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ペットホテルのキャンセル料をどう決めるか|いつから、いくら、どう伝えるか
2026年9月22日・Rizaflow編集部

ペットホテルのキャンセル料は、美容室や飲食店の規定をそのまま持ってきても合いません。預かりは泊数で在庫を押さえる商売で、しかも売上の山が年に数回に集中します。当日予約の問い合わせが何件も断られている繁忙期に、5泊の予約が前日に消える。この損害を、1回分の施術と同じ考え方で計算することはできません。ここでは、何に対していくら掛けるか、いつから発生させるか、どこに書いて伝えるかを、順番に決めていきます。
金額を決める前に、何を失っているのかを書き出す
規定を作るとき、先に他店の表を見に行ってしまいがちですが、順番が逆です。自分の店が1件のキャンセルで何を失うのかを数えないと、金額の根拠を説明できません。
預かりで失うものは4つあります。
1つめは、押さえていたケージの日数です。3泊の予約なら、そのケージは3日間、在庫として市場から消えていました。
2つめは、その日数のあいだに断った問い合わせです。平常期なら、断った件数はゼロかもしれません。その場合、実際の損害は小さくなります。繁忙期は逆で、同じ日程で何件も断っています。
3つめは、人の手配です。預かる頭数に合わせてシフトを組んでいます。犬猫を預かる事業所では、その日に受けられる頭数が出勤している職員の数に縛られるため、予約が入った時点で人を厚くしています。前日に取り消しが入っても、シフトはもう動かせません。
4つめは、受付と準備にかけた時間です。問い合わせに答え、条件を説明し、書類を確認し、ケージの割り振りを組んでいます。1件につき20分から40分はかかっています。
この4つを足したものが、そのキャンセルで実際に失われたものです。注目してほしいのは、2つめが時期によって大きく変わる点です。同じ3泊のキャンセルでも、平常期と年末では損害が数倍違います。だから規定も、時期で分ける理由があります。
法律が金額に枠をはめている
キャンセル料を自由に決められるわけではありません。消費者と事業者のあいだの契約については、法律に定めがあります。
当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、当該条項において設定された解除の事由、時期等の区分に応じ、当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるもの 出典: laws.e-gov.go.jp
条文が言っているのは、金額そのものが違法になるという話ではなく、平均的な損害を超えた部分だけが効力を失うという構造です。読み方として重要なのは「解除の事由、時期等の区分に応じ」の部分です。いつ取り消したかで区分を設けず、一律の金額にしていると、この区分が無いことになります。時期の段を作っておくことが、条文の求める形に沿います。
もう1つ、実務に直結する定めがあります。同じ条文の第2項では、キャンセル料を請求するときに消費者から説明を求められた場合、算定の根拠の概要を説明するよう努めなければならないとされています。つまり、金額を決めるときに根拠を持っておく必要があります。前の項で4つを書き出しておくのは、この説明のためでもあります。「うちの規定です」以外に何も言えない状態は、避けておいたほうが安全です。
なお、これらの条文がどう適用されるかは個別の事情によります。規定を作ったあと、内容の確認は専門家や所管の窓口に相談してください。
何泊分に掛けるかを、先に決める
預かりのキャンセル料でいちばんもめるのが、ここです。5泊の予約が取り消されたとき、料金の総額に対して割合を掛けるのか、1泊分の料金に対して掛けるのか。同じ「50%」でも、金額が5倍違います。
考え方は3つあります。
1つめは、総額に対して割合を掛ける方法です。計算は単純ですが、長期の予約で金額が跳ね上がります。1泊6,000円で7泊なら総額42,000円で、当日100%なら42,000円の請求になります。実際にその全額を失ったのか、という問いに答えられる必要があります。
2つめは、泊数にかかわらず1泊分を上限にする方法です。飼い主には分かりやすく、もめにくい。ただし長期の予約が飛んだときの損害を回収できません。
3つめは、上の2つを組み合わせる形です。基本は総額に対する割合とし、上限を設けます。たとえば「総額の50%、ただし3泊分を上限とする」といった形です。長期の予約でも金額が青天井にならず、短期の予約では総額の割合が効きます。
