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動物病院のスタッフごとの予約枠|指名と手空きをどう見せるか

2026年9月17日・Rizaflow編集部

動物病院の予約枠は、美容室や整体のように「担当者ごとに時間を並べる」だけでは組めません。診察する獣医師のほかに、使う部屋と機械が同時に空いていなければ予約が成立しないからです。さらに手術の日は診察を受けず、専門の分野によっては診られる曜日が限られます。この記事では、人と部屋と機械という3つの在庫をどう表に出し、指名と手空きをどこまで飼い主に見せるかを順に決めていきます。

予約が成立する条件は、人だけでは決まらない

最初に、何が埋まると予約が取れなくなるのかを洗い出します。動物病院では、少なくとも3種類の在庫が同時に必要です。

1つめは人です。獣医師と、愛玩動物看護師と、受付。診察には獣医師が1人、処置の内容によっては保定する人がもう1人要ります。

2つめは部屋です。診察室が2室しかなければ、獣医師が3人いても同時に診られるのは2件です。手術室、処置室、レントゲン室も同じ考え方で数えます。

3つめは機械です。超音波の装置が1台なら、心臓の検査と腹部の検査は同時に入れられません。血液の検査機は、結果が出るまでの時間そのものが枠を占めます。

この3つのうちどれか1つでも埋まっていれば、その時間帯は予約を受けられません。人だけを並べた予約表を作ると、部屋と機械が足りずに当日の進行が崩れます。逆に部屋の数だけで枠を作ると、その時間に空いている獣医師がいない、という事態が起きます。

つまり、枠の設計はこの3つの掛け算です。どこが最も少ないかを先に把握して、その最少のものを枠の単位にします。診察室が2室で獣医師が2人なら、一般診察の同時受付数は2が上限です。

獣医師の枠だけは、他で埋め合わせが利かない

3つの在庫のうち、人の枠がいちばん動かしにくい理由があります。診療を行える人が資格で決まっているからです。

所管の官庁は、獣医師になるまでの道筋をこう書いています。

獣医師になるには、獣医学科のある大学で獣医学教育を履修し、農林水産省が行う獣医師国家試験に合格し、獣医師免許の交付を受けなければなりません。 出典: maff.go.jp

急に人を増やして枠を広げる、という手が使えません。繁忙期に人手が足りないからといって、受付の人に診察を任せることはできません。

だから枠の設計では、獣医師の時間を最も貴重な資源として扱います。獣医師でなくてもよい作業が獣医師の枠を占めていないか、ここを点検するところから始めます。

よく見つかるのは次の4つです。

・会計の説明。費用の内訳を診察室で獣医師が話している ・次回の予約を取る作業。診察室の中で日程を相談している ・処方食やフードの説明。栄養の相談が診察の枠を10分伸ばしている ・電話への対応。診療中に受付から回ってくる

このうち会計と予約は、受付に移せます。1件あたり3分を移せば、1日30件の院で90分が戻ります。枠を1つ増やすより効きます。

看護の担当だけで完結する枠を切り出す

2022年に愛玩動物看護師が国家資格になり、動物病院の中での役割の位置づけがはっきりしました。院によっては、看護の担当だけで完結する来院を枠として切り出しています。

切り出しやすいのは、獣医師の診断を前提としない来院です。

・爪切り、耳の掃除、肛門腺の処置 ・体重の測定と、経過の記録だけを取る来院 ・フードの受け渡し。すでに処方が決まっているもの ・手術後の抜糸に向けた、傷の状態の確認

これらを一般診察の枠に混ぜると、獣医師の時間が埋まります。別の枠として切り出し、時間帯も分けます。一般診察が混む時間帯を避け、午後の早い時間に置くと、待合室の混雑も分散します。

ただし、切り出した枠に何を入れてよいかの線引きは、院として明文化しておく必要があります。体重を測りに来た飼い主が「ついでに」と症状の相談を始める場面は必ず起きます。その場で獣医師の診察に切り替える手順を決めていないと、枠の設計が崩れます。

