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鍼灸院の予約台帳を紙からやめる|移し替える順番と、残す情報

2026年9月14日・Rizaflow編集部

鍼灸院の予約台帳が壊れるのは、患者が増えたときではありません。院内の施術と往療が同じ日に走り始めたとき、あるいは保険を使う患者と自費の患者が同じ枠に並び始めたときです。美容室やネイルサロンの台帳の作り方をそのまま持ってくると、鍼灸院では必ず足りない列が出ます。ここでは、紙やノートで受けている鍼灸院が、予約の管理をどこかへ移すときに、何を残し、何を移さず、どの順番で移すかを具体的に置いていきます。

鍼灸院の台帳が壊れる引き金は3つある

紙の台帳で足りている状態には、はっきりした条件があります。書く人が1人で、受け口が電話1つで、予定がすべて院内で完結している。この3つが揃っているうちは、紙のほうが速いことすらあります。

崩れる引き金は3つです。1つ目は、施術者が2人以上になったとき。台帳は同時に1人しか書けないので、片方が施術に入っている間にもう片方が電話を受けると、書き込みが後回しになります。2つ目は、受け口が増えたとき。電話とホームページの予約フォームと、来院時の次回予約の3つから入ってくると、いちばん反映の遅い経路の速さに全体が引きずられます。

3つ目が鍼灸院に固有のもので、往療、つまり訪問での施術が始まったときです。院内の枠は施術時間だけで並びますが、往療は移動時間を前後に抱えます。40分の施術に往復50分の移動が付くと、台帳の上では1時間半を1件が占めることになります。この形を紙の枠線で表そうとすると、線を無視して斜めに書き込む運用が始まり、そこから崩れます。

・書き手が2人以上になった ・予約の受け口が2つ以上になった ・院内の施術と往療が同じ日に混ざった

このどれにも当てはまっていないなら、紙のままで構いません。当てはまっているなら、写し忘れが二重予約になるのは時間の問題です。

予約と施術録は、同じ紙に書かない

鍼灸院の紙の台帳には、予約の欄の隅に「腰5番、置鍼15分」「今日は逆子の灸」といった書き込みが残ります。人が読むぶんには成立しますが、これは予約ではなく施術の記録です。

この2つは、必要とされる場面も、見てよい人の範囲も、残す年数も違います。予約は受付が見ます。施術録は施術者が見ます。予約は済んだら価値が下がりますが、施術録は数年前のものを読み返すことがあります。同じ紙に書いてある限り、どちらかの都合でもう片方が引きずられます。

移すときには、まずこの2つを分けてください。分けるといっても、別々の道具を使えという意味ではありません。同じ画面から辿れてよいのですが、入れる箱を分けるということです。

・予約に入るもの……日時、施術者、ベッドや個室、施術の種類、所要時間、氏名、連絡先、保険か自費か ・施術録に入るもの……主訴、既往歴、服薬、取穴、置鍼の時間、灸の壮数、前回からの変化、次回への申し送り

分けておくと、受付を家族に手伝ってもらうときに、施術録を見せずに予約だけ触ってもらう形が作れます。1人で回している院ではこの必要を感じませんが、人を1人入れた日にすぐ効いてきます。

施術録に書く内容は、扱いの重い情報です

鍼灸院の施術録に並ぶのは、主訴、既往歴、服薬、妊娠の有無、通院中の医療機関といった情報です。これらは、単なる連絡先とは扱いが違います。

3 この法律において「要配慮個人情報」とは、本人の人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、犯罪により害を被った事実その他本人に対する不当な差別、偏見その他の不利益が生じないようにその取扱いに特に配慮を要するものとして政令で定める記述等が含まれる個人情報をいう。 出典: e-Gov法令検索(個人情報の保護に関する法律)

病歴はここに名前が挙がっています。鍼灸院の施術録は、ほぼ必ずこの種の記述を含みます。加えて、施術者には業務上知り得た秘密を漏らしてはならないという定めが、あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律の第七条の二に置かれています。

