guide
会員カードの作成|スタンプカードと分けて考える
2026年10月7日・Rizaflow編集部

会員カードの作成でつまずく場所は、デザインではありません。何のためのカードなのかを決めないまま印刷に進むと、スタンプ欄も番号欄も割引の説明も詰め込んだ紙ができて、どれも機能しません。この記事では、会員カードとスタンプカードの役割を分けたうえで、印刷に進む前に決める4つのこと、サイズと素材の選び方、会員番号の付け方、前払いの金額を載せると法律の枠が変わる点、紛失と再発行の決まりまでを順番に並べます。結論を先に置くと、カードは1枚に1つの役割だけを持たせるほうが長く使えます。
会員カードとスタンプカードは、果たす役割が別
同じ大きさの紙なので混ざりやすいのですが、この2つは目的が違います。会員カードは「この人が誰か」を示すものです。スタンプカードは「この人が何回来たか」を数えるものです。示すものと数えるものを1枚に載せると、どちらの機能も弱くなります。
会員カードに求められるのは、来店のたびに同じ人だと分かることです。番号か氏名か、その両方が読める状態で印刷されていて、お客さまが財布に入れて持ち歩いてくれます。汚れても番号が読めることが大事で、捨てられないことがもっと大事です。デザインの目的は、捨てられない見た目を作ることに寄ります。
スタンプカードに求められるのは、あと何回で特典に届くかがひと目で分かることです。マスの数、埋まっているマスの数、届いたときに何がもらえるか。この3つが見えていれば役割を果たします。逆に、埋まりきったら回収するので、長く持ってもらう必要がありません。素材も薄くて安いものでかまいません。
この違いを無視して1枚にまとめると、スタンプが埋まった時点で回収することになり、会員としての番号も一緒に失われます。お客さまは次のカードを渡されたときに「また1からですか」と感じます。会員としての積み上がりが見えなくなるので、通い続ける動機も薄くなります。
分けたうえで、どちらを先に作るかは業態で決まります。来店の間隔が1か月以上ある業態は、会員カードのほうが効きます。1週間から2週間で通う業態は、スタンプカードのほうが動きます。両方を作るなら、会員カードを財布に入れる1枚、スタンプは店で預かる形にすると、持ち物が増えません。
印刷に進む前に決める4つのこと
デザインの前に決めておくと、作り直しが減ります。決めるのは4つです。
1つめは、誰に渡すかです。来店したすべての人か、2回目以降の人か、有料の会員になった人か。すべての人に渡すなら枚数が要るので単価を下げる必要があり、有料の会員だけなら枚数は少なく単価を上げられます。ここが決まると、素材と発注数が自動的に絞られます。
2つめは、何で識別するかです。会員番号を刷るのか、氏名を手書きするのか、二次元コードを載せるのか。番号を刷るなら連番の印刷が要るので、印刷の頼み方が変わります。氏名を手書きする形は初期費用が最も安く、枚数が少ない店では今でも現実的な選択です。
3つめは、何が書いてある紙なのかです。会員としての特典を裏に刷るのか、店の連絡先だけにするのか。特典の内容を刷ると、特典を変えたときに全部作り直しになります。変わる可能性のある情報は刷らないのが基本です。刷るのは、変わらないものだけにします。
4つめは、いつ終わるかです。有効期限を設けるか、設けないか。期限を設けると、期限が来た人への連絡が要ります。設けないと、5年前に1度だけ来た人のカードが永久に有効になります。どちらにも手間があるので、店として決めて裏に書いておきます。「有効期限なし」と書いてあるカードは、それ自体が続けて通う理由になります。
この4つを決めると、作るものの形がほぼ固まります。決めずに印刷会社のテンプレートから選び始めると、テンプレートの側に載っている欄に引っ張られます。見本には、その店に必要のない欄も入っています。
サイズと素材は、財布に入るかで決まる
サイズの候補は2つです。クレジットカードと同じ大きさか、名刺の大きさか。この2つ以外を選ぶと、財布に入りません。財布に入らないカードは、家に置かれて忘れられます。
クレジットカードの大きさは、財布のカード入れにぴったり収まります。厚みのある素材にしても扱いやすく、長く持ってもらえます。欠点は、載せられる情報が少ないことです。番号と店名と連絡先で埋まります。名刺の大きさは少し大きく、スタンプの欄や地図を入れる余裕があります。財布には入りますが、カード入れではなく札入れのほうに差される場合があります。
