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ペットホテルの予約台帳を紙からやめる|移し替える順番と、残す情報
2026年9月22日・Rizaflow編集部

ペットホテルの予約台帳は、飲食店の予約ノートとは性質が違います。飲食店は日付と時間の一次元ですが、預かりは日付とケージの二次元です。10室の店で30日先まで受けると、管理すべきマス目は300になります。当日予約の問い合わせが来たときに、この300のうちどこが空いているかを紙から数秒で読み取るのは、無理があります。ここでは、何を残すべきかを整理したうえで、紙から移し替える順番を決めます。
紙の台帳が破綻するのは、預かりが二次元だから
紙の台帳が回らなくなる瞬間は、店ごとにだいたい同じです。部屋数が増えたとき、連泊の予約が増えたとき、そして繁忙期に取り消しと変更が重なったときです。
日付ごとにページを分けている台帳では、5泊の予約を書くのに5ページに同じ内容を書くことになります。取り消しが入れば、5ページを消して回ります。1日ぶん縮んだときは、最終日だけを消します。消し忘れが1か所あると、そのケージは埋まったままになり、他の飼い主を断り続けます。
部屋ごとに行を分けた横長の表にすると、連泊は書きやすくなります。ただし今度は、飼い主の情報が書ききれません。名前と犬種を書くのが精一杯で、フードや投薬の情報は別の紙になります。当日の朝に2つの紙を照らし合わせる作業が発生します。
どちらの形でも、必ず起きるのが同じ情報の二重管理です。予約の台帳、個体の情報を書いたカード、ケージ割りのホワイトボード。この3つが同時に正しい状態を保てるのは、店が暇なときだけです。繁忙期に崩れます。
崩れたときに何が起きるかというと、二重予約です。同じケージに2件を入れてしまい、当日に片方を断ることになります。預かりの二重予約は、飲食店の二重予約より深刻です。飼い主は旅行に出る直前で、他の店を探す時間がありません。
法律上の帳簿義務は、預かりにはかかっていない
紙からの切り替えを考えるとき、法律で決まっている記録の義務がどこまでかを、先に確認しておきましょう。誤解したまま、必要以上に重い仕組みを作ってしまう店があります。
第一種動物取扱業者のうち動物の販売、貸出し、展示その他政令で定める取扱いを業として営む者(次項において「動物販売業者等」という。)は、環境省令で定めるところにより、帳簿を備え、その所有し、又は占有する動物について、その所有し、若しくは占有した日、その販売若しくは引渡しをした日又は死亡した日その他の環境省令で定める事項を記載し、これを保存しなければならない。 出典: laws.e-gov.go.jp
この条文が対象としているのは、販売、貸出し、展示、そして政令で定める取扱いです。政令の側を見ると、追加されているのは動物を譲り受けて飼養を行う取扱いだけで、預かり(保管)は含まれていません。つまり、ペットホテルとして預かりだけを行っている事業所には、この条文による帳簿の備付けと保存の義務は、そのままの形ではかかりません。
なお、帳簿の義務がかかる事業者については、記載の日から5年間の保存が求められており、その保存は電磁的な方法で行ってよいとされています。紙でなければならないという定めではありません。
ただし、義務が無いことと、記録が要らないことはまったく別です。実際には、預かりのほうが記録すべき情報は多くなります。命を預かっていて、返すまでのあいだに体調が変わる可能性があるからです。何をどこまで残すかは、店が自分で決めることになります。
自分の店に何の登録があり、どの義務がかかるのかは、登録した都道府県や政令指定都市の窓口で確認してください。トリミングや販売を併設している場合は、話が変わります。
残すべき情報は、4つの層に分かれる
紙から移し替えるときに、いちばん重要な作業がこれです。何を残すかを整理せずに移すと、紙の不便さをそのまま持ち込むことになります。