具体的な管理の水準をここで断定することはできません。事業の規模や取り扱いの形で求められるものが変わりますし、判断が要る部分は所管の窓口や専門家に確認してください。ただ、台帳を移すときの実務としては、次の3つを決めておけば大きく外れません。

・施術録を見られる人を、施術者に限るのか、受付も含めるのかを先に決める ・持ち出す端末を決める。往療用のタブレットで施術録を開くなら、紛失時に中身が読めない状態にしておく ・退職した施術者の閲覧を止める手順を、退職の日より前に決めておく

紙のバインダーを鍵のかかる棚に入れていた院では、この3つは棚の鍵1本で済んでいました。移した先では鍵が見えなくなるので、意識して決め直す必要があります。

保険を扱うなら、台帳に「期限」の列が要る

鍼灸院の予約管理が他の施術業と決定的に違うのが、ここです。療養費、つまり健康保険の取り扱いをしている院では、医師の同意書が施術の前提になります。同意書には交付の日付があり、そこから施術できる期間が区切られます。期間が切れれば、再同意を得るまで保険では施術できません。

この期限は、患者ごとにばらばらに来ます。30人の保険患者を抱えていれば、30個の期限が別々の日に並びます。紙の台帳では、これを別のノートやカレンダーに書き写して管理していることがほとんどです。写した先を見ないまま日が過ぎると、施術は済んでいるのに保険で請求できない、という事故になります。

・同意書の交付日 ・同意した医師名と医療機関 ・傷病名 ・施術できる期間の終わり ・再同意をお願いする予定日

台帳を移すときは、この5つを入れる場所を確保してください。入れる場所がない道具に移すと、結局その部分だけノートが残り、二重管理が続きます。二重管理が続くと、人は片方しか見なくなります。

なお、療養費の取り扱いや、記録をどれだけの年数残すかについては、制度の側で定めが置かれています。年数や様式は改定されるので、いま自分が扱っている取り決めの本文を確認してください。制度の全体像は厚生労働省の療養費に関する案内から辿れます。

自費と保険が混ざる日を、枠の上で見分けられるようにする

同じ日の予定表に、保険の患者と自費の患者が並びます。この2つは、所要時間も、施術後の事務も違います。

保険の施術は、施術内容が決められた枠の中に収まります。時間は20分から30分程度で組んでいる院が多く、月末には請求の作業がまとまって発生します。自費の施術は60分から90分で組み、その場で会計が終わります。

予定表の上でこの2つが見分けられないと、当日の朝に予定を見た時点で、今日の終わりが何時になるかが読めません。色でも記号でもよいので、枠を見た瞬間に区別が付く形にしてください。移す先を選ぶときは、施術の種類ごとに所要時間を変えられるかどうかを確かめる必要があります。すべての枠が同じ長さになる作りでは、鍼灸院の予定表は表現できません。

往療の枠は、移動時間を含めて1件にする

往療を受けている院では、予定表に地理が入ってきます。同じ40分の施術でも、隣町なら往復20分、山側の集落なら往復70分です。

紙の台帳でこれを扱っていた院は、たいてい頭の中で調整しています。「火曜の午後は西回り、木曜は東回り」といった曜日のルールを持ち、そこに人を当てはめる。この方法は、施術者が1人のうちはよく機能します。人が増えると、頭の中のルールが共有されていないので、別の人が入れた予定が回れない順番になります。

移すときは、往療の予定を「施術時間だけの枠」にしないでください。前後の移動を含めた長さで1件を取る形にしておくと、他の人が見ても入れてよい時間が分かります。訪問先の住所と、鍵の受け取り方、家族やケアマネジャーの連絡先も、予定の側に持たせておくと当日に探さずに済みます。

置鍼の時間は、手が空く時間です

鍼灸院の予定表が美容室と根本的に違うのが、この点です。美容室では、担当者が付いている時間と客が席にいる時間がほぼ一致します。鍼灸院では、鍼を置いてから抜くまでの15分ほど、施術者の手が空きます。

