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美容室の開業資金|内装と設備にかかるお金の組み立て
2026年10月3日・Rizaflow編集部

美容室の開業資金を調べ始めると、800万円という数字と1,500万円という数字の両方が出てきます。どちらも間違いではなく、席数と物件の状態で倍近く変わるためです。総額を先に決めようとすると必ず狂うので、費用を箱に分けて、それぞれを自分の条件で埋めていく形が確実です。ここでは箱の分け方と、金額が大きく動く場所、そして自己資金と融資の組み立て方を順に並べます。
相場として出ている数字を、先に押さえる
自分の試算が大きく外れていないかを確かめるために、相場の幅を知っておいてください。
美容室の開業資金は、一人で開業する場合は800~1,000万円程度、複数人での開業なら1,000~1,500万円程度が目安です。もちろん、店舗の規模や採用するスタッフの数など、さまざまな要素で最終的な金額は変わるため、実際の金額を把握するには、入念な試算が必要です。 出典: work.beauty.hotpepper.jp
一人で始めるなら800万円から1,000万円、複数人なら1,000万円から1,500万円。この幅が目安になります。
ただし、この数字は「普通の物件を借りて、内装を新しく入れる」前提です。前が美容室だった物件を引き継げる場合、内装の費用は大きく下がります。逆に、事務所だった物件に給排水を引くところから始めると、上限を超えます。
だから相場の数字は、自分の試算を検算するためだけに使ってください。相場から予算を決めると、削る場所を間違えます。
費用を6つの箱に分ける
見積もりを作るときは、次の6つに分けてください。混ぜると、どこを削れるかが分からなくなります。
1つ目は、物件の取得にかかる費用です。保証金、礼金、仲介手数料、前払いの家賃が入ります。
2つ目は、内装の工事費です。設計、解体、床と壁、給排水、電気の工事が入ります。
3つ目は、設備の費用です。セット面の椅子と鏡、シャンプー台、待合の家具、レジの周り、洗濯機と乾燥機が入ります。
4つ目は、材料と備品の費用です。薬剤、カラー剤、タオル、クロス、ハサミ以外の道具が入ります。
5つ目は、開業前の集客にかかる費用です。看板、ロゴ、店のページ、掲載媒体への費用、名刺が入ります。
6つ目は、運転資金です。開業してから売上が安定するまでの家賃、人件費、材料の仕入れ、自分の生活費が入ります。
6つの中で、金額がいちばん大きく動くのは2つ目です。そして最も削られやすく、削ると後で困るのは6つ目です。
物件の取得費が、最初の関門になる
物件の費用は、家賃の何か月分という形で決まります。店舗の物件では、保証金が家賃の6か月から10か月分になることが珍しくありません。家賃20万円の物件なら、それだけで120万円から200万円が動きます。
ここに礼金と仲介手数料と前払いの家賃が乗ります。工事の期間は営業できないので、その間の家賃も見込んでおいてください。工事に2か月かかるなら、売上ゼロで2か月分の家賃を払います。
物件を見るときに、費用に直結する点を挙げます。
・前の業種が何だったか(美容室なら内装費が大きく下がる) ・給排水がどこまで来ているか ・電気の容量が足りるか ・階数と、エレベーターの有無 ・原状回復の条件がどこまでか
最後の項目は、契約のときに必ず読んでください。退去のときに内装をすべて撤去する条件だと、閉めるときにまとまった費用が出ます。始める前に、終わるときの費用を知っておく必要があります。
内装の工事費が、総額を決める
内装の工事費は、坪数と工事の内容で決まります。同じ広さでも、設備を動かすかどうかで金額が変わります。
金額を大きく動かすのは次の3つです。
1つ目は、給排水の位置です。シャンプー台を置く場所に配管が来ていないと、床を開けて引くことになります。ここが工事費の中で最も高くつく部分です。