預かりの記録は、4つの層に分かれます。
1つめは、飼い主の層です。氏名、住所、連絡先、緊急の連絡先、請求の宛先。この層は、飼い主が変わらないかぎり変わりません。
2つめは、個体の層です。名前、種類、性別、生年月日、体重、避妊去勢の有無、予防注射の記録、混合ワクチンの記録、持病、常用薬、アレルギー、性格、他の犬猫との相性、咬んだことがあるか、かかりつけの動物病院。この層は、年に数回だけ更新されます。
3つめは、予約の層です。預ける日と時刻、迎えの日と時刻、ケージの区分、料金、追加で頼んだもの、送迎の有無、取り消しや変更の履歴。この層は、1回の利用ごとに作られます。
4つめは、滞在中の記録の層です。毎日の食事量、便の状態、散歩の時間、投薬の実施、気になった様子、体重の変化。この層は、預かっている日数ぶん作られます。
紙の台帳がうまくいかないのは、この4つを1か所に書こうとするからです。飼い主の住所を毎回書き写し、ワクチンの日付を予約のたびに書き、滞在中のメモを予約の欄の隅に押し込む。情報の寿命が違うものを同じ場所に置くと、必ず矛盾が出ます。
移し替えるときは、この4つを別々に持ち、互いにつながっている形にしてください。予約を開けば個体が見え、個体を開けば過去の滞在の記録が見える。この形になっていれば、同じことを二度書く必要が無くなります。
個体の情報は、予約よりずっと長く生きる
4つの層のうち、いちばん価値があるのは2つめの個体の層です。ここが溜まっている店は、他店に乗り換えられにくくなります。
5年通っている犬の記録があるとします。どのフードを食べていて、どのくらいの量で、夜に鳴くのか鳴かないのか、他の犬が近くにいると落ち着かないのか。この情報は、飼い主が別の店に移った瞬間にゼロから積み直しになります。飼い主にとって、これは大きな乗り換えの費用です。
そして、この情報は店の運営そのものを軽くします。常連の予約を受けるとき、確認すべきことがほとんど残っていません。「前回と同じで大丈夫ですか」で済みます。初めての飼い主に20分かけている聞き取りが、2分で終わります。
紙の台帳では、この蓄積が難しくなります。個体のカードを作っていても、過去の滞在の記録は予約の台帳のほうに書かれているので、つながりません。「この子は前回どうだったか」を知るには、過去の日付の台帳を探すことになります。1年前の記録を探すのに10分かかるなら、実質的に探せません。
移し替えの優先順位を決めるとき、この層を最優先にしてください。予約の情報は、過去のぶんを移さなくても運営できます。個体の情報は、移さないと価値が消えます。
予防注射の証明は、接種日を項目にして持つ
ペットホテルの受付で毎回確かめるのが、予防注射の証明です。多くの店は、狂犬病の予防注射と混合ワクチンの接種を受け入れの条件にしています。紙の台帳では、この確認が予約のたびに発生します。
紙で運用している店によくある形は、初回の利用時に証明書のコピーを取り、個体のカードに挟むことです。問題は、証明に期限の考え方があることです。犬の狂犬病の予防注射は年に1回受けさせることが法律で定められており、混合ワクチンについても、店として接種からどのくらいの期間内のものを求めるかを決めています。去年のコピーが挟まったままのカードを見て受け入れてしまう事故は、この形では防げません。
移し替えるときは、証明書の画像を個体の層に付けるだけでなく、接種日を項目として入れてください。接種日があれば、店の基準から期限の日を出せます。期限の日があれば、予約を受けた時点で、預かる期間中に期限が切れるかどうかが分かります。
期限が切れる予約が見つかったら、預かりの日より前に飼い主へ連絡します。当日の朝に受付で気づくと、飼い主は出発の直前です。受け入れを断るか、条件を付けて受けるかの判断を、その場で迫られることになります。
猫だけを預かる店や、犬と猫で基準を分けている店では、動物の種類ごとに求める証明を変えておく必要があります。個体の層に種類を持っていれば、この切り分けも画面の上でできます。
