guide

日本政策金融公庫と個人事業主|開業のお金を借りる段取り

2026年10月5日・Rizaflow編集部

店を出す資金が足りない。あるいは開業から数年たって、設備を入れ替えたい。個人事業主がまず当たる先として、日本政策金融公庫の名前が挙がります。ただ、調べ始めると制度の名前が何十種類も並び、どれが自分向けなのかが分かりません。必要な書類の一覧も、法人向けと個人向けが混ざって説明されていることが多くあります。この記事では、個人事業主が使う国民生活事業の窓口に絞って、使える制度、申し込みに要る書類、面談で聞かれること、利率を下げる特例制度を順に並べます。そのうえで、審査で効く「数字の根拠」をどう作るかまで踏み込みます。

個人事業主が当たる窓口は国民生活事業

日本政策金融公庫は事業の規模と種類で窓口が分かれています。個人事業主と小規模の事業者が当たるのは国民生活事業です。中小企業事業と農林水産事業は別の窓口になります。まずここを間違えないようにします。

国民生活事業がどういう規模を扱っているかは、公庫が自ら数字で示しています。

日本政策金融公庫は事業に取り組む方々を支援する政策金融機関です。 国民生活事業では、小規模事業者の皆さまへの小口融資を主に取り扱っており、1先あたりの平均融資残高は約800万円です。 出典: jfc.go.jp

1先あたりの平均が約800万円という数字は、申し込みの金額を考えるときの目安になります。数千万円を借りる人もいますが、実際に動いている金額の中心はこの水準です。開業のために300万円から800万円を借りたい、という相談は窓口にとって日常です。身構える必要はありません。

相談の入口は電話です。事業資金相談ダイヤルは0120-154-505で、受付時間は平日の9時から19時までです。音声ガイダンスのあと、創業して間もない場合は0を、それ以外は1を押します。日曜日、祝日、年末年始は使えません。支店の窓口やオンラインでの相談もできますが、事前の予約が必要です。予約して相談すると、窓口で待たずに済み、相談の内容を事前に入力しておけるため話が早くなります。

商工会議所、商工会、生活衛生同業組合、都道府県の生活衛生営業指導センターでも相談を受け付けています。飲食店や理容室、美容室のように生活衛生関係営業にあたる商売は、これらの窓口経由で進む道もあります。どちらの窓口から入っても、最終的な審査は公庫が行います。

開業前と開業後で、使う制度が変わる

制度の一覧は数十種類ありますが、個人事業主が最初に見るべきものは数が限られます。開業前、または開業から間もない時期に当たるのが新規開業・スタートアップ支援資金です。

公庫のページに書かれている条件を並べます。利用できるのは「新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方」です。資金の使いみちは、新たに事業を始めるため、または事業開始後に必要とする設備資金および運転資金です。融資限度額は7,200万円です。返済期間は設備資金が20年以内で据置期間は5年以内、運転資金が10年以内で据置期間は5年以内となっています。2026年9月26日時点の内容です。

据置期間というのは、その期間は利息だけを払い、元金の返済を始めないという仕組みです。開業してすぐは売上が立たないため、この期間があると資金が持ちます。ただし据置期間を長く取ると、そのあとの返済額が重くなります。売上が立つまでの見通しに合わせて、必要な長さだけを申し出ます。

開業から7年を超えている場合は、一般貸付など別の制度に当たります。設備を入れ替えたいだけなら、この枠で足りることが多くあります。生活衛生関係営業にあたる商売では、生活衛生貸付という別の枠があり、飲食店営業や美容業の設備資金は7,200万円が限度額になっています。ただし生活衛生貸付の一般貸付を使う場合、設備資金の申込金額が500万円を超えると都道府県知事の推せん書が必要になります。500万円以下なら要りません。

どの制度に当たるか自分で決められないときは、電話で聞きます。窓口は制度を選ぶ手伝いをしてくれます。自分で制度名を決めてから申し込む必要はありません。

申し込みに要る書類を先に揃える

申し込みはインターネットからできます。24時間365日受け付けていて、書類の電子データをアップロードする形です。ここで揃える書類が分かっていないと、途中で止まります。公庫のページに並んでいる、個人事業主が初めて使うときの書類を確認します。

1つ目は創業計画書または企業概要書です。これから事業を始める場合、または始めて間もない場合は創業計画書を使います。それ以外の場合は企業概要書です。どちらも公庫のサイトから用紙と記入例をダウンロードできます。