2つ目は、電気の容量です。ドライヤーやパーマの機器を同時に使う店では、契約している容量が足りないことがあります。引き込みからやり直すと、費用も期間も増えます。
3つ目は、換気と空調です。薬剤を扱うので、換気は法令上も必要になります。既にある設備で足りるかどうかで金額が変わります。
工事の見積もりを取るときは、2社以上から取ってください。そして、同じ図面と同じ設備の数で出してもらいます。条件が違う見積もりを並べても比べられません。
見積もりの中で「一式」と書かれている行は、内訳を聞いてください。あとで追加が出るのは、この行からです。
法令が、設備の下限を決めている
内装を考えるときに、削れない部分があります。美容室は法令の対象なので、設備の条件が決まっています。
美容師法は、美容所を開くときの手順をこう定めています。美容所を開設しようとする者は、位置と構造設備、管理美容師その他の従業者の氏名などを、あらかじめ都道府県知事に届け出なければならないとされています。
そして使用を始める時点にも条件があります。開設者は、その美容所の構造設備について都道府県知事の検査を受け、必要な措置を講じるのに適する旨の確認を受けた後でなければ、その美容所を使用してはならないと定められています。
設備そのものについては、常に清潔に保つこと、消毒設備を設けること、採光と照明と換気を充分にすることが挙げられており、これに加えて都道府県が条例で定める衛生上必要な措置が加わります。
つまり、条例の中身は地域によって違います。床の材質、洗い場の数、待合の広さ、作業室の面積。ここが自治体ごとに異なるので、物件を決める前に管轄の保健所へ図面を持って相談してください。工事を始めてから指摘を受けると、やり直しの費用が丸ごと増えます。
スタッフを2人以上置く場合の条件
費用に関わる条件がもう1つあります。美容師である従業者の数が常時2人以上である美容所の開設者は、美容所ごとに管理美容師を置かなければならないと定められています。
管理美容師になれるのは、美容師の免許を受けた後3年以上美容の業務に従事し、かつ厚生労働大臣の定める基準に従って都道府県知事が指定した講習会の課程を修了した者です。開設者自身がその条件を満たす場合は、自ら主として管理する1つの美容所について管理美容師になれます。
これは開業の計画に直接影響します。自分が3年以上の実務を終えていない状態で、美容師のスタッフを1人雇うと、条件を満たす人をもう1人用意する必要が出ます。講習会は年に何度も開かれるものではないので、時期を逆算してください。
一人で始めるなら、この条件は関わりません。スタッフを入れる時期が決まっているなら、そこに合わせて講習の予定を入れておいてください。
席数とシャンプー台の数から、広さを決める
坪数を先に決めると、席数が入らない形になりがちです。順番を逆にしてください。
決める順番は次の通りです。
- 1日に何人を入れたいかを決める
- 1人あたりの施術の時間から、必要な席数を出す
- 席数から、シャンプー台の数を決める
- 席とシャンプー台と待合と作業室を並べて、必要な坪数を出す
席とシャンプー台の比率は、メニューの構成で変わります。カラーの比率が高い店は、シャンプー台での滞在が長くなるので、台の数が少ないと席が回りません。
1席あたりに必要な広さは、通路と鏡の前の作業の余裕を含めて考えてください。図面の上では入っても、実際には動けないことがあります。同じ規模の店を実際に見せてもらうのがいちばん早く分かります。
席数を1つ増やすと、内装費と設備費の両方が増えます。増やすかどうかは、それを埋められる予約が入るかで決めてください。埋まらない席は、家賃と内装費を食うだけになります。
運転資金を、何か月分持つか
削られやすく、削ると最も危ないのが運転資金です。
必要なのは、開業してから売上が家賃と人件費と生活費を上回るまでの期間ぶんです。この期間は、集客の準備をどれだけしてきたかで変わります。前の店から一定のお客様が移ってくる形なら短く、まったく新規から集めるなら長くなります。