この時間に、別の患者の問診を始めたり、隣のベッドで灸をしたりする運用は珍しくありません。つまり、ベッドが埋まっている時間と、施術者が拘束されている時間が別々に動きます。

予定表をベッドで並べると、部屋の埋まり具合は分かりますが、誰が空いているかは分かりません。施術者で並べると逆になります。院の制約がベッド側にあるのか人側にあるのかで、主にする列が変わります。ベッド2台に施術者1人の院なら人が制約です。ベッド2台に施術者3人が入る時間帯があるなら、ベッドが制約です。移す前に、自分の院がどちらかを決めてください。

紙にあるものを、3つに仕分けてから移す

移し替えの手を動かす前に、いまの台帳に書いてある情報を仕分けます。混ぜたまま移すと、移した先が読みにくくなり、半年で紙に戻ります。

1つ目は予約です。日時、施術者、ベッド、施術の種類、所要時間、氏名、連絡先。これは移します。

2つ目は施術録です。前の節で分けたものです。予約とは別の箱へ入れます。

3つ目はお金です。会計、回数券の販売と消化、保険の請求、歩合の計算。これは会計の側の話で、予定表に置く情報ではありません。

紙の台帳は、この3つが同じマスに書かれています。予約の欄に「回数券のこり4」と鉛筆で書き、消しゴムで直しながら使っている。これをそのまま表計算に写すと、1つの行に性質の違う数字が並び、検索も集計もできない表になります。

移す順番は、未来から始めて過去へ戻る

移し替えで手が止まるのは、たいてい過去の履歴から手を付けた場合です。何年分あるか分からないものを最初に触ると、終わりが見えないまま疲れます。

順番は決まっています。

・今日から先に入っている予約をすべて入れる ・保険患者の同意書の期限を入れる ・使いかけの回数券の残数を入れる ・直近6か月に来院した人の連絡先を入れる ・直近1回か2回の施術録を入れる

ここまでで運用は始められます。過去の来院履歴を全部移す必要はありません。紙のバインダーは残しておいて、必要になったときに引けばよいものです。

ただし、2つだけ例外があります。1つは、施術の可否に関わる申告です。ペースメーカーの有無、出血しやすい薬の服用、妊娠、金属アレルギー、過去に強い反応が出たこと。これは古くても必ず移してください。もう1つは、回数券が残っている人と、保険の同意が生きている人です。これは古い記録ではなく、いま生きている約束です。

切替日を決めて、二重管理をその日で終える

移し替えでいちばん多い失敗は、紙と新しい場所を両方使い続けることです。両方あると、人は書きやすいほうに書きます。書きやすいのはたいてい紙なので、新しいほうが空になります。

日付を1つ決めてください。その日から先の予約は新しい場所にしか入れない、と決めます。切替日より前の予約は紙で運用し、済んだら紙は閉じます。移行の期間を2週間より長く取ると、その間に入った予約がどちらにあるか分からなくなります。

切替日は、予約がいちばん薄い週に置くのが無難です。多くの院では月初か、連休明けの平日が空きます。繁忙期の直前に切り替えると、慣れないうちに件数が来て、紙に戻る理由を自分で作ることになります。

表計算に移した院が、半年で紙に戻る理由

紙の次に表計算を選ぶ院は多く、そこまでは自然な流れです。戻るときの理由は、だいたい3つに絞られます。

1つ目は、同じ表を2人で同時に開くと、片方の書き込みが消えることがある点です。共同編集ができる形にしていても、行を挿入した瞬間に他の人の見ている位置がずれます。

2つ目は、期限を教えてくれない点です。同意書の期限も、回数券の期限も、表の中では黙って過ぎます。人が毎朝見るという運用でしか気付けません。毎朝見る運用は、忙しい週に必ず飛びます。