迎えに来る人を、予約の時点で決めておく
預かりには、他の予約業態にない引き渡しの場面があります。預けた人と、迎えに来る人が同じとは限りません。
旅行の帰りが遅れて家族が代わりに迎えに来る、出張中の飼い主の代わりに実家の親が来る。紙の台帳では、この情報は電話で聞いてメモの隅に書かれるか、まったく書かれません。当日、面識のない人が名前を告げて迎えに来たときに、渡してよいかを判断する材料がありません。
台帳を移すときは、予約の層に、迎えに来る予定の人の名前と続き柄を持たせてください。飼い主の層には、代わりに迎えに来ることがある人をあらかじめ登録しておけます。予約を受けるときに「お迎えはご本人ですか」と1つ聞くだけで、この欄は埋まります。
登録されていない人が迎えに来た場合の扱いも、店の手順として決めておきます。飼い主本人に電話で確認が取れるまでは渡さない、確認が取れたら誰にいつ渡したかを記録に残す。この手順が台帳の上に書かれていないと、判断が受付の人の感覚に任され、忙しい日に崩れます。
迎えの時刻の変更も同じ層で持ちます。夕方の予定が夜にずれると、閉店後の対応や延泊の料金が絡みます。変更の連絡を誰がいつ受けたかまで残しておけば、料金の説明で食い違いが起きません。
預かり中の急変に備えて、飼い主の判断を先に書いておく
預かっている間に体調が悪くなることは、どれだけ気をつけていても起こります。そのときに店が困るのは、飼い主に連絡がつかない場面です。旅行先で飛行機に乗っている、海外にいて電話がつながらない。
この場面に備えて、預かる前に飼い主の判断を聞き、書き留めておく店があります。聞く内容は次のようなものです。
・具合が悪くなったとき、どこの動物病院に連れて行ってよいか。かかりつけが開いていない時間帯はどうするか ・連絡がつかない場合に、診察や検査を店の判断で受けさせてよいか ・その費用を、どの程度までなら先に進めてよいか ・飼い主以外に連絡してよい人がいるか
紙の台帳では、この内容は同意書の中に書かれ、同意書は別のファイルに綴じられています。夜中に犬が吐き続けたとき、当番の職員がそのファイルを探し出して該当の欄を読むのは、簡単ではありません。
移し替えるときは、この判断を個体の層か飼い主の層に項目として持ち、予約を開けばすぐに見える場所に置いてください。署名をもらった同意書そのものは紙で保管してかまいませんが、その要点は画面に写します。
高齢の犬猫や持病のある子については、利用のたびに内容を確かめ直す運用も要ります。前回から状態が変わっていれば、飼い主の判断も変わります。前回の内容を画面に出して「今回もこの内容でよいですか」と聞くだけなので、手間は大きくありません。
多頭で預ける家庭を、台帳でどう持つか
2頭、3頭をまとめて預ける家庭は、ペットホテルでは珍しくありません。この家庭の扱いが、紙の台帳でいちばん崩れやすいところです。
紙では、1件の予約欄に2頭の名前を並べて書くことになります。料金は頭数ぶん、ケージは同室か別室か、フードはそれぞれ違う。1つの欄に収まりきらず、欄外に書き込みが増えます。片方だけ体調を崩して早めに迎えに来た、片方だけ延泊した、という変更が入ると、欄の中の記録はほとんど読めなくなります。
移し替えるときは、飼い主の層に複数の個体をぶら下げ、予約は1件の中に頭ごとの明細を持つ形にしてください。日程、ケージ、料金、滞在中の記録は頭ごとに付きます。こうしておけば、片方だけの変更も、その子の明細を直せば済みます。
同室の希望も項目として持ちます。普段一緒に暮らしている2頭は同じ部屋のほうが落ち着く一方で、食事の量を1頭ずつ管理しにくくなります。同室にするかどうかと、食事のときだけ分けるかどうかを記録しておけば、担当が変わっても同じ扱いができます。
料金は、合計ではなく明細で残す
紙の台帳の料金欄には、たいてい合計の金額だけが書かれています。預かりの料金は、この書き方だと後から説明がつきません。