目安として、最低6か月分は見込んでください。内訳は次の通りです。
・家賃と共益費 ・スタッフの人件費と社会保険 ・材料の仕入れ ・水道光熱と通信 ・掲載媒体や広告の費用 ・自分の生活費
最後の行を入れ忘れる人が多くいます。開業した月から生活費が要ります。売上から抜けるお金なので、最初から計算に入れてください。
運転資金を薄くして設備を良くすると、集客が遅れたときに手が打てなくなります。設備は後から足せますが、運転資金は後から作れません。
自己資金はいくら用意しておくか
融資を受ける前提でも、自己資金は必要です。目安については次のような説明が出ています。
一般的に、開業資金の3分の1以上(約300万円〜500万円)を自己資金として用意していることが望ましいとされています。第三に、公共料金や家賃などの日々の支払い状況です。これは「計画性と信用力」を示す指標として審査されます。 出典: b-merit.jp
開業資金の3分の1以上という目安が示されています。総額が900万円なら300万円という計算です。
金額だけでなく、どう貯めたかも見られます。毎月一定額を積み立ててきた通帳は、計画性の証拠になります。逆に、直前に大きな入金があると、その出どころを聞かれます。借りたお金を自己資金として見せる形は通りません。
公共料金や家賃の支払いが遅れていないかも確かめられます。ここは自分で直せる部分なので、開業を考えた時点から気をつけてください。
日本政策金融公庫の創業融資の条件
創業時の資金調達でよく使われるのが、日本政策金融公庫の融資です。公開されている条件を確かめます。
新規開業・スタートアップ支援資金は、新たに事業を始める方、または事業開始後おおむね7年以内の方が対象です。融資限度額は7,200万円とされています。返済の期間は、設備資金が20年以内(うち据置期間5年以内)、運転資金が10年以内(うち据置期間5年以内)です。
創業期の扱いとして、公庫は3つの点を挙げています。新たに事業を始める方または事業開始後税務申告を2期終えていない方は、原則として無担保・無保証人で各種の融資制度を利用できるとされています。利率については、原則として0.65%の引下げ(雇用の拡大を図る場合は0.9%)があるとされています。そして返済の期間が長く取れる点です。
利率がさらに下がる条件もあります。女性の方、35歳未満または55歳以上の方は特別利率の対象として挙げられています。創業塾や創業セミナーなどを受けて、認定市区町村が発行する証明書を取得した方も対象に入っています。
申し込みのときは創業計画書の提出が求められ、事業計画の内容を確認されます。数字を埋めるだけでなく、なぜその席数なのか、なぜその立地なのかを説明できるようにしておいてください。
制度の内容と利率は改定されます。申し込みの直前に、公庫のページで最新の条件を確かめてから動いてください。
美容業には、もう1つの融資の枠がある
美容業は、法令上「生活衛生関係営業」に位置づけられています。理容業や美容業、クリーニング業、旅館やホテル業、飲食業、公衆浴場業などをまとめた呼び方です。
この分類に入っていることには実利があります。生活衛生関係営業に対しては、生活衛生関係営業の運営の適正化及び振興に関する法律に基づいて各種の振興策が実施されており、日本政策金融公庫にも生活衛生貸付という枠が用意されています。
窓口の相談先も用意されています。都道府県ごとに生活衛生営業指導センターがあり、開業の相談を受けています。組合に入っているかどうかで条件が変わる制度もあるため、自分の地域の窓口で確かめてください。
制度があること自体を知らないまま、条件の悪い借入で始める方がいます。金額が大きい買い物なので、使える枠を全部並べてから選んでください。
融資の審査で見られている3つ
審査で重視される点として、次の3つが挙げられています。
1つ目は、美容師としての勤務の経験と技術力です。勤めていた店での実績や、管理美容師の資格の有無が評価されるとされています。