3つ目は、患者が自分で予約を入れられない点です。表計算はあくまで院の中の道具なので、電話を受ける仕事は減りません。台帳を移した目的が、書く手間を減らすことなら表計算で足ります。電話を減らすことなら、表計算では届きません。

同姓の患者を、電話口で取り違えないための決め事

高齢の患者が多い院では、同姓の患者が並びます。夫婦で通っている、親子で通っている、地域に同じ姓が多い。紙の台帳では、書いた人が顔で分かるので問題になりません。

移すと、この暗黙の見分けが効かなくなります。移す前に、名前の書き方を1つに決めてください。姓名をどこまで入れるか、読みを入れるか、生年月日で区別するか。往療の患者は住所で区別が付きますが、院内の患者は電話番号の下4桁を添えるのが実務的です。

決めずに移すと、後から統一する作業が発生します。500人の患者名簿を後から直すのは、移すこと自体より時間がかかります。

取り消しと変更の記録を、消さずに残す

紙の台帳では、取り消した予約に二重線を引きます。この二重線が、後から効くことがあります。当日の直前に取り消しが続く人、変更を繰り返す人、無断で来ない人。線の数を見れば分かります。

移した先で、取り消しが行ごと消える作りになっていると、この情報は残りません。取り消しの履歴が残るかどうかは、移す先を選ぶときに確かめておく点の1つです。

鍼灸院の場合、体調が理由の直前の取り消しは責めにくい面があります。それでも、記録が残っていれば、予約を取るときに「体調で難しくなりそうなら前日までにお電話ください」と一言添える判断ができます。記録がなければ、その一言も出てきません。

受け口を1つに絞ってから、台帳の話をする

台帳を移しても、電話が減らない院があります。原因は台帳ではなく、受け口の数です。

電話、ホームページのフォーム、来院時の次回予約、知人からの紹介。この4つがある院では、台帳をどこに移そうと、写す仕事は残ります。写す仕事があるうちは、写し忘れが二重予約になる可能性も残ります。

順番としては、受け口を1つにまとめるほうが先です。すべての経路が同じ予定表を直接更新する形にできれば、写す仕事そのものが消えます。電話は残しますが、電話で聞いた予定をその場で同じ場所に入れれば、写す先は1つです。

施術者に見せる範囲を、先に決める

複数人でやっている院では、誰が何を見られるかを決めておく必要があります。

自分の担当患者だけ見えればよいのか、院全体の予定が見えたほうがよいのか。当日の入れ替えを施術者本人がしてよいのか、受付だけがするのか。売上や歩合に関わる数字を施術者が見られてよいのか。

この判断に正解はありません。ただ、決めずに全員に全部見せる形で始めると、後から絞るときに角が立ちます。最初に狭く開けて、必要に応じて広げるほうが、人間関係の面では静かに済みます。できることの範囲はできることで確かめられます。

準備と片付けの時間を、枠の外に置かない

鍼灸院の予定表で見落とされやすいのが、施術の前後にかかる時間です。

灸を使う施術では、艾の準備、換気、灰の片付けが入ります。透熱灸を多く据える日は、片付けに10分近くかかることもあります。使い捨ての鍼を使っていても、シーツの交換、消毒、記録の書き込みで5分から10分は動けません。

紙の台帳では、この時間を頭の中で足していました。60分の施術なら次は1時間15分後、と経験で決めていた。移した先で施術時間だけを枠にすると、この経験が反映されず、予約が詰まって入ります。詰まった状態で1日回すと、遅れが後ろへ積み上がり、最後の患者を待たせます。

移す先を選ぶときは、施術時間とは別に、前後の空き時間を持てるかどうかを見てください。持てない場合は、施術の種類ごとの所要時間に片付けの分を含めた長さを設定します。60分の施術を75分で登録するということです。表示上の時間と枠の長さがずれるので、患者への案内文だけは施術時間で書き分ける必要があります。