2つ目は確定申告書です。直近期と、その前期の2期分が必要です。青色申告なら青色申告決算書、白色申告なら収支内訳書を含めます。公庫のページには、提出された電子データに不備が多いと注意書きがあり、そこには「直近期だけでなく2期分がご準備できているか」「確定申告書の表紙だけでなく、一式がご準備できているか」の2点が挙げられています。表紙だけ送って差し戻される人が多いということです。税務申告が1期しか終わっていない場合は1期分、始めて間もなく申告が済んでいない場合は提出不要です。

3つ目は設備資金を申し込む場合の見積書です。運転資金だけなら要りません。4つ目は電子契約サービスの利用申込書です。契約手続きをオンラインで行うための書類で、2回目以降で連絡先に変更がなければ提出不要です。5つ目は送金先の預金通帳の写しで、表紙と見開き1ページ目です。通帳がない場合は、金融機関名、店番、預金の種類、口座番号、口座名義人が確認できる画面の写しで代えられます。

6つ目は本人確認書類です。運転免許証は両面、マイナンバーカードは表面のみ、パスポートは顔写真のページと現住所の記載があるページを用意します。7つ目は許認可証です。飲食店のように許可や届出が必要な商売をしている場合だけで、これから取得する予定なら申し込みの時点では不要です。

面談で見られるのは計画の実現性

書類を出したあとに面談があります。ここで何を見られるのかを、公庫のページに沿って確認します。面談の際は、事業計画に関連する資料や資産と負債が分かる書類を準備します。店舗や事業所の予定地を訪問される場合もあります。事業計画をさまざまな角度から検討して融資の判断が行われ、オンラインでの面談も受け付けています。

つまり見られているのは、計画が実現しそうかどうかです。数字が大きいかどうかではありません。融資額について、公開されている解説でも同じ趣旨が述べられています。

実際に借入できる融資額は、事業規模や計画の実現可能性、返済能力などで決定されます。 できる限り多くの融資を受けるためには、事業規模や必要経費を根拠とともに示し、計画書で資金の必要性を具体的に説明することが大切です。 出典: freee.co.jp

根拠とともに示す、という点が要になります。「月に100万円売れる見込みです」と書くだけでは根拠がありません。「1日の受付枠が10枠、客単価が6,000円、稼働率を6割で見込むと平日で1日36,000円、月に22営業日で792,000円」という形に分解すると、どの前提を疑えばよいかが相手に見えます。この形になっていれば、稼働率が甘いと指摘されても、その1点を直すだけで済みます。

面談で答えに詰まりやすいのは、売上の根拠と、なぜその金額が必要なのかの2つです。設備の見積書があれば後者は説明できます。前者は、開業前だと実績がありません。そこで効くのが、似た商売の相場と、自分がすでに持っている見込み客の数です。予約の希望を事前に受け付けていれば、その件数が材料になります。

利率を下げられる特例制度がある

融資の利率は、基準利率と特別利率に分かれています。条件に当たれば特別利率が適用され、負担が下がります。新規開業・スタートアップ支援資金のページには、特別利率が適用される条件が並んでいます。

そこに挙げられているものには、女性の方、35歳未満または55歳以上の方があります。また、創業塾や創業セミナーなど、産業競争力強化法に規定される認定特定創業支援等事業を受け、認定市区町村が発行する証明書を取得した方も対象です。有効な証明書がある場合に限られますが、この条件は誰でも満たせる余地があります。自治体が開いている創業支援の講座を受けて証明書をもらうだけで、利率が下がる可能性があります。

もう1つ、併用できる特例制度として創業支援貸付利率特例制度があります。公庫のページによると、対象は「新たに事業を始める方または事業開始後税務申告を2期終えていない方」で、利率は各種融資制度に定める利率から0.65%引きになります。雇用の拡大を図る場合は0.9%引きです。2026年9月26日時点の内容です。

このほか、経営者保証免除特例制度や賃上げ貸付利率特例制度も併用できる枠として挙げられています。どれが自分に当たるかは、条件が細かいので相談の段で確認します。窓口に「使える特例制度はありますか」と聞くだけで、該当するものを教えてもらえます。聞かないまま申し込むと、当たるはずの特例を逃します。

実際の利率は、使いみち、返済期間、担保の有無によって変わります。公庫のサイトに金利情報のページがあり、そこで国民生活事業の利率を確認できます。数字は改定されるので、申し込む時点のページを見ます。

