guide
鍼灸院で電話予約を減らす|施術中に鳴らさないための組み方
2026年9月14日・Rizaflow編集部
鍼灸院で電話を減らしたいという相談は、他の業態とは出発点が違います。困っているのは呼び出し音の音量ではなく、鍼を置いている最中に受話器へ手を伸ばせないことです。消毒した手で電話機を触れば、戻ってきたときにもう一度手指を洗うところからやり直しになります。ここでは、鍼灸院にかかってくる電話を保険と自費、初診と再診で仕分けたうえで、どの種類から受け皿を移していけばよいかを整理します。
鍼を置いている時間は、受話器を取れない時間になる
美容室や飲食店の電話対応と、鍼灸院の電話対応は前提が違います。違いは、施術者の手が何に触れているかです。
はり師は、施術のたびに、鍼と手指と施術する局部を消毒します。これは院ごとの慣習ではなく、法律の条文に義務として書かれているものです。
刺鍼の途中で電話が鳴り、受話器を取って、また施術に戻る。この往復は単なる中断ではありません。手指の消毒をもう一度やり直す必要があり、実際には1分から2分が消えます。1日に8本の電話に出れば、それだけで施術に使える時間が15分近く削れる計算になります。
もう1つ、鍼灸院に特有の時間帯があります。置鍼です。鍼を刺したまま留め置く間、施術者はベッドから離れることがあります。この時間帯なら電話に出られると考えがちですが、実際には出られません。置鍼中の患者は、体に鍼が刺さったまま横になっています。その状態で施術者が電話に出て、話が長引き、戻るのが遅れる。患者からすると、放置されている時間が伸びたことになります。抜鍼の時機は施術の一部であって、電話の都合で動かしてよいものではありません。
つまり鍼灸院では、施術に入っている限り、電話に出られる瞬間がほとんど存在しません。ここを直視しないまま「なるべく出る」と決めると、出られなかった電話の折り返しが夜に溜まります。
電話の内訳を、保険と自費に分けて数える
減らす作業は、内訳を掴むところから始まります。ただし鍼灸院では、他の業態でよく使われる「新規か既存か」という分け方があまり役に立ちません。役に立つのは、保険の療養費を使う話か、自費の施術の話か、という分け方です。
2週間ほど、受付に紙を置いて印を付けてください。鍼灸院の電話は、おおむね次のように分かれます。
・保険が使えるか、いくらになるかという問い合わせ ・医師の同意書をどう用意すればよいかという質問 ・症状を話して、それに鍼が向いているかを尋ねる相談 ・往診に来てもらえるか、範囲はどこまでかという確認 ・初診の所要時間と、当日の空きの確認 ・通院中の患者からの日程の変更と取り消し ・場所、駐車場、支払方法の確認
この7つは、性質がまったく違います。上の4つは、どれも「答えるのに数分かかる」種類です。下の3つは、書いてあれば電話が要らない種類です。
多くの院では、本数だけを数えると下の3つが多く、時間で数えると上の4つが大半を占めます。ここを取り違えると対策の順番を間違えます。本数を減らしたいなら下から、施術中の中断を減らしたいなら上から手を付けることになります。
書けることが法律で決まっているから、電話がかかってくる
鍼灸院の電話が減らない理由には、他の業態には無いものが1つあります。院のサイトやチラシに書ける事項が、法律で限定されていることです。
あん摩業、マツサージ業、指圧業、はり業若しくはきゆう業又はこれらの施術所に関しては、何人も、いかなる方法によるを問わず、左に掲げる事項以外の事項について、広告をしてはならない。 出典: laws.e-gov.go.jp
同じ条文の続きでは、施術者の氏名や施術所の名称について広告する場合でも、その内容が施術者の技能、施術方法、経歴にわたってはならないと定められています。
この制限があるため、患者が最も知りたいこと、つまり「自分の症状に効くのか」「どういうやり方をするのか」を、院の側から広告として書きにくい状態が生まれます。患者は書いていないから電話をかけます。店側が説明をさぼっているわけではなく、書ける範囲が狭いことが電話を生んでいます。
ここで大事なのは、諦めることではありません。広告に当たらない形で情報を渡す経路を作ることです。予約の確認メールに書く、来院前の案内として個別に送る、院内で渡す紙に書く。これらは不特定多数に向けた広告とは位置づけが変わります。どこまでが広告に当たるかの判断は、都道府県の担当部署や保健所によって運用が分かれます。文章を公開したり配ったりする前に、所管の窓口や専門家に確認してください。
電話を減らす設計の第一歩は、この線引きを自分の院として決めることです。線が決まらないまま「サイトに全部書けば電話が減る」と考えると、書けないものが残り続けて電話も残ります。
