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マツエクの美容所登録で要る消毒セット|そろえ方と置き場所
2026年9月30日・Rizaflow編集部
マツエクサロンを開くために保健所へ相談に行くと、必ず消毒設備の話になります。「消毒セット」という言葉で検索して出てくるのは、開業用品を売る店がまとめた買い物かごの中身が中心で、なぜその器材が要るのかまでは書かれていません。この記事では、美容所登録のときに何をそろえれば検査を通るのかを、美容師法と美容師法施行規則の条文、そして厚生労働省が出している要領から逆算して整理します。買う物の一覧だけでなく、どこに置けば日々の施術が回るのかまで決められる状態を目指します。
消毒セットの中身は、買い物リストではなく条文から決まる
美容所の消毒について、法律が求めていることは2か所に書かれています。1つは美容師が施術をするときの義務、もう1つは美容所を開く人が施設に対して備える義務です。前者は美容師法第8条で、皮ふに接する布片を客一人ごとに取り替えること、皮ふに接する器具を客一人ごとに消毒することが定められています。後者は同法第13条で、常に清潔に保つこと、消毒設備を設けること、採光と照明と換気を充分にすることが並んでいます。
つまり検査の場で問われるのは「どのメーカーの器材を買ったか」ではありません。客一人ごとに器具を消毒できる仕組みが施設の中に成立しているかどうかです。そのため、同じ予算を使うなら、見栄えのする消毒器を1台だけ置くよりも、洗う場所、消毒する場所、乾かして収める場所という3つの場所を先に確保したほうが通りやすくなります。条文の全文は美容師法で確認できます。
もう1つ押さえておきたいのは、美容所を使い始めてよい時点です。美容師法第12条は、開設者が構造設備について都道府県知事の検査を受け、第13条の措置を講ずるに適する旨の確認を受けた後でなければ、その美容所を使用してはならないと定めています。届出を出した日ではなく、確認を受けた日が営業開始の起点になります。消毒設備は検査の対象そのものなので、工事の終わりに慌てて買い足すのではなく、図面を引く段階から置き場所ごと決めておく必要があります。
まつ毛エクステは、この一連の規定が当然に及ぶ施術です。厚生労働省は平成20年3月7日の健衛発第0307001号で、いわゆるまつ毛エクステンションは美容師法にいう美容に該当するものであると明示しました。技術が新しいから対象外、という余地はありません。
施設として先に決める場所は3つある
厚生労働省の「理容所及び美容所における衛生管理要領」は、施設と設備について具体的な形を示しています。この要領は昭和56年6月1日に出され、令和6年6月26日に一部改正されました。技術的助言という位置づけですが、保健所が指導の根拠にしているため、事実上の基準として読んでおいたほうが安全です。
要領が求める場所の1つ目は、器具を消毒する場所です。作業場には適当な広さの器具等を消毒する場所を設けることとされ、消毒室を設けることが望ましいとも書かれています。2つ目は洗場で、流水装置とし、給湯設備を設けることとされています。3つ目は収納で、皮膚に接する器具類について、消毒済みのものと未消毒のものを区別するために必要な収納ケース等を備えることが挙げられています。加えて、作業場内に従業者専用の手洗い設備を設けることも並んでいます。
小さな部屋で開く場合、この4か所をすべて別に用意するのは難しく見えます。実際に現場で採られているのは、洗面台を洗場として使い、その横に幅60センチほどの専用の台を置いて消毒の場所とし、その台の上下に消毒済みと未消毒の入れ物を分けて置く形です。要領は場所を分けることを求めていますが、部屋を分けることまでは求めていません。ただし、居住室や休憩室といった作業に直接関係ない場所からは、隔壁等により完全に区分されていることが要件です。自宅の一室で開くときは、この区分が最初の関門になります。