預かりの料金は、いくつもの要素の足し算です。泊数と体の大きさで決まる基本の料金、繁忙期の割り増し、迎えが遅れたときの延長、滞在中のシャンプー、送迎、投薬の手間。予約を受けた時点の見積もりと、迎えのときの請求額が変わることも多くあります。
合計しか書いていないと、迎えのときに「予約のときに聞いた額と違う」と言われたとき、どこで増えたのかを示せません。受付をした人と迎えに対応した人が違えば、なおさらです。
移し替えるときは、予約の層に料金の明細を持たせてください。基本の料金と、追加になったものを1行ずつ残し、追加した日と理由も書きます。延長やシャンプーのように滞在中に決まるものは、決まったその日に明細へ足します。
泊数の数え方も、台帳の側で揃えておきます。何時までに迎えに来れば1泊と数えるのか、預けた時刻が遅い場合はどう数えるのか。この決まりが担当によって変わると、同じ日程でも請求額が変わります。店の決まりを1つにして、予約の日時から泊数が出る形にしておけば、受付の人による差が消えます。
移し替える順番を、3つに区切る
紙からデータへ移すとき、全部を一度に移そうとすると必ず途中で止まります。順番を決めてください。
最初に移すのは、これから先の予約です。今日から90日先までの入っている予約を、日付とケージと飼い主と頭数だけ入れます。細かい情報は後回しで構いません。この作業が終わった時点で、空き状況が画面で見えるようになります。当日の問い合わせに答えられる状態が、いちばん早く効きます。
次に移すのは、よく来る飼い主の個体の情報です。全員ではなく、直近1年に2回以上使った飼い主に絞ってください。多くの店で、これは全体の2割から3割ほどです。残りの飼い主は、次に予約が入ったときに入力すれば足ります。
最後に、過去の滞在の記録です。ただし、これは移さなくてよい場合がほとんどです。紙の台帳をそのまま箱に入れて保管し、必要になったときだけ見る。過去の記録を全部入力する作業には、何十時間もかかります。その時間を、これから先の運用に使ったほうが効きます。
この3つに区切ると、最初の段階は1日か2日で終わります。全部を移そうとして3か月かかる計画を立てると、たいてい途中で止まり、紙に戻ります。
移し替えの期間中に、二重に持たない
切り替えでいちばん事故が起きるのが、紙とデータの両方を使っている期間です。
紙にも書き、画面にも入れる。この運用を「念のため」と称して続けている店があります。しかし、両方を正しく保つのは不可能です。忙しい日に片方だけ書いて、もう片方を忘れます。そして、どちらが正しいか分からなくなります。
切り替えの日を1日決めて、その日を境に、新しく受ける予約はすべて画面に入れてください。紙は、その日より前に受けた予約の参照用としてだけ残します。両方に書く期間を作らない。これが事故を防ぐ唯一の方法です。
切り替えの日は、繁忙期を外してください。年末年始やお盆の直前に切り替えるのは、最悪の選択です。操作に慣れていない状態で、いちばん忙しい時期を迎えることになります。繁忙期が終わった直後、1月の中旬か9月の上旬が適しています。
そして、切り替えの前に、次の繁忙期の予約をどう扱うかを決めておいてください。9月に切り替えるなら、年末の予約はすでに一部が紙に入っています。これは最初の段階で移す対象に含めてください。
ケージ割りの表と、予約の台帳を1つにする
多くの店で、予約の台帳とは別に、ケージの割り振りを書いたホワイトボードがあります。当日の朝、どの子がどの部屋に入るかを書く表です。
この2つが別々にあること自体は、悪いことではありません。ホワイトボードは現場で使う道具で、予約の台帳は受付で使う道具だからです。ただし、情報が食い違うと事故になります。
食い違いが起きるのは、変更があったときです。予約が延びた、部屋を移した、体調を見て別の場所に移した。この変更が片方にしか書かれないと、翌日の受付で誤った空き状況を答えます。