保険が使えるかという電話に、電話口で答えきらない
時間を最も食う電話は、保険の話です。
公的医療保険の療養費として鍼灸の施術を受けるには、医師の同意が要ります。対象となるのは主に神経痛、リウマチ、頸腕症候群、五十肩、腰痛症、頸椎捻挫後遺症と、これらに類似する疾病です。同じ疾病について医療機関で治療を受けている期間の扱いなど、細かい条件がいくつも重なります。
この話を電話で最後まで説明しようとすると、10分を超えることが珍しくありません。しかも電話口で答えた内容は記録に残らず、患者は半分しか覚えていません。来院してから「聞いていた話と違う」となる原因の多くは、この電話にあります。
受け皿の移し方は決まっています。順番を紙に落とすことです。
・かかりつけの医師に相談して同意書をもらう ・同意書を持って来院する ・自己負担の割合と1回あたりの目安を、来院時に書面で確認する ・同意の期間が切れる前に、次の同意書を用意する
この4行を院内の掲示と予約完了の案内に載せておくと、電話は「うちの症状は対象になりますか」という1点に縮みます。そしてその1点は、電話で答えるべき内容ではありません。医師が判断する事柄だからです。答えを「医師に相談してください」と1文で返せる形にしておけば、通話は1分で終わります。
保険の適用可否や必要な書類の扱いは、加入している保険者や地域の取り扱いによって差が出ます。院として案内文を作るときは、保険者や地方厚生局の通知を確認したうえで書いてください。
往診に出ている時間帯を、先に閉じておく
鍼灸院の電話対策で見落とされやすいのが、往診の時間帯です。
訪問して施術を行う日は、院に誰もいません。転送を設定していれば移動中の車内で受けることになり、施術先の宅内では出られません。この時間帯に鳴った電話は、ほぼ全部が取り逃がしになります。
まずやるべきは、往診に出る曜日と時間帯を院の案内に明記することです。「火曜と木曜の午後は訪問のため不在」と書いてあるだけで、その時間帯の着信は目に見えて減ります。書いていないから、患者は空いていると思ってかけます。
次に、その時間帯の予約をネットで受けられるようにします。ここが電話との分かれ目です。往診中に電話をかけてきた人は、つながらなければ他の院を探します。しかし予約の画面が開いていれば、その場で翌日以降の枠を押さえて待ってくれます。取り逃がしの大半は、この時間帯に発生しています。
なお、出張のみで業務を行う場合や、住所地の区域外に滞在して業務を行おうとする場合には、都道府県知事への届出が法律で定められています。往診の範囲を広げるときは、この届出の要否を先に確認してください。
初診の人と、通院中の人で入口を分ける
鍼灸院の予約は、初診と再診で必要な情報量がまったく違います。ここを1つの窓口で受けているから、電話が長くなります。
初診の人が電話で聞きたいのは、所要時間、金額、服装、当日に何をするかです。加えて、症状の説明をしたがります。これは自然なことで、痛みを抱えて電話をかけている人が症状を話さずに日時だけ決めるのは難しい。
通院中の人が電話でしたいのは、日程の調整だけです。症状の説明は要りません。
この2つを分けるだけで、電話の総通話時間は大きく変わります。通院中の患者に対しては、予約の変更と取り消しができる画面を渡してしまう。初診の人に対しては、症状の記入欄を持った予約の入口を用意する。書いてもらった内容は施術録の作成にそのまま使えるので、来院後の問診も短くなります。
予約の受付ツールを見比べるときは、この入口の分け方が作れるかを最初に確かめてください。作り分けの可否はできることで確かめられます。予約の枠を作るだけの道具と、初診の記入欄を持てる道具では、鍼灸院での使い勝手が変わります。
高齢の患者が多い院で、電話を残す判断
鍼灸院は、通う患者の年齢層が高めに寄る業態です。腰痛や膝の痛み、神経痛を抱えて長く通う人が多く、その層はネット予約に馴染んでいないことがあります。
ここで極端な判断をしないことが大事です。電話を全部無くすと、長く通ってくれている患者を切ることになります。かといって電話を残したまま何もしないと、施術中の中断も残ります。
現実的な形は、電話の宛先を分けることです。
・通院中の患者からの変更と取り消しは、決まった時間帯だけ電話で受ける ・新規の予約と、時間外の連絡は、画面で受ける ・急な体調の変化に関する連絡は、いつでも電話でよいと伝えておく
3つ目を明記しておくのは、鍼灸院では意味があります。施術後に強い倦怠感が出た、内出血が消えないといった連絡は、遅らせてはいけない種類のものです。これを「電話は控えてください」の一言でまとめて閉じると、患者は連絡をためらいます。閉じる電話と開けておく電話は、分けて書いてください。