要領は消毒に必要な器材も列挙しています。液量計は100ml用と1,000ml用の2つ、消毒容器は消毒用バット(ふた付きのものが望ましいとされています)と洗面器、そして卓上噴霧器です。液量計が名指しで挙がっている理由は次の章に直結します。濃度を作れなければ、消毒したことにならないからです。
消毒の方法は8通り。濃度と時間が決まっている
美容師法施行規則第25条は、器具の消毒方法を2つの区分に分けて定めています。共通しているのは、どちらも器具を十分に洗浄した後に行うという前提です。汚れが残った器具に消毒液を掛けても効果は出ないため、洗浄は工程として省けません。
血液が付着しているもの、またはその疑いのあるものと、かみそりについては、3つの方法のいずれかで行います。沸騰後2分間以上煮沸する方法、エタノールが76.9パーセント以上81.4パーセント以下である水溶液に10分間以上浸す方法、次亜塩素酸ナトリウムが0.1パーセント以上である水溶液に10分間以上浸す方法です。
それ以外の器具は、上の3つに加えて次の方法も使えます。20分間以上、1平方センチメートル当たり85マイクロワット以上の紫外線を照射する方法、10分間以上摂氏80度を超える湿熱に触れさせる方法、エタノール水溶液を含ませた綿またはガーゼで器具の表面をふく方法、次亜塩素酸ナトリウム0.01パーセント以上の水溶液に10分間以上浸す方法、逆性石ケン0.1パーセント以上の水溶液に10分間以上浸す方法、グルコン酸クロルヘキシジン0.05パーセント以上の水溶液に10分間以上浸す方法、両性界面活性剤0.1パーセント以上の水溶液に10分間以上浸す方法です。
数字を並べると多く見えますが、まつ毛エクステの現場で実際に使うのは2つか3つです。ツイーザーは金属なので消毒用エタノールに浸す方法が扱いやすく、コームやブラシは紫外線消毒器に入れる方法が回転を止めません。厚生労働省の要領は、この2つについて運用上の注意も添えています。
消毒液は、蒸発、汚れの程度等により、7 日以内に取り替えること。 消毒用エタノールを希釈せず使用することが望ましいが、無水エタノール又はエタノールを使用する場合は、消毒用エタノールと同等の濃度に希釈して使用すること 出典: mhlw.go.jp
紫外線消毒器についても、要領は85マイクロワット以上の紫外線照射が得られるように管理することを求め、紫外線灯は3,000時間以上使用すると出力が低下することがあるので適宜取り替えることが望ましいと注記しています。買った日に基準を満たしていても、使い続ければ落ちるという前提で書かれています。点灯時間を記録するか、交換の目安を年で決めて台帳に書いておくと、立入検査の場で説明ができます。
まつ毛エクステの店がそろえる消毒セットの具体例
以上を踏まえると、まつ毛エクステ専門の1人サロンでそろえる最小の構成は次のようになります。ふた付きの消毒用バット1つ、洗面器1つ、液量計100ml用と1,000ml用、消毒用エタノール、次亜塩素酸ナトリウムの製剤、紫外線消毒器1台、消毒済みと未消毒を分ける収納ケース2つ、ふた付きの汚物箱と毛髪箱、従業者専用の手洗い設備に置く石ケンと速乾性擦式消毒薬、そして救急処置に必要な薬品と衛生材料です。最後の1点は見落とされがちですが、要領の第4に外傷に対する救急処置に必要な薬品及び衛生材料を常備することが明記されています。
消毒薬については、要領が「消毒薬は、医薬品を使用すること」と注記しています。雑貨として売られている除菌スプレーでは要件を満たしません。買う前に、容器のどこかに医薬品または医薬部外品の表示があるかを確かめます。次亜塩素酸ナトリウムを使う場合は、要領が金属器具及び動物性繊維製品は腐食するので必要以上に長時間浸さないよう求め、消毒液は毎日取り替えること、取り扱う際にはゴム手袋を着用することも挙げています。ツイーザーを次亜塩素酸ナトリウムに入れたまま忘れる事故は、この注意に真正面からぶつかります。
