guide

美容師が1人で独立するとき|開業前に決める受付の形

2026年10月3日・Rizaflow編集部

美容師が1人で独立するとき、調べる順番はだいたい決まっています。いくら必要か、どれだけ稼げるか、何の手続きが要るか。ところが開業してから最初につまずくのは、この3つのどれでもなく、予約の受け方です。ひとりで施術していれば手は空きません。電話は鳴っても出られず、出られなかった着信が誰からなのかも分かりません。この記事では、法律で決まっている手続きを確かめたうえで、1人サロンの良い面と厳しい面を並べ、開業前に決めておきたい受付の形を最後に示します。

法律で決まっていることを先に確かめる

思い込みで進めると手戻りが大きいので、美容師法に書かれていることから押さえます。

まず開設の届出です。美容師法第11条では、美容所を開設しようとする者は、厚生労働省令の定めるところにより、美容所の位置、構造設備、管理美容師その他の従業者の氏名その他必要な事項を、あらかじめ都道府県知事に届け出なければならないと定められています。「あらかじめ」ですから、内装が終わってから慌てて出すものではありません。

次に使用の開始です。第12条では、美容所の開設者は、その美容所の構造設備について都道府県知事の検査を受け、その構造設備が第13条の措置を講ずるに適する旨の確認を受けた後でなければ、当該美容所を使用してはならないと定められています。検査と確認が済むまで営業を始められないということです。開店日を先に決めて広告を打つと、検査の日程が間に合わずに延期という事故が起きます。

そして、1人で独立する人にとって大きいのが管理美容師です。第12条の3では、美容師である従業者の数が常時2人以上である美容所の開設者は、美容所ごとに管理者を置かなければならないと定められています。管理美容師になれるのは、美容師の免許を受けた後3年以上美容の業務に従事し、かつ厚生労働大臣の定める基準に従い都道府県知事が指定した講習会の課程を修了した者です。つまり、ひとりで営むかぎり管理美容師は要りません。免許を取って3年たっていなくても、1人サロンなら開業そのものは妨げられないということになります。ここを知らずに「3年待たないと開業できない」と思い込んでいる人がいます。

第13条では、常に清潔に保つこと、消毒設備を設けること、採光と照明と換気を充分にすること、その他都道府県が条例で定める衛生上必要な措置が求められています。最後の項目が条例に委ねられているため、必要な設備の細かい条件は地域で変わります。面積、洗い場の数、待合の扱いなどが該当します。ここは自分の地域の保健所に、物件を決める前に相談するのが確実です。契約してから条件を満たせないと分かると、物件の費用が丸ごと無駄になります。法の解釈で迷う部分は、所管の窓口や専門家に確認してください。

1人サロンが増えているのは、選び方が変わったから

背景の数字を確かめます。厚生労働省の令和5年度衛生行政報告例の概要によれば、令和5年度末現在の美容所は274,070施設で、前年度に比べ4,181施設、1.5パーセント増えています。同じ資料で理容所は110,297施設で、前年度から1.9パーセント減っています。美容所だけが増え続けているという形です。

増えている中身の多くが、席数の少ない小さな店だと言われています。1人サロンを扱った記事でも、この形が注目されている理由が整理されています。

近年、美容師としての独立手段として注目されているのが「1人美容室」です。自分のペースで働ける自由な環境と、適切な運営によって高収益も狙える点から、多くの経験者が開業を検討しています。しかし一方で、「本当に儲かるのか」「失敗しないためには何が必要か」といった不安もつきものです。 出典: biz.moneyforward.com

お客様の側の選び方も変わりました。大きな店で待たされるより、決まった人にゆっくり見てもらいたいという需要があります。1人サロンはこの需要とそのまま噛み合います。一方で、選ばれる側の数が増えているので、開業しただけで席が埋まる時期はもう過ぎています。

メリットは3つに絞れる

1人で独立する利点は、3つに集約されます。

1つ目は、決め方を全部自分で持てることです。メニュー、料金、使う薬剤、営業時間、定休日、受け入れる人数。勤めていたときに納得できなかった部分を、そのまま直せます。予約の間隔を広く取って1人に時間をかける、という選び方もできます。

2つ目は、固定費が軽いことです。人を雇わなければ人件費がかかりません。席数が少なければ、物件も小さくて済みます。売上が落ちた月でも、出ていくお金が小さければ耐えられます。1人サロンがいちばん強いのは、この耐久力です。