素材は、紙、厚めの紙、プラスチックの3段で考えます。紙は安く、枚数が多い店に向きます。水に濡れると使えなくなるので、1年以内に入れ替わる前提で作ります。厚めの紙は紙とプラスチックの中間で、扱いやすさと単価の折り合いが付きます。プラスチックは濡れても割れても番号が読めますが、単価が上がるので枚数を絞る必要があります。
どの組み合わせを選ぶかは、想定する保有期間で決まります。3年持ってもらう前提ならプラスチック、1年で入れ替える前提なら紙で足ります。印刷会社の解説でも、実際の使われ方から選ぶことが要点として挙げられています。
サイズを決める際は、カードに載せたい情報量と、どのような使い方を想定しているかを基準に考えましょう。ポイント欄やQRコードを入れる場合は、やや大きめの名刺サイズが便利です。また、二つ折りタイプのカード(スジ入れ加工)を利用すれば、表面にロゴ・裏面にスタンプ欄を配置するなど、機能性を高めることもできます。 メンバーズカードは財布に入ることが大前提。実際の利用シーンをイメージしながら、使いやすく長く持ってもらえるサイズを選ぶことが成功のポイントです。 出典: raksul.com
角を丸く落とす加工は、財布の中で角が折れるのを防ぎます。単価がわずかに上がりますが、見た目の劣化が遅くなるので、長く持たせたいカードには効きます。
表面と裏面に、何を刷って何を刷らないか
刷る内容を決める基準は1つです。5年後も変わらないものだけを刷ります。
表面に置くのは、店名、屋号の読み、会員番号の欄です。ロゴを入れるなら表面の上か中央に置きます。ここに電話番号を入れる店もありますが、表面は「誰のカードか」を示す面なので、連絡先は裏に回したほうが整います。表面に情報を詰めると、番号が読みにくくなります。
裏面に置くのは、連絡先、営業時間、住所、予約の入口です。この4つのうち、営業時間は変わる可能性があります。時間を刷るなら「変更する場合があります」の一文を添えるか、そもそも刷らずに店頭の掲示に任せます。住所も、移転する可能性があるなら町名までにしておく手があります。
刷らないほうがよいものは3つです。割引の率、特典の内容、期間限定の案内。どれも半年で変わります。変わるたびに全部作り直すのは現実的ではありません。特典を伝えたいなら、カードとは別の紙にするか、予約のときに届く連絡に載せます。
二次元コードを入れるかどうかは、行き先で判断します。店のトップページに飛ばすだけなら、入れなくても検索で見つかります。予約の画面に直接飛ばすなら、入れる価値があります。コードの行き先を後から変えられる形にしておくと、サイトを作り直したときにカードが無駄になりません。行き先を短いURLにして、そのURLの転送先だけを後で差し替える形が扱いやすいです。
注意したいのは、コードのサイズです。小さく入れると読み取れません。名刺の大きさなら1辺が15ミリ以上、クレジットカードの大きさなら12ミリ以上を確保します。読み取れないコードは、無い方がまだ親切です。
会員番号の付け方を、最初に決める
番号の付け方を後から変えると、既に配ったカードと繋がらなくなります。最初に決めておきます。
もっとも扱いやすいのは、単純な連番です。1から順に振り、桁を固定します。5桁にしておけば99,999人まで足ります。小さな店なら4桁で十分ですが、桁を増やす作り直しのほうが面倒なので、最初から多めに取ります。
避けたいのは、意味を持たせた番号です。入会した年を頭に付ける、店舗の記号を挟む、来店の種類で番号帯を分ける。どれも運用が変わった瞬間に破綻します。年を入れると、年をまたいだときに何番から始めるかで迷います。店舗の記号を入れると、店を移すときに番号が変わります。番号は意味を持たない方が長持ちします。
連番を印刷するには、印刷会社に連番の加工を頼む形と、手元で番号を書く形の2つがあります。連番の加工は数百枚から頼めることが多く、手書きの手間が消えます。手書きは初期費用が要りませんが、書き間違いが起きます。書き間違いに気づかないまま渡すと、別のお客さまと同じ番号になります。
番号とお客さまを結び付ける台帳も、同時に作ります。カードに番号が刷ってあっても、その番号が誰かを店が知らなければ役に立ちません。氏名、番号、渡した日付の3列があれば台帳として動きます。予約を受ける仕組みを使っているなら、そこに番号の欄を1つ足すのが確実です。紙の台帳と予約の記録が別の場所にあると、来店のたびに2か所を見ることになります。
番号を読み上げてもらう運用を考えている店は、番号の読みやすさも見ます。数字だけなら読み間違いは少ないですが、8桁を口で伝えるのは大変です。5桁までなら電話でも通ります。