理想は、予約の情報からケージの割り振りが出る形です。予約を入れた時点で部屋が決まり、それが現場でも見える。変更したときは1か所を直せば両方に反映されます。
ただし、現場の運用として、手で書ける板が必要な場面もあります。急に体調を崩した子を別の場所に移す、鳴きが止まらない子の位置を変える。こうした変更は、判断した人がその場で書きます。その場合も、その日のうちに予約の情報側に反映する時間を決めてください。「夕方の締めのときに、変更を画面に入れる」と決めておけば、翌朝の受付で食い違いません。
紙に残すべきものも、いくつかある
すべてを画面に移すべきかというと、そうではありません。現場で手が濡れている、犬を押さえている、そういう状況で画面を操作するのは現実的ではない場面があります。
紙に残す価値があるのは、次の3つです。
1つは、滞在中の日々の記録です。食べた量、便の状態、散歩の時間。これはケージの前に紙を貼って、その場で書く形が早い。1日の終わりにまとめて画面に入れます。
2つめは、飼い主に署名してもらう書類です。預かりの同意書、緊急時の対応についての確認、キャンセルの規定への同意。署名が要るものは紙が残ります。
3つめは、当日の受付で使う確認の一覧です。持ち物、書類、聞き取る内容。手順として印刷しておくと、誰が受付をしても同じ結果になります。
紙を全部無くすことが目的ではありません。目的は、同じ情報を二度書かないことと、当日予約の問い合わせに数秒で答えられることです。この2つが達成できれば、紙が残っていても構いません。
探せることの価値は、繁忙期に分かる
紙からデータに移して、いちばん効果を感じるのは検索です。ただし、その価値が分かるのは繁忙期です。
たとえば、年末に預かっている18頭のうち、投薬が必要な子が何頭いるか。紙の台帳では、1件ずつ確認することになります。18件を見るのに10分かかります。データなら、その条件で絞るだけです。
同じことが、次の条件でも起きます。
・明日の朝に退室する予定の子 ・予防注射の記録が、預かり期間中に期限を迎える予約 ・迎えの予定時刻を過ぎている予約 ・前回の滞在で食欲が落ちた記録がある子 ・大型犬用のケージを使う予約
こうした条件で絞れると、確認の作業が消えます。そして、確認の作業が消えることで、確認忘れも消えます。忙しい日に抜けるのは、必ず「気をつけて見ておく」だけの項目です。
紙の台帳でこれを実現しようとすると、色分けや付箋といった工夫になります。工夫は人によって変わるので、担当が変わると引き継げません。
引き継げる台帳かどうかを、基準にする
紙の台帳には、書いた人にしか読めない部分が必ずあります。略号、書き込みの位置、色の意味。長く1人で回してきた店ほど、この傾向が強くなります。
ここが問題になるのは、人を増やしたときと、店主が休んだときです。台帳が読めなければ、その日は予約を受けられません。当日の問い合わせにも答えられません。
移し替えを考えるとき、この観点を基準に入れてください。誰が見ても同じ意味に読める形になっているか。項目の名前がはっきりしているか。自由に書ける欄に重要な情報が埋まっていないか。
自由記入の欄は便利ですが、そこにしか書かれていない情報は検索できません。「この子は他の犬が苦手」という情報が、メモ欄に文章で書かれていると、絞り込めません。よく使う情報は、選ぶ形の項目として持たせてください。
引き継げる形にしておくと、休みが取れるようになります。預かりの商売で店主が休めないのは、頭の中にしか情報が無いからです。
預かった情報を、どう扱うか
飼い主の氏名、住所、連絡先は、預かった個人の情報です。紙で持っていても、画面で持っていても、扱いに気をつけるべき点は同じです。
紙の台帳のほうが安全だと感じる人がいますが、実際には逆の面があります。紙は誰が見たか分かりません。持ち出されても記録が残りません。受付の台の上に開いたままになっていれば、次の飼い主の目に入ります。