線引きの判断は診療の内容に関わるので、院内の獣医師が決めます。決めた内容を、予約を受ける画面の枠の説明にそのまま書いておくと、飼い主の側も間違えにくくなります。

手術の日は、枠ではなく日を押さえる

手術のある日は、予約の考え方が変わります。130分の枠を並べる形では表現できません。

理由は3つあります。麻酔をかける前の準備と、覚めたあとの管理に時間がかかること。執刀する獣医師が手術室に入っている間、診察室に出られないこと。そして、手術が予定より延びることが珍しくないことです。

現実的なのは、週のうち特定の曜日を手術の日と決め、その日の午前中を丸ごと押さえる形です。2人の獣医師のうち1人が手術に入るなら、その時間帯の一般診察の枠は半分になります。

ここで起きがちな失敗が、手術の日の午後に通常どおりの枠を並べてしまうことです。午前の手術が延びれば、午後の最初の予約から押します。30分の余白を挟んでおくと、この連鎖が止まります。

手術の予約を受ける側の設計も変わります。飼い主が自分で日程を選ぶ形にするなら、選べるのは手術の日だけです。しかも術前の検査を別の日に済ませている必要があるので、検査の予約と手術の予約が順番に並ぶ形で受けられなければなりません。ここを自動で表現できないなら、手術だけは電話で受けると決めたほうが確実です。

検査の枠は、機械の台数と結果が出るまでの時間で決まる

超音波、レントゲン、内視鏡、血液の検査。それぞれ使う機械が違い、必要な人数も違います。

超音波の検査は、獣医師と、保定する人の2人が要ります。装置が1台なら、同時に1件です。心臓の検査は20分から30分かかることがあり、一般診察の枠には収まりません。

レントゲンは撮影そのものは短時間ですが、部屋への出入りと体位の調整に時間がかかります。撮影する部屋が診察室と離れていると、移動の時間も枠に含める必要があります。

血液の検査は、機械が動いている間に人が別のことをできる点が他と違います。ただし結果を待つ飼い主は待合室に残るので、席の数という別の在庫を占めます。

こうした事情を枠に落とすには、検査ごとに所要時間と必要な人数を書き出すところから始めます。

・腹部の超音波。25分。獣医師1人と看護の担当1人。装置1台 ・胸部のレントゲン。15分。獣医師1人と看護の担当1人。撮影室 ・血液の検査。採血に10分。結果まで20

この表があれば、1日に受けられる検査の件数が計算できます。感覚で受けていると、特定の曜日だけ検査が集中して回らなくなります。

専門の分野があるなら、曜日で固定する

皮膚、循環器、眼科、歯科、整形。院の中に得意分野を持つ獣医師がいる場合、その分野の来院はその人に集まります。

集まること自体は院の強みです。問題は、集まり方を制御していないと診察の進行が崩れることです。皮膚の診察は20分を超えることが多く、一般診察と同じ枠では収まりません。

現実的なのは、曜日と時間帯で固定する形です。皮膚の診察は火曜の午後、歯科の相談は木曜の午前、というように決めます。決めたうえで、その枠の長さを分野に合わせます。

飼い主への見せ方も変わります。専門の分野を表に出すかどうかは、院の方針で決めます。出す場合は、どういう症状のときにその枠を選ぶのかを書きます。書かないと、一般診察で足りる来院がその枠を埋めます。

固定した曜日に休みが入るときの扱いも決めておきます。学会や研修で不在になる日は、その分野の予約を受けない形にします。受けてしまってから電話で断ると、飼い主の予定が崩れます。

診られる動物の種類で、枠が分かれることがある

うさぎ、ハムスター、フェレット、鳥、爬虫類。こうした動物を診られる獣医師は限られます。院に1人だけ、という形が普通です。

この場合、枠の考え方は専門分野よりさらに厳しくなります。その獣医師がいない日は、受けられません。急患が来ても対応が難しいので、受けられない旨をあらかじめ示しておく必要があります。