2つ目は、自己資金の額と、それを貯めてきた過程です。
3つ目は、公共料金や家賃といった日々の支払いの状況です。計画性と信用力を示す指標として審査されるとされています。
3つを並べると、審査が見ているのは「この人は続けられるか」だという点が分かります。技術があるか、計画を立てて実行できるか、約束した支払いを守るか。この3点です。
計画書を書くときは、この3つに答える形で組み立ててください。売上の予測だけを立派に書いても、続けられる根拠が無ければ通りません。
費用の組み立てで、失敗しやすい形
開業の費用でつまずく形には、共通したものがあります。
1つ目は、設備を良くして運転資金を削ることです。開業の準備をしている時期は、設備の話が楽しくなります。ただし、来店が想定より遅れた月に効くのは運転資金のほうです。
2つ目は、坪数を先に決めることです。広い物件に惹かれて契約すると、内装費と家賃の両方が上がります。席数から逆算してください。
3つ目は、原状回復の条件を読まずに契約することです。閉めるときや移るときに、まとまった費用が出ます。
4つ目は、掲載媒体の費用を初期の費用に入れないことです。開業の直後は、掲載の費用が毎月かかります。ここを運転資金に含めていないと、集客を止めることになります。
5つ目は、見積もりを1社しか取らないことです。工事は金額の幅が大きく、比べないと相場が分かりません。
どれも、決める順番を間違えたことから起きています。物件、内装、設備の順で決める前に、1日に何人を入れるかと、運転資金を何か月持つかを決めてください。
手続きの順番と、お金が動く時点
費用の計画には、時点も要ります。いつ払うかが分かっていないと、資金が足りない月が出ます。
順番はおおむね次のようになります。
- 事業計画と資金の計画を作る
- 融資の相談をする
- 物件を決める(保証金と礼金が出る)
- 管轄の保健所に図面を持って相談する
- 内装の工事を契約する(着手金が出る)
- 設備と材料を発注する
- 開設の届出を出す
- 構造設備の検査と確認を受ける
- 営業を始める
4つ目を5つ目より前に置くことが大事です。工事を始めてから条例の条件に合わないと分かると、やり直しの費用が出ます。
7つ目と8つ目の順番も間違えないでください。届出はあらかじめ出すもので、検査と確認を受けた後でなければ使用できません。開店の日を先に決めて広告を出してしまうと、確認が間に合わない事故が起きます。
融資の入金の時期も確かめてください。工事の着手金の支払いと入金の時期がずれる場合、その差を自己資金で埋めることになります。
設備は、買うか借りるかで資金の形が変わる
設備の費用は、買い方で必要な自己資金が変わります。同じ椅子でも、一括で買うのと分割で入れるのでは、開業の時点で出るお金が違います。
選び方は3通りあります。
1つ目は、一括で買う形です。総額は安く済みますが、開業の時点でまとまった現金が出ます。
2つ目は、リースで入れる形です。毎月の支払いになるので初期の出費が減ります。その代わり、契約の期間中は解約できないことが多く、総額は上がります。
3つ目は、中古で買う形です。セット面の椅子やシャンプー台は中古の流通があります。状態を見られるなら、費用を大きく下げられます。
どれが良いかは、運転資金の厚みで決めてください。運転資金が6か月分あるなら一括で買って総額を抑える形が有利です。薄いなら、初期の出費を減らして現金を残すほうが安全です。
中古を選ぶときは、給排水に関わる設備に注意してください。シャンプー台は据え付けの工事が伴うので、本体を安く買っても工事費で相殺されることがあります。工事の見積もりを取ってから決めてください。
開業前に売上の見込みを、席数から立てる
資金の計画は、支出だけでは組めません。いつから売上が立つかの見込みが要ります。
計算の形は単純です。
- 1日に入れられる人数を出す(席数と1人あたりの時間から)
- そこに、現実的な埋まり方の割合を掛ける
- 客単価を掛ける
- 月の営業日数を掛ける