当日の空きを埋める仕組みを、台帳の側に持たせる

鍼灸院では、体調を理由にした当日の取り消しが一定の割合で出ます。腰痛が強くて動けない、風邪をひいた、家族の付き添いが入った。責める種類の取り消しではありませんが、空いた枠はそのまま損失になります。

紙で運用していた院は、この穴を電話で埋めていました。「そろそろ来る頃の人」を思い出して数人にかける。当たれば埋まりますが、施術の合間に電話をかけ続けるのは現実的ではなく、たいてい埋まらないまま終わります。

台帳を移すと、この穴の埋め方が変わります。前回の来院日から間隔が開いている人を絞り込んで一覧にできれば、かける相手を思い出す必要がなくなります。空き枠を公開して、患者の側から入れてもらう形にすれば、電話そのものが要らなくなります。

・前回来院日から3週間以上空いている人を抽出できるか ・空いた枠を、その日のうちに公開できるか ・案内を送る相手を、保険の患者と自費の患者で分けられるか

この3つができる形にしておくと、当日の空きが売上に戻ります。

休診日と、院の外の予定を同じ表に置く

施術者が学会や研修に出る日、鍼灸師会の会合、往療の研修、体験会への出張。鍼灸院では、院の外に出る予定が月に何度か入ります。

これを別のカレンダーで管理していると、予約を受けるときに参照し忘れます。特に、数か月先の予約を取る場面で起きます。3か月先の予約を取ったあとで、その日が研修だったと気付く。連絡して取り直すことになり、患者の予定も動かすことになります。

移すときは、休診日と外出の予定を予定表の中に入れてください。その時間に予約が入らない形にしておけば、参照し忘れが起きません。定休日と祝日の扱いも同じで、毎年の設定を最初に済ませておくと、後から慌てずに済みます。

移した後の1週間で、確かめること

移し終えた直後は、うまくいっているように見えます。問題が出るのは最初の1週間です。

・当日の朝、予定表を見て、今日の終わりが何時か読めるか ・電話を受けながら空きを答えられるか。画面を何回動かしたか ・往療の日に、次の訪問先の住所と鍵の受け取り方がその場で見られるか ・保険患者の同意書の期限が、期限の前に目に入るか ・施術後に施術録を書くまでに、何秒かかるか

この5つのどれかで詰まったら、設定を直せることが多いです。道具を替える前に、まず入れ方を疑ってください。特に施術録の書き込みに時間がかかる形になっていると、書かない日が出て、書かない日が続くと記録の価値が消えます。

手放せる作業と、新しく抱える作業

正直に見積もっておくと、移した後にも仕事は残ります。

減るのは、写し替え、空き確認の折り返し電話、二重予約の謝罪、同意書の期限を思い出す作業です。増えるのは、最初の設定、患者への案内、そして予約が入ったときに画面を見る習慣です。

差し引きで得になるかは、いま写し替えと折り返しに何分使っているかで決まります。1日25分使っているなら、月にすると12時間ほどです。この数字を先に出しておくと、費用の判断が感覚論になりません。

初診の問診を、来院前に済ませられるかどうか

鍼灸院の初診は、問診に時間がかかります。主訴だけでなく、いつからか、どういう動きで痛むか、通院中の医療機関、服薬、既往歴、睡眠、食事。丁寧に聞けば20分から30分は使います。

紙の問診票を来院時に渡す運用では、この時間が施術の枠を圧迫します。90分取っていても、書く時間と読む時間で15分が消え、施術に使える時間が減ります。書きながら待たせることにもなります。

予約を受ける仕組みを移すときに、問診の入り口も一緒に前へ動かせるかどうかを見てください。予約の確定と同時に問診の案内が出て、来院前に書いてもらえる形にできれば、当日は確認と補足だけで済みます。書いてもらった内容がそのまま施術録の下敷きになれば、転記の手間も消えます。