どれを選ぶかは店の判断ですが、決めたら必ず具体例を添えて書いてください。「5泊のご予約を前日に取り消された場合は15,000円です」という例が1つあるだけで、問い合わせは激減します。割合だけ書いた規定は、読んでも自分の金額が分かりません。
起算を「預ける日」にそろえる
段を作るとき、何日前から数えるかを決める必要があります。預かりでは、起算を預ける日の初日にそろえてください。
当たり前に思えますが、混乱が起きるのは連泊のときです。12月28日から1月3日までの予約を12月26日に取り消したとき、これは「2日前」です。迎えの日から数えれば「8日前」になってしまいます。規定にどちらで数えるかが書いていないと、解釈が割れます。
もう1つ決めておくべきなのが、当日の扱いです。預ける日の朝9時に開店する店で、8時に取り消しの連絡が来たら、それは当日です。ただし営業時間の外なので、連絡が届くのは開店後になります。「営業時間外の連絡は翌営業日の受付とします」と書いてある店では、前日の夜22時の連絡が当日扱いになり、飼い主の感覚とずれます。
取り消しの操作が画面からできる形になっていれば、この問題は消えます。操作した時刻が記録として残るので、何日前かを人が数える必要がありません。営業時間の外でも受け付けられます。電話しか窓口が無い店ほど、規定の文面を細かく書く必要が出てきます。
繁忙期は、別の表を持つ
平常期と繁忙期で同じ段を使っている店が多いのですが、失うものの大きさが違うので、分ける理由があります。
平常期は、断っている予約がほとんどありません。1件飛んでも、埋め直せる余地があります。この時期の段は緩くて構いません。前日までは無料、当日は1泊分、といった形で足ります。
繁忙期は違います。年末年始とお盆と大型連休は、1か月以上前から満室になり、その間ずっと断り続けています。7日前に取り消されても、その日程を探している飼い主はすでに別の店を見つけています。だから繁忙期は、早い時点から段を立てる理由があります。14日前から20%、7日前から50%、前日から80%、といった組み方をしている店があります。
分けるときに欠かせないのが、どの日付が繁忙期に当たるのかを先に公表しておくことです。「繁忙期は別規定」とだけ書いて日付を出していないと、取り消しの連絡が来てから「その日は繁忙期です」と伝えることになります。これは確実にもめます。年内の繁忙期の日付を、年の初めに決めて出しておいてください。
予約の画面を持っている場合は、その日程を選んだ時点で適用される段が表示される形にできます。文章で読ませるより、選んだ日に対して出るほうが確実に伝わります。
一部だけ変わる予約を、どう扱うか
預かりの予約は、全部が消えるとは限りません。むしろ多いのが、一部だけ変わるケースです。
・5泊の予定が3泊に縮む ・2頭のうち1頭だけ預けなくなる ・預かりは続けるが、頼んでいたトリミングだけやめる ・迎えが1日遅れる(延泊)
規定に書かれていないのは、たいていこの4つです。とくに減泊と頭数の減少は、実質的に部分キャンセルなので、何も書いていないと請求できません。
減泊については、減った泊数に対して段を適用する形が素直です。5泊が3泊になったなら、減った2泊分に対して、連絡が来た時点の割合を掛けます。
頭数の減少は、ケージが1つ空くことを意味します。預かりでは同じ飼い主の犬でも原則としてケージを分けて収容するため、頭数が減れば在庫が1つ戻ります。だから1件分のキャンセルと同じ扱いにする理由があります。
オプションの取り消しは、扱いを分けてください。トリミングは施術者の時間を押さえているので、直前に外されると、その時間は埋まりません。預かり本体より厳しい段にしている店もあります。
延泊は、キャンセルではなく追加です。ただし空きがなければ受けられないので、規定というより運用の話になります。「延泊は空き状況によります」と書いておくだけで、当日の期待のずれを防げます。
予約金を取るか、取らないか
キャンセル料は、発生したあとに請求する必要があります。そして預かりの客は、その日にもう店に来ません。請求の連絡をして、振り込んでもらうか、次回の来店時に受け取るか。どちらも手間がかかり、回収できないこともあります。
これを避ける方法が、予約金です。先に一部を受け取っておけば、キャンセル料はそこから充当できます。
ただし全員に課すのは勧められません。長く通っている飼い主に予約金を求めると、疑われたと感じられます。課すなら条件を絞ってください。現実的な線は次の3つです。
・初めて利用する飼い主 ・繁忙期の予約 ・4泊以上の長期の予約
この3つは、いずれも飛んだときの損害が大きい層です。逆にいえば、平常期の1泊を利用する常連には要りません。層ごとに条件を切り替えられるかどうかは、仕組みを選ぶときの判断材料になります。