2つ目の割合が肝になります。開業の初月から埋まることはありません。前の店から一定のお客様が移る形でも、全員が来るわけではありません。低めに見て計画を作り、上振れたら運転資金を残せばよい形にしてください。
客単価は、メニューの構成から出します。カットだけの単価と、カラーを含む単価の比率を決めて、平均を出します。ここを期待で高く置くと、計画全体が崩れます。前の店での実績があるなら、その数字を使ってください。
計画は3通り作ると判断しやすくなります。うまくいった場合、想定通りの場合、遅れた場合です。遅れた場合の計画で資金がもつかどうかが、借入の額を決めます。
開業後に増える費用を、見落とさない
開業の費用だけを見ていると、始まってから増える費用に驚きます。毎月出ていくものを並べておいてください。
・家賃と共益費 ・水道光熱(美容室は水とお湯を多く使う) ・材料の仕入れ ・掲載媒体や広告の費用 ・受付や顧客管理の道具の費用 ・洗濯とタオルの費用 ・スタッフの人件費と社会保険 ・税理士などへの費用 ・設備の保守と修理
このうち、開業の計画で抜けやすいのは修理の費用です。シャンプー台や給湯の設備は故障します。止まると営業できないので、待てません。毎月少しずつ積んでおく形にしてください。
水道光熱の額も、事前の想定より大きくなることが多くなります。同じ規模の店に実際の額を聞けるなら、聞いておいてください。
二人目を入れる時期で、資金の必要額が変わる
スタッフを入れる時期は、資金の計画に直接効きます。人件費は売上より先に出ます。
一人で始めて、予約が埋まってから増やす形が資金の面では安全です。席数を先に増やすと、埋まらない席の家賃と内装費を抱えます。
ただし、美容師のスタッフを入れる場合は管理美容師の条件が関わります。常時2人以上になる時点で必要になるので、講習の予定を逆算してください。条件を満たす人を採る形もありますが、その分の人件費は上がります。
アシスタントを先に入れる形なら、自分の施術の回転が上がります。シャンプーと片付けを任せられると、1日に入れられる人数が増えます。人件費に対して売上が上がる形なので、条件は合いやすくなります。
いずれの場合も、入れる月の3か月分の人件費を手元に持ってから採用してください。売上が追いつく前に資金が尽きると、採った人にも迷惑がかかります。
融資の相談に行く前に、揃えておく書類
融資の相談は、手ぶらで行くと1回で終わりません。揃えてから行くと、話が1度で進みます。
持っていくものは次の通りです。
・創業計画書(公庫の書式が公開されている) ・見積書(物件、内装、設備、材料ごとに分けたもの) ・自己資金を入れている口座の通帳 ・美容師の免許の写し ・勤務してきた店と期間が分かるもの ・物件の資料(図面、家賃、契約の条件)
創業計画書で見られるのは、金額の正しさより筋の通り方です。なぜこの立地なのか、なぜこの席数なのか、誰に来てもらう計画なのか。この3つに答えられる形にしてください。
売上の予測は、根拠を添えて書きます。席数と1人あたりの時間と客単価から計算した数字なら、説明できます。希望の数字を書いただけだと、そこを崩されます。
前の店での実績を数字で出せるなら、強い材料になります。担当していたお客様の人数や、指名の割合、客単価。持ち出せる範囲で構いません。
補助金と助成金を、当てにしすぎない
開業の資金を調べていると、補助金の話が出てきます。使える場合はありますが、資金の計画の柱にはできません。理由は3つです。
1つ目は、後払いだからです。多くの制度は、支払いを済ませて報告を出したあとに入ります。つまり、いったん自分で全額を払える必要があります。
2つ目は、採択されるかどうかが事前に分からないことです。申請しても通らない前提で計画を組んでください。
3つ目は、対象の経費が限られていることです。内装の一部は対象でも、保証金や運転資金は対象外という形が多くなります。
使い方としては、通ったら運転資金に厚みを足す、という位置づけが安全です。制度の有無と条件は年度で変わるので、自治体の窓口と、生活衛生営業指導センターで確かめてください。