まつ毛エクステに固有の事情として、接着剤の扱いがあります。平成20年の通知は、まつ毛エクステンション用の接着剤による健康被害の相談が消費生活センター等に増えているという東京都からの情報提供を受けて出されたものです。消毒セットの話とは別に、使用する製品の選び方と、施術前のパッチテストや問診の運用も、開業の準備として決めておく必要があります。
置き場所を間違えると、器材がそろっていても回らない
器材をすべて買ったのに現場が止まる原因は、ほぼ置き場所です。要領は、洗浄及び消毒済みの器具類は使用済みのものと区別して収納ケース等に保管することを求めています。この「区別」が守られなくなる典型は、施術の合間が短いときです。次のお客さまが待っているとき、消毒が終わっていないツイーザーを一旦どこかに置くことになり、その場所が決まっていないと台の上で混ざります。
回る店の置き方には共通点があります。台の上を左から右へ一方向に流し、左端に使用済みの入れ物、中央に洗う場所と消毒液のバット、右端に消毒済みの収納ケースを置く形です。戻る動きが発生しないため、急いでいるときも混ざりません。紫外線消毒器は右端に寄せ、扉を開ける向きを施術椅子の反対側にしておくと、動線が交差しません。
床と腰板については、施行規則第26条がコンクリート、タイル、リノリューム又は板等の不浸透性材料を使用することを定めています。消毒液や水がこぼれる前提の規定です。自宅の一室を使う場合、カーペットや畳のままでは通りません。ここは工事に費用が要る部分なので、物件を決める前に確認しておくと予算の狂いが小さくなります。汚物箱と毛髪箱にふたが必要なことも同条に書かれており、フタなしのごみ箱を置いていると、その場で指摘されます。
換気と照明も消毒と同じ扱いで検査されます。施行規則第27条は、美容師が美容のための直接の作業を行う場合の作業面の照度を100ルクス以上とすること、美容所内の空気1リットル中の炭酸ガスの量を5立方センチメートル以下に保つことを定めています。要領はさらに、作業中の作業面の照度が300ルクス以上であることが望ましいとしています。まつ毛エクステは手元の細かい作業なので、実務上も要領の水準を狙ったほうが施術が楽になります。
タオル、布片、手指は器具と別の手順で決める
器具の消毒だけそろえて、布片と手指を忘れる例が少なくありません。美容師法第8条は、皮ふに接する布片を客一人ごとに取り替えることを器具の消毒と並べて義務にしています。要領は布片類の消毒方法も具体的に示していて、加熱による場合は洗剤で洗浄した後に蒸気消毒器で器内が80度を超えてから10分間以上保持すること、消毒液による場合は次亜塩素酸ナトリウム液に浸すこととしています。血液が付着したタオルと布片類については、廃棄するか、血液が付着している器具と同様の洗浄及び消毒を行うこととされています。
まつ毛エクステの施術で使うアイパッチやテープは使い捨てが基本なので、洗って使う布片はフェイスタオルとブランケット類に絞られます。枚数を決めるときは、要領が器具類及び布片類は十分な量を備えることを求めている点を踏まえます。1日の予約が6件入る日があるなら、洗濯と乾燥が回る枚数として2倍の12枚を持っておくと、途中で足りなくなりません。
手指の消毒は客一人ごとです。要領は方法を2つに分けていて、血液や体液等に触れて目に見える汚れがある場合、あるいは速乾性擦式消毒薬が使用できない場合は、流水と石けんを用いて少なくとも15秒間洗浄すること、それ以外の場合は速乾性擦式消毒薬を乾燥するまで擦り込むこととしています。施術椅子から手洗い設備までが遠いと、この15秒が守られなくなります。従業者専用の手洗い設備を作業場内に置く要件は、衛生の話であると同時に動線の話でもあります。