ただし、ここで集まる情報は病歴や服薬を含みます。前の節で触れたとおり扱いの重い情報なので、集める前に、誰が見るのか、どこに残るのかを決めておく必要があります。

記録が数えられると、判断の材料が増える

移した後にいちばん変わるのは、記録が数えられるようになることです。

紙では数えられなかったものが数えられます。曜日ごとの埋まり方、初診の人が2回目に来る割合、保険患者の平均的な通院間隔、往療と院内の売上の比率。この数字が出ると、営業時間を変えるかどうか、往療を増やすかどうかを、勘ではなく数字で決められます。

たとえば、初診の人が2回目に来ない割合が高いなら、施術そのものより、次回の予約を取る場面に原因があることが多いです。会計の場でどう案内しているかを見直せば、道具を替えずに直ります。

移す先を選ぶときに、確かめる場所

移す先を選ぶときに見るのは、機能の一覧ではありません。鍼灸院の予定表の形が表現できるかどうかです。

まず、施術の種類ごとに所要時間を変えられること。20分の保険の施術と90分の初診が同じ長さの枠になる作りでは足りません。次に、施術者とベッドを別々に持てること。置鍼の時間があるので、この2つが1つにまとめられていると、実際より少ない件数しか受けられなくなります。この2点はできることで確認できます。

業態ごとの組み方は業種ごとの使い方に整理されているので、自分の院に近い形を1つ選んで土台にすると、設定の時間が短く済みます。

候補が複数あるなら、他社との比較で、施術の記録を予約と別に持てるかどうかの欄だけを見比べてください。ここが弱いと、施術録のバインダーだけが紙のまま残ります。

触ってみるのがいちばん早いので、デモを見るから明日の予定を3件だけ入れてみてください。3件入れるのにかかった時間が、そのまま移行作業の見積もりになります。費用の判断は、いま写し替えに費やしている時間と並べて行います。料金の月額を浮く時間で割れば、時給に換算できます。既存の予約をどう移すかの手順はよくある質問にまとまっています。

予約の管理を移す狙いは、見た目の整った表を手に入れることではありません。書く人が2人いても、往療と院内が同じ日に走っても壊れない状態を作ることです。決済が必須でない業態に合わせて、予約の受付から次の来店までを一続きにしている作りであれば、台帳に残した施術後の申し送りが次の来院の案内にそのままつながるので、書いた記録が読み返されないまま眠ることがありません。

Q1. 鍼灸院の予約台帳は、いつ紙をやめるべきですか?

患者数ではなく条件で判断してください。施術者が2人以上になった、予約の受け口が2つ以上になった、院内の施術と往療が同じ日に混ざった。このどれかに当てはまったときです。当てはまっていなければ紙のほうが速いこともあります。当てはまっているなら、写し忘れが二重予約になるので早いほうが被害は小さくなります。

Q2. 施術録も予約と同じ場所に入れてよいですか?

同じ画面から辿れるのは構いませんが、入れる箱は分けてください。施術録には主訴や既往歴、服薬が並び、扱いが重い情報になります。分けておくと、受付を手伝う人に施術録を見せずに予約だけ触ってもらう形が作れます。1人で回している間は必要を感じませんが、人を入れた日にすぐ効きます。

Q3. 保険(療養費)を扱う患者の管理で、台帳に必要な項目は何ですか?

同意書の交付日、同意した医師名と医療機関、傷病名、施術できる期間の終わり、再同意をお願いする予定日の5つです。この期限は患者ごとにばらばらに来るので、別のノートに写す運用にすると見落とします。年数や様式の定めは改定されるため、いま扱っている取り決めの本文を確認してください。

Q4. 過去の来院履歴は全部移す必要がありますか?

必要ありません。移すのは、今日から先の予約、同意書の期限、使いかけの回数券の残数、直近6か月に来院した人の連絡先、直近1回か2回の施術録です。例外は2つあり、ペースメーカーや服薬など施術の可否に関わる申告と、回数券や保険の同意が生きている人の記録は、古くても必ず移してください。

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