予約を受ける画面に動物の種類を選ぶ項目を置き、選んだ種類によって出てくる枠が変わる形にできると、電話でのやり取りが減ります。

・犬と猫。全曜日、全獣医師 ・うさぎとフェレット。担当する獣医師が出勤する曜日のみ ・鳥と爬虫類。事前に電話で相談。受け入れの可否をその場で判断

3つめのように、予約を受けない選択肢もあります。診られない状態で受けてしまうほうが、飼い主にとっては損になります。

診療の時間も変わります。小さな動物ほど保定が難しく、扱いに慣れた人が要ります。犬猫と同じ10分の枠を当てると、必ず押します。

指名を表に出すか、出さないかを決める

ここが動物病院の予約設計で最も判断が分かれる点です。

指名を表に出すとは、予約を受ける画面に獣医師の名前を並べ、飼い主が選べる形にすることです。

出す利点は3つあります。慢性の病気で通っている子は、同じ獣医師が診たほうが経過を追えます。飼い主の安心感が違います。そして、電話で「前回の先生でお願いします」と言われる手間が減ります。

出さない利点も3つあります。特定の獣医師に予約が偏らないため、全体の枠を埋めやすくなります。若い獣医師に経験が回ります。そして、その獣医師が退職したときに患者が一緒に離れる事態を避けられます。

折衷の形もあります。

・初診は指名なし。再診からは前回の獣医師が自動で割り当てられる ・指名は表に出さないが、受付が調整する。予約の画面では見えない ・慢性疾患で通っている子だけ、担当を固定する

2つめは多くの院が実際にやっている形ですが、受付の手作業に依存します。130件の予約を毎回調整すると、受付の時間が消えます。仕組みの側で「前回の担当を優先して割り当てる」ことができるなら、手作業が要りません。

指名に料金を付けるかどうか

美容室では指名に料金を付ける形が定着していますが、動物病院では事情が違います。

診療は自由診療で金額を院が決められますが、担当する獣医師を選んだことに対して料金を取る形は、飼い主の受け止め方が変わります。治療のために選んでいるのであって、好みで選んでいるわけではないからです。慢性の病気で同じ獣医師に診てもらいたい家庭に、そのたびに追加の料金を求めるのは筋が通りません。

一方で、専門の分野の診察に通常より長い時間をかけるなら、その時間に対する料金は説明がつきます。皮膚の診察に30分をかけ、一般診察が10分なら、内容が違います。

つまり、料金を付けるなら人ではなく診療の内容に付けます。枠の名前も「指名」ではなく、診療の種類として並べます。

・一般診察 ・皮膚の相談。時間が長く、料金が別 ・セカンドオピニオン。他院での検査結果を持参してもらう

この形なら、飼い主は何に対して払うのかを理解できます。予約を受ける画面にも、枠ごとの所要時間と料金の目安を書いておきます。書いていないと、会計で初めて知ることになります。

枠を何日先まで開けておくか

枠の公開する範囲は、診療の種類ごとに変えます。すべてを同じ期間で開けると、どちらかに不都合が出ます。

予防の来院は先まで開ける必要があります。年に1回のワクチンや健康診断は、仕事の休みに合わせて計画するので、2か月から3か月先まで取れないと日程が作れません。

一般診察は逆です。症状があって来る来院なので、1週間先の枠を押さえても意味がありません。むしろ先まで開けると、当日や翌日に来たい人の枠が埋まっている状態になります。3日先までにしておくと、直近の枠が残りやすくなります。

手術は術前の検査が先に要るので、1か月前後です。トリミングと預かりは、連休を含むなら3か月先まで開けます。

種類ごとに違う期間を設定できない仕組みだと、いちばん長い期間に合わせることになります。すると一般診察の枠が先まで埋まり、当日に診てほしい飼い主が入れません。ここは道具を選ぶときの確認項目になります。

枠の名前は、飼い主が読んで分かる言葉にする

院の中で使っている呼び方をそのまま枠の名前にすると、飼い主が選べません。

避けたいのは、院内の略語と、診療報酬の言い回しです。飼い主は自分の子の状態を言葉にできても、それがどの枠に当たるかは判断できません。

分かりやすいのは、症状や目的から書く形です。

・はじめて受診する。犬と猫 ・前回の続きで受診する ・ワクチンを受ける ・フィラリアの薬を受け取る ・爪切りや耳の掃除だけ ・健康診断を受ける

この並びなら、選び間違いがほとんど起きません。選び間違いが減れば、受付での修正も減ります。

枠ごとに、その枠で受けられないことも短く書いておきます。「爪切りや耳の掃除だけ」の枠に症状の相談を入れる飼い主が出るので、「気になる症状がある場合は、診察の枠をお選びください」と1行添えます。