顔に近い作業をするため、要領の第4にある清潔な外衣の着用と、顔面作業時の清潔なマスクの使用も守る対象です。外衣は白色またはこれに近い色で汚れが目立ちやすいものとされています。開業前に制服を決める場面では、この一文を思い出しておくと選び直しが減ります。
検査で見られるのは器材の数ではなく、続けられる形か
開設の届出を出すと、保健所の職員が現場を見に来ます。このとき確認されるのは、器材がそろっていることと、その器材で第13条の措置を講ずることができる構造になっていることです。消毒液の濃度を作るための液量計があるか、消毒済みと未消毒が分かれているか、洗場が流水になっているか、床と腰板の材質が要件を満たしているか、汚物箱にふたがあるか、といった順に見られます。
検査の後も、同法第14条により都道府県知事は必要があると認めるときに職員を立ち入らせ、第8条または第13条の措置の実施状況を検査させることができます。開業のときだけ形を整えても、後から見られます。要領の第6が、開設者は施設及び取扱い等に係る具体的な衛生管理要領を作成し、従業者に周知徹底することを求めているのはこのためです。1人で始める店でも、消毒液の交換日、紫外線灯の使用時間、タオルの洗濯の記録を1枚の紙かスマートフォンのメモに残しておくと、聞かれたときに答えられます。
令和6年の改正では、管理美容師が行う業務のうち一部について、デジタル技術等を活用して適切に業務を行うことができる場合はオンライン実施や兼任で対応できるという一文が加わりました。衛生の記録を紙の台帳に限らない運用が、国の側から認められた形です。手書きの台帳しか選べない時代の前提で仕組みを組む必要はありません。
器材と並んで見られるのが、人の側の衛生管理
消毒セットを器材の話だけで終わらせると、検査で聞かれたときに答えられない項目が残ります。要領の第3は従業者の管理を定めていて、開設者と管理美容師は常に従業者の健康管理に注意し、従業者が結核または感染性の皮膚疾患にかかったときは、開設者がこの旨を保健所に届け出るとともに、その従業者を作業に従事させないこと、疾患が治癒した場合も同様に届け出ることとしています。感染性の皮膚疾患の例として、伝染性膿痂疹、単純性疱疹、頭部白癬、疥癬が挙げられています。
届出の書類にもこれが反映されます。美容師法施行規則第19条は、開設の届出書に美容師について結核や皮膚疾患その他の伝染性疾病がある場合はその旨を記載し、疾病の有無に関する医師の診断書を添付することを定めています。自治体の案内では、診断から3か月以内のものと期限を切っている例があります。人を雇った後に従業者が増えたときは変更の届出が必要で、そのときにも同じ診断書が求められます。
まつ毛エクステは顔に手が近づく施術です。要領は顔面作業時に清潔なマスクを使用することを求め、従業者は常につめを短く切り、客1人ごとの作業前と作業後に手指の洗浄を行い、必要に応じて消毒を行うこととしています。器材をそろえる話と、この人の側の手順は同じ重みで書かれています。開業のときに買い物リストだけを見ていると、人の側が後回しになります。
場所を分け合う店では、器材の持ち主と責任を先に決める
美容室の空いている席を借りる形や、複数の施術者が同じ部屋を時間で分け合う形で始める人が増えています。この形で消毒の話がこじれるのは、器材が共用なのに責任の所在が決まっていないためです。法律の側から見ると、責任は2本に分かれています。美容師法第13条の措置は美容所の開設者の義務であり、第8条の措置は施術をする美容師の義務です。消毒設備を設けるのは開設者、客一人ごとに器具を消毒するのは施術者です。