灸を使う院にだけかかってくる電話がある
もう1つ、鍼灸院に固有の問い合わせがあります。灸に関するものです。
熱いのか、跡が残るのか、においが服に付くのか、当日に入浴してよいのか。この4つは、灸を施術に組み込んでいる院なら必ず聞かれます。特に、においと跡の2つは、これから予約しようとしている人が最後まで迷う要因になります。仕事に戻る予定がある人、その日のうちに人と会う予定がある人は、においが残るかどうかで予約するかどうかを決めます。
この電話は、書けば消えます。しかも広告の制限とぶつかりにくい種類の情報です。効果の話ではなく、受けたあとに何が起きるかという事実の説明だからです。
・使っているのが直接灸か、台座を使う間接灸か ・跡が残る可能性の有無と、その説明 ・においが出る時間の目安と、換気の方法 ・当日の入浴について、院として案内している内容
これを予約の完了案内に載せておくと、来院前の電話が減るだけでなく、当日の説明時間も短くなります。灸を使う日と使わない日で所要時間が変わる院なら、予約の時点でどちらを希望するかを選んでもらう形にすると、枠の見積もりも正確になります。
なお、施術のあとに何をしてよいかという案内は、施術方法に関する説明と受け取られる可能性があります。不特定多数に向けて出す文面については、所管の窓口に確認したうえで表現を決めてください。予約した人にだけ届く案内であれば、位置づけが変わります。
掲示サイトから回ってくる電話を、どこで受けるか
鍼灸院を掲載サイトや地図サービスに載せている場合、そこに書いた電話番号が入口になります。ここからかかってくる電話には、特徴が2つあります。
1つは、院の名前を覚えていないことです。地図で近い順に並べて上から順にかけている人がいます。「そちらは何時までですか」「保険は使えますか」とだけ聞いて切ります。この電話は、掲載情報を埋めれば消えます。営業時間、休診日、保険の取り扱いの有無、駐車場の有無。この4項目が空欄になっている院は、その分だけ電話を受け続けることになります。
もう1つは、比較の途中でかけてきていることです。他院と並べていて、料金と所要時間を確認したい。この電話に丁寧に答えても、予約になるとは限りません。だからといって雑に扱えば、その場で候補から外れます。
現実的な手当ては、掲載情報から予約の画面へ直接つなげておくことです。電話番号だけを載せている状態と、予約の画面へのリンクも載せている状態では、営業時間外に届く予約の数が変わります。掲載サイトを見ている人の多くは、夜と早朝に見ています。その時間に電話しかなければ、翌朝まで待ってもらうことになり、待っている間に別の院が決まります。
施術者ひとりの院と、受付を置く院で手当てが違う
対策の順番は、院の人員構成で変わります。
施術者ひとりで回している院の場合、電話に出られる時間は施術と施術の間しかありません。ここでは、まず変更と取り消しを画面に移し、次に往診の時間帯を閉じ、最後に保険の問い合わせを紙に落とす。この順番が効きます。逆に、留守番電話から始めると折り返しの仕事が増えて、かえって夜が長くなります。
受付の人を置いている院の場合、事情が変わります。電話に出る人はいるので、施術の中断は起きません。それでも受け皿を移す意味があるのは、受付の人が同じ説明を1日に何度も繰り返しているからです。保険の流れ、初診の持ち物、駐車場の場所。この3つを紙と画面に移すだけで、受付の人が患者と話せる時間が増えます。
複数の施術者がいる院では、さらに1つ問題が乗ります。誰の枠に入れるかという判断が電話口で必要になることです。指名がある患者、保険の患者、初診の患者で入れるべき枠が違います。この判断を口頭でやっている限り、受付の人が変わると予約の入り方が変わります。枠の条件を画面の側に持たせておくと、判断そのものが要らなくなります。
3か月かけて移す手順
一度に全部を変えようとすると、患者が混乱して電話が増えます。順番を決めて、区切って進めてください。
最初の1か月は、数えることと書くことに使います。電話の内訳を数え、保険の流れと初診の持ち物と往診の時間帯を文章にします。この期間は受け方を変えません。
次の1か月で、通院中の患者に変更と取り消しの経路を渡します。全員に一斉に案内するのではなく、来院したときに1人ずつ渡してください。その場で1回操作してもらうと、次から使ってくれます。紙を渡すだけだと使われません。
最後の1か月で、新規の予約を画面に寄せます。掲載サイトの情報を埋め、予約の入口を追加し、往診の時間帯を閉じます。ここまで来ると、残る電話は保険の問い合わせと当日の急な連絡だけになります。