契約から送金、そして返済までの流れ

融資が決まったあとの流れも押さえておきます。ここを知らないと、資金が入る時期を読み間違えて、支払いの予定が狂います。

面談のあとに融資の決定があり、決定後に契約の手続きを案内されます。契約は電子契約サービスを使ってオンラインで行えます。従来は書面で取り交わしていた手続きが、Web上で完結します。契約が済むと、指定した口座に送金されます。

返済は原則として月賦払いです。返済方法には元金均等返済、元利均等返済、ステップ返済があります。元金均等は毎月同じ額の元金を返す形で、最初の返済額が大きく、後半が軽くなります。元利均等は毎月の支払額が一定です。ステップ返済は段階的に返済額を変える形で、売上が立つまでの期間を軽くできます。

どれを選ぶかは、売上の見通しで決めます。開業から半年で売上が安定する見込みなら元利均等で問題ありませんが、季節によって売上が大きく動く商売なら、ステップ返済を検討します。選び方が分からなければ、返済シミュレーションの仕組みが公庫のサイトに用意されているので、そこで試算します。

審査の結果、希望に沿えない場合もあります。公庫のページにもその旨が明記されています。断られたときに、すぐ別の金融機関に持ち込むより、何が足りなかったかを聞いてから作り直したほうが早く進みます。計画書の数字の根拠が薄いという指摘であれば、材料を集めてから再度相談できます。

計画書の数字を裏付ける材料をどう作るか

審査で最も効くのが、売上の根拠です。開業前は実績がないため、ここを作る工夫が必要になります。予約を受ける商売なら、作れる材料が3つあります。

1つ目は、開業前の予約の受付です。店を開ける前に予約ページを公開して、初日からの枠を受け付けておきます。集まった件数は、そのまま需要の証拠になります。10件でも20件でも、数字として出せるものがあるかないかで、計画書の説得力が変わります。件数だけでなく、どのメニューに偏っているかも見えるため、客単価の前提を裏付けられます。

2つ目は、既存の顧客の記録です。すでに商売をしていて設備資金を借りる場合、来店の履歴があれば稼働率を実測で出せます。「金曜の18時から20時は3か月連続で満席」という記録は、席を増やす理由になります。記録が手元に無いと、この説明が感覚の話になります。

3つ目は、時間帯ごとの取りこぼしです。営業時間外にかかってきて取れなかった電話の件数を数えておくと、受付を広げることで増える売上を説明できます。営業時間が10時から19時なら、1日のうち15時間は電話が取れていません。ここに何件の着信があったかは、電話機の履歴から数えられます。

これらの記録は、借入のために作るものではありません。日々の商売を回すために要るものが、そのまま材料になるという話です。予約の受付から来店、御礼の連絡までが1か所に記録される作りにしておけば、必要なときに取り出せます。決済が必須でない業態に合わせて、予約の受付から次の来店までを一続きにしている予約システムなら、現金や振込で精算している商売でもこの記録が溜まります。どこまでが標準の機能かはできることのページで一覧を確かめます。

借入と同時に、受付の仕組みも整えておく

融資の準備をしている時期は、開業の準備と重なります。この時期に受付の仕組みを一緒に決めておくと、資金の使いみちが整理されます。

計画書に書く経費のうち、毎月かかるものと一度だけかかるものを分けます。内装や設備は一度きりですが、予約の受付や会計の道具は毎月かかります。この毎月の額が固まっていないと、運転資金の必要額が出せません。予約の受付にかかる費用は、月の予約件数とスタッフの人数で段になっている形が一般的で、ひとりで月50件までなら無料の枠で収まることもあります。段の切れ目がどこかは料金のページで、件数とスタッフ数の上限まで書いてあるものを見て判断します。表示が税込か税抜かは必ず確かめます。

開業前に予約を受け始める場合、初期の費用がかからない形を選ぶと計画が立てやすくなります。売上が立つ前から月額が発生すると、その分を運転資金に積む必要が出ます。無料で始めて、予約が増えてから上の段に移る形なら、この積み増しが要りません。

業種によって受け方が変わるので、自分の商売に近い形を先に見ておきます。業種ごとの使い方のページのように対応している業種と使い方が並んでいるものを見ると、近い例が見つかります。実際の操作感は画面を触らないと分からないため、ログインなしで予約ページと管理画面の両方を確かめられるデモを見るのような入口があれば、開業の前に触っておきます。

すでに何かのサービスを使っていて乗り換えを考えているなら、何が違うのかを並べた他社との比較のページを見て、乗り換える理由が自分にあるかを確かめます。受付の締め切りや通知の設定で疑問が残るときは、よくある質問のページで先に片付けておくと、開業の直前に手が空きます。