予約金を取る場合は、返金の条件と方法も同時に決めておいてください。取り消しが無料の期間に取り消されたら、いつまでに、どの方法で返すのか。振込手数料はどちらが持つのか。ここが書いていないと、返金のたびに交渉が発生します。
書く場所は4つ。どれか1つでは足りない
規定を作っても、伝わっていなければ意味がありません。飼い主が「聞いていない」と言う状況を作らないために、置く場所を4つ用意します。
1つめは、予約を受ける画面です。日程と頭数を選ぶ流れの中に、適用される段が出る形が理想です。
2つめは、予約を受けた直後に送る控えです。日程、料金、持ち物と並べて、取り消しの期限と段を書きます。これが飼い主の手元に残る唯一の記録になります。
3つめは、店頭の掲示と、預かりの同意書です。初回の利用で署名してもらう書類に入れておきます。
4つめは、段が始まる直前に送る連絡です。繁忙期の予約で14日前から料金が発生するなら、15日前に一度知らせます。これは飼い主のためというより、店を守るための連絡です。知らせたという記録が残ります。
4つめを手作業でやろうとすると、繁忙期には確実に抜けます。予約の日程から逆算して自動で出る形でなければ、続きません。できることには、予約を受けたあとに出る連絡をどこまで自動で組めるかが整理されています。
取らないという選択も、条件次第では成り立つ
すべての店がキャンセル料を取るべきかというと、そうではありません。取らない選択が合理的な場合があります。
平常期しか営業していない小規模な店で、断っている予約がほとんど無いなら、失っているものは受付の手間だけです。この場合、キャンセル料を設けて回収する労力のほうが大きくなります。
また、開業したばかりで利用者を増やしたい時期に、厳しい規定を前面に出すと、初回の予約が入りにくくなります。
ただし、取らない場合でも「連絡してください」という期限は必ず置いてください。金額が発生しないことと、連絡が要らないことは別です。「前日までにご連絡ください。料金は頂戴しません」と書いてあるだけで、黙って消える予約は減ります。
そして、取らない運用を続けるなら、来なかった予約の記録だけは残してください。繁忙期に断る件数が増えてきたら、規定を作る時期です。判断の材料は、記録が無ければ出てきません。
店の側の都合で受けられなかったときは、取らない
見落とされやすい論点です。当日、飼い主は来店したのに、書類が揃わなかった、体調が思わしくなかった、といった理由で店が受け入れを断ることがあります。
このとき、キャンセル料を請求すべきかどうか。判断は、条件を事前に伝えていたかどうかで分かれます。
予約の時点で必要な書類と条件を文字で伝えていて、飼い主がそれを満たさずに来店したなら、店の側に落ち度はありません。ただし、この場合でも満額を請求すると、その飼い主は二度と来ません。記録を残したうえで1回目は請求しない、という運用にしている店があります。
逆に、条件を伝えていなかった場合は、請求すべきではありません。当日に断るという事態そのものが、受付の設計の問題だからです。ここを請求で埋めようとすると、評判の面で必ず跳ね返ります。
この論点があるからこそ、条件を予約の直後に文字で渡す運用が重要になります。渡してあれば、どちらの落ち度かが明確になります。
免除する場合を、先に書いておく
規定を作ると必ず出てくるのが、例外の判断です。預かりの場合、例外を求められる場面がはっきりしています。
・預ける予定の犬猫が、直前に体調を崩した ・飼い主本人が入院した、あるいは家族に不幸があった ・台風や大雪で交通が止まり、旅行そのものが中止になった ・飼い主が高齢で、通院や介護の予定が急に入った
このうち1つめは、預かりの商売でとくに頻度が高い例外です。しかも店の側にも理由があります。下痢をしている犬や、咳の出ている猫を受け入れれば、他の預かり動物に広がる危険があります。受け入れを避けたいのは店も同じなのに、キャンセル料だけ請求するのは筋が通りません。
体調を理由にする場合、獣医師の診断を確認する運用にしている店があります。ただし確認を求めるかどうかは慎重に決めてください。診察に連れていく手間が発生しますし、疑われたと受け取られます。長く通っている飼い主には求めず、初回の利用や繁忙期の予約に限って求める、という切り分けが現実的です。
交通の事情による中止は、判断が難しい部分です。ここは「公共交通機関の運休など、こちらでも確認できる事情の場合は免除します」と書いておくと、その場の判断が要らなくなります。
大事なのは、例外の中身を細かく詰めることではありません。例外があると書いてあること自体が効きます。何も書いていない規定は冷たく見え、書いてある規定は「話が通じる店」に見えます。
受け取り方を、規定と同時に決める