3つ目は、単価を上げやすいことです。指名されて来る人だけを相手にできるので、値段の理由を説明しやすくなります。回転を上げて数で稼ぐ形ではなく、1人あたりの時間と単価を上げる形にできます。大きな店では動かしにくい部分が、自分の判断だけで動きます。

この3つはどれも「自分で決められる」ことから来ています。裏を返せば、決めなければ何も進まないということでもあります。次の節が、その裏側です。

デメリットも3つある

1つ目は、休むと売上がゼロになることです。体調を崩した日、家族の用事が入った日、その日の売上は入りません。代わりに入る人がいないからです。1年のうち何日休むかを先に決めて、その分を月の売上目標に織り込んでおくと、休みを取るときの罪悪感が減ります。

2つ目は、施術中に予約を受けられないことです。これが日々の取りこぼしとしていちばん大きく効きます。カラーの待ち時間に電話が鳴っても、手が塞がっていれば出られません。折り返しても繋がらないことがあります。1日に2件消えていれば、月に40件から50件になります。開業して1年目に「思ったより来ない」と感じる原因の一部は、来ようとした人を受け取れていないことです。

3つ目は、売上の上限が時間で決まることです。1人で施術するかぎり、1日に受けられる人数には限りがあります。カットが1時間、カラーが2時間なら、1日の枠は物理的に決まります。売上を伸ばす道は、単価を上げるか、稼働する日を増やすか、施術以外の作業を減らすかの3つしかありません。3つ目がいちばん現実的で、予約の受付、確認の連絡、台帳の整理、次回の案内といった作業をどこまで自分の手から外せるかが、そのまま受けられる人数を決めます。

年収の話は、売上と手取りを分けてから読む

独立後の収入について、こんな質問が投稿されています。

美容師は独立すれば年収1000万は普通ですか?? 東京に住む知り合いの美容師が言い張っていました。 私はそれは無いと思うのですが、、 出典: detail.chiebukuro.yahoo.co.jp

こうした話が噛み合わないのは、売上と手取りを混ぜて語っているからです。数字を並べる前に、計算の順番を決めておきます。

はじめに売上です。売上は、1人あたりの単価に人数を掛けたものです。単価7,000円で1日6人、月に22日営業すれば、月の売上は924,000円です。この段階の数字を「年収」と呼ぶ人がいますが、ここから出ていくものが残っています。

次に経費です。家賃、水道光熱費、薬剤と材料、タオルや消耗品、通信費、予約や会計に使う道具の費用、広告や掲載の費用、そして借入の返済です。これを引いた残りが利益で、そこから税金と社会保険料を払って、残ったものが手取りです。

つまり、同じ売上でも、家賃の高い場所で開業した人と、自宅の一部で始めた人では手取りが大きく違います。年収がいくらになるかは、売上ではなく経費の構成で決まります。他人の年収の数字を見るときは、それが売上なのか利益なのか手取りなのかを必ず確かめてください。

自分の目標を作るときは、逆から計算します。必要な手取りを決めて、税金と社会保険料と経費を足し戻して、必要な売上を出します。そこから単価で割れば、必要な人数が出ます。その人数が1日に受けられる枠の中に収まるかどうかを見ます。収まらなければ、単価を上げるか、営業日を増やすかを考えることになります。この順番で計算すると、無理な目標を立てずに済みます。

開業にかかる費用は、内訳を先に書き出す

金額は物件と地域で大きく変わるため、他人の平均を当てにしても意味がありません。大事なのは内訳を漏らさないことです。書き出す項目は次のとおりです。

物件にかかるもの。保証金、礼金、仲介手数料、前払いの家賃。内装にかかるもの。設計、工事、給排水の工事、電気工事。設備にかかるもの。シャンプー台、セット面、椅子、鏡、タオルウォーマー、消毒設備。備品にかかるもの。ハサミやドライヤーなどの道具、薬剤、タオル、レジ、パソコン。開業の準備にかかるもの。看板、名刺、サイト、写真の撮影、届出に関わる費用。そして運転資金です。

このうち、初めての人がいちばん軽く見積もるのが運転資金です。開業した月から満席になることはありません。家賃と生活費を何か月分持っておけるかが、続けられるかどうかを分けます。売上が計画の半分だった場合に何か月耐えられるかを計算して、その月数が足りないなら開業の時期を後ろにずらすか、規模を小さくします。