借入の前に確認しておく3つのこと

最後に、申し込む前に自分で確かめておくことを3つ挙げます。どれも借りたあとに困らないためのものです。

1つ目は、返済額が毎月の利益に収まるかです。計画書の売上から経費を引いた残りが、毎月の返済額を上回っているかを確かめます。据置期間の間は元金を返さないため、その期間が終わったあとの額で見ます。据置期間が終わった月から急に苦しくなる、という事例はよくあります。

2つ目は、借入額を必要な額に絞れているかです。限度額が7,200万円だからといって、多く借りたほうが安心という判断は危険です。返済額は借入額に比例します。設備の見積書に出ている額と、売上が立つまでの数か月ぶんの運転資金を足した額。ここから逆算して決めます。

3つ目は、担保と保証人の扱いです。公庫のページには「お客さまのご希望を伺いながらご相談させていただきます」と書かれています。経営者の保証を不要とする経営者保証免除特例制度も併用できる枠として挙げられているため、保証人を立てられない場合でも相談の余地があります。最初から諦める必要はありません。

この3つを紙に書き出してから電話をかけると、相談が短く済みます。窓口は制度の説明をしてくれますが、自分の商売の数字は自分しか持っていません。数字を持って相談に行くと、話が1回で進みます。

創業計画書に何を書くかを分解する

創業計画書は、公庫のサイトから用紙と記入例をダウンロードできます。欄は決まっているので、埋める順番を先に決めておくと早く終わります。埋めにくいのは数字の欄ですが、そこを最後に回すと手が止まります。順番を逆にします。

最初に埋めるのは、創業の動機と経歴です。ここは事実を書くだけなので迷いません。前の職場で何年、どういう仕事をしていたかを具体的に書きます。同じ業種での経験年数は、審査で見られる項目のひとつです。未経験の業種で始める場合は、その分を補う材料を書きます。講座を受けた、資格を取った、半年間手伝いに入った。何でも構いませんが、事実であることが前提です。

次に埋めるのが、取扱商品とサービスの内容です。メニューと料金をそのまま書きます。予約を受ける商売なら、1件あたりの所要時間も添えます。所要時間が書いてあると、次に書く売上の計算が自動的に繋がります。ここを曖昧にすると、売上の欄で行き詰まります。

3つ目が必要な資金と調達の方法です。設備資金は見積書の額をそのまま書きます。運転資金は、売上が立つまでの月数と、その間の毎月の支出から出します。家賃、光熱費、仕入れ、通信費、予約の受付にかかる費用。毎月かかるものを一覧にして、それに月数を掛けます。ここで初めて、借りたい額が決まります。

最後が事業の見通しです。1か月あたりの売上を、枠数、単価、稼働率の3つに分けて書きます。分けて書くと、根拠のある数字に見えます。まとめて1つの金額だけ書くと、どこから出た数字か説明できません。経費の欄も同じで、項目ごとに分けます。

書き終わったら、自分で1度読み返して、数字のどれかを2割下げても返済が回るかを確かめます。回らないなら、借入額か計画そのものを直します。

相談の予約を取って窓口で話す段取り

電話だけで済ませようとすると、制度の説明を受けるだけで終わります。相談の予約を取って、支店の窓口かオンラインで話すと、自分の計画に合わせた答えが返ってきます。公庫は予約相談の利点を3つ挙げていて、窓口で待たずに相談できること、事前に相談内容を入力できること、Microsoft Teamsを使ったオンライン相談ができることが並んでいます。

予約の段で入力する相談内容は、できるだけ具体的に書きます。「開業資金の相談」と書くより、「9月に美容室を開業予定、内装と設備で520万円の見積あり、運転資金を含めて700万円を希望」と書くほうが、当日の話が具体的になります。担当者が先に目を通してくれるため、当日その場で調べる時間が省けます。

持っていくものは3つです。設備の見積書、直近2期分の確定申告書、そして書きかけの創業計画書です。計画書は完成していなくて構いません。書けなかった欄を見せて「ここが埋まりません」と聞くほうが、完成品を見せるより得られるものが多くあります。

オンラインでの相談を選ぶ場合は、通信が安定している場所から繋ぎます。書類を画面に映しながら話す場面があるため、紙の書類は先に写真かPDFにしておきます。当日に探し始めると、時間が相談ではなく操作に消えます。