キャンセル料は、決めた時点では紙の上の数字でしかありません。実際に受け取れるかどうかは、受け取り方で決まります。預かりの客は、その日にもう来店しないからです。
現実的な方法は3つあります。
1つは、予約金からの充当です。先に受け取っているので、取りはぐれがありません。差額があれば返金し、足りなければ追加で請求します。もっとも確実ですが、予約金を取っている予約にしか使えません。
2つめは、振込です。請求の連絡を送り、期日までに振り込んでもらいます。手数料をどちらが負担するかを書いておかないと、毎回やり取りが発生します。回収率は、店との関係の深さに比例します。
3つめは、次回の来店時に受け取る方法です。常連であればこれで足ります。ただし次回がいつになるか分からないので、帳簿の上では未回収のまま残ります。
どの方法を使うにせよ、請求の記録を残してください。いつ、いくら、どの予約に対して請求し、いつ受け取ったのか。この記録が無いと、次に同じ飼い主が予約したときに、前回の扱いが分かりません。予約の履歴と請求の記録が別々の場所にあると、繁忙期には必ず照合が抜けます。
そして、回収できなかった場合の扱いも決めておいてください。追いかけ続けるのか、一定の金額以下は諦めるのか。明確にしておかないと、未回収の件数が増えるたびに気が重くなり、結局は規定そのものを使わなくなります。
同意書と規定を、別の文書として持つ
初回の利用で同意書に署名してもらっている店は多いはずです。ここにキャンセル料の条項を書き込んでいる場合、注意が要ります。
同意書は1回しか取りません。署名したのが3年前なら、飼い主が同意したのは3年前の規定です。そのあいだに繁忙期の段を厳しくしていたら、その変更は伝わっていません。
これを避けるには、同意書には「キャンセルの規定に従う」という一文だけを置き、金額や段は別の文書に持たせます。別の文書は、予約のたびに控えとして届けます。こうしておけば、規定を変えたときに同意書を取り直す必要がなくなります。
規定を変える場合の扱いも決めておいてください。すでに入っている予約には、予約した時点の規定を適用する。新しい規定は、変更を告知した日より後に入った予約から適用する。この形にしておけば、後出しだという指摘を受けません。
告知の方法は、店頭の掲示だけでは足りません。予約の画面と、予約の控えの両方に反映させます。紙とデータの2か所で規定を管理していると、片方を直し忘れて食い違いが起きます。規定が1か所にあり、そこを直せば予約の画面も控えも同時に変わる形が、いちばん事故が少なくなります。
もめたときは、記録の有無で結果が変わる
丁寧に作った規定でも、納得されないことは起きます。そのときに何があるかで、話の長さが変わります。
必要な記録は4つです。
・予約を受けた日時と、そのとき届けた控えの内容 ・取り消しの連絡が来た日時と、その手段 ・適用した段と、計算の内訳 ・過去に同じ飼い主に対してどう扱ったか
3つめが重要です。法律の条文には、請求するときに消費者から説明を求められた場合、算定の根拠の概要を説明するよう努めなければならないという定めがあります。金額だけを伝えて終わりにせず、何泊分に対して何パーセントを掛けたのかを示せる状態にしておいてください。
4つめは、公平さの問題です。前の飼い主には免除して、今回の飼い主には請求した。その判断に理由があればよいのですが、記録が無ければ理由を思い出せません。免除したときこそ、理由を書き残してください。
記録を残す場所は、予約と同じ場所にしてください。ノートに書いた取り消しの経緯と、画面に残っている予約の情報が別々だと、探すのに時間がかかります。繁忙期に何件も重なった日の記録は、その日のうちに残さなければ、二度と正確には再現できません。
掲載サイト経由の予約は、規定が二重になる
情報サイトや予約サイトに掲載している店は、もう1つ確認すべき点があります。サイト側にも取り消しの規定があり、それが自店の規定と食い違っていることがあります。
飼い主が見るのは、予約したサイトの画面に書かれている条件です。そこに「前日まで無料」と表示されていれば、店の規定が「3日前から30%」でも、飼い主は前日まで無料だと理解しています。当日にこちらの規定を持ち出しても、話は通りません。
やることは2つです。1つは、掲載している各サイトの管理画面を開いて、自店の取り消し条件がどう表示されているかを実際に見ることです。掲載を始めた当初に設定したまま、何年も見ていない店があります。もう1つは、可能なかぎり自店の規定と同じ内容にそろえることです。サイト側で設定できる項目が少なく、そろえられない場合は、そのサイト経由の予約だけ別の扱いにすると決めて、記録に残してください。