非常勤の獣医師がいるなら、枠の扱いを別にする

大学から来る専門の獣医師や、月に数回だけ入る非常勤の獣医師がいる院では、その人の枠を常勤と同じ扱いにできません。

違いは2つです。1つは、出勤する日が不定期なこと。もう1つは、その日に受けられる診療の種類が限られることです。心臓の専門家が来る日に皮膚の診察を入れても意味がありません。

扱い方は次のようになります。

・出勤の日が決まった時点で、その日の枠を開ける。決まるまでは閉じておく ・その枠で受けられる診療の内容を、枠の説明に書く ・枠の長さを常勤と分ける。専門の診察は長い ・紹介を受けて来る飼い主がいるなら、その受け口を別に用意する

開けておく期間も考えます。3か月先の予定が決まっているなら、そこまで開けて構いません。ただし、予定が変わったときに予約を取り直してもらう連絡が要ります。この連絡の手間を考えると、開ける期間は2か月程度に抑えるほうが現実的です。

急患のための空きを、どこに置くか

動物病院の予約は、予約どおりに進みません。予約外の急患が来れば、そちらが優先されます。

この前提を無視して枠を埋め切ると、急患が入った日に全部が押します。40分待たされた飼い主は、次から予約を取らずに来るようになります。

対策は、意図的に空きを作ることです。置き方は3つあります。

1つめは、時間帯ごとに1枠を空けておく方法。午前に2枠、午後に2枠といった形で散らします。散らすので、どの時間帯に急患が来ても吸収できます。

2つめは、午前と午後の終わりに空きを作る方法。押した分をそこで取り戻します。散らす方法より運用が単純ですが、午前の早い時間に急患が来ると、その後がずっと押したままになります。

3つめは、受付の締切を早める方法。診療時間の終わりの30分は予約を受けず、当日の遅れの吸収に充てます。

どの方法でも、空けた枠を直前に開放するかどうかを決めておきます。前日になっても急患が入っていないなら、その枠を予約に開放してよい院と、常に空けておく院があります。前者にするなら、開放する時刻を決めておかないと誰も操作しません。

手空きの枠を、予防の来院に回す

枠を埋める作業は、埋まらなかった枠をどう使うかという話でもあります。

動物病院には、日程を動かしやすい来院が一定数あります。年に1回のワクチン、フィラリアの薬の受け取り、爪切り、健康診断。これらは症状があって来るわけではないので、院の都合に合わせてもらいやすい種類の来院です。

空いている枠が見えたら、この層に案内を出します。出す先は、その週に予防の時期が来ている家庭です。案内に空いている時間帯を具体的に書けば、そこに入ります。

ただし、この運用には条件があります。空いている枠が今どこにあるかを、受付がすぐ把握できることです。紙の予約表を見返して空きを探す作業に15分かかるなら、誰もやりません。

逆に言えば、枠の空きが一覧で見える状態になっているだけで、この運用が始められます。仕組みを入れる目的として、空きを見つけやすくすることは十分に大きな理由になります。

受付と待合の広さが、枠の上限を決める

診察室と獣医師の数だけで枠を組むと、待合室があふれます。

動物病院の待合室は、他の業種と事情が違います。犬と猫が同じ空間にいると、猫の側が強い緊張状態になります。大型犬と小型犬が近いと、飼い主の側が気を張ります。関係する法律も、動物の適切な管理として危害や迷惑の防止を目的に含めています。

つまり、待合室に入れられる数には上限があり、それは椅子の数より少ない可能性があります。

枠を組むときは、同じ時間帯に何組が待合室にいることになるかを数えます。10分刻みで枠を作り、診察に15分かかっているなら、待つ組が少しずつ積み上がります。1時間で2組ずつ増える計算です。