前払いの金額を載せるなら、法律の枠が変わる
会員カードに「あらかじめお金を預かって、その分だけ使える」形を持たせると、扱いが変わります。回数券の前売り、チャージできる残高、金額の入った商品券のような形が該当します。
根拠になるのは資金決済に関する法律です。条文では、記録された金額に応ずる対価を得て発行される証票等で、その発行者から役務の提供を受ける場合に代価の弁済のために使えるものが、前払式支払手段として定められています。大事なのは「対価を得て発行される」という部分です。来店のたびに無料で押すスタンプや、購入に応じて無料で付けるポイントは、対価を得ていないのでこの枠には入りません。お金を先に預かった瞬間から、枠に入ります。
枠に入ると、まず届出が視野に入ります。自分の店でだけ使える形は自家型と呼ばれ、基準日の未使用残高がはじめて基準額を超えたときに届出書を提出する定めがあります。基準日は毎年3月31日と9月30日で、基準額は施行令で1,000万円と定められています。未使用残高というのは、お客さまがまだ使っていない分の合計です。小さな店で残高が1,000万円を超えることは多くありませんが、回数券をまとめて売る業態では届きえます。
基準額を超えた場合は、未使用残高の2分の1以上に相当する額を供託する定めもあります。ここまで来ると店の資金の使い方に直接効いてくるので、前払いの仕組みを大きくするかどうかは、先に条件を確かめてから決める話になります。届出の窓口や現在の運用は金融庁のサイトで案内されています。個別の当てはめは所管の窓口や専門家に確認するのが確実です。
現実的な進め方は、最初から前払いを載せないことです。会員カードは識別だけに使い、前払いが必要になったら別の仕組みとして設計します。1枚に両方を載せると、後から仕組みを変えるときにカードごと作り直すことになります。
作る費用と、作り直しにかかる手間
費用は、素材と枚数と加工でほぼ決まります。紙のカードを500枚単位で頼む形が、小さな店では扱いやすい量です。枚数を増やすと1枚あたりは下がりますが、刷った内容が変わると余りが丸ごと無駄になります。
見積もりを取るときは、3つの数字を並べます。1枚あたりの単価、最小の発注数、刷り直しにかかる日数です。単価だけを比べると、最小の発注数が3,000枚の会社を選んでしまい、使い切るまで7年かかる事態になります。日数も大事で、1週間で届く会社と3週間かかる会社では、なくなりかけたときの動き方が変わります。
作り直しの手間は、費用より重く効きます。刷った内容のうち1つが変わるだけで、在庫が使えなくなります。営業時間を刷った店が時間を変えたとき、住所を刷った店が移転したとき、割引の率を刷った店が料金を改定したとき。この3つは、実際によく起きます。刷る内容を絞るという判断は、ここへの備えです。
余ったカードの扱いも決めておきます。内容が変わったカードを使い続けるなら、変わった箇所に印を重ねるか、口で伝える運用にします。捨てるなら、会員番号が刷ってあるものは番号ごと使えなくなるので、台帳の側で欠番として残します。欠番を残さずに番号を振り直すと、同じ番号が2人に渡ります。
デザインを外に頼むときの費用も見ておきます。印刷会社のテンプレートを使えばデザインの費用はかかりませんが、店の見た目と合わないことがあります。自分で作るなら、印刷会社が配っている入稿の見本に沿って作ります。塗り足しと文字の余白の決まりを外すと、刷り上がりで文字が切れます。
スマートフォンで見せる形にすると、何が変わるか
紙のカードを刷らず、画面に出す形にする道もあります。変わる点と変わらない点を並べておきます。
変わるのは3つです。1つめは、忘れられないことです。財布を忘れても電話は持っています。来店のたびに「カードをお持ちですか」と聞く場面が消えます。2つめは、内容を後から変えられることです。特典も営業時間も、刷り直さずに書き換えられます。3つめは、枚数の費用がかからないことです。会員が100人でも1,000人でも印刷の費用は増えません。
変わらないのは、識別の考え方です。番号を振って台帳と結び付ける作業は、紙でも画面でも同じです。ここを省くと、画面にしても同じ人が2人になります。
弱くなるのは2つです。1つめは、目に触れる回数です。紙のカードは財布を開くたびに視界に入ります。画面の中は、探さないと出てきません。2つめは、年配のお客さまが多い業態での使いやすさです。画面を出す手順が2つ以上あると、レジの前で止まります。