相談のあと、その場で申し込みまで進める必要はありません。指摘された点を直してから申し込むほうが、審査が1回で済みます。急いでいる場合でも、相談から申し込みまで数日空けるほうが結果は良くなります。

借入と補助金や助成金の使い分け

開業の資金を調べていると、融資以外の言葉も出てきます。補助金と助成金です。この3つは性質が違うので、混ぜて考えないようにします。

融資は借りたお金なので返します。その代わり、使いみちの制約が比較的緩く、運転資金にも充てられます。金額も大きく取れます。補助金と助成金は返さないお金ですが、使いみちが細かく決められていて、多くは後払いです。つまり先に自分で払って、あとから一部が戻る形になります。

ここが実務で問題になります。後払いということは、支払いの時点では自分の資金が要るということです。補助金が採択されても、その前に払う現金が無ければ設備は買えません。だから、補助金を狙う場合でも融資は並行して考えることになります。「補助金が取れたら融資は要らない」という組み立ては、資金の出る時期がずれるため成立しにくくなります。

もう1つ違うのが、確実性です。融資は審査に通れば必ず出ます。補助金は公募の枠があり、申請しても採択されない場合があります。計画を立てるときは、融資を前提に置いて、補助金は取れたら助かるものとして扱うほうが安全です。

補助金や助成金の情報は、中小企業庁や中小機構のサイトから探せます。公募の時期が限られているため、開業の時期と合うかを先に確かめます。合わないなら、次の公募まで待つか、融資だけで進めるかを決めます。

借りたあとに公庫と続く関係

融資は1回で終わる取引ではありません。返済を続けていくと、次に借りるときの材料になります。ここを意識して動くと、2回目以降が早くなります。

返済を遅れずに続けている実績は、そのまま信用になります。設備を入れ替えたいとき、店を増やしたいとき、2回目の相談は1回目より短く済みます。逆に、遅れを出すと次が難しくなります。売上が落ちて返済が苦しくなったときは、遅れる前に相談します。公庫には売上が減るなど一時的に業況が悪化した方向けの枠も用意されているため、早めに話すほうが選択肢が残ります。

もう1つ、公庫は融資以外の支援も持っています。創業支援、事業承継支援、経営お役立ち情報といった枠が用意されていて、借りている事業者が使えるものがあります。財務診断サービスやビジネスマッチングの仕組みもサイトから辿れます。借りたあとに放っておくのではなく、使えるものを見ておくと得られるものがあります。

決算の数字を毎年きれいに出しておくことも、次に繋がります。確定申告書は申し込みのたびに2期分を求められるため、数字が読める形で残っていることが前提になります。売上の内訳、客数、単価。この3つが記録から出せる状態にしておくと、次の相談で説明する手間が減ります。

記録を溜める仕組みは、借入のために作るものではありません。日々の予約と来店を1か所に残しておけば、必要なときにそこから数字が出ます。紙の予定表だけで回している場合、数字を出すのに何日もかかります。ここを先に整えておくと、2回目の相談が1回目より軽くなります。

Q1. 個人事業主でも日本政策金融公庫から借りられますか?

借りられます。個人事業主と小規模事業者が当たる窓口は国民生活事業です。公庫が公開している数字では、国民生活事業の1先あたりの平均融資残高は約800万円で、小口の融資を主に扱っています。開業前でも、新たに事業を始める方を対象にした制度があるため申し込めます。

Q2. 開業前でも申し込めますか。いくらまで借りられますか?

申し込めます。新規開業・スタートアップ支援資金は、新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方が対象で、融資限度額は7,200万円です。設備資金の返済期間は20年以内、運転資金は10年以内で、どちらも据置期間を5年以内で設けられます。2026年9月26日時点の条件です。

Q3. 申し込みに要る書類は何ですか?

初めて使う個人事業主の場合、創業計画書または企業概要書、直近期とその前期の確定申告書一式、設備資金なら見積書、電子契約サービスの利用申込書、送金先の預金通帳の写し、本人確認書類、許認可が要る商売なら許認可証です。確定申告書は2期分で、表紙だけでなく一式が要ります。ここで差し戻される人が多い点です。

Q4. 利率を下げる方法はありますか?

条件に当たれば特別利率が適用されます。女性の方、35歳未満または55歳以上の方、認定市区町村が発行する創業支援の証明書を取得した方などが挙げられています。あわせて創業支援貸付利率特例制度を使うと、各種融資制度に定める利率から0.65%引き、雇用の拡大を図る場合は0.9%引きになります。該当するかは相談の段で窓口に確かめます。

ガイド一覧へ