対処は2つです。枠の長さを実際の診察時間に合わせること。そして、車で待てる飼い主には車で待ってもらい、順番が近づいたら連絡する形にすることです。後者は猫の飼い主に喜ばれます。

トリミングと預かりの枠は、診察と別の時間で動く

併設している場合、この枠は診察とまったく別の軸で動きます。

トリミングは2時間から3時間、大型犬ならさらに長くかかります。担当する人が1人なら、1日に受けられるのは3件から4件です。診察の枠のように10分刻みでは表現できません。

預かりは日の単位です。部屋の数が在庫で、犬と猫で分かれます。連休の期間は数か月前から埋まります。

この2つを診察の予約表と同じ画面で扱えないと、受付が2つの表を見ることになります。トリミングのついでに爪の処置を診察で受けたい、という飼い主の希望に応えるには、両方の空きを同時に見る必要があります。

同じ日に診察とトリミングを続けて入れられる形にしておくと、来院が1回で済みます。飼い主の負担が減り、院の側も1度の来院で2つの売上が立ちます。

往診の枠は、移動の時間ごと押さえる

往診を行っている院では、出ている間の枠を院内から消す必要があります。

往診の1件にかかる時間は、処置そのものより移動が長いことがあります。片道20分の家に30分の処置に行くなら、院を空ける時間は70分を超えます。

この時間を枠として押さえないと、院内の予約が入ります。戻ったときには待合室に人が溜まっています。

同じ方面の往診をまとめる工夫も要ります。2件を別々の日に入れるより、同じ日の続きに入れたほうが移動が減ります。まとめるには、往診の希望を受けた時点で地域が分かる形になっていることが必要です。

往診に出る獣医師が決まっているなら、その人の枠だけが消えます。院に残る獣医師の枠は生きているので、人ごとに枠を持っていないと表現できません。

シフトと枠を、同じ場所でそろえる

枠の設計で最後に残るのが、実際の勤務との同期です。

学会で不在、有給、研修、当番の交代。こうした変更は毎月出ます。シフト表が更新されても予約の枠が更新されなければ、いない日に予約が入ります。

起きることは決まっています。前日に気づいて、飼い主に電話をかけて謝ることになります。5件の予約を動かすのに1時間かかり、しかも全員の都合が合うとは限りません。

防ぐには、シフトを決める会議の場で、その場で枠を閉じてしまうのがいちばん確実です。あとでやると忘れます。

休診日の扱いも同じです。年末年始、お盆、学会の週。院の休みを枠の側に反映していないと、予約を受けてしまいます。

経験の浅い獣医師を、枠の中でどう育てるか

枠の設計は、人を育てる話とも直結します。指名を表に出すと、経験の長い獣医師に予約が集まり、入って間もない人に症例が回りません。

回らなければ経験が積めず、経験が積めないから指名されない。この循環を枠の側で断ちます。

・初診の一部を、必ず経験の浅い獣医師に割り当てる ・その枠だけ、診察の時間を5分長く取る。相談する余裕を作るため ・同じ時間帯に、相談できる獣医師が院内にいるようにシフトを組む ・予防やワクチンの枠を多めに回す。件数をこなす場として適している

2つめが効きます。時間が足りない状態で判断を迫られる経験は、育成になりません。枠の長さを人によって変えられる仕組みなら、これが表現できます。全員同じ長さでしか組めないなら、院全体の枠を長めに取るしかなく、1日に受けられる件数が減ります。

割り当ての記録も残しておきます。誰がどの症例を何件担当したかが分かれば、次に何を回すべきかが判断できます。

分院があるなら、枠を行き来できるかを決める

2つ以上の院を持っている場合、獣医師が曜日によって行き来する形になります。ここで枠の設計が一段複雑になります。

決めることは3つです。

1つめは、飼い主が院を選んでから枠を見るのか、獣医師を選んでから院が決まるのかです。前者が自然ですが、特定の獣医師に診てもらいたい飼い主は後者を求めます。

2つめは、記録の共有です。A院で診た子がB院に来たとき、前回の内容が見られなければ診察が成り立ちません。予約の仕組みと記録の仕組みが別なら、両方で共有の設定が要ります。