現実的には、両方を用意する形が動きます。紙のカードを渡し、画面で見せてもよいと案内する。お客さまが選べる状態にしておけば、どちらの層も置き去りになりません。この形にするときは、番号が同じであることが条件です。紙と画面で別の番号を振ると、店の台帳が2つに分かれます。
画面で出す形を選ぶなら、予約の仕組みと同じところで持つのが素直です。予約の履歴と会員としての情報が同じ場所にあれば、来店の回数も自動で数えられます。どこまで1つにまとめられるかは、できることで受付から来店後までの機能の並びを見て、いま紙と台帳で分かれている工程と突き合わせると判断が付きます。
会員カードで集めた情報の扱いを決めておく
会員カードを作ると、氏名と連絡先が店に集まります。集めたら、扱いの決まりが要ります。
まず、何のために使うかを書きます。予約の確認、来店のお礼、お知らせの連絡。この3つを分けて書き、お知らせの連絡については同意を別に取ります。予約の確認に必要な連絡と、宣伝の連絡を1つの同意にまとめると、宣伝を受け取りたくない人が申し込めなくなります。
次に、外へ渡す場面を確認します。個人情報保護法には、本人の同意を得ないで個人データを第三者に提供してはならない定めがあります。会員の名簿を他の店と共有する、共同で催しを開くために渡す、といった場面はここに当たります。店で使う予約や会計の仕組みに預けるのは業務の委託にあたる扱いになることが多いのですが、線引きは事例によって変わります。判断に迷う場面は、所管の窓口や専門家に確認するのが確実です。制度の考え方は個人情報保護委員会のサイトで公開されています。
保管する期間も決めます。最後の来店から3年、といった形で店として決めて、入会の案内に書きます。決めないと、10年前に1度来た人の情報が残り続けます。期間が過ぎた分をどう消すかも、同じ紙に書いておきます。
台帳を紙で持つ場合は、置き場所に鍵をかけます。レジの下の引き出しに会員名簿が入っている店をよく見かけますが、そこは人が出入りする場所です。持ち出しの手順も決めておきます。自宅で作業するために持ち帰る運用は、失くしたときの被害が大きくなります。
紛失と再発行の決まりを、先に紙にしておく
カードは失くされます。失くされたときにどうするかを決めておかないと、その場で判断することになり、対応が人によって変わります。
決めることは3つです。再発行するかどうか、費用を取るかどうか、番号をどうするかです。再発行しない決まりにする店もありますが、会員としての積み上がりを失うので、通い続ける動機を折ります。再発行する前提で組むほうが、店の得になります。
費用は、無料にするか実費を取るかの2択です。プラスチックのカードは単価が高いので、実費を取る店もあります。取るなら、入会の案内に金額を書いておきます。書いていない費用を失くしたときに請求すると、もめます。
番号の扱いが、いちばん間違いやすい場所です。失くしたカードの番号をそのまま使い回すと、失くしたカードが誰かに拾われて使われたときに区別が付きません。前の番号を無効にして、新しい番号を振り、台帳に前の番号との繋がりを残します。この繋がりを残さないと、来店の回数がゼロに戻ります。
もう1つ決めておきたいのが、カードを持たずに来られたときの扱いです。氏名と電話番号で確認して、その日は番号なしで受ける形が現実的です。ここを「カードがないと特典は使えません」で通すと、お客さまにとっては罰のように感じられます。確認の手段を2つ以上用意しておけば、カードを忘れても止まりません。よく聞かれるつまずきどころはよくある質問にも並んでいるので、決まりを書く前に目を通しておくと抜けが減ります。
デザインを外に頼むときに、先に渡すもの
デザインを人に頼むと、決まっていないことが全部質問として返ってきます。渡すものを先に揃えておくと、やり取りが1往復で終わります。
渡すのは5点です。1点めは、店名の正しい表記です。屋号に使っている漢字、送り仮名、英字の綴り、大文字と小文字の使い分けまで、文字で渡します。口で伝えると、刷り上がりで別の字になっていることがあります。2点めは、ロゴの元になる画像です。写真ではなく、拡大しても輪郭がぼけない形のものを渡します。名刺やチラシで使っている元の画像が手元にあるはずなので、それを探します。
3点めは、載せる文字の全文です。連絡先、営業時間、住所、注意書き。カードに刷る文字を、1行ずつ並べた状態で渡します。この作業をしていると、刷る必要のない行に自分で気づきます。4点めは、大きさと素材の指定です。印刷会社を先に決めておくと、その会社の入稿の決まりに合わせて作ってもらえます。決めずに頼むと、刷る段階で作り直しになります。