もう1つ見落としやすいのが、毎月かかる固定の費用です。家賃と水道光熱費のほかに、通信費、予約の受付に使う道具、会計の道具、掲載サイトの費用が乗ります。ここは月額で積み上がるので、開業前に一覧にして合計を出します。使わない機能の入った高いプランを契約すると、毎月その分を払い続けることになります。事前決済が要らない店なら、決済込みのプランを選ぶ必要はありません。プランごとの上限と金額は料金に書かれています。

開業前に決めておくべき受付の形

ここが本題です。1人サロンで最初に詰まるのは予約の受け方なので、開業してから考えるのではなく、開店の日までに決めておきます。決めることは5つです。

1つ目は、受ける経路を何本にするかです。電話、メッセージアプリ、掲載サイト、店のサイト。経路が増えるほど、どれかが古い情報になります。最初は経路を少なく始めて、増やすときは同じ空き枠を見る形にします。経路が別々の台帳を見ている状態が、二重予約の原因です。

2つ目は、営業時間外に予約できるかどうかです。予約の問い合わせは夜に多く来ます。仕事のあとに思い立つ時間だからです。そこで電話しか手段がないと、その人は翌日かけ直すのではなく、いま予約できる店を探します。24時間受け付けられる経路を1つ持つかどうかが、初年度の売上に効きます。

3つ目は、施術中の扱いです。手が塞がっている時間に予約を取れる形にしておかないと、1日に何件かは確実に消えます。お客様が自分で空き枠を選んで確定できる形なら、施術中でも予約は入ります。

4つ目は、前日の連絡と来店後の連絡です。前日にリマインダーが届くと、忘れていた人が思い出し、行けなくなった人は前日のうちに連絡をくれます。前日に取消が入れば、その枠を別の人に回せます。来店後の御礼と、次の頃合いでの案内も同じで、これが再来店の率を動かします。この3通を手で送り続けられるかどうかを、開業前に正直に見積もっておきます。決済が必須でない業態に合わせて、予約の受付から次の来店までを一続きにしている形なら、この部分は手を動かさずに出ます。

5つ目は、キャンセルの決まりです。前日までの取消は無料、当日は施術料の何割、無断は全額。この線引きを予約のページと前日の連絡の両方に書いておきます。書いていない決まりは運用できません。開業してから揉めてから作ると、最初のお客様に不公平な扱いをすることになります。

どこまでが標準の機能でまかなえるのかはできることに一覧として整理されています。実際の画面を見ないと決められない場合は、お客様が見る予約ページと店側の管理画面の両方を触れるデモを見るから確かめるのが手早いです。

物件で決まってしまう部分と、あとから直せる部分

開業の準備のなかで、やり直しがいちばん高くつくのが物件です。決める前に確かめる順番を置いておきます。

第1に、保健所の条件を満たせるかどうかです。第13条で求められている消毒設備、採光と照明と換気に加えて、都道府県が条例で定める衛生上必要な措置があります。面積や洗い場の条件が条例側にあるため、同じ広さの物件でも地域によって可否が変わります。契約する前に、図面を持って保健所に相談します。契約後に条件を満たせないと分かると、保証金と工事の見積りが丸ごと無駄になります。

第2に、給排水と電気の容量です。シャンプー台を置く場所に給排水を引けるか、ドライヤーや加温器を同時に使える電気の容量があるか。この2つは工事の金額を大きく動かします。もともと飲食だった物件は水回りが使えることが多く、事務所だった物件は大きな工事が必要になることがあります。

第3に、看板を出せるかどうかです。建物の規約で外に看板を出せない物件があります。1人サロンは通りがかりの人に見つけてもらう力が弱いので、看板が出せないなら地図やSNSからの流入に依存することになります。それを前提に集客の計画を立てる必要があります。

一方で、あとから直せる部分もあります。内装の色、置く小物、メニューの構成、料金、営業時間、予約の受け方。これらは開業後に変えられるので、最初から完璧を目指す必要はありません。予算を配る優先順は、あとから直せないものから順に高くします。内装の見た目に予算を寄せて運転資金が薄くなる形が、いちばん危ないところです。

集客の入口は、開店の前に作っておく

開店してから集客を始めると、最初の数か月が空きます。入口は開店の前に作ります。おすすめの進め方は3つです。

1つ目は、予約のページを先に公開することです。開店の日から予約を受け付けられる状態にして、そのURLを案内に使います。「開店しました」だけの告知では、見た人が何をすればよいか分かりません。予約の入口が一緒に示されていれば、その場で日時が決まります。