したがって、席を借りる側が自分のツイーザーを持ち込む場合でも、それを消毒する設備は施設側に備わっている必要があります。逆に、施設側が消毒器を置いていても、客一人ごとに消毒する操作を借りる側が飛ばせば、その責任は借りる側に及びます。同法第15条は、開設者が第13条に違反したとき、または美容所で業を行う美容師が第8条に違反したときに、期間を定めて美容所の閉鎖を命ずることができると定めています。ただし後者については、開設者が美容師の違反行為を防止するために相当の注意及び監督を尽したときはこの限りでないという但し書きが付いています。
つまり場所を貸す側には、監督をした形が残っているかどうかが問われます。共用の消毒器の使い方を書いた紙を貼る、消毒液の交換をだれが行うかを曜日で割り振る、器材の持ち込みと共用の境目を契約書に書く。この3つを開業前に決めておくと、後から人が増えても揉めません。借りる側から見ても、自分が守るべき範囲が先に分かっていたほうが動きやすくなります。
図面の段階で相談すると、買い直しが起きない
器材の買い直しが起きるのは、内装が終わった後に保健所へ相談に行った場合です。多くの自治体は、施設の平面図を持参して工事の着工前に相談することを案内しています。図面には、作業室の範囲、洗場の位置、消毒の場所、消毒済みと未消毒の収納、従業者専用の手洗い設備、便所、待合の場所を書き込みます。この段階で位置の指摘を受ければ、直すのは図面だけで済みます。
相談のときによく修正が入るのは3か所です。1つ目は待合の扱いで、作業室と明瞭に区分された場所に作業前のお客さまを待機させる措置が求められるため、施術椅子の隣に椅子を置いただけでは区分になりません。棚やついたてで仕切るか、別の場所を待合にします。2つ目は便所で、要領は隔壁によって作業場と区分され、専用の手洗設備を有することとしています。作業場の手洗いと便所の手洗いを兼用する設計は、ここで指摘されます。3つ目は消毒の場所で、洗面台の上だけを消毒の場所として申告すると、洗う作業と浸す作業が同じ場所で重なるため、台をもう1つ求められることがあります。
事前相談の予約は、開業予定日の逆算で決めます。届出を出してから検査、確認までに1週間ほどかかると案内している自治体があるため、内装工事の完了予定日から2週間以上の余裕を取ります。まつ毛エクステはお客さまへの告知から予約の受付までの準備も同時に進むので、確認済証が出る日を先に押さえてから告知の日を決めると、開業日を動かさずに済みます。
器材を買い替えるときは、記録の有無で判断する
開業してから1年ほど経つと、消毒の器材に判断が要る場面が出ます。紫外線消毒器の出力低下、消毒用バットのふたの割れ、液量計の目盛りの薄れ、収納ケースの傷みです。どれも動いているように見えるため、買い替えの判断が後ろに倒れがちです。
判断の材料になるのは記録です。紫外線消毒器は、要領が3,000時間以上の使用で出力が低下することがあると注記しているため、1日に3時間使う店なら約3年で目安に届きます。点灯した日と時間を月ごとにまとめておけば、勘ではなく数字で交換の時期を決められます。消毒液も同じで、エタノールは7日以内、次亜塩素酸ナトリウム液は毎日という取り替えの基準があるため、記録がない状態では守れているかどうかを自分でも確かめられません。
要領は、器材や器具類は常に点検し、故障や破損等がある場合は速やかに補修し、常に適正に使用できるように整備しておくことも求めています。点検の日を決めておく方法として、月初めの1日に器材を並べて写真を撮る運用が使われています。写真が残っていれば、いつから欠けていたのかを後から追えます。
消毒の時間を守れるかどうかは、予約の入れ方で決まる
消毒の手順が守られなくなる原因は、知識の不足ではなく時間の不足です。エタノールに10分間以上浸す、紫外線を20分間以上照射する、蒸気で10分間以上保持する。どの方法も、時間を短縮できません。つまり施術と施術の間に、その時間ぶんの隙間が必要になります。予約を詰めすぎた日に消毒が崩れるのは、器材の問題ではなく枠の設計の問題です。
