わります。次に見落としやすいのが、自社ドメインで予約ページを持てるかどうかと、決済の代金が運営を経由するか店に直接入るかの違いです。
Q5. 掲載をやめると新規客はどれくらい減りますか?
店ごとに大きく違うため、一般化した数字は出せません。判断の材料は自分の数字です。直近12か月の新規客のうち掲載経由が何割か、その新規客の再来店率はどれくらいか、掲載費を掲載経由の粗利で割ると割に合っているかの3点を出してください。割に合っているなら掲載は続ける前提、合っていないなら減らす前提で移行の形を組み立てます。