2つ目は、地図の情報を先に登録することです。店の名前、住所、営業時間、電話番号、写真、そして予約の入口。近所で探している人はまず地図を見ます。開店の日に登録すると、情報が表示されるまでに時間がかかります。

3つ目は、勤めているうちからの発信です。仕上がりの写真を積み上げておくと、開業した時点で見せられるものがあります。ただし、勤め先のお客様に直接声をかけて連れていく行為は、勤め先との取り決めに触れる場合があります。就業規則や契約の内容を確かめ、迷う部分は専門家に相談してください。発信の内容を自分の技術に限っておくのが安全な線です。

この3つを開店の前に揃えておくと、開店の週から予約が入ります。逆に、開店してから入口を作り始めると、いちばん体力があって時間もある最初の月を空席で過ごすことになります。

勤めているうちにやっておくと楽になること

独立を決めてから開店までの間にやっておけることがあります。時間のあるうちに片づけておくと、開業後の負担が軽くなります。

ひとつは、自分の数字を知ることです。いま自分が1か月に何人を担当していて、1人あたりの単価がいくらで、指名の割合がどれくらいか。この3つが分かっていると、独立後の計画が現実的になります。指名の割合が低いのに独立すると、開業後に新規を集める負担が重くなります。

ふたつめは、施術以外の作業を経験しておくことです。予約の受付、台帳の管理、会計、在庫の発注、掲載サイトの更新。勤めているときは誰かがやっていた作業が、開業後は全部自分に来ます。どの作業にどれくらい時間がかかるのかを知っておくと、道具に任せる部分を決めやすくなります。

みっつめは、休みの取り方を決めておくことです。1人サロンは休むと売上が止まります。年間で何日休むのかを先に決めて、その分を売上の計画に織り込みます。決めずに始めると、休めないまま働き続けて体を壊すか、突然休んで予約を断ることになります。

そして、開業の形も比べておきます。自分で物件を借りて美容所を開設する形のほかに、既存の店の席を借りる形や、シェアサロンを使う形があります。初期の費用は軽くなりますが、席の使える時間や設備の条件が決まっている分、自由度は下がります。届出や設備の扱いは形によって変わるため、どの形で始めるにしても、所管の保健所で条件を確かめてから進めるのが確実です。

メニューと料金の組み方を、開業前に1枚にまとめる

料金は開業後に動かしにくいので、先に決めて1枚にまとめます。まとめるのは4つの列です。メニューの名前、所要時間、料金、そして同時に受けられるかどうかです。

所要時間を書く理由は2つあります。ひとつは、予約の枠を正しく計算するためです。カットが60分、カラーが120分と決まっていれば、1日に受けられる組み合わせが見えます。もうひとつは、お客様が次の予定を立てられるようにするためです。所要時間が書いていないと、時間の読めない予約を避ける人が出ます。

同時に受けられるかどうかの列は、1人サロンでは特に効きます。カラーの放置時間に別のお客様のカットを進められるなら、1日に受けられる人数が増えます。ただし詰めすぎると仕上がりが落ちるので、同時に進めるのは何人までにするかを自分で決めて、その数を超えない枠の作り方にします。

料金の決め方は、他店の値段を見て合わせるのではなく、自分の時間から逆に計算します。1時間あたりいくら残ってほしいかを決めて、所要時間を掛けて、材料費を足します。他店より高くなった場合は、値段を下げるのではなく、高い理由を説明できるようにします。ゆっくり見てもらえる、指名が確実に取れる、相談の時間を長く取れる。1人サロンには、大きな店には出せない理由があります。

回数券や定額のコースを作るかどうかも、この段階で決めます。先にまとめて支払ってもらう形は、当月の資金が入る点では助かりますが、使われるのは先の月なので、その月の売上を先に使ってしまうことになります。開業の直後に資金が足りないからという理由で始めると、半年後に施術だけ残って入金が無い月が来ます。導入するなら、有効期限と途中解約の扱いを先に決めて、書面で示せる形にしておきます。

そして、料金を上げるときの段取りも先に考えておきます。上げると決めたら、上げる前に既存のお客様へ何か月前に知らせるか、上げる幅をどれくらいにするかを決めます。予告なしに上げると、黙って来なくなる人が出ます。予告があれば、納得して残る人が多くなります。