データで持つ場合は、誰がどこまで見られるかを決められます。アルバイトの職員には当日の予約と個体の情報だけを見せ、請求に関わる部分は見せない、といった分け方ができます。
どちらの形を選ぶにせよ、決めておくべきことは3つです。誰が見てよいか、どこまでの期間残すか、要らなくなったときにどう処分するか。紙なら、古い台帳を箱に入れたまま何年も置いている店が多いので、保管する場所と期間を決めてください。
個人情報の扱いについての一般的な考え方は、個人情報保護委員会が公開している資料で確認できます。
台帳を切り替えたあと、何が変わるか
紙からデータへ移す目的を、もう一度整理します。目的は、入力を楽にすることではありません。次の3つです。
1つは、当日の問い合わせに数秒で答えられること。大きさの区分ごとに、今日と明日の空きがいくつあるか。これが即答できれば、取りこぼしが減ります。
2つめは、同じことを二度書かないこと。飼い主の住所も、犬の体重も、予約のたびに書き写す必要が無くなります。1件あたり5分の短縮でも、月80件なら6時間を超えます。
3つめは、予約の情報から次の連絡が出ること。これがいちばん大きい差になります。台帳は記録するための道具だと考えられていますが、日程が入っているなら、そこから前日の確認も、持ち物の案内も、迎えのあとの連絡も出せます。
台帳を切り替えるときに見るべきなのは、入力の画面の使いやすさだけではありません。入れた情報がその後どこまで働くかです。できることには、受付から次の来店までのどこまでを1つの流れとして扱えるかが並んでいます。決済が必須でない業態に合わせて、予約の受付から次の来店までを一続きにしている形であれば、台帳に入れた日程がそのまま連絡の起点になります。
条件を並べて比べたい場合は他社との比較を、費用の段は料金を見てください。実際の画面での見え方はデモを見るで確かめられます。預かり以外の業種でどこが要件になるかは業種ごとの使い方に整理されており、運用に入ってからの細かい疑問はよくある質問にまとまっています。
紙の台帳が悪いわけではありません。部屋数が少なく、連泊がほとんど無く、1人で全部を把握できているなら、紙で足ります。切り替えを考えるべきなのは、二重予約が一度でも起きたとき、当日の問い合わせに即答できなくなったとき、そして人を増やそうとしたときです。
Q1. ペットホテルに法律で決められた台帳の義務はありますか?
販売、貸出し、展示、そして動物を譲り受けて飼養する取扱いには、帳簿の備付けと保存が法律で定められています。預かりだけを行う事業所は、この条文の対象に含まれていません。ただし義務が無いことと記録が要らないことは別です。自分の店にどの登録があり、何が求められるかは、登録した自治体の窓口で確認してください。
Q2. 紙からの移し替えは、どこから始めるべきですか?
これから先の予約からです。今日から90日先までの入っている予約を、日付とケージと飼い主と頭数だけ入れてください。この段階で空き状況が画面で見えるようになり、当日の問い合わせに即答できます。次に、直近1年に2回以上使った飼い主の個体情報を入れます。過去の記録は移さなくて構いません。
Q3. 紙と画面を両方使う期間を設けたほうが安全ですか?
逆です。両方に書く期間は、いちばん事故が起きます。忙しい日に片方を忘れ、どちらが正しいか分からなくなります。切り替えの日を1日決めて、その日以降に受ける予約はすべて画面に入れてください。紙は、それ以前の予約の参照用として残します。切り替えの日は繁忙期を外してください。
Q4. 残すべき情報はどこまでですか?
4つの層に分けて考えてください。飼い主(連絡先、緊急連絡先)、個体(予防注射の記録、フード、投薬、持病、相性、かかりつけの病院)、予約(日程、ケージ、料金、変更の履歴)、滞在中の記録(食事量、便の状態、投薬の実施)です。このうち個体の層がいちばん長く使われ、常連の受付時間を大きく短くします。