開業のセミナーを受けると融資の利率が下がる制度もあります。こちらは通る前提で組める分、当てにしやすくなります。
開業の前に決めておくと、費用が減る3つ
最後に、費用そのものを下げられる判断を挙げます。開業の前に決めておくほど効きます。
1つ目は、予約の受け方です。電話だけで受ける形にすると、施術中は取れず、営業時間の外は取りこぼします。開業の直後は自分ひとりで施術も受付もこなすことになるので、ここが最初に詰まります。予約のページで受ける形にしておけば、施術中に鳴る電話を減らせます。何が標準で使えるかはできることのページに機能の一覧があり、リマインダーと御礼メールの扱いも並んでいます。
2つ目は、掲載媒体にどこまで頼るかです。媒体からの集客は早いですが、毎月の費用が続き、掲載をやめると流入が止まります。自分の店のページと予約の入り口を最初から持っておくと、媒体の比率を下げられます。受付にかかる毎月の費用は運転資金に直結するので、料金のページで無料の範囲と段階ごとの違いを確かめておいてください。受付ツールの中には、決済が必須でない業態に合わせて、予約の受付から次の来店までを一続きにしているものもあります。
3つ目は、顧客の記録をどう残すかです。紙のカルテで始めると、後から移すときに手入力が必要になります。最初から残る形にしておけば、リピートの連絡もそこから出せます。美容室での組み立て方は業種ごとの使い方のページにまとまっており、実際の画面はデモを見るから、客側の予約ページと店側の管理画面の両方を触れます。受付ツールを費用で比べる場合は他社との比較のページに公開されている料金だけで並べた表があり、細かい挙動で迷ったときはよくある質問のページを先に見てください。
開業資金は、総額を当てる作業ではありません。6つの箱を自分の条件で埋めて、削れる箱と削れない箱を分ける作業です。物件と内装は後から直せず、運転資金は後から作れません。この2つを守った計画なら、想定が多少ずれても続けられます。
Q1. 美容室の開業資金は、いくら用意すればよいですか?
一人で開業する場合は800万円から1,000万円程度、複数人での開業なら1,000万円から1,500万円程度が目安として挙げられています。ただし前の業種が美容室だった物件を引き継げるかどうかで内装費が大きく変わるため、相場から予算を決めるのではなく、物件取得費・内装・設備・材料・広告・運転資金の6つに分けて自分の条件で積み上げてください。
Q2. 自己資金はどれくらい必要ですか?
開業資金の3分の1以上、金額でいえば300万円から500万円程度を自己資金として用意していることが望ましいとされています。金額だけでなく、毎月積み立ててきた通帳の履歴も見られます。直前にまとまった入金があると出どころを確認されるため、借入を自己資金として見せる形は通りません。公共料金や家賃の支払い状況も審査の対象になります。
Q3. 日本政策金融公庫の創業融資は、どんな条件ですか?
新規開業・スタートアップ支援資金は、新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方が対象で、融資限度額は7,200万円とされています。返済は設備資金が20年以内、運転資金が10年以内で、いずれも据置期間5年以内です。税務申告を2期終えていない方は原則として無担保・無保証人で、利率も原則0.65%引下げとされています。条件は改定されるため申し込みの直前に公庫のページで確かめてください。
Q4. 開業の手続きは、どの順番で進めればよいですか?
資金の計画と融資の相談を済ませ、物件を決めたら、工事を契約する前に管轄の保健所へ図面を持って相談してください。設備の条件は都道府県の条例で異なり、工事を始めてから指摘を受けるとやり直しの費用が出ます。開設の届出はあらかじめ出すもので、構造設備の検査を受けて確認を得た後でなければ使用できないため、開店日の広告は確認が下りてから出してください。