この進め方の利点は、途中でやめても損をしないことです。1か月目で数えただけでも、どこに時間を取られているかが分かります。
留守番電話は、置き方を決めてから使う
つながらないときの受け皿として留守番電話を使う院は多いのですが、置き方を決めずに使うと仕事が増えます。
用件だけが入ったメッセージが並び、それを聞いて、折り返して、また出られず、という往復が始まります。1件の予約を確定するのに3回の通話が必要になることもあります。
留守番電話を置くなら、応答のメッセージで次の3つを言い切ってください。
・いまは施術中である、または訪問中であること ・予約は画面から取れること、その場所 ・折り返しが必要な用件のときは、名前と日中つながる番号と用件を残してほしいこと
3つ目まで言わないと、名前だけのメッセージが残ります。それでは折り返せません。
応答メッセージの長さにも注意が要ります。30秒を超えると、多くの人は途中で切ります。言い切る内容を3つに絞るのは、覚えやすくするためではなく、最後まで聞いてもらうためです。
もう1つ、鍼灸院で留守番電話が機能しにくい理由があります。用件が「痛い」から始まることです。腰が動かない、首が回らないという状態でかけてきた人は、日時を言う前に症状を話します。録音の時間が足りず、肝心の連絡先が入らないまま切れる。この取り逃がしは、応答メッセージの冒頭で「お名前と電話番号を先にお願いします」と言うだけで減ります。順番を指定してください。
電話番号を案内から消してよいかどうか
電話を減らす話になると、案内から電話番号そのものを消す案が出ます。鍼灸院では、これは勧められません。
理由は2つあります。1つは、施術のあとに体調の変化が出たときの連絡経路が必要だからです。だるさが強く出た、内出血が広がった、刺鍼した部位の違和感が続いている。こうした連絡は、画面のフォームで受けるべきものではありません。読むのが翌朝になるかもしれない経路に、体調の話を流さないでください。
もう1つは、往診を受けている患者の家族が連絡してくる場合があるからです。本人ではなく家族が日程を調整している例は珍しくありません。その家族はネット予約の画面を持っていないことが多く、電話しか手段がありません。
したがって、番号は残したまま、かかってくる理由を減らすのが正しい方向です。目指すのは、鳴らない電話ではなく、鳴ったときに必ず出るべき電話だけが鳴っている状態です。この違いを最初に決めておかないと、途中で「やっぱり電話も要る」となって元に戻ります。
変更と取り消しの連絡を、電話から先に外す
減らす順番を1つだけ選ぶなら、変更と取り消しです。理由は3つあります。
1つ目は、この連絡が施術時間帯に集中することです。仕事の合間に「今日は行けない」と思い立って電話をかけるので、まさに施術中に鳴ります。
2つ目は、内容が定型であることです。日時を動かすか、消すか、それだけです。画面に置き換えたときの取りこぼしがほとんどありません。
3つ目は、置き換えると無断キャンセルが減ることです。電話をかけるのが億劫で連絡しないまま来ない人は一定数います。画面から数タップで取り消せるなら、その人たちは連絡します。連絡さえもらえれば、枠を他に回せます。
自分の院に近い規模と業態で、どういう受け方をしている例があるかは業種ごとの使い方にまとまっています。予約の画面が実際にどう動くかはデモを見るから触って確かめられます。
電話が減ると、代わりに増える仕事がある
正直に書いておくと、電話をネット予約に移すと消える仕事と増える仕事があります。
消えるのは、通話そのものと折り返しです。増えるのは、入った予約を確認する仕事と、記入内容を読む仕事です。夜のうちに入った初診の予約に、長い症状の記述が書かれていることがあります。それを読んで、当日の時間配分を考える。この作業は電話には無かったものです。
もう1つ増えるのが、決めごとを書く仕事です。何時間前まで取り消せるか、当日の連絡はどうするか、初診で何を持ってくるか。電話なら口頭で毎回伝えていたものを、文章にしなければなりません。最初にまとまった時間が要ります。
ここを軽く見て「入れれば楽になる」と思って始めると、最初の2週間で嫌になります。逆に言えば、最初に書ききってしまえば、そのあとは効いてきます。
予約の受け方を1つに寄せると、台帳が1つになる
鍼灸院で電話が減らない構造的な原因が、もう1つあります。予約の入口が複数あることです。