開業してからの3か月でやること

開店してからの3か月は、集客より先に土台を固める期間です。やることを3つに絞ります。

第1段階は記録です。来た人の名前、連絡先、施術の内容、次の頃合い。この4つを1件も漏らさず残します。開業直後は件数が少ないので記憶で足りてしまいますが、記憶で回している店は、件数が増えた瞬間に前回の内容を思い出せなくなります。最初から残す形にしておけば、あとで作り直す手間が要りません。

第2段階は次回の予約です。会計のときに「次回は3週間後の同じ曜日でいかがですか」と声をかけます。この1回の声かけが、再来店の率をいちばん動かします。その場で予約が入れば、集客の費用をかけずに次の売上が確定します。

第3段階は数字の確認です。月に1回、決まった日に、来た人数、新規と再来の内訳、1人あたりの単価、空いていた時間帯を見ます。空いている時間が分かれば、その時間に来られる人に向けた案内を出せます。全部の時間を埋めようとするより、空いている時間だけを狙うほうが早く効きます。

この3つをやっていれば、半年たったときに手元に判断材料が揃います。逆に、記録を残さず感覚で回していると、何が効いたのか分からないまま次の年に入ります。

続いている1人サロンに共通する3つのポイント

長く続いている店に共通している点を挙げます。どれも派手なことではありません。

1つ目は、自分の時間を施術に寄せていることです。予約の受付、確認の連絡、台帳の整理、次回の案内。この4つを自分の手から外せているかどうかで、同じ営業時間で受けられる人数が変わります。道具にかける月額は、この時間を買い戻す費用として考えると判断しやすくなります。

2つ目は、単価を下げないことです。売上が落ちたときに値段を下げると、同じ売上のために必要な人数が増えます。人数が増えれば1人あたりの時間が減り、仕上がりが落ちて、再来店の率が下がります。料金は下げる方向に動かすと戻せません。空いている時間を埋めたいなら、値段ではなく時間帯に理由をつけます。

3つ目は、来なくなった人を数えていることです。新規の人数だけを見ていると、常連が静かに減っていることに気づきません。前回の来店から3か月を超えている人の一覧を毎月見る習慣があれば、減り方が分かります。月に5人離れているなら、新規5人では増えていません。

どの業種でも共通する部分と、美容だけの部分があります。業種ごとの組み方は業種ごとの使い方に分けて書かれています。道具を比べるときは、同じ使い方で揃えて並べないと判断を誤るので、条件をそろえた表を他社との比較で確かめると早く済みます。乗り換えや解約の条件で気になる点があればよくある質問に条件が並んでいます。

最後に、開業の前にひとつだけ決めておいてほしいことを挙げます。開店から3か月の間に、予約の受付で自分の手が止まる回数を数えることです。1日に何回、施術を中断して電話やメッセージに対応したか。その回数が1日に5回を超えているなら、受け方の設計が件数に追いついていません。数えていれば、直すべき場所がすぐ分かります。数えていなければ、忙しい理由が分からないまま1年が過ぎます。

Q1. 美容師免許を取って3年たっていないと1人で開業できませんか?

できます。美容師法で管理美容師を置く義務があるのは、美容師である従業者が常時2人以上の美容所です。ひとりで営むかぎり管理美容師は要りません。免許後3年以上の従事と知事指定の講習会の修了が必要になるのは、管理美容師になる場合の条件です。

Q2. 開業の届出はいつ出せばよいですか?

美容師法では、美容所を開設しようとする者はあらかじめ都道府県知事に届け出ることとされています。さらに構造設備について検査を受け、確認を受けた後でなければ美容所を使用できません。検査の日程を見込まずに開店日を広告すると延期になるため、物件を決める段階で保健所に相談するのが確実です。

Q3. 1人サロンで最初につまずくのはどこですか?

予約の受け方です。ひとりで施術していると手が空かないため、施術中の電話に出られず、営業時間外の問い合わせも返せません。1日に2件取りこぼせば月に40件を超えます。開業前に、施術中と営業時間外でも予約が入る経路を1つ用意しておくのが効きます。

Q4. 独立後の年収はどう見積もればよいですか?

必要な手取りから逆に計算します。手取りに税金と社会保険料と経費を足し戻して必要な売上を出し、単価で割って必要な人数を出します。その人数が1日に受けられる枠に収まるかを見ます。他人の年収の数字は、売上か利益か手取りのどれを指しているかで意味が変わります。

ガイド一覧へ