3つめは、移動の時間です。午前をA院、午後をB院とする場合、間の移動時間を枠から外します。外していないと、午前の最後の予約が押した瞬間に午後の開始に間に合いません。

分院ごとに別々の予約表を持つと、飼い主から見て院が別の店に見えます。同じ院として扱いたいなら、1つの仕組みの中で院を分ける形にします。

枠の埋まり方を、月に1回だけ数で見る

設計した枠が正しかったかどうかは、埋まり方で判断します。

見る数字は3つです。

1つめは、枠ごとの埋まった割合です。一般診察、予防、検査、トリミング。どれが余り、どれが足りないかが分かります。予防の枠が40パーセントしか埋まらず、一般診察が常に満杯なら、配分が合っていません。

2つめは、予約が押した時間です。予定の時刻と実際に診察を始めた時刻の差を、数日分でよいので記録します。慢性的に20分押しているなら、枠の長さが実態と合っていません。

3つめは、断った件数です。希望の日時に枠がなくて取れなかった数です。この数字は記録していない院がほとんどですが、受付に紙を1枚置いて正の字を書くだけでも見えてきます。断りが特定の曜日に集中しているなら、そこに枠を増やす根拠になります。

数字を見るのは月に1回で十分です。見たあとに枠を動かし、翌月にまた見る。この繰り返しで、実態に合った形に寄っていきます。

人と部屋と機械を、1つの表で持つ

ここまで挙げた条件を並べると、動物病院の予約は在庫の管理そのものだと分かります。獣医師、看護の担当、診察室、手術室、超音波の装置、トリミングの台、預かりの部屋。どれか1つが埋まれば予約は取れません。

これを紙の予約表と受付の記憶で回している院では、判断できるのが特定の1人だけ、という状態になりがちです。その人が休んだ日に予約が止まります。

動物病院で決済が必須でない業態に合わせて、予約の受付から次の来店までを一続きにしている仕組みを使う価値は、この在庫を1つの表で持てるところにあります。窓口で精算する業態なので、予約の時点で代金を取る設計は要りません。必要なのは、誰が、どの部屋で、どの機械を使って、何分かかるのかを表現できることです。

道具を比べるときは、担当者ごとに枠を分けられるかどうかだけでなく、部屋や機械のような人以外の在庫を持てるかまで見ます。何ができるかを項目で並べたできることのページと、業種ごとの枠の組み方をまとめた業種ごとの使い方のページを見比べると、自院の枠が再現できるかが判断できます。条件ごとに他社と並べた他社との比較のページでは、指名の扱いと枠の作り方の違いが比べられます。担当者の人数でプランが変わることがあるので、料金のページも先に見ておきます。実際の画面はデモを見るから触れるので、手術の日と往診の枠を作れるかを試してから決めるのが確実です。判断に迷う条件が残ったら、よくある質問に同じところで詰まった院の質問がまとまっています。

Q1. 動物病院の予約枠は、獣医師ごとに分けたほうがよいですか?

慢性の病気で通う子が多い院なら分ける価値があります。同じ獣医師が経過を追えるためです。ただし表に出すと予約が特定の人に偏るので、初診は指名なしで受け、再診から前回の担当を自動で割り当てる形が扱いやすくなります。

Q2. 手術の日の予約枠はどう作ればよいですか?

時間を刻んだ枠では表現できません。曜日を決めて午前を丸ごと押さえ、その時間帯の一般診察の枠を減らします。午後の最初には30分の余白を置きます。置かないと、手術が延びた分だけ午後の予約が最初から押し続けます。

Q3. 急患のための空き枠はどこに置くのがよいですか?

時間帯ごとに1枠ずつ散らす形が扱いやすいです。午前の終わりだけに寄せると、早い時間に急患が来た日はその後がずっと押します。前日になっても埋まらない場合に予約へ開放するかどうかと、その時刻も先に決めておきます。

Q4. 診察室や検査機器は、予約の枠にどう反映すればよいですか?

人と同じ在庫として持ちます。獣医師が3人いても診察室が2室なら同時に診られるのは2件です。超音波の装置が1台なら、心臓と腹部の検査は同時に入れられません。最も数の少ないものを枠の単位にします。

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