電話、掲示サイト、紹介、院内での次回予約。この4つがあると、台帳が分かれます。分かれた台帳を突き合わせる作業が発生し、二重に入った予約を電話で謝ることになります。電話が減らないのではなく、電話を増やす作業を自分で作っている状態です。
予約の受付ツールを選ぶときに見るべきなのは、機能の多さではありません。院で使っている入口を全部その1つに寄せられるかどうかです。寄せられれば、台帳は1つになります。台帳が1つになれば、当日の空きを聞かれても即答できます。
このとき、決済を必須にする設計かどうかも見てください。鍼灸院は、来院してから施術内容が変わることがあります。保険と自費が混ざる患者もいます。予約の時点で金額を確定させる仕組みは、この業態と噛み合いません。決済が必須でない業態に合わせて、予約の受付から次の来店までを一続きにしている形のほうが、鍼灸院では扱いやすくなります。
道具ごとの向き不向きは他社との比較に並べてあります。費用の考え方は料金を、細かい疑問はよくある質問を見てください。
電話の本数ではなく、中断の回数で測る
最後に、効果の測り方について書いておきます。
多くの院は「電話が何本減ったか」で測ろうとします。この指標は鍼灸院には向いていません。本数が減っても、残った電話が施術中に集中していれば、体感は変わらないからです。
測るべきは、施術中に手を止めた回数です。1週間のうち、刺鍼や置鍼の最中に中断が起きた回数を数えてください。導入前に20回あったものが5回になれば、それは大きな改善です。総本数が横ばいでも構いません。
もう1つ測るとよいのが、営業時間外に入った予約の数です。鍼灸院に通う人の多くは、仕事を終えたあとや、朝起きて痛みに気づいたときに予約を考えます。院が閉まっている時間帯です。ここで入った予約は、電話しか窓口が無ければ全部消えていたものです。移した効果は、減った電話ではなく増えたこの数字に出ます。
1か月この2つを数えて、変わっていなければ受け皿の置き場所が間違っています。案内に書いた場所が見つかりにくいか、往診の時間帯を閉じていないか、変更と取り消しの経路を渡していないか。順に確かめてください。
数字が動かないときに真っ先に疑うべきは、患者が予約の画面にたどり着けていない可能性です。院のサイトの下のほうに小さくリンクを置いているだけでは見つかりません。電話番号を書いている場所の真横に、同じ大きさで予約の入口を置いてください。患者は、探して見つけるのではなく、目に入ったほうを使います。
もう1つ、施術の終わりに次回の予約をその場で取る運用を持っている院では、数字の読み方が変わります。院内で決まる予約は電話にも画面にも現れません。この分を差し引かずに「ネット予約が少ない」と判断すると、受け皿の設計を無駄に作り直すことになります。院内で決まった分、電話で決まった分、画面で決まった分を分けて数えてください。3つに分けて数えると、どこを厚くすればよいかが自然に見えてきます。
最後に、電話を減らす作業の目的をもう一度置いておきます。目的は経費の削減でも効率化でもありません。鍼を持っている手を、施術の間じゅう患者から離さないことです。ここを外さなければ、どの手順から始めても方向は間違いません。
Q1. ネット予約を入れれば、電話は自然に減りますか?
減るのは新規予約の電話だけです。鍼灸院で本数が多いのは、保険が使えるかという問い合わせと、通院中の患者からの変更や取り消しです。この2つに受け皿を用意しない限り、総本数はあまり変わりません。同意書の流れを紙に落とし、変更と取り消しを画面から行えるようにするのが先です。
Q2. 「この症状に鍼は効きますか」という電話には、どう答えればよいですか?
効果を電話で断定しないでください。広告できる事項が法律で限定されており、施術方法や技能にわたる内容は書けないとされています。答えるべきは、初診で何をするか、所要時間、費用の目安までです。保険の対象になるかどうかは医師が判断するため、かかりつけの医師への相談を案内するのが安全です。
Q3. 高齢の患者が多く、電話を無くせません。どうすればよいですか?
無くす必要はありません。電話を残す用件を先に決めてください。通院中の患者の変更は時間帯を区切って電話で受け、施術後の体調の変化に関する連絡はいつでも電話でよいと明記します。そのうえで、新規の予約と時間外の連絡だけを画面に移すと、施術中の中断がはっきり減ります。
Q4. 往診に出ている時間の電話は、どう扱えばよいですか?
まず往診の曜日と時間帯を案内に明記してください。書いていないと空いていると思われて着信が集中します。そのうえで、その時間帯もネットからは予約が取れる状態にしておきます。つながらない時間帯にかけてきた人は他の院を探しますが、予約の画面が開いていれば翌日以降の枠を押さえて待ってくれます。