マツエクの施術は1件あたり90分前後かかり、その前後にカウンセリングと片付けが乗ります。器具の消毒に必要な時間を見込まずに枠を並べると、道具の本数で無理に回すことになり、消毒済みの本数が足りない時間帯が生まれます。予約の受付を紙の台帳や電話で行っていると、この片付けと消毒の時間を枠に含める操作が毎回手作業になり、忙しい日ほど省かれます。
予約システムを使う場合、メニューごとに所要時間を設定し、その後ろに片付けの時間を持たせる形で枠を作れます。時間枠で予約を受ける業態向けの機能がどこまで標準で用意されているかはできることのページに一覧があり、まつ毛エクステや眉毛サロンを含む美容サロンでの使い方は業種ごとの使い方のページにまとまっています。件数とスタッフ数で使える範囲が変わるため、開業直後の規模で足りるかどうかは料金のページで上限を見てから決めると、後から乗り換える手間が省けます。
もう1つ効くのは、当日の変更を電話で受けないことです。施術中に電話が鳴ると、手を止めるか、鳴らせたままにするかの二択になります。手を止めれば消毒した器具に素手で触れることになり、鳴らせたままにすれば予約を1件失います。お客さま自身が変更と取り消しをできるURLを送る形にしておくと、この二択が消えます。実際の管理画面の見え方はログインなしで触れるデモを見るのページで確かめられ、導入の前に出る疑問はよくある質問のページに整理されています。
開業準備の全体像を見たいという声も多く、公開されている解説では届出の相談から予約の受け方までをまとめて考える必要があると書かれています。
駆け出しオーナーちゃんマンションでマツエクサロンをオープンさせたいんだけど、美容所登録って難しそう…。何が必要なの?どこへ届け出を出せばいいの? 出典: hitoribocchi-salon.com
消毒セットは、開業の準備の中でもっとも数字が明確な部分です。濃度と時間と器材が条文に書かれているため、調べれば答えが出ます。答えが出ない部分は、その手順を毎日続けられる置き場所と時間の作り方です。器材を買った後に、1日の予約の並べ方まで含めて設計しておくと、開業から半年たっても同じ手順が残ります。
Q1. 美容所登録の消毒セットは、いくらぐらいで一式そろいますか?
消毒用エタノール、次亜塩素酸ナトリウムの製剤、ふた付きの消毒用バット、洗面器、液量計2種類、ふた付きの汚物箱と毛髪箱、収納ケースまでは1万円台でそろいます。金額が大きく動くのは紫外線消毒器と、床や腰板を不浸透性材料に変える工事です。器材より内装のほうが費用の差が出ます。
Q2. 市販の除菌スプレーで器具を消毒してもよいですか?
厚生労働省の要領は「消毒薬は、医薬品を使用すること」としています。雑貨として売られている除菌スプレーは要件を満たしません。エタノールを使う場合は76.9パーセントから81.4パーセントの消毒用エタノールを選び、10分間以上浸すか、綿やガーゼに含ませて器具の表面をふきます。
Q3. 紫外線消毒器だけあれば、消毒設備としては足りますか?
紫外線照射は、血液が付着している疑いのない器具に使える方法の1つです。血液が付着したものやかみそりには使えないため、煮沸、エタノール、次亜塩素酸ナトリウムのいずれかを別に用意します。また要領は、構造が複雑で直接紫外線の照射を受けにくい形状の器具には適さないと注記しています。
Q4. 消毒液はどれくらいの頻度で取り替えますか?
消毒用エタノールは蒸発と汚れの程度により7日以内、次亜塩素酸ナトリウム液は毎日、逆性石ケン液とグルコン酸クロルヘキシジン液と両性界面活性剤液も毎日の取り替えが要領で示されています。取り替えた日を記録に残しておくと、立入検査のときに運用を説明できます。