5点めは、見本にしたいカードの実物か写真です。言葉で「落ち着いた感じ」と伝えても、受け取る側の落ち着きと一致しません。手元にある他店のカードを2枚選んで、どこが好きかを1行添えるだけで、狙いが伝わります。
刷り上がりを確認する段では、3つを見ます。文字が切れていないか、色が想定とずれていないか、番号を書く欄に実際にペンで書けるかです。3つめは見落とされやすい場所で、つるつるした表面の素材に番号を手書きしようとして、インクが乗らないことがあります。手書きする欄には、書ける加工を指定します。
会員カードを予約の台帳と繋ぐと、名寄せが終わる
会員カードを作ったあとに残る仕事が、番号と予約を繋ぐことです。ここが繋がっていない店では、カードを作った効果が半分しか出ません。
繋がっていない状態を確かめる方法は簡単です。同じお客さまの来店回数を、すぐに答えられるかを見ます。答えられない店は、カードの番号と予約の記録が別の場所にあります。番号は台帳に、予約は予定表に、施術の記録は紙に。3か所に分かれていると、来店回数を数えるために3つを突き合わせることになり、誰もやりません。
繋がっている店では、予約が入った時点で過去の来店が並びます。何回目か、前回はいつか、前回は何を選んだか。この3つが受付の画面に出ていれば、会員カードを見せていただく必要すらありません。カードは財布の中で店を思い出させる役に徹して、識別の仕事は仕組みが引き受けます。決済が必須でない業態に合わせて、予約の受付から次の来店までを一続きにしている形を選ぶと、この繋がりが最初から用意されています。
繋がると、できることが増えます。来店の間隔が開いている人だけに連絡を出す、回数が一定に届いた人に特典を案内する、初めての人と2回目以降の人で予約の枠を分ける。どれも手作業では続きません。数えることを仕組みに預けた店だけが、この段に進めます。業態ごとにどこまで自動にしている例があるかは、業種ごとの使い方で近い業態の運用を確かめると、自分の店で足りていない設定が見つかります。
道具を選ぶときは、月額の安さだけで決めないことです。無料で始められる仕組みには会員の件数や項目の上限があり、上限に当たった時点で入れ替えが必要になります。入れ替えは会員番号と履歴の移し替えを伴うので、最初から2年後の件数で選ぶほうが安く済みます。プランごとの上限は料金で件数とスタッフ数まで確かめてから決めます。必要な機能が全部入る最小の組み合わせを探したいときは、他社との比較で同じ条件のプランを並べ、画面の動きを先に見たい場合はデモを見るから入力の流れを確かめられます。
順番の話をして締めます。会員カードを作る作業は、役割を1つに絞る、番号の付け方を決める、刷る内容を変わらないものだけにする、紛失と再発行の決まりを書く、予約の台帳と繋ぐ、という5段で終わります。全部を同時に始める必要はありません。1段目で役割を絞るだけでも、刷り直しの回数が減ります。
Q1. 会員カードとスタンプカードを1枚にまとめてもよいですか?
まとめないほうが長く使えます。スタンプが埋まると回収することになり、会員としての番号も一緒に失われるためです。お客さまは次のカードで1から数え直すことになり、積み上がりが見えなくなります。両方を渡すなら、会員カードを財布に入れる1枚、スタンプは店で預かる形にすると持ち物が増えません。
Q2. カードのサイズは、どちらを選べばよいですか?
クレジットカードと同じ大きさか、名刺の大きさの2つから選びます。これ以外は財布に入らず、家に置き忘れられます。番号と店名と連絡先だけならクレジットカードの大きさで足り、スタンプ欄や地図を入れたい場合は名刺の大きさが収まります。二次元コードを入れるなら1辺を12ミリ以上確保します。
Q3. 前払いで使える残高をカードに載せても問題はありませんか?
お金を先に預かる形にすると、資金決済に関する法律で前払式支払手段として扱われる範囲に入ります。自分の店だけで使える形は、基準日の未使用残高がはじめて1,000万円を超えたときに届出書を提出する定めがあり、超えた場合は残高の2分の1以上の供託も求められます。無料で付けるスタンプやポイントはこの枠に入りません。
Q4. 会員カードを失くされたら、番号はそのまま使ってよいですか?
前の番号は無効にして、新しい番号を振ります。同じ番号を使い回すと、失くしたカードが拾われて使われたときに区別が付きません。台帳には前の番号との繋がりを残します。残さないと来店回数がゼロに戻ります。再発行の費用を取るなら、金額を入会の案内に先に書いておきます。