そして、サイト経由の取り消しが店に届く経路も確認してください。サイトの画面で取り消された情報が、店の予約の一覧に自動では反映されない場合があります。反映されなければ、ケージは押さえられたままになり、他の飼い主を断り続けます。規定の話以前に、在庫が正しくないという問題になります。
掲載サイトは集客の入口として有効ですが、予約の条件を自分で決められない面があります。自店の予約の画面を持ち、条件をそこで一元的に管理したうえで、掲載サイトを入口の1つとして使う形が、規定の食い違いを減らします。
見直す時期は、繁忙期の直後
規定は一度作って終わりではありません。見直す時期を決めておかないと、何年も前の表を使い続けることになります。
見直すのに適した時期は、繁忙期が終わった直後です。年末年始の預かりが終わった1月と、お盆が終わった9月。記憶が新しいうちに、次の3つを見てください。
1つは、その繁忙期に何件の取り消しがあり、そのうち何件が段の対象になったか。対象になった件数がゼロなら、段が遅すぎます。全件が対象なら、段が早すぎるかもしれません。
2つめは、請求した件数のうち、実際に受け取れた件数。回収できていないなら、金額の問題ではなく受け取り方の問題です。
3つめは、もめた件数と、その理由。理由のほとんどが「聞いていない」であれば、金額ではなく伝え方を直します。
料金そのものを上げ下げする前に、この3つを見てください。規定がうまく働かない原因は、金額の高さより、段の位置と伝え方にあることが多くなっています。
規定を運用に乗せるところまでが、設計の範囲
キャンセル料の規定は、文章を作った時点では半分しか終わっていません。残りの半分は、適用する手間をどう減らすかです。
規定が細かくなるほど、適用は難しくなります。連絡が来た日と預ける日から何日前かを数え、繁忙期かどうかを調べ、泊数と頭数から金額を計算し、予約金があれば差し引き、請求の連絡を出す。1件15分かかるとして、繁忙期に20件の取り消しがあれば5時間です。その時間は、預かっている犬猫の世話から引かれます。
結果として、忙しい時期ほど規定が適用されなくなります。適用しない規定は、無いのと同じです。飼い主のあいだにも、あの店は言うだけだという話が伝わります。
だから規定を作るときは、適用する手順まで含めて設計してください。取り消しの操作をした時点で日数が計算され、その日程に応じた段が当たり、金額が出る。決済が必須でない業態に合わせて、予約の受付から次の来店までを一続きにしている形であれば、規定を設定として持てます。文章として持つより、設定として持つほうが、忙しい日にも同じ結果が出ます。
条件を並べて比べたいときは他社との比較を、費用の段は料金を見てください。実際の画面での見え方はデモを見るで確かめられます。預かり以外の業種でどこが要件になるかは業種ごとの使い方に整理されており、運用に入ってからの細かい疑問はよくある質問にまとまっています。
キャンセル料は、罰ではありません。店が失ったものを分け合うための取り決めです。そう説明できる根拠を持ち、予約の前に見える場所に置き、忙しい日にも同じように適用できる。この3つが揃ってはじめて、規定が機能します。
Q1. 当日予約にもキャンセル料を設定すべきですか?
当日に受けた予約が当日に飛ぶ場合、店は準備の時間と、その枠で断った問い合わせを失っています。設定する理由はあります。ただし当日予約は空きを埋めるための受付なので、厳しくすると申し込み自体が減ります。当日予約は料金を求めず、ケージを押さえる時間だけ2時間などと区切る形が現実的です。
Q2. キャンセル料の相場はどのくらいですか?
店ごとに大きく差があり、統一された相場はありません。決め方としては、他店の数字を写すのではなく、自分の店が1件で失うもの(押さえた泊数、断った件数、組んだシフト、受付の手間)を積み上げてください。法律上も、平均的な損害を超える部分は効力を持たないとされているため、根拠を説明できる金額にしておく必要があります。
Q3. 連泊の予約が飛んだとき、全泊分を請求してよいですか?
総額に割合を掛ける方式にすること自体は可能ですが、上限を設けておくほうが安全です。7泊の予約で総額の100%を請求すると、実際にその全額を失ったのかという説明が必要になります。総額に対する割合を基本としつつ、3泊分を上限とするといった組み方が使われています。
Q4. 規定を作ったのに、請求できていません。どうすればよいですか?
請求までの手間が理由であることがほとんどです。日数を数えて金額を出し、連絡を作るという作業が、繁忙期には後回しになります。取り消しの操作をした時点で段が当たり、金額と連絡文が出る形にしてください。手作業を前提にした規定は、忙しい日から